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<インタビュー>GOOD BYE APRIL「心が躍る瞬間を大事に聴いてもらえたら嬉しい」名盤と呼ばれること必至の最新アルバム『HOW UNIQUE!』について語る



<インタビュー>GOOD BYE APRIL「心が躍る瞬間を大事に聴いてもらえたら嬉しい」名盤と呼ばれること必至の最新アルバム『HOW UNIQUE!』について語る

 佐橋佳幸と共に完成させたナイアガラサウンド感溢れる「リ・メイク」や大滝詠一「Velvet Motel」カバー、林哲司と作り上げたギャラクシーなルーツミュージック「SYMPATHY」などで昨年も注目を集めてきたGOOD BYE APRIL。それらの楽曲も収録したニューアルバム『HOW UNIQUE!』が「名盤」と呼ばれるようになること必至、まさに垂涎モノの最高傑作に仕上がっていたことから、今回のインタビューでは全収録曲の制作秘話から解説までメンバー4人に語ってもらった。

 常田真太郎(スキマスイッチ)に「ハーフムーンが見えたらさよならを」をプロデュースしてもらった経緯など、貴重なエピソードも満載の14000字にわたるテキストとなっているので、本作『HOW UNIQUE!』を聴きながらじっくりご覧いただきたい。

<インタビュー>GOOD BYE APRIL「心が躍る瞬間を大事に聴いてもらえたら嬉しい」名盤と呼ばれること必至の最新アルバム『HOW UNIQUE!』について語る

▲左から:つのけん/倉品翔/延本文音/吉田卓史

Interviewer:平賀哲雄|Photo:白井絢香

「こんなアルバムをつくれたんだ!」という新鮮な手応え

--前回『SYMPATHY』リリースタイミングでのメンバー4人のうれしはずかし仲良しインタビューから2か月……

▼<インタビュー>GOOD BYE APRIL「今だからこそ“共感”というテーマ」メンバー4人それぞれ成長を遂げ絆も深めた2025年、林哲司プロデュースの新作『SYMPATHY』を語る
https://www.billboard-japan.com/special/detail/5062

一同:(笑)

延本文音(b):めっちゃ好評でした!

--特に仲良しぶりが露わになった吉田さんとつのけんさんは、その後いかがでしょうか?

吉田卓史(g):1月11日に長野でライブやったんですけど、1日で4人に「兄弟ですか?」って聞かれました。

--そんなに(笑)?

吉田卓史:昔からよく言われるんですけど、1日に4回はさすがに最高記録でした。まぁ、今年も良い感じにスタートしてますね。

つのけん(dr):ハハハハ!

--そんなGOOD BYE APRILの最新アルバム『HOW UNIQUE!』を聴かせていただいたんですけど、早くも2026年最高のアルバムに出逢えたと感じていまして。

延本文音:マジっすか!

倉品翔(vo,g,key):うれしい!

アルバム『HOW UNIQUE!』

▲アルバム『HOW UNIQUE!』

--人間って美味しそうなご飯を目の前にしてヨダレが出てしまうときってあると思うんですけど、今回のアルバムのとある曲のイントロを聴いただけで、初めて音楽に対して気付いたらヨダレを垂らしていました。

一同:(爆笑)

つのけん:そんなことあるんスか(笑)?

延本文音:涙が流れることはあっても……

吉田卓史:唾液が流れるパターンは聞いたことない(笑)。

--自分でもビックリしたんですけど(笑)、それぐらい格好良かった。そんなまさに垂涎モノのアルバム『HOW UNIQUE!』。そもそもどんな作品を目指して制作していったんでしょう?

倉品翔:僕的には、前回のアルバム『HEARTDUST』からスパンが短すぎて、ゆっくり構想を練ったというよりは、勢いで制作に突入しちゃったんです。ただ、今作で明確に大事にしていたのは、アルバムって地味な曲もあれば、派手な曲もあって、トータルで輝くようにするものだと思うんですけど、それはもちろん大事にしながらも、1曲1曲の強度を上げること。1曲1曲が切り離されて街中で流れたとしても、1曲1曲がちゃんと輝ける。それにチャレンジしたアルバムなんですよ。そのうえで上手いことトータルのバランスも取れた。なので、走り出しながらソレを一生懸命追いかけたアルバムだったので、出来上がったときは「まとまってよかったな!」って。

アルバム『HOW UNIQUE!』

▲倉品翔

--前回のインタビューで、2025年は「成長痛を感じる、次のステップへ進まなきゃいけない1年だった。自分でページを捲らなきゃいけない年だった」と仰っていましたが、それは『HOW UNIQUE!』を制作していく中で意識したものでもあったんですかね?

倉品翔:そうですね。前作『HEARTDUST』はそれまで積み上げてきたものでいろいろ上手くいったアルバムだったんですけど、今回は自分たちの手持ちの札にないものもたくさん引っ張ってこないと、今までやれてこなかったこともできないと、1曲1曲の強度を上げることもそうだし、それを最終的に1枚のアルバムにまとめ上げて完成させることは難しいと思っていて。なので、結構チャレンジングな制作でした。

--そのアルバム『HOW UNIQUE!』から先行して、1月14日にMVと合わせて「悪役」が配信されました。その前夜に延本さんが「リリースはいつも怖い」とSNSに投稿されていましたが、どんな心境だったんでしょう?

延本文音:年々リリースが怖くなっていて。やっぱり自分たちだけで「最高だ」と思ったものがリリースされると評価されるわけじゃないですか。それで、特に1曲単発でリリースするときは勝手にプレッシャーを感じていて。今回の「悪役」はメッセージも強いし、当たり障りのない感じではないからなおさら怖くて。そんな感じで、早く聴いてはもらいたいんだけど……というジレンマを毎回抱えています。

アルバム『HOW UNIQUE!』

▲延本文音

--その怖さはどうなったら拭えるんでしょう? 怯えた分だけ、しあわせな気持ちになれたりもするんですか?

延本文音:あんまりしあわせになれはしないですね(笑)。

一同:(笑)

延本文音:子離れしなきゃいけないときの親ですね。なんか心配なんです。「嫌われちゃったりしないかな?」とか「大丈夫かな、この子。ひとりで行けるのかしら?」みたいな。なので例えば、ずっと「上手くやってるかな?」って心配している(笑)。

--吉田さんは、今回のアルバム制作にはどんなことを感じました?

吉田卓史:林哲司さんや佐橋佳幸さん、スキマスイッチの常田真太郎さんと、いろんな方々にプロデュースやアレンジをしていただいて、緊張する場面がすごく多かったですね。僕らも細部まで拘って制作はしているんですけど、それ以上に細部まで拘って楽曲づくりをしているんだなと勉強になりました。それが凄すぎて「俺、音楽業界におっていいんかな?」と思うぐらい……高次元すぎてちょっと怖かったです(笑)。

アルバム『HOW UNIQUE!』

▲吉田卓史

倉品翔:「上には上が」って感じだったよね。

吉田卓史:どの業界でもそういう人はいると思うんですけど、怖いぐらいだった。そのおかげで勉強にはなったんですけど、引き締まる思いでしたね。曲によってメンバーだけで完結したものもあったんですけど、それは逆に気楽に感じました(笑)。

--ゆえにこれだけのアルバムが完成したと。

吉田卓史:そうですね。ただ巧くやればいいわけじゃないということも学びましたし。常田さんとのやり取りが面白かったんですけど、自分がギターソロを弾いたら「巧くなりすぎてるな」みたいな。フレッシュさが欲しかったんだと思うんですけど、場面場面によって求められる空気感が変わってくる。それが音楽なんやなということも改めて実感しました。

--つのけんさんはいかがでした?

つのけん:今回は新しい曲が多めだったんですけど、いろんな遊び心を敷き詰められたんじゃないかなと思いますね。メンバーそれぞれのプレイスキルももちろん上がっていますし、「今のフィーリング、めっちゃよかったね」みたいなところも聴いてて感じてもらえるんじゃないかなと思います。僕も1曲1曲違う感情を突き詰めたうえでどう音に乗せるか意識しましたし、例えば「息切れの恋」は、偉大なドラマーさんたちが叩いた往年のシティポップに対して「自分がもしその時代に行ったらどう叩けるだろう?」というところまでわざとハードルを高くして、そこにどう近づけるか意識したりもして。そういうことを繰り返しながら1曲1曲取り組んでいました。

アルバム『HOW UNIQUE!』

▲つのけん

--そんなそれぞれの経験や取り組みによって完成した『HOW UNIQUE!』の仕上がりには、どんな感想を持たれましたか?

倉品翔:すごく新鮮に捉えていますね。それは、今回のアルバムで自分たちが今まで開けていなかった扉をたくさん開けられたからだと思います。その結果、聴き返したときに自分でも「こんなアルバムをつくれたんだ!」という新鮮な手応えがありました。

--たしかに「これはGOOD BYE APRILらしい」という印象に加えて「こんな切り口や音楽性も持っていたんだ?こんなアウトプットの仕方をするんだ?」」という気持ち良い驚きが今回のアルバムにはたくさんありました。

倉品翔:そう感じてもらえていたら嬉しいです。

--そんな『HOW UNIQUE!』に収録された新曲たちについて話を伺っていきたいのですが──(既発曲に関しては、過去のインタビュー記事をご覧ください)

▼GOOD BYE APRIL「SYMPATHY」インタビュー
https://www.billboard-japan.com/special/detail/5062

▼GOOD BYE APRIL「リ・メイク」「Velvet Motel」インタビュー
https://www.billboard-japan.com/special/detail/4887

--まず先ほども少し触れた「悪役」。イントロからアース・ウィンド・アンド・ファイアー的なディスコソウル感もあるし、曲が進んでいくとSING LIKE TALKING的みたいなAOR的ポップス感もあるし、フックの強い楽曲だなと感じました。


▲GOOD BYE APRIL / 悪役 (Villain)(Official Music Video)

倉品翔:まさに80'sのディスコソウルをこのバンドでやりたいと思っていて、この曲自体は2年ぐらい前からあったんですけど、そのときは近いテイストのものをつくっていた中で別の曲を選んで、この曲は来るべきときの為に取っておいたんです。そもそもディスコソウルみたいな音楽をやりたくなったのは、そのエッセンスって日本のポップスにももちろん踏襲されてあの時代の音楽ができていますけど、その向こう側もちゃんと自分たちがバンドとして表現できたらいいなと思ったからなんです。ジャパニーズシティポップのサウンドやフィーリングみたいなものは、これまでの作品でも僕らなりにトライはしてきたんですけど、その一歩向こう側を追求したうえでバンドのグルーヴとコーラスワークという今まで大事にしてきたものも全部活かせるのは、アースみたいな音楽なんだろうなと。それを僕らがやったらどうなるんだろうと思ってつくったのが「悪役」なんです。

--なるほど。

倉品翔:自分的にいちばん大事にしていたのは、そういうビートの中にすごく日本的なメロディ。ちょっと歌謡っぽいメロディをどう忍ばせられるか考えながらつくって、自分にとってはその中でのベストが叩き出せたのかなと思っています。もう同じような曲はつくらなくていいやと思うぐらい、この曲でそれはやり切りましたね。自分が生まれ育ってきた日常の中で聴こえてくる、すごく日本らしいメロディとあの時代のディスコソウルのグルーヴ感。その両方を形にすることができたというのは、自分の中でやってやった感があります(笑)。

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スキマスイッチみたいなフィールがあるなと思っていた

--その達成感みたいなものは聴いていても感じますね。ただ、驚くことに今回のアルバムはそういう曲がたくさんあるんですよ。


▲GOOD BYE APRIL / リ・メイク (Remake) (Official Music Video)

延本文音:実は最初はミニアルバムの予定だったんですけど、いつの間にかフルアルバムになっていて(笑)。その時点で「リ・メイク」だけは録っていたんですよ。別の企画で制作していた「Velvet Motel」(大滝詠一カバー)はまだ入るかどうか分からなかったので、1曲しかなかったんです。そこから「SYMPATHY」「悪役」を録っていって……記憶が曖昧になるぐらいバァーって制作していったんですけど、その混乱の中でよくこんなアルバムが完成したなと自分でも思います(笑)。

つのけん:自分のカメラフォルダにドラム演奏を撮ってた動画があって、それを観ると延ちゃんが「まだ分からへんねんなぁ」と言ってる声も入っていて(笑)。今の話を物語るワンシーン。そんな感じで今回のアルバムは音合わせしながら全貌が見えてきたり、録りながらブラッシュアップして仕上げていく流れだったんですよね。

倉品翔:本当に走りながらつくっている状態。でも、だからこそ、1曲1曲にノリもあるというか。そのときの自分たちのノリで振り切れているものが結構ある。曲のコンセプトややりたいことはすごく明確だったので、その状況を面白がりながら突っ走れる勢いみたいなものがあった。スケジュール的にそうせざるを得なかったし(笑)。

延本文音:余裕があると煮詰めすぎちゃうところってあるじゃないですか。例えば「悪役」もベースで言ったら全然アースとか参考にしていなくって、でも、たぶん時間があったらしっかりアースとか聴いて勉強しちゃったと思うんですよ。ただ、今回はスケジュール感的に時間がなかったから、今の自分が持っているアース的なグルーヴ20%とその場で感じたフィーリング80%で演奏したからこそ、良い意味で外している部分がいっぱいある。あの時代感でガチガチにするんじゃなくて、自分のユニークさというか「私がコレをやるんだったらこうだろう!」みたいな部分が出せている。それは「SYMPATHY」にも言えることで、あの曲を聴いたときに「宇宙っぽいから!」という理由でハイポジションのポーンって音とかをいっぱい入れたりとか、そういう閃きをどんどんどんどん入れて面白くしていく。アルバム全体を通してそういうことができたから、良い意味で「悪役」もあんまり勉強しなくてよかったなって(笑)。

アルバム『HOW UNIQUE!』

▲左から:つのけん/吉田卓史/延本文音/倉品翔

--ということは、反射神経的な部分が出てくるから、より自分らしい音が表現できているわけですよね。よそ行き用の格好をしているヒマがないというか(笑)。

延本文音:そうですね。ファンクとしてつくるんじゃなくて、ファンクバンドになるんじゃなくて、この「悪役」の為に今自分のファンクをつくるんだ!っていうイメージ。本当に曲に合わせてフレーズとかも考えていったので、今回のアルバムは本当に自分らしいヘンなことがいっぱい起きている(笑)。マジメに考えたら絶対に出ないフレーズとかもいっぱい入っているなと思います。

--「息切れの恋」はどうだったんでしょう?

倉品翔:これもかなりセッション感はあって。もちろんどの曲もデモで土台を練る時間は設けてはいるんですよ。でも、今までだったらスタジオで何回か合わせて、ノリとか細かいところをそれぞれにある程度煮詰めたうえで「いつ録っても同じプレイになりますよ」みたいな状態でレコーディングする流れなんですけど、今回はスケジュール的な事情があって「息切れの恋」も録る直前に合わせて、そこで各々が感じたことを「次のテイクでこれやってみよう」みたいな。そういうリアルタイム感があったんですよね。だから、フレッシュな状態のままパッケージした感じがある。

--なるほど。

倉品翔:あと、これも曲自体は1年ぐらい前にあって、元々はレゲエの曲としてつくっていたんです。でも、良いメロディだったから、80年代のジャパニーズシティポップにあった、ゆったりとしたグルーヴの中に美しいメロディがある、純粋に良い曲をやりたくなって。そのフィーリングはGOOD BYE APRIL流にすごく出せて、本当に良い曲ができたなと思っています。

延本文音:「息切れの恋」は本当に息切れしているときにレコーディングしたんだよね。

一同:(笑)

アルバム『HOW UNIQUE!』

▲左から:延本文音/倉品翔

延本文音:昨年の8月末に【LIVE Light Mellow】というイベントで土岐麻子さんと佐藤竹善さんのバックバンドをやりながらの共演があって、その次の日から東名阪ツアーが始まって、それと平行してレコーディングをずっとやっていたんです。なので、ある意味、全員の演奏的なグルーヴはめちゃめちゃノッていて、生で合わせるのはほぼ初めての状態で「息切れの恋」もレコーディングしたんですけど、マジックが起きるんですよね。歌詞もサビの頭のメロディが息切れしているように感じたので、そこから広げていったりして。じっくり「この曲って何を求めているんだろう」って考えるよりは、メロディから生まれたひとつの閃きをギューっと広げていく……本当にユニークな作り方をしました(笑)。

--いろんな意味で本当に息切れしていたときに生まれたんですね。今の話を聞いて、スガ シカオさんがSMAPの「夜空ノムコウ」を作詞したとき、〆切が明日に迫っていて「夜空のむこうには 明日がもう待っている」というフレーズが生まれたエピソードを思い出しました。

一同:(笑)

延本文音:そういうのってありますよね(笑)。追い込まれて書いたものが名フレーズになったりする。

--続いて、スキマスイッチの常田真太郎さんがプロデュースした「ハーフムーンが見えたらさよならを」。今後、GOOD BYE APRILの代表曲になりそうな予感がする素晴らしいバラードですが、この曲はどのような流れで生まれたものなんでしょう?


▲GOOD BYE APRIL / ハーフムーンが見えたらさよならを (Goodbye Under the Half Moon) (Official Music Video)

倉品翔:これはメジャーデビューするタイミングでもうデモがあったんですけど、バラードだったから今じゃなくじっくり寝かせてから出そうと。バラードって自分たちの歴史的にすごく大事にやってきたジャンルで、これまでの作品にも自分たちのバラードを毎回入れてきていたんですよ。で、メジャー2作目のアルバムタイミングで改めて本質的な意味でどれだけ普遍的な良い曲をつくれるか、ちゃんと挑戦したいなと思って。それで、この曲はメロディをつくっていた時点でスキマスイッチみたいなフィールがあるなと思っていたんですよ。先を走っているJ-POPの先人であるスキマスイッチのエッセンスを感じていたので、そういうアレンジを自分でも1回試してみて。そのときにすごく大きい曲になりそうな予感がして……だったらいっそご本人とのタッグもすごく面白いんじゃないかなっていう。

--ワクワクする発想ですね!

延本文音:つのけんがスキマスイッチを好きで、実はメジャーデビュー前から付き合いがあったんだよね?

つのけん:個人的にはずっと付き合いがあって。同じ専門学校出身で、ドラマーの先輩に紹介していただいて、アルバム『Xanadu』(2020年リリースのフルアルバム)ぐらいのときから音源をちょくちょく聴いてもらったりしながら、交流を持たせていただいていたんです。それで今回も「リ・メイク」が出来た段階で常田さんに「これ、佐橋さんと一緒につくったんです」って送ったら、「そろそろ1曲やらせて(笑)」みたいな感じで返信があって。

一同:(笑)

つのけん:それで正式にお願いしたんですけど、そのときに「ハーフムーンが見えたらさよならを」の原型をみんなで聴く機会があって「これは絶対に合うぞ」と。

倉品翔:本当に同時進行でそれが起きたんですよ。

つのけん:偶然それが重なってプロデュースしてもらうことになったんですけど、僕にとっては夢がひとつ叶ったというか、オタクとしてはめっちゃ嬉しいですね!

--吉田さんは、この曲の仕上がりにどんな感想を持たれました?

吉田卓史:大人のバラードやなぁって。自分がこの曲でギターを弾いているのがまだめちゃくちゃ馴染んでいるわけじゃないというか、ストリングスとかすごく豪華だから、その中で自分のギターが鳴っていることに現実味がない。まだ全然巧く弾けないですし(笑)。

倉品翔:そんなことないやろ。じゃあ、どうレコーディングしたんだよ(笑)。

延本文音:たしかに豪華すぎて、私たちじゃないアーティストのめっちゃ好きな新曲ぐらいの気持ちでまだ聴いているんですよ。「すごく良い曲だね。間奏とかもめっちゃ格好良くない?」みたいな。でも、私たちが弾いてんねんな(笑)。

吉田卓史:そう、その感じ!

アルバム『HOW UNIQUE!』

▲左から:吉田卓史/延本文音

倉品翔:分かりますよ。僕が最初に話した新鮮さにも繋がるんですけど、誰かとタッグを組むってそういうことじゃないですか。自分たちの中から出てくる以上のものが返ってきて形になるから、100%自分たちから出たもので構成されているわけじゃないし、だからこそ客観的に見ちゃうというか。そういう新鮮さがこの曲は特にある。

延本文音:あと、技術的にもすごく難しかったんで。ベースで言ったら「5弦ベースを弾いてほしい」と言われて初めての5弦ベースにチャレンジしているし、自分たちだけでは絶対に思いつかないようなレベルのベースラインとかベースプレイとか、そういうニュアンスも含めてすごく鍛えてもらったというか。常田さんって完成してレコーディング終わってからもその曲についてずっと考えているらしくて、林さんや佐橋さんとやったときも思いましたけど、第一線にずっといる人って本当にこういう感じなんだなっていうのをまた別のベクトルで常田さんからも感じて。今回のアルバムの中でこの曲がいちばん最後のレコーディングだったんですけど、いちばん息切れマックスでしたね(笑)。ずっと「自分にできるんかな。でも、逃げられへん!」と感じていたし、ゆえに本当に走りきったって感じがする。だからこそまだ「これ、自分が弾いたん? めっちゃ格好良くない?」って思う。

吉田卓史:ここ数年でいちばんそれは感じましたね。「弾けるかな?」みたいな。

倉品翔:間奏のアレンジとかすごいんですよ。あれは常田さんが考えてくれたセクションなんですけど、自分たちの手癖だけでは絶対に出てこないものになっている。15年やってると手癖を壊すのってだんだん難しくなってくると思うので、そういう意味ではすごく有難い機会をいただきました。

延本文音:こんなん思いつくようになりたいなと思いましたし、こうやって常田さんはスキマスイッチの曲も今もライブアレンジで壊し続けて新しく再構築しているんだなと実感しましたし、あたりまえですけど、私たちにはまだまだ上がめっちゃあるというか、天井がビョーン!と伸びたような感覚になりました。だからこそ、私たちはまだまだやれること、やらなきゃいけないことがいっぱいあるし、もっと上を目指せるんだとも思わせてもらいましたね。

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自分が死ぬときに聴きたくなる音楽だとも思うんです

--続いて「Tokyo Weekend Magic」。先ほどお伝えしたヨダレが出てしまった楽曲なんですが……(笑)。

倉品翔:予想通りでした!

--口笛から始まってのベース、ギター、ドラム。そして、ボーカル、曲全体の温度感に至るまでのすべてが格好良すぎて本当に垂涎してしまいました。


▲GOOD BYE APRIL / SYMPATHY (Official Music Video)

倉品翔:嬉しいです。これは林哲司さんが作曲してくれたんですけど、そもそも今回のアルバムは林さんと共同プロデュースさせてもらっているんで、一緒に「SYMPATHY」とかもつくりながら本当にたくさんのやり取りをしていく中で、林さんがぽっと「アルバムだったら、今までにないこういう曲もあったら面白いんじゃない?」って弾き語りのデモを送ってくださったんです。それを聴いたときに「格好良い曲だなぁ」と思いながら、その時点でアレンジも全部見えてすぐに出来て。で、たしかに今までのGOOD BYE APRILにこの感じの曲ってなかったんですけど、これまで積み重ねてきたものが繋がってこういうアレンジも自然に出来たんですよね。あと、そもそも林さんの中でも角度としてはフレッシュじゃないですか。そういう曲を僕らにくれて、林さんの懐の深さも物凄く感じましたし。

延本文音:林さんも遊んでくれている感じがしていいよね。

倉品翔:アレンジするうえでも遊びというか「この曲は力を入れないでやったらいいんじゃない?」と言ってくださって。

--きっとGOOD BYE APRILとだったらこの曲で遊べると思ったんでしょうね。

延本文音:おもろそうと思ってくれたんだと思います。

倉品翔:だから、すごく楽しくアレンジしました!

延本文音:あの口笛はつのけんが吹いているんですよ。

倉品翔:林さんが参考として口笛でリフを入れてくれていたんですよ。実際にはシンセで鳴らすイメージだったと思うんですけど、それを聴いて僕が「口笛いいな。口笛でやっちゃおう!」と思って、つのけんがめちゃめちゃ口笛巧かったんで、レコーディングではつのけんに吹いてもらって。それがハマりましたね。林さん、ビックリしてましたよ。「本当に口笛のままやっちゃったの? 面白いね」って(笑)。

延本文音:イントロのスラップも「遊んじゃおう! 派手にいっちゃおう!」みたいな感じで弾かせてもらって。この曲は本当に何にも迷わなかったですね。間奏も4人でつくったんですけど、ライブで映える曲にしたかったので、みんなで「ヘンなことしたいね」ってああいうユニゾンとかやってみたり。これからもっともっとライブでソロまわししたり、壊していっていい曲だと思うので、どんどんどんどん形が変わっていくと思います。

倉品翔:間奏はみんなからいろんなアイデアが出すぎて、まとめるのに苦労しました。「あれもしたい、これもしたい」みたいな感じだったので、どこに着地しようかなっていう(笑)。

吉田卓史:AORの曲の間奏とかってフュージョン的なものが多いじゃないですか。ああいうのを入れようと思って。たぶんリファレンスは何曲かあるんじゃない?

倉品翔:だいぶあります。あのセクションだけでも何曲ものいろんなリファレンスがある(笑)。それを面白がりながら仕上げていきました。

吉田卓史:そんな感じで僕もだいぶ遊ばせてもらいました。カッティング以外は好きに弾かせてもらって、めちゃくちゃにしました!

一同:(笑)

アルバム『HOW UNIQUE!』

▲左から:つのけん/吉田卓史/延本文音

倉品翔:これまで力を抜いて曲を完成させるのが、実は僕らはあんまり得意じゃなかったんですよ。「良くしたい」と思いすぎて力が入りすぎちゃう傾向があったんですけど、この曲では力を抜いて完成させることが上手にできたんです。それは僕らにとって大事な一歩になったと思いますね。

--続いて「whiteout」。ミドルな感じでずっと進行するのかなと思わせながら、走り出すような展開でうるっとさせる。80年代のボズ・スキャッグスなど起用していたアニメ『めぞん一刻』のエンディング的な世界観とも通ずる……

吉田卓史:うん、うん。

延本文音:洋楽の切ない曲も使われていましたよね!

倉品翔:あの時代のAORね。

--あの時代が蘇ってくるような切ないポップさを感じました。

倉品翔:これは2021年ぐらいにつくっていた曲で。僕が本当に趣味でつくったみたいな曲のストックがあるんですけど、これも何も考えずに「こういうのをつくりたい」と思っただけでポロっとできた曲だったんですよ。で、これもメロディはすごく歌謡的なんですけど、トラックはソリッドなものにしたいなと。簡単に言うと、ダンスビートに切ないメロディが乗っかる曲。で、今回のアルバムを制作する中でいろいろ並べていったときに、こういう曲が入っていたらトータルのバランスとしても格好良いだろうなと思って。そこからリズムをつのけんに組んでもらったんです。元々はもうちょっとプレーンなビートだったんですけど、バキバキな感じのトラックをつくってもらって。その上に僕が歌うから意味のある哀愁系のメロディを乗せてハイブリットさせた曲ですね。すごく気に入ってます。

アルバム『HOW UNIQUE!』

▲左から:つのけん/吉田卓史

つのけん:最初にボーカルありとボーカルなしの音源を送ってもらったんですけど、まずボーカルなしの状態で完成されたトラックをつくっちゃおうと。そのうえで倉品が自由に歌うほうが面白いんじゃないかと思って。で、この曲は僕の中でも自分がビートを出す人間として「ひとつレベルが上がったな」と思えるきっかけになったんですよ。これ、元々ドラムをたぶんみっつぐらい入れていて、さらに自分でも電子ドラムを叩いて入れていたりとか、随所にいろんなエフェクトを仕込んだりしていて、自分で「こういう状態でもこんな聴こえ方になるんだ?」とか体感しながらつくっていったんで、めちゃめちゃ面白いものが出来たなと感じています。その上に卓史のギターを乗っけて、トラックとして完成させて、そこに倉品のボーカルが乗ったときに「すごい景色が見えた!」と思って。僕もこの曲はめちゃめちゃ気に入っています。

--続いて「ユニーク」。アルバムタイトル『HOW UNIQUE!』にも通ずる楽曲だと思うのですが、今回「ユニーク」をテーマに制作しようと思った経緯を聞かせてください。

倉品翔:まず「ユニーク」という曲自体は、去年1月に沖縄の【Music Lane Festival Okinawa 2025 / Trans Asia Music Meeting 2025】というイベントに出させてもらって、タイのバンドとか台湾のバンドとか海外のアーティストのライブをたくさん観たんですよ。そこから自分たち的に新たにやりたいアイデアが浮かんだもののひとつが「ユニーク」なんですけど、この曲は今までGOOD BYE APRILがやってきたジャパニーズシティポップの文脈とは違う発想で、もうちょっとフォーキーな感じというか、そういうところから着想したんですけど、この曲もとにかく力を抜いてつくりたかったんですよね。例えば、僕がギター1本だけで弾き語りしたとしても曲のフォルムが変わらないような。それをちゃんと4人でアンサンブルすることでバンドの曲になる、すごくシンプルでパーソナルな曲にしたくてつくったんです。

--なるほど。

倉品翔:タイトルに関しては、そもそも「ユニーク」という言葉が好きで。個性的という意味があるんですけど、今、どうしてもSNSが僕らの日常を囲っちゃっているから、自分らしくいる為に胆力が必要じゃないですか。あらゆる生き方の手引きみたいなものも目に入ってきて、そこに成長できるヒントもあると思うんですけど、自分にしかないデコボコしたものとか、ヘンテコなところとか、そういうものを忘れがちというか。あと、AIができる仕事って今のところ誰でもいい匿名性のあるものだと思うんですけど、そういう世の中で自分の付加価値を高めようと思ったら、自分のヘンテコなところこそが自分にしかないいちばん大事なものになってくると思うんですよ。だからこそ、ユニークでいることをすごく肯定したかったんですよね。15年目までずっとこの4人でやってきて、こんなにユニークなバンドもいないと思ったし、このアルバムも本当にユニークな曲たちが並んでいるし、それをつくった自分たちの歴史もユニークだし。

--たしかに、あらゆる面でユニークですよね。

倉品翔:あとは、このアルバムを聴いてくれる皆さんにも「売れてるから、この音楽好き」とかじゃなくて「自分のアンテナに引っかかったからこれを聴くんだ。これを聴いてる自分が好きなんだ」と思ってもらいたいし、そう思いながら、自分の好きなものをずっと選びながら歳を重ねていってほしい。自分もそうありたいし。という想いがあったので、このアルバムのタイトルはそれを大にして言える形にしたいと思って。「ユニーク」だけでもよかったんですけど、「なんてユニークなんだ!」とより声を大きくするイメージで『HOW UNIQUE!』にしました。

アルバム『HOW UNIQUE!』

▲左から:つのけん/倉品翔/延本文音/吉田卓史

--そして、その『HOW UNIQUE!』の最後を飾る「BIOGRAPHY」。ライブで披露しても泣いちゃう人が続出しそうですし、シンガロングも巻き起こるでしょうし、こんなに完璧な締め括りの曲はないなと感じました。

延本文音:これはずっと前からライブでは披露していて、めちゃくちゃ大事な曲ですごく好きだったんですけど、時代の流行りとかに埋もれさせたくなくて、ずっとリリースせずにいたんですよ。よりお茶の間の人に届きやすい土壌ができてから出したかったんです。で、メジャーデビューしてからずっとタイミングを探っていたんですけど、今作がミニアルバムからフルアルバムになった瞬間に「この曲を入れよう」と思って。今しかないなと。で、もちろんアレンジとかみんな上手くなっているんですけど、メロディも構成も歌詞も一切変わっていないんで、今の自分たちには絶対に出せないピュアネスがこの曲にはあって。20代の私たちのピュアネスがすごく詰まっているので、このアルバムを締め括るに相応しい曲だなと思って、最後に入れさせてもらいました。やっとリリースできてすごく嬉しいですね。「おめでとう!」と言いたい(笑)。

倉品翔:このバンドは「普遍的な音楽をやりたい」と初期からずっと思っていて、この曲もそれを思いながら当時つくった曲だったので、自分が歳を取っても、おじいちゃんになっても歌える曲でもあるし、自分が死ぬときに聴きたくなる音楽だとも思うんです。自分たちがずっと大事にしてきたすごく本質的な部分。それをいろんな旅を経て、いろんなサウンドを自分たちのカラーとして持てた今、15周年のタイミングでリリースするアルバムの最後に収録できたのは、すごく自分たちらしいなと思うし、本当によかったなと思いますね。

--その「BIOGRAPHY」含め、今作『HOW UNIQUE!』は本当にたくさんの人に愛されてほしいアルバムだなと、今回のインタビューを経て改めて強く思いました。では、最後に、このアルバムを聴いてほしい皆さんへのメッセージを……つのけんさんからお願いします!

つのけん:純粋に「どんな音が聴こえてくるんだろう」とか「次はどういう展開なんだろう」とか1曲1曲単位でワクワクできる瞬間がいっぱい詰まっていると思うんですよ。その心が躍る瞬間を大事に聴いてもらえたら嬉しいですね。本当に楽しいアルバムになったと思っているので、たくさん楽しんでもらいたいです!

Interviewer:平賀哲雄|Photo:白井絢香

GOOD BYE APRIL 「HOW UNIQUE!」 Official Trailer

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