2026/06/05 04:00
2026年上半期Billboard JAPANストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”で、米津玄師「IRIS OUT」が首位を獲得した。
上半期/年間ともにトップ20へ10曲以上を送り込んだMrs. GREEN APPLEをはじめ、“ストリーミング強者”のアーティストのパワーが強く出た2025年の当チャート。それを経た2026年上半期は一転、これまでストリーミングの勢いとは縁の薄かったアーティストにスポットライトが当たった期間となった。
首位を獲得した米津玄師「IRIS OUT」は、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』主題歌として、映画の上映週となる2025年9月15日にデジタル・リリース。集計初週となる9月24日公開チャートでいきなり首位を獲得し、そこから当チャートにおける国内楽曲最多となる週間ストリーミング再生回数(28,733,082回/2025年10月1日公開チャート)、また史上最速(4週)でのストリーミング累計1億回を達成と、リリース直後から凄まじい勢いをみせていた。そこから、チャート年度を跨いだ2025年12月3日公開チャート以降も引き続き週間1,000万再生以上を連発し、勢いを継続。12月には公式のショート動画“レゼダンス”や大晦日の『第76回NHK紅白歌合戦』で同曲を初パフォーマンスしたことも話題の盛り返しにつながり、年度の変わり目で一度記録がリセットされたにもかかわらず、2026年上半期首位を達成した。
爆発的な勢いをみせた「IRIS OUT」であるが、米津玄師の楽曲全体においても、この曲のストリーミング・ソング・チャートでの動きはかなり特異であった。米津単独名義の楽曲が当チャートで首位を獲得したのは、現在「KICK BACK」と「IRIS OUT」の2曲のみ。彼の「ストリーミング累計1億回突破曲」は22曲あることを踏まえると、米津玄師の楽曲はピーク値の高さは目立たなくとも、かなりの長期間にわたって安定して聴かれている、ということがうかがえる。
また、「KICK BACK」の首位獲得回数は、集計初週である2022年10月19日公開チャートの1度きりで、その際の週間再生回数は12,556,627回、週間再生数1,000万回超をキープしたのは2023年1月10日公開チャートまでの計11週間であった。この11週というキープ期間も十分長いのだが、「IRIS OUT」は首位獲得回数が通算23回、週間再生数1,000万回超(2,000万回超も含む)をキープしたのが計22週、そのうち2026年度チャートにあたるのは半数以上の計12週……と、とにかく再生数を多く、長くキープしていたことがわかる。「長期間にわたって安定して聴かれる」という米津楽曲の元々持つ強みと、ストリーミングヒット曲らしい破竹の勢いが掛け合わされた広がりをみせたのが、この「IRIS OUT」の特徴といえるだろう。
さらに今回特筆すべきなのは、2025年年間でHANAが破った当チャートにおける“ダンス&ボーカルの壁”を超えるアーティストが、特に国内男性グループにおいて目立ったことだ。ニュース内で上半期/年間トップ20までの発表を開始した2023年度以降は、2021年および2022年チャートで存在感をみせていたBTSの活動休止期間であったこと、またOfficial髭男dism「Subtitle」やYOASOBI「アイドル」、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」といったストリーミング・メガヒット曲が再生回数のベースを押し上げたこともあり、上半期/年間トップ20にダンス&ボーカルグループの楽曲が登場することは各1組、1曲のみであった。その流れが、2025年年間チャートトップ20にHANAが「ROSE」「Blue Jeans」の2曲を送り込んだことで変化していたところ、2026年上半期ではM!LKが「好きすぎて滅!」「爆裂愛してる」の2曲(なお、上半期/年間トップ3圏内にダンス&ボーカルグループの楽曲が登場したのは、2021年上半期/年間ともに2位のBTS「Dynamite」以来5年ぶり、DA PUMPとBTSに続く3組目である)、BE:FIRSTは「夢中」、Snow Manは「カリスマックス」と、計3組の男性ダンス&ボーカルグループがトップ20に登場するという史上初の集計回に。さらに女性グループでは、昨年大活躍のHANAがトップ20圏内の曲数を3曲に増やしており、トップ20圏内で計7曲がダンス&ボーカルグループの楽曲となった。
これは、2025年よりSnow Man(4月、全曲配信は2026年6月)、KinKi Kids(4月)、SixTONES(5月/一部楽曲のみ)ら、また女性グループではハロー!プロジェクト(所属アーティスト全楽曲/2026年2月)ほか、国内ダンス&ボーカルアーティストが続々と楽曲のストリーミング配信を解禁していることで、ダンス&ボーカルを好むリスナーのなかでストリーミングがこれまで以上に浸透したことが大きな要因と考えられる。
2026年ならではの動きとしては、週間チャートで当チャート連覇記録を重ねているサカナクション「夜の踊り子」のように、旧譜曲がネットミームによって猛スピードでヒットする、というケースもみられた。ネットミームによるリバイバル・ヒットはこれまでも広瀬香美「ロマンスの神様」や、最近ではKANA-BOON「シルエット」などいくつか前例はあったが、SNSの枠を飛び出し、当チャート1位を獲得(5月20日公開チャート)するまで「ストリーミングでの支持を高めた」楽曲はほかになかった。これは2025年2月20日リリース、上半期でも15位となった「怪獣」で、サカナクションがストリーミングでの支持を高めていたことが差になったのではないかと考える。同曲は今回のトップ20にはまだ登場していないが、下半期ではこのような旧譜曲も新曲のなかに交じってくるのか、本年度はまだ出ていない“週間再生2,000万回超え”の楽曲がすべてを抜き去っていくのか、今後の動きにも注目だ。
Text by Maiko Murata
【2026年上半期Billboard JAPAN Streaming Songs】トップ20
1位「IRIS OUT」米津玄師(251,567,795回再生)
2位「好きすぎて滅!」M!LK(174,285,537回再生)
3位「ライラック」Mrs. GREEN APPLE(165,152,466回再生)
4位「Blue Jeans」HANA(161,492,609回再生)
5位「lulu.」Mrs. GREEN APPLE(149,615,141回再生)
6位「ROSE」HANA(148,377,400回再生)
7位「AIZO」King Gnu(133,780,775回再生)
8位「ダーリン」Mrs. GREEN APPLE(125,404,519回再生)
9位「革命道中 - On The Way」アイナ・ジ・エンド(118,899,226回再生)
10位「Soranji」Mrs. GREEN APPLE(117,387,701回再生)
11位「NON STOP」HANA(113,782,744回再生)
12位「JANE DOE」米津玄師, 宇多田ヒカル(112,664,876回再生)
13位「夢中」BE:FIRST(112,502,892回再生)
14位「爆裂愛してる」M!LK(109,583,919回再生)
15位「怪獣」サカナクション(105,402,350回再生)
16位「カリスマックス」Snow Man(104,860,385回再生)
17位「ケセラセラ」Mrs. GREEN APPLE(100,489,909回再生)
18位「Golden」HUNTR/X(95,709,263回再生)
19位「ブルーアンバー」back number(95,338,828回再生)
20位「点描の唄 feat.井上苑子」Mrs. GREEN APPLE(94,879,239回再生)
集計期間:2025年11月24日(月)~2026年5月24日(日)
※()内の数字は集計期間中のストリーミング再生回数となります。
※総合ソング・チャート“Hot 100”のストリーミング指標と動画再生指標およびストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”では、一部サービスにおけるデータを無料ストリーミングと有料ストリーミングで分けて集計し、それぞれ異なる係数を乗じているため、再生回数の合算によるランキングとは異なる場合があります。
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