2012/05/28 00:00
すでにチケットがソールド・アウトとなっていたレディー・ガガの“ボーン・ディス・ウェイ・ボール・ツアー”のインドネシアで公演が、イスラム強硬派による脅迫を受けキャンセルに追い込まれる事態となってしまった。
イスラム強硬派は、ガガのセクシー過ぎる衣装と挑発的なダンスの動きが若者たちを“堕落させる”として抗議し、コンサートを開催するなら暴力に訴えるとの脅しをかけていた。言論の自由と民主主義が、穏健なイスラム信仰と見事に融合していると評価されてきたイスラム国家インドネシアにとって、今回の論争はかなりの打撃となった格好だ。
プロモーター側はチケット代の全額払い戻しを約束しているが、ガガのファンたちはコンサート中止の決定に落胆を隠せず、一部には警備上の理由からコンサート開催の許可を出さなかった警察に対して非難を浴びせる者もいた。
6/3に開催予定だったこのインドネシア公演は、当初から開催の是非をめぐって決定が行ったり来たりの状態だったが、プロモーターを務める“ビッグ・ダディ”の弁護士によると、今回の中止というアナウンスが最終決定措置であるとコメントしている。
「非常に残念ですが、コンサートに抗議する脅迫も受けていることから、レディー・ガガ側からキャンセルしたいとの申し出がありました。今回の問題はレデイー・ガガの身の安全に対する不安にとどまらず、会場に訪れるファンをも危険にさらすことになるため、このような措置を決定しました」。
2億4千万人もの人口を抱える宗教国家インドネシアは、アメリカを始めとする他国からの支援のもと、民主主義とイスラム宗教がいかに共存できるかを体現しているモデル国家とされている。10年以上前に独裁から解放されたインドネシアは、徹底的な改革を行ったことで直接選挙制を実現させ、人権問題が大きく改善してメディアの自由も確保された。しかし一方では少数のイスラム過激派がより声を上げるようになり、暴力行為も横行。ここ数年のあいだに、キリスト教徒や他の宗教信者、少数派の人種、女装をするなどの性倒錯者、無神論者などを“モラルに反する”として攻撃している。
そんな中でも最も過激なのが“ISLAMIC DEFENDERS FRONT”というグループで、ガガに対しては“悪魔の使者”というレッテルを貼り、コンサートの徹底阻止の構えを表明していた。
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