2026/07/03 19:00
Ave Mujicaが、6月19日にSGC HALL ARIAKEにて、【Ave Mujica LIVE TOUR 2026「Exitus」-FINAL-】を開催した。
次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」から誕生し、今年の春には台北で開催されたプロジェクト初の海外野外公演にも出演して大盛況。6月17日には初のベストアルバム『Ave Música』をリリースするなど、バンドとしての躍進が続いている。そんな中で開催された今回の公演は、福岡、大阪、愛知、東京と巡ってきたツアーのファイナルに位置づけられた2DAYS公演で、初日となったこの日のチケットはソールドアウトの超満員を記録していた。
開演前のSGC HALL ARIAKE。会場の荘厳な雰囲気を高めていたのは、ステージに垂れる深紅の緞帳だった。開演15分前になると、スクリーンにツアー名が表示され、流れ始めたSEでオーディエンスの熱も高まっていく。やがて暗転と同時に下手から現れたのは、佐々木李子(ドロリス/Gt.&Vo.)一人。大きな歓声を掻っ切るようにステージ中央へと歩を進めた彼女は、静まった会場に伸びやかな歌声を響かせた。バンド初期からの人気曲「Mas?uerade Rhapsody Re?uest」である。
アカペラの余韻を残した一瞬の静寂を挟み、息つく間もなく凄まじい轟音が鳴り響く。緞帳が左右に開き、渡瀬結月(モーティス/Gt.)、岡田夢以(ティモリス/Ba.)、米澤茜(アモーリス/Dr.)、高尾奏音(オブリビオニス/Key.)の姿が見え、グレーを基調としたクラシカルな衣装を身にまとった5人が揃う、威厳に満ちた幕開けだ。佐々木李子のシャウトにも込められた衝動が心を震わせる「Sophie」、厳かなパイプオルガン調の音色と歪んだ弦楽器の音色が印象的な「Crucifix X」と続き、佐々木李子の「...ようこそ。Ave Mujicaの世界へ」という一言から、セルフタイトル曲「Ave Mujica」が奏でられた頃には、重厚なバンドサウンドが空間を支配していた。
ここから先の中核を担うのは、ベストアルバムに収録されている楽曲群。その合間に披露される楽器隊のソロパートが、大聖堂の内部に落ちるステンドグラスの光さながら、神秘的なムードを色鮮やかに飾り立てていく。重低音と静謐の対比が美しい「素晴らしき世界 でも どこにもない場所」のアウトロからは、そのまま流れるように高尾奏音のピアノソロへ。愛らしくもどこか不気味なフランス人形のように、無表情でゆっくりと奏でられる「ソ」の一音。哀愁ただよう演奏は、徐々にその様相を変えていき、彼女自身の表情にも体温が宿り出す。鍵盤の上を優美に踊り始める十本の指。重々しくも透明感のある不協和音交じりの旋律が、そのステップに追従する。確かな技量を感じさせるエレガントなプレイを披露した高尾奏音は、しなやかな動作で一人舞台を締めくくった。
5人の奏でる硬質なアンサンブルが回帰し、華やかな曲調でフロアを揺らす「Symbol II : Air」から、佐々木李子がアコースティックギターを爪弾く「Imprisoned XII」へ。感情的なボーカルとメンバーによる儚いコーラスが生み出す切なさを、骨太なリズム隊が支えることで、繊細ながらも芯の通ったヘビーな音像が浮かび上がる。そのリズム隊の一人、米澤茜のドラムソロが披露されたのは、渡瀬結月と岡田夢以もステージ中央で躍動した「八芒星ダンス」の直後だった。荒廃した地に吹き荒ぶ風のように颯爽と動く手足。嵐の日の雨音のように縦横無尽なリズム。柔らかな微笑みの中に涼しげな眼光をたたえつつ、激情的な演奏を繰り出したのち、フロアの方へと伸ばされた手が、オーディエンスをより深く“Ave Mujicaの世界”へ引きずり込んだ。
その勢いのまま叩かれたパワフルなドラムを合図に、耽美的でエモーショナルな「黒のバースデイ」が会場を揺らす。抑圧されながらも燃え滾る痛切な感情を放つ佐々木李子。スカートの裾を翻しながらピンクのエレキギターを激しく掻き鳴らす渡瀬結月。毅然とした態度で地響きのようなベースの低音を轟かせる岡田夢以。長く艶やかな黒髪を振り乱しながらドラムの前で暴れる米澤茜。可憐な佇まいでテクニカルにキーボードを操る高尾奏音。MCは一切なし。セリフ調のパートや3拍子へのリズムチェンジがドラマチックな「Choir 'S' Choir」、疾走感と緩急のある展開が胸を打つ「DIVINE」、ハンドマイクを手にした佐々木李子がステージを動き回るダンサブルな「顔」など、幻想的で狂気的な彼女たちの物語をなぞる音楽のみが続いていく。
そして響く、佐々木李子の高らかな笑い声。バンドは休む間もない苛烈なパフォーマンスで、TVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』のオープニングテーマ「KiLLKiSS」が描く愛憎を体現し、魂を燃やし尽くさんとばかりに、バンドの中でも特にアグレッシブなメタルサウンドが劈く「Symbol I : △」を投下した。会場からも全身全霊のシンガロングが巻き起こるこの楽曲で、ツアーファイナル初日の熱量が頂点へ。全17曲をノンストップで駆け抜けた目まぐるしいステージの終幕である。
最後に彼女たちはステージ前へと歩み出し、横並びで手を繋ぎながら深く頭を下げた。それぞれの内に渦巻く感情を出し切ったかのごとく、感慨深げに会場全体を見つめる5人――この時は知る由もなかったが、翌日、6月20日の公演では、セットリスト、衣装やメイクを一変し、まったく異なる“Ave Mujicaの世界”を創造することになる。
Text by 佐藤悠香
◎公演情報
【Ave Mujica LIVE TOUR 2026「Exitus」-FINAL-】
2026年6月19日(金)
東京・SGC HALL ARIAKE
<セットリスト>
M1. Mas?uerade Rhapsody Re?uest
M2. Sophie
M3. Crucifix X
M4. Ave Mujica
M5. 素晴らしき世界 でも どこにもない場所
M6. Symbol II : Air
M7. Imprisoned XII
M8. 八芒星ダンス
M9. 黒のバースデイ
M10. Symbol IV : Earth
M11. Choir 'S' Choir
M12. 神さま、バカ
M13. DIVINE
M14. ‘S/’ The Way
M15. 顔
M16. KiLLKiSS
M17. Symbol I : △
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