2017/03/07
会場が暗くなり、階段の踊り場にスポットライトが付く。ピアノのイントロに乗せてJOEの声が「Hello, it’s me」と挨拶をする。アデルのカバーだ。スポットライトに入ってきた彼は黒い襟の白いタキシードにサングラス。拍手と歓声を歓迎するために踊り場でしばし笑みを浮かべて歌う。
ステージに着くとフルスロットルで「スタッター」で改めてショーをスタート。観客が公園の噴水みたいに立ち上がってひゃんひゃん踊りだす。するとバンドが50 centの「イン・ダ・クラブ」を入れてきた(懐かしい!)。なに、ここからどうなるの!?なにやるの!?We gon’ party likeってやっちゃうの!?と思ったら「スティル・ノット・ア・プレイヤー」が始まってさらにブチアゲ。そのままの勢いで「ライド・ウィット・ユー」を披露し、今度はまさかのマイケル・ジャクソンの「ロック・ウィズ・ユー」をカバー。からのメイズ・フィーチャリング・フランキー・ビバリーの「ビフォー・アイ・レット・ゴー」を!既に大好きすぎてニヤニヤしているのにアウトロでベル・ビヴ・デヴォーの「ポイズン」のフレーズを入れてくるの。もう最高。
「モア&モア」でステージを下りてフロアを回ったんだけど、一人がハグをしたのを皮切りに、女性も男性も握手にハグにどんどん集まってくる、次から次へと列をなしてハグ待ち(笑)。その間ずっと歌ってるし。そのサービス精神たるや。曲が終わってもハグ待ちのお客さんが途絶えないから、同じグルーヴでドラム以外のメンバーが一人ひとりソロを回していく(ギターの人はどうやら日本人らしい!)。日本の「握手会」を思い出して、なんで日本人ってライブとわざわざ分けてやんなきゃいけないんだろ…JOEみたいにライブでやればいいのに、と思えてきて笑ってしまった。
一区切りしてステージに戻ると今度はアコギを持って弾き始め…これがまた上手い。ハグした人たちは全員、この瞬間にJOEの女になって家でギターを弾きながら歌う彼をいとおしい気持ちで聴く夜にトリップしてるんだろうなぁと思った。ハグしてないあたしでさえトリップしかけた。ふとさっき立ち上がってた公園の噴水たちに目をやると今度は座ってチョコレートフォンデュみたいに溶けている。そして「ザ・ラブ・シーン」では上の階を回遊。握手やハグはステージフロアの席の特権だと思っていたらしい上の階の女性たちが驚き口を手で覆って歓喜している。そのまま「オール・ザ・シングス」へ。その間ずっと歌ってるし、なのにめっちゃ安定してるし、息するみたいに歌ってるんだろうな。でなきゃ8日間のうちに12公演もできるはずがない(ビルボードライブ東京、ビルボードライブ大阪合わせて3月6日~13日の間に全12公演)。最後は「歌詞を知ってたら歌ってね」と「アイ・ワナ・ノウ」で大団円。この時点で握手もしくはハグ済みの人たちは顔をほくほくさせて一緒に歌ってる。ステージを去った彼はすぐに未ハグ隊に取り囲まれ、ハグリクエストに応えながらバンドの音がなくなると、すぐアンコールの拍手を迎えた。一度はバンドも含めていなくなるも鳴りやまない拍手。いやいやさすがに初日ファーストステージはアンコールないんじゃない?と思ってたらバンド出てきた。どんだけ喜ばせたいの(笑)。しかもアンコールで歌ったのは「キャント・ゲット・オーバー・ユー」!またもやメイズ!最高か!いい男は去り際もスマート、アンコールは1曲。バンドのインストで1時間ちょっとのステージがシュッと幕を閉じた。
アーティストとして、ライブは「コミュニケーション」だと思ってるけど、JOEのライブは最高のコミュニケーションだなと思った。親近感と、至近感。かなりの曲数やったけど、その間握手をしていない曲はおそらく一曲もないし、自分の汗を拭いたタオルをお客さんにあげるし、自分の汗を拭こうとするお客さんに拭かせてあげてるし、一緒に歌ってくれてるお客さんにマイクを向けるし、サインにも応じるし「今夜僕は君のものだよ」と言わんばかりの奉仕精神。でもなんというか、余裕なんだよな~。大人の男が放つ、心の余裕が体からにじみ出てる。なんでも受け入れてくれる懐の広さ。そりゃメロメロになるわ。
彼に触れた人は、今夜が最高の忘れられない一夜になっただろうし、また来ちゃう!と思っただろう。正直、今日までJOEが色気だけのアーティストだと失礼ながら思っていた自分を恥じて、また来ちゃう!と思った夜だった。
Photo:Masanori Naruse
Text:Kelpie
◎公演情報
【JOE】
2017年3月6日(月)&3月9日(木)~11日(土)
ビルボードライブ東京
公演詳細:https://goo.gl/RzPNjQ
2017年3月7日(火)&3月13日(月)
ビルボードライブ大阪
公演詳細:https://goo.gl/uyGYcB
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