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2021/08/18

<ライブレポート>eill、等身大の歌で届けたエール「一人一人の未来が愛に溢れて健やかでありますように」

 eillが、【eill Live Tour2021「ここで息をして」】の追加公演を8月13日東京・Zepp Diver Cityにて開催した。

 本ライブは、メジャーデビューシングル「ここで息をして」を引っ提げ行われた東名阪ツアーの追加公演。会場は、ワンマンとしては自身最大キャパとなるZepp DiverCityだ。今回の追加公演では、宮田”レフティ“リョウ(Key.)、越智俊介(Ba./CRCK/LCKS)、サトウカツシロ(Gt./BREIMEN)、Kanno So(Dr./BREIMEN)といった気鋭のバンドメンバーに加え、ダンスグループ「GANMI」よりMr.D、AOI、SUN-CHANG、Kazashiの4人がオンステージ。総勢9人による華やかなでエネルギッシュな一夜となった。

 開始時刻になると客電が落ち、暗闇の中でドローンのような低音が緊張感を漂わせるなか、バンドメンバー、そして真っ白なセットアップに身を包んだeillがステージに登場。開口一番〈いつもあなたの側で笑っているよ〉(「hikari」)と叙情豊かに歌い上げるeillの姿に、さっそく会場中の視線が釘付けになる。

 「eill Live Tour2021「ここで息をして」へようこそ!」と元気よく客席に声をかけるeill。座っていたオーディエンスを立たせ、ご機嫌なパーティー・チューン「MAKUAKE」で派手やかにショーの幕開けを告げる。間髪入れずになだれ込んだ「FUTURE WAVE」では、eillとバンドメンバーがジャンプで客席を煽り、会場はまるでダンスフロアのような盛り上がりを見せる。ギラギラとしたeillの歌のパワフルさや、百戦錬磨のバンドメンバーによるタフな生演奏に、誰もが身も心も躍らずにいられない。

 「はじめましての人も、二度めましての人も、久しぶりの人も、今日は声が出せないけど、逆に私たちだけが知ってる特別なライブになればいいなと思ってます。一緒に楽しんで行きましょう!」と挨拶し、竹内まりやの名曲「プラスティック・ラブ」のカバーへ。ひたすらアッパーだった序盤とは対照的に、スタンドマイクで艶やかに歌い上げる。「プラスティック・ラブ」と同じく、スローなテンポがムーディーな「((FULLMOON))」では、GANMIの4人がステージに登場。一人掛けソファに腰をかけて歌うeillの周りで踊ったり、歌詞に合わせてステージを出入りしたりと、ドラマティックに楽曲の世界観を表現した。

 続けて、80年代風のシンセサウンドが疾走感溢れる「Night D」、イントロのサトウのギターがインパクト大だった「ONE」と、アップテンポなナンバーを連投。「FAKE LOVE/」では、再びGANMIの4人が登場し、パーティームードをさらに盛り上げる。今回のツアータイトルにも掲げられている「ここで息をして」では、赤を基調とした照明のなか、ハツラツとした歌とダンスでオーディエンスを魅了。エンターテイメント性に富んだ楽曲が並んだ中盤パートは、eillの音楽的な懐の広さと、それによって周りを巻き込んでいくパワーに圧倒された一幕だった。

 1番は弾き語り、2番からバンドが入るアレンジで披露された「片っぽ」は、eillの歌の表現力が最も光っていた一曲だ。特筆したいのがサビの〈痛くて甘いのさ〉の〈痛くて〉の部分で、消え入りそうなくらい弱々しく歌ってみたり、少しやけになったようなトーンで強く歌ってみたり、eillはこのワードが出てくるたびに歌い方に変化をつけていた。「片っぽ」はメロディもコード進行もアレンジも、どれを取っても心揺さぶられる楽曲だが、一番の魅力はこの〈痛くて〉に代表される歌の心情描写の細かさ、丁寧さにあると思う。ライブでもそれは健在で、むしろ音源よりダイレクトに感じられる分、さらに訴えかけられるものがあった。

 「最近、悲しいニュースとか不安になるようなことがたくさん起きているような気がしていて。それが自分の心の中と重なって、『あれ、トンネルってこんな長かったっけ?』とか『いつ光って見られるだっけ?』って悩んだりしました」と、素直な気持ちを吐露したeill。それを踏まえ、「みんながみんな、自分のスポットライトになれる。みんながみんな、自分のヒーローになれる。みんながみんなの光になれるように、私は歌い続けます。忘れないでほしいことは、この物語、この人生の主人公はあなただってこと。覚えていてください」と客席に語りかけた。

 直後に突入した「SPOTLIGHT」では、〈Don't you worry 私は私で 誰にも真似できない Only one〉と力強く歌い上げ、そのままノンストップで突入した「20」でも、〈なにも怖くはないよ〉とオーディエンスを鼓舞する。ゴスペル調のコーラスがこの日集まった一人一人を祝福するようで、さらにフロアからは自然とクラップも巻き起こり、会場は大きな多幸感に包まれた。

 アンコールでは、ツアーTシャツに着替えたeillとバンドメンバーが再登場。8月11日にリリースされたばかりの「花のように」を披露する。ゆったりとした曲調ながら、〈たとえ 見えなくても 咲き誇って 闘うのよ〉と、聴く人の背中を押すような心強いフレーズもあり。オーディエンスはその歌と演奏にしっかりと耳を傾けていた。

 ツアーの思い出をバンドメンバーと和気あいあいと振り返り、最後はアコースティックなテイストの「2025」でしっとりとライブを締めくくる。「未来って見えなくて真っ暗で怖いかもしれないけど、みんな一人一人の未来が愛に溢れて美しくて健やかであるように願って」と前置きして歌われたこの曲は、まるで祈りのような優しさに満ち溢れていた。

 この日の模様は、dTVにて8月31日より期間限定で配信される。

Photo:山川哲矢

◎公演情報
【eill Live Tour 2021「ここで息をして」追加公演】
2021年8月13日(金)
東京・Zepp DiverCity

<セットリスト>
01.hikari
02.MAKUAKE
03.FUTURE WAVE
04.プラスティック・ラブ
05.((FULLMOON))
06.Night D
07.ONE
08.FAKE LOVE/
09.ここで息をして
10.Special Girl
11.片っぽ
12.SPOTLIGHT
13.20
14.踊らせないで
En1.花のように
En2.2025

■プレイリスト
https://lnk.to/kokodeikiwoshite_setlist


◎配信情報
dTV『eill Live Tour 2021「ここで息をして」追加公演@Zepp Diver City』
チケット:2,500円(tax in.)
販売期間:2021年7月15日(木)12:00~9月13日(月)22:00
見逃し配信期間:2021年8月31日(火)12:00~9月13日(月)23:59
https://video.dmkt-sp.jp/ft/s0007214

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