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ザ・ボヒカズ 初来日インタビュー

ザ・ボヒカズ 初来日インタビュー

 英イースト・ロンドンを拠点に活動するドミニク・マクギネス(Vo、G)、ブレンダン・ヒーニー(Dr)、ドミニク・ジョン(G)、エイドリアン・アコラツェ (B)による4ピース・ロックバンド、ザ・ボヒカズ。2010年の【British Anthems】で初来日を果たしたスワントン・ボムズとして活動していたドミニク・Mとブレンダンの2ピース編成に、幼馴染のドミニク・Jとエイドリアンが加わり、ザ・ボヒカズに改名。アークティック・モンキーズ、フランツ・フェルディナンドが所属する名門インディー・レーベル<ドミノ・レコード>と契約を果たし、デビュー・ダブルA面・シングル「XXX/Swarm」のPVをアップすると30万回近い視聴数を記録。英NME誌をはじめ、オーストラリアの人気ラジオ局<Triple J>などでも話題となり、ここ日本でも独自企画盤のデビューEPを6月にリリース。6月開催の【Hostess Club Weekender】で早くも初来日を果たし、白熱のステージで観客を沸かせたザ・ボヒカズのフロントマン、ドミニク・マクギネスとベーシストのエイドリアン・アコラツェ にライブ直後に話を訊いた。

演奏している自分が心から楽しんでいれば、
それは観客にも自然と伝わって、広がっていくはず

??確かドミニクは、この会場で以前演奏していますよね。

ドミニク・マクギネス:そうそう、4、5年前に【British Anthems】に、スワントン・ボムズとして出演した時に。あの頃は、まだ演奏が超下手だった(笑)。

??今日のライブの手ごたえは、どうでしたか?

ドミニク:グレイト!信じられないぐらいに。

エイドリアン・アコラツェ:観客がどんな反応をするか見当もつかなかったけど、いい感じに盛り上がってて、演奏してる方も気分が良かったよ。

ドミニク:前回の【British Anthems】では、曲を紹介する時に「ツギハ…」って日本語で言ってみたけど、通じなくて…。でも今回は、まるで赤ちゃんのように、ゆっくり話したらちゃんと通じてた。

エイドリアン:(笑)。遠く離れた日本で、こんなにも温かく迎えてもらって本当に嬉しいね。

??では、2人の音楽との出会いについて教えてください。

エイドリアン:幼い頃、母親を通じて色々なレコードを聴いたのが初めての出会いだね。ビートルズはもちろん、レイ・チャールズだったり、古いソウルやファンクのレコードを聴いて育ったんだ。メンバー全員、幼少期は大体似たアーティストを聞いていたよ。

ドミニク:うん。僕の父は趣味でピアノを弾いていた…。

??お兄さんは、シンガーソングライターのユージン・マクギネスですよね?

ドミニク:そうそう。実家のリビングには、TV、ソファとピアノがあって、子供にとってピアノはパーフェクトな玩具だから、よく弾いてたよ。

??2人が物心ついた頃は、ザ・ストロークスやザ・ホワイト・ストライプスなど、ロック・バンド全盛期だったと思いますが、バンドをやりたいと思うきっかけとなったライブはありますか?

エイドリアン:そういうバンドには夢中だったよ。ただライブを観に行くには、まだ少し若すぎたかな。

ドミニク:15、16歳頃に、今も活動してるかどうかわからないけど…ロンドン出身でシェフィールドを拠点していたブロムヘッズ・ジャケットっていうバンドのデビュー作をリリースする前のライブを観に行ったことがあるんだけど、彼らのエネルギー漲るライブには虜になったね。その後、ロンドン付近でライブがあったら必ず観に行ってた。ゴミ同然のギターを演奏してたけど、そんなことに関わらず観客に愛されていて、バンドと観客の間に強い繋がりを感じたね。本当に魔法のようだった。

??今日のライブも、それが少し見受けられたのではと思いますよ。初めてライブを観る観客が大半だったと思いますが、ザ・ボヒカズの楽曲には瞬時に人の心を掴む即時性があるので。

ドミニク:クール!僕らがステージに上がって、一つ出来ることがあるとすれば、聴き手の気分をアゲること。演奏している自分が心から楽しんでいれば、それは観客にも自然と伝わって、広がっていくはず。音楽ってそうあるべきだからね。

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どんな音を鳴らしたいか模索中で、
方向が定まった時に自然とバンド名も変わった

「XXX/SWARM」 MV
▲ 「Swarm / Crush Me」 (Live)

??エイドリアンは、最後にバンドに加入したと思うのですが、2人はどのように出会ったのですか?

ドミニク:ユージンの前作『The Invitation to the Voyage』をレコーディングしていた時に出会ったんだ。アルバムに収録されてる「Sugarplum」で、ダブル・ベースを弾くために呼ばれてて。

??元々、クラシカル・トレーニングを受けていたのですか?

エイドリアン:そうなんだ。音大では、ダブル・ベースを弾いていて、主にセッション・プレイヤーとして活動してたけど、今はベース・ギター一筋。こっちの方が、楽しいからね(笑)。それに他人の曲を演奏するより、自分の曲を演奏出来た方が数倍いいから。

ドミニク:「Sugarplum」は、イースト・ロンドンのとある屋根裏でレコーディングしたんだけど、建物にエレベーターがなくて。兄から、彼は凄くいいダブル・ベース・プレーヤーだ、っていうのは聞いてたから、ダブル・ベースを屋根裏まで上げるのを手伝おうと思って、下へ降りて行ったんだけど、「別に、大丈夫だよ。」ってクールに言われて、触らせてくなかったんだ!

エイドリアン:(大笑)。

ドミニク:でも昼間だったにも関わらず、一緒にウォッカを飲んで…、

エイドリアン:タバコをシェアして、次第に打ち解けたんだ。

ドミニク:ちょうどその時に、他の用事でブレンダンから電話がかかってきたんだけど、「ブレンダン、そんなのどうでもいい!やっとベーシストを見つけた!」って感じだったよ。元々2ピースだったのも、ベーシストを一人も知らなかったからなんだ。学校でやってるやつもいなかったし。

エイドリアン:共感できることや、共通する部分が多かった。だから出会ったその日にドミニクに、「バンドに入らなかいか?」って問われた時に、「これだけ共通点があって、入らない方が変だよ。」って即答したんだ(笑)。

ドミニク:ブレンダンとドミニク・ジョンとは幼馴染で、子供の頃はずっと一緒に演奏してたんだ。バンドを始めた僕とブレンダンとは違い、ドミニク・ジョンは、きちんと大学に行く道を選んだんだけど、卒業したら、即座に学問と成功の道から彼をさらい、僕らのバンドに加入させた(笑)。4人組として数年演奏しているけど、ザ・ボヒカズに正式になったのは、去年の9月ぐらい。それまでは、どんな音を鳴らしたいか模索中で、方向が定まった時に自然とバンド名も変わった感じだね。その期間にソングライターとしても大分成長して、ちゃんとしたロックンロール・チューンが書けるようになったんだ。

写真
The Bohicas 2014.06.22 @ Hostess Club Weekender / Photo: 古溪 一道

??その点は、ユージンのレコーディングやツアーに参加にしたことも影響している?

ドミニク:もちろん。ユージンとはよく曲作りもしてて、これからもっとやっていきたいと思ってる。彼のツアー・メンバーとしては、陰でピアノやギターを弾いていたけど、色々なライブやフェスにも出演できたから、いい経験になったしね。

「XXX/SWARM」 MV
▲ 「XXX / Swarm」 MV

??<ドミノ・レコード>と契約したきっかけは?

ドミニク:ユージンのバンド・メンバーとして活動していたことで、彼らと仲良くなったんだ。ある日どんな曲を作ってるか聞きたいって言われて、音源を渡したら、気に入ってくれたみたいで、「じゃあ、一緒にレコードを作ろう。」って契約してくれた。それに、他に誰からもオファーはきてなかったからね(笑)。彼らはとても優秀で頼もしいよ。

エイドリアン:そう、僕らや音楽に対して理解があって、本当に最高だよ。

??では、ザ・ボヒカズのソングライティングのプロセスや曲のインスピレーションについて教えてください。

ドミニク:僕が、曲のヴァースやコーラスを書いて、家でラフなデモを作ってみんなに聴いてもらって、練習するために集まった時に、全員のアイディアを反映させて、“ザ・ボヒカズ”らしい曲に変えていく。インスピレーションに関しては、たとえば「XXX」の場合は、とにかく「XXX」って言うタイトルの曲を書きたかった。いろんな言葉をライムできるし、綴りの見た目もクールで、様々な意味を持った言葉だから。他には、映画とか…。

??女の子とか?

ドミニク:もちろんだよ。

エイドリアン:(大笑)。

ドミニク:女の子は最高だし、いい題材になるから。別に難しく考えてなくて、曲がクールに聞こえ、見た目もクールで、僕自身がクールに見えれば、すべてクールでOK(笑)!

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多分だけど…今存在するロックンロール・アルバムの中で
一番最高なものが出来上がった

「XXX」
▲ 「XXX」 (In Session at The Great Escape 2014)

??気になるデビュー・アルバムは完成しているのですか?

エイドリアン:あと一歩って感じで、最後の仕上げの段階だね。17曲ぐらい作ったけど、何曲か…に絞る予定。

ドミニク:やっぱり10曲じゃないかな。

??10曲30分の直球ロックンロール・アルバムな感じ?

ドミニク:まさに、その通り!超特急で駆け抜けていって、一服して「じゃあね!」って感じ。

??なるほど(笑)。アルバム制作を通して、ザ・ボヒカズならではのアーティスト性やサウンドは確立されたと感じますか?

ドミニク:うん。独自のアイデンティティを持った作品に仕上がったと思う。レコーディングは、オリー・ベイストン(Oli Bayston)とマーク・ランキン(Mark Rankin)と行われて、2人は一緒に仕事をしたことはないんだけど、僕らのマネージメントとレーベルを通じて繋がった。オリーとは、バンド活動当初から仕事をしてきて、「XXX」は彼と僕による共作なんだ。スタジオの壁の反対側にいるけど、ほぼバンドのメンバーって感じだね。僕は、不本意に何でもレトロでオールドスクールなサウンドにしてしまう癖があるんだ…、そういう音楽がこれまで自分が聴いてきたものだから。彼は、それにモダンなタッチを加え、バランスする役割りをしてくれてる。

エイドリアン:サウンドのタッチや質感もそうだし、それにオールドスクールなソングライティングのテクニックを用いてるけれど、モダンに仕上げるセンスを持ってるんだ。

ドミニク:マークは、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジやフローレンス・アンド・ザ・マシーンなんかのポップやロック界の大物と仕事してきて、スタジオワークの技を極めてる。2人の手助けを経て、多分だけど…今存在するロックンロール・アルバムの中で一番最高なものが出来上がった!

エイドリアン:2人とも、めちゃめちゃ面白い上に、才能豊かだから、とにかく楽しかった。レコーディングを通じて、自分たちが心から愛する音楽を作るのは、こんなに楽しいことなんだ、って気づかされた。本当に最高の気分だよ。

写真
The Bohicas 2014.06.22 @ Hostess Club Weekender / Photo: 古溪 一道

??アルバム制作には、どれぐらいの期間を費やしたのですか?

ドミニク:1週間のセッションを3回行った。僕が思うに、バンドの1stアルバムっていうのは、バンド結成時から現時点まですべての楽曲が詰まっていて、アルバムというよりグレイテスト・ヒッツに近いと思うんだ。だから実質的には、2ndアルバムが1stアルバムで、そこには早く作らなきゃいけないというプレッシャーが伴う。考えるだけでも恐ろしいけれど、それはまだ先の話だから今は置いておいて…(笑)。デビュー・アルバムには、4年ぐらい前に書いた曲も収録されているけれど、ほとんどは今年書かれた曲。とは言え、何年も前から曲は書いているから、選択肢は100曲以上にも及んだ。

??その中から、どのように曲を厳選していったのですか?

ドミニク:すっごくシンプルで、演奏してみて、最悪なものから排除していった。

エイドリアン:もちろんサウンド的には、同じフィーリングや感性を持った、一貫性のある作品に仕上がっているよ。

??では最後に、2人にとって最強のデビュー・アルバムは?

ドミニク:ザ・ストロークスの『イズ・ディス・イット』。

エイドリアン:うん、あれは鉄板だね。

ドミニク:キングス・オブ・レオンの『ユース・アンド・ヤング・マンフッド』、ビートルズの『プリーズ・プリーズ・ミー』…、タイトルを全部挙げていったら、一日かかるよ(笑)。

??2人ともザ・ストロークスに対して思い入れが強そうですが、最新作『カムダウン・マシーン』の感想は?

ドミニク:僕にとってザ・ストロークスは、本当に特別だから、彼らにまた世界一最高なバンドになって欲しいという想いは常に持ってる。でも、やはりハードだよ。デビュー当時、あれほどクールな存在だと、5枚目、6枚目のアルバムをリリースした時に、それをどうやって維持し続けるか、というのは複雑な問題だね。ジュリアン・カサブランカスは、素晴らしい才能の持ち主だと思うよ。あのアルバムで好きなのは「All The Time」。後は、少しゆっくり目なナンバーの「Chances」もすごく好きだよ。彼らがデビューした当時は、僕らは12歳ぐらいで、未だにライブは観たことないけれど、ミュージック・ビデオやライブ映像を繰り返し見たのは、よく憶えてる。幼いながら、本当にクールなロック・バンドになることは可能なんだって、夢を与えてくれたね。まるでアクション・フィギュアみたいな存在だったよ(笑)。

ザ・ボヒカズ「EP」

EP

2014/06/11 RELEASE
HSE-10148 ¥ 1,012(税込)

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Disc01
  1. 01.XXX
  2. 02.CRUSH ME
  3. 03.BLOODHOUND
  4. 04.SWARM

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