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RAMMELLS『take the sensor』インタビュー



RAMMELLS『take the sensor』インタビュー

 4人組オルタナティヴ・ロックバンドのRAMMELLSが、2018年7月11日にミニアルバム『take the sensor』をリリースした。

 今回のインタビューで「そもそも僕たちはオシャレ系でもロック系でも、どっちでもいけたと思うんですよ。」と語られたように、去年12月にアルバム『Authentic』でメジャーデビューを果たした際には“新世代シティポップ”と打ち出されたバンドだが、見据えていたのは「ロックバンドとして、でかいライブハウスとか、武道館だったりとか、そっちの方を目指していく」ことだった。今作にはリード・トラック「Sensor」をはじめ、そんなロック魂が込められた全6曲が収録されている。

 いま、彼らはどんな思いで音楽を鳴らし、どんな思いで“自分のセンサーを持て”というメッセージを発するのか? フロントマン・黒田秋子を中心として、メンバー全員がその心情を明らかにしてくれた。


MEMBER:LEFT→RIGHT
真田徹(サナダ・トオル/Gt)
村山努(ムラヤマ・ツトム(チリポン)/Ba)
黒田秋子(クロダ・アキコ/Vo,Key)
彦坂玄(ヒコサカ・ゲン/Dr)

「そのときに自分がかっこいいって思う曲を作る」

RAMMELLS『take the sensor』インタビュー

--メジャーデビューして半年が経ちました。振り返ってみていかがでしょう?

黒田秋子:デビューしてよかったって思うことはたくさんあります。たからこそ出来た経験もあって。

彦坂玄:地方のライブにいろいろ呼んでもらったり、「Sensor」のミュージックビデオとかね。僕はスタジオ撮影の経験がなかったので、すごく大掛かりに見えたんですよ。関わる人もたくさんいたし。

村山努:ラジオとかでもよく流してもらって、全国にちょっとは広められたかなって思ってます。実績としては、まだまだこれからかなって思いますけどね。

黒田秋子:東京でも初めてワンマンライブをやったんですけど、来てくれた人たちも「これからこの人たちどうなるんだろう」って思いながら観てくれてたんじゃないかな。私たちも「もっとこうすればよかった」とか「もっとこうしていきたいな」っていうのがあって。

--そういう心境があった上での『take the sensor』というわけですね。制作自体は大変でした?

真田徹:みんなで頑張った。

彦坂玄:今回のミニアルバムを出すって決まったのが、レコーディングの二ヶ月くらい前だったんですよ。だから、それに間に合わせなきゃいけなかったっていうのはあります。ちょっと急展開っていうか、びっくりはしましたね。僕たちは「曲が降りてくる」とかじゃなくて、ひねり出してつくるタイプなので。

村山努:まあ、前作『Authentic』との差別化した方がいいのかな、寄せた方がいいのかな、とかも考えたりもしたんですけど、それほど囚われてはいなかったかな。

黒田秋子:そのときに自分がかっこいいって思う曲を作るっていうね。そこはずっと一緒。変化としては、売れる曲ってどういうものなのか、やっぱりちょっと考えるようになったことですかね。

--前回のインタビュー(http://www.billboard-japan.com/special/detail/2182)では「村山さんがつくった曲は演奏するのが難しい」っておっしゃってましたけど、「Sensor」はどうでした?

黒田秋子:今回は村山もメンバーそれぞれのことを考えてくれたというか、たぶん「この人だったらこういうフレーズが似合うかな」とかって、すごく考えてつくってくれた感じがします。だから最初に聴いたとき、みんなが演奏してるイメージがすっと思い浮かんだ。難しかったですけど(笑)。


「勝手に生まれる“鉛”みたいなものを、もっと出せる人になりたい」

RAMMELLS『take the sensor』インタビュー

--この曲には強い意志を感じます。<ありかなし僕が決める 望んだものは手に入れる 本来の自分を俯瞰してもでも信じる>など、メジャーデビューを経ての決意表明というか。

真田徹:そうですね。本当に関わる人が増えて、いろんな意見をいっぱいもらう。もちろん、いただく意見は全部ありがたいんですけど、バンドが大きくなっていくにつれ、どれを受け入れるか、どれを反映させるのかっていう判別が大事になっていくなって思って。そこで「自分たちがぶれないように」っていう感じです。

--<自分が自分じゃなくなるプレッシャー>っていうのは、「自分たちがぶれそうになる」っていうこと?

真田徹:これは予想ですね。もっとバンドが大きくなったとき、本当にすごい売れ方したときとかに、そういうプレッシャーがあるだろうなってことです。僕は自分を追い込むタイプなので、そういうことを考えて作りました。

--なるほど。黒田さんはどういう気持ちで歌を書くことが多いですか?

黒田秋子:いいことも、悪いことも、思ってることを全部曲にしたいって思ってます。超ハッピーな気持ちはまだ曲にしてないけど(笑)、今回の「YOU」とか「FINE」は、自分が元気になるようにって思って書いた曲ですね。去年くらいににめっちゃ自信がなくなったときがあって、このままじゃやべえな、と思って。今はもう悩んでないって言ったら嘘ですけど、でも悩んでたってしょうがないから。うじうじしてちゃいけないっていう気持ちでつくりました。

--自信がなくなったというのは、それはフロントマンとして?

黒田秋子:そうですね。フロントマンとして、もっとやらなきゃいけないことがいっぱいあるなって。いまRAMMELLSにこういうフロントマンがいたら強いのになっていうのはイメージできるんですけど、バンドの成長と私の成長が釣り合ってないというか。体が心に追いつかないんですよね。

--具体的にその「RAMMELLSに合うフロントマン」というのは?

黒田秋子:ちょっとこう、人間くさい、泥くさい、錆びついているような人。生きてきた人生のすべてが、声とか歌詞とかに反映されているというか、その音楽も生きていく過程というような。私には人生の経験が不足してるっていうのもあるんですけど、生きていて勝手に生まれる“鉛”みたいなものを、もっと出せる人になりたいです。

--いまはその“鉛”を隠してしまっている、と。

黒田秋子:うーん、隠してもいいんですけど、もっとほかに表現方法がある気がするんです。だからステージングにしても、どう動いたら自分が一番魅力的に見えるんだろうとかって考えるようになって。あとはラブソングを書きたいですね。あんまり作ったことないんですけど、ラブソングって究極な気がしてて。世の中がそれでいっぱいになればいいのにって思っちゃう。誰かを思って曲を書くってすごいなって。やってみたいです。

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  1. 「オシャレにくくられてスカすっていう気はないので」
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アーティスト&ジャケット写真

RAMMELLS『take the sensor』インタビュー RAMMELLS『take the sensor』インタビュー RAMMELLS『take the sensor』インタビュー


「オシャレにくくられてスカすっていう気はないので」

RAMMELLS『take the sensor』インタビュー

--メンバーのみなさんから見た黒田さんはどういう存在なんでしょう?

真田徹:俺より真面目。あと、俺が知ってる人の中でトップ3に入るくらい不器用だと思う。自分が体験したことしか出来ないんで。そこが強みでもあって弱みでもあるんじゃないですかね。まあ、いまのところは弱みなのかな(笑)。黒田が言ったように、その人間くささを武器として使う方法が見つかったら、そのときは強みになると思います。

村山努:人間性とか人間味とかを大事にして生きてるなって感じだよね。自分自身もそうだし、相手のそういう部分も尊重する。あと、すごく奔放なときもあって。舵の切り方が急だからね(笑)。そこと上手く付き合うことは必要になるのかもしれない。黒田が人間味を解放できるようなバンドで土台を作ったら、伸びしろがあるというか、もっと化けるような気がします。

彦坂玄:声はすごくいいからね。昔、アキさんがRAMMELLSじゃない企画とかに出てて、それをお客さんとして観たことがあったんですけど、そのときにこう、刺さるなっていう感じがしたんですよ。

--グルーヴィで艶っぽい女性ボーカル、それもバンドのフロントマンって、日本にはあまりいませんもんね。

黒田秋子:歳によって声の感じも変わってくるし、歌い方については研究するんです。体の仕組みを知ってないといけないけど、でも知りすぎてても精神的な負担になっちゃったりもして、すごくバランスが難しい楽器だなと思います。

--ちなみに前作のときのRAMMELLSのキャッチコピーは“新世代シティポップ”でしたけど、『take the sensor』の帯には“オルタナティヴ・ロックバンド”と書かれてます。

彦坂玄:その帯、激しいですよね(笑)。「心と身体を激しく揺さぶる」ってすごいハード。

村山努:ありがたいね。まあ、ジャンル的なロックていうか、精神的な面でそうありたいっていう意味合いが強いのかもしれないけど。

彦坂玄:このまえグリーンルーム・フェスティバルに行って、ザ・ウェイラーズのライブを観たんですよ。あの人たちはレゲエですけど、嘘をついてないというか、無理やり盛り上げたり、自分の思ってないことを言ったり、そういうことをしない。でもすごく感動する。ライフスタイルを音楽で表現する人たちの説得力ってすごいんですよね。自分たちもそれが出来るようにはなりたいなって思います。とりあえずオシャレにくくられてスカすっていう気はないので。ロックバンドとしてもっとガツガツいきたい。

真田徹:そもそも僕たちはオシャレ系でもロック系でも、どっちでもいけたと思うんですよ。でも、ロックバンドとして、でかいライブハウスとか、武道館だったりとか、そっちの方を目指していくっていうのを決めてるんです。


「音楽には「これで完成」とか「100点」っていうのがない」

--以前「武道館は通過点」とおっしゃってましたね。今回の「Sensor」には<終着点に達して思うこともきっあるだろう>とありますが、この「終着点」の具体的なイメージはあるんですか?

真田徹:それがないんですよ。でも、なくてよかったというか。ライブでも音源でも、音楽には「これで完成」とか「100点」っていうのがないから、やめられないんだなって思います。

--いつか海外には進出したい?

真田徹:そういう思いはあります。今作の「愛のパラリア」が初の日本語タイトルなんですけど、それまで全部英語のタイトルだったのは、いずれ海外に行ったときにその方がいいと思ったからで。海外表記だと「愛のパラリア」もローマ字なんですけど。

彦坂玄:まあ、いまの段階ではまず日本だっていう感じだね。

--ちなみにこの「パラリア」の意味は……?

黒田秋子:ぱって思い浮かんだ言葉なんです。造語ですね。だから自分も説明できなくて。これじゃ誰にも伝わんないと思いながらタイトルにしました(笑)。

--そうだったんですね。そもそも共感してほしいっていう気持ちはあまりない?

黒田秋子:私の歌詞はいつもそうなんですけど、当たり前のこと歌ってんなって思うんですよ。みんながとっくに知ってること。だから、聴く人それぞれの人生に寄り添える部分があったら嬉しいな、というくらいですかね。ただ、窮屈にならなければいいなっていう。みんながね。

彦坂玄:うん。自分に置き換えてくれればいいかな。今回の『take the sensor』にしても、“自分のセンサーを持て”っていうメッセージがあるわけだけど、どういう風に捉えるかはその人次第っていうか。

村山努:例えば、自分は「A」と思うけど、誰かは「B」と思うかもれしれない。自分は「A」が好きだけど、誰かは「B」が好きかもしれない。だったらそれを選びなよ、それが君の“センサー”なんだからそれを大切にしなさい、っていうことかな。

彦坂玄:RAMMELLSを選ばなくてもいい、とはなかなか思えないですけど(笑)。僕たちもやるからには僕たちを選んでほしいっていうのは絶対にあるし。もちろん、選択は本人次第なので、難しいところですけどね。

村山努:とりあえず、RAMMELLSに関してはライブも観てほしいよね。ライブってそのときの感情が出るものだし、グルーヴも強く出てくると思うから。

--8月には『take the sensor』の再現ライブがありますね。

彦坂玄:これも音源とは内容が違ってくると思うので、そういう違いを確かめに来てもらいたいです。それで、『take the sensor』以外の曲を聴きたい、またライブに行きたいって思ってくれたら嬉しいなと思います。

Interviewer:佐藤悠香

アーティスト写真

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RAMMELLS「take the sensor」

take the sensor

2018/07/11 RELEASE
CRCP-40556 ¥ 1,834(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Sensor
  2. 02.FINE
  3. 03.YOU
  4. 04.blah blah
  5. 05.Night out
  6. 06.愛のパラリア

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