出版社:水鈴社
価格:本体価格1,700 円
発行年月:2026年3月
判型:四六判
ISBN:9784910576060
「君がいつもそばにいるから 毎日があたらしい」
遺影として飾られていたカリスマ的なミュージシャンの写真を、父と聞いて育った新(あらた)。
誰にも見えない存在として少女時代を生きてきたある日、耳にした音楽に救われ、恋に出会って新の母となった、くすか。
新が父の真実を知った時、二人の物語が、一つの歌に重なりはじめる――。
200ページで大長編の感動を約束する、珠玉の青春小説であり、親子小説であり、胸を打つ恋愛小説。
人の人生を変えた一曲を描く、あなたの人生を変える一冊。
【角田光代さんより皆さまへメッセージ】
どんなにちっぽけな原因であれ、奈落の底に落とされた気分で、もうだめだと思いこみ、起き上がることすらおっくうなとき、あなたは何に救われてきましたか? と、いろんな人に訊いてみたことがあります。小説、ドラマ、テレビのお笑い、いろんな答えがありました。自分を救ってくれたものを、職業として選び取っている人もいました。
私の場合は音楽です。
音楽がはじまり歌が流れる。どん底にいる私のところに光がさして、景色が見える。夜をうつくしいと思う。いっしょに笑っただれかをたいせつだと思う。冬の光が金色だと知る。歌われているすべて、私の体験ではないのに、この世界が生きるにあたいするうつくしい世界だということを、体感する。
私は音楽にくわしいわけではありません。聴く音楽もかたよっているし、流行にも疎いです。それでも信じています。すべての音楽には、それを必要とする人を救う力があると。
音楽でなくても、私たちを救ってくれるものはあると思います。そうしたものと出会うということは、けっして生きやすいとはいえないこの世界に、私たちだけの居場所を作るようなことなのだと思います。
自分がなぜここに生まれてきて、なぜ生きているのかわからない人たちが、あるとき、生きるにあたいする世界と出会う。これはそんな物語です。
今まで私を幾度も救ってきてくれた有形無形のものにたいする感謝の気持ちであり、恋文のようなものです。
読みながら、あなたの世界を変えた何かに思いを馳せてもらえたら、とてもうれしく思います。
――角田光代
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