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EPO×佐橋佳幸×清水信之【おとな文化祭】開催~3人の出会いとそれぞれの歩み~

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 2018年1月に、【“My Generation, Your Generation”おとな文化祭】と題されたユニークな企画ライヴが行われた。出演者は、EPO、佐橋佳幸、清水信之という3人。それぞれ独自にキャリアを積み重ねてきたミュージシャンたちだが、実は3人とも1977年に東京都立松原高校に在籍し、そこで知り合ったというつながりがある。そして、運命的に出会った彼らが、40年経った今もなお第一線で活躍していることが奇跡だといえる。この【“My Generation, Your Generation”おとな文化祭】は好評に付き、7月にも再演されることになった。アンコール・ライヴを前に、ここでは3人の経歴とともに、その音楽の関わりを探ってみたい。

 最年長は、1977年に高校3年生だった清水信之。キーボーディスト、アレンジャー、サウンド・プロデューサーとして数々のヒットと名作を生んできた。最初のプロとしての仕事は17歳のときに紀伊国屋バンドに参加したことから始まる。1976年にアルバム『Street Sensation』を発表するが程なく解散。竹内まりやなどのサポートをしているうちに、EPOのデビューが決まりアレンジャーとして参加することになった。そして、EPOの数々のヒットにも関わることになる。また、ソロ・アーティストとしても『コーナートップ』(1980年)、『ANYTHING GOES』(1982年)を発表し、サウンド・クリエイターとしての才能をいかんなく発揮した。

 EPOの楽曲と並ぶ清水の出世作といえば、大江千里の「十人十色」が挙げられるだろう。この曲をきっかけに大江はブレイクし、彼のアルバム『未成年』(1985年)、『乳房』(1985年)、『redmonkey yellowfish』(1989年)、『APOLLO』(1990年)といった代表作ではほぼ全編のアレンジを清水が手がけている。大江千里というシンガー・ソングライターを確立した立役者といってもいいだろう。

 清水のその他のアレンジの代表作というと、河合奈保子「けんかをやめて」(1982年)、飯島真理「愛・おぼえていますか」(1984年)、池田聡「モノクローム・ヴィーナス」(1986年)、平松愛理「部屋とYシャツと私」(1992年)、稲垣潤一「クリスマスキャロルの頃には」(1992年)、NOKKO「人魚」(1994年)、SMAP「セロリ」(1997年)などがあり、いかにヒットに寄与するアレンジャーであるかがよくわかる。近年ではゴスペラーズや中島愛、渡辺麻友、Beverlyなどにも関わっており、キーボードとシンセサイザーを駆使したきらびやかなアレンジに定評がある。2015年にはアレンジャー歴35周年を記念し、それまでの主な仕事を集めたコンピレーション・アルバム『LIFE IS A SONG』もリリースされた。



▲ 「クリスマスキャロルの頃には / 稲垣潤一」


 1977年に高校2年生だったEPOは、東京女子体育大学に進学し、スタジオ・セッションなどにヴォーカリストとして呼ばれるようになった。竹内まりやのヒット・シングル「SEPTEMBER」(1979年)のコーラス・アレンジはこの当時の主な仕事だ。すでにこのときにはレーベルと契約しており、翌1980年にシュガー・ベイブのカヴァー曲「DOWN TOWN」で華々しくデビューした。この曲をアレンジしたのは清水信之であり、彼とのコラボレーションはその後も続く。特にCMタイアップで大ヒットした「う、ふ、ふ、ふ、」(1983年)、2人の代表作といってもいいだろう。

CD
▲『DOWN TOWN』

 EPOはその後も、「音楽のような風」(1985年)、「12月のエイプリル・フール」(1985年)といった名曲を続々と発表し、当時のシティ・ポップを代表するヴォーカリストとなった。シングルだけでなく、アルバムの完成度も高く、同時代の大貫妙子や竹内まりやと並び称される存在にまでなった。加えて、ソングライターとしての才能も開花し、高見知佳の「くちびるヌード」(1984年)や香坂みゆき「ニュアンスしましょ」(1984年)近年では資生堂のCMに起用された土岐麻子の「GIFT~あなたはマドンナ」(2011年)などの提供曲も大ヒットを記録している。

 しかし、90年代以降はブラック・ミュージックやブラジル音楽などに影響を受けた音楽性を全面に押し出しながら、作家性の強いハイクオリティのポップ作品を作り続けている。また、近年は沖縄との行き来が盛んになっており、2017年にはガンガラーの谷で行われたライヴの記録が『AQUANOME LIVE at Valley of GANGALA in Okinawa』として発表された。

 1977年に高校1年だった佐橋佳幸は、今や説明不要といってもいいほどの売れっ子ギタリストである。高校卒業後すぐに、EPOのデビュー・アルバム『DOWN TOWN』に収録されている「語愛」でギタリストとして参加。これが佐橋のプロ・デビューとなった。そして、清水、EPO、佐橋の3人がプロ・ミュージシャンとして初めて共演した楽曲でもある。

 1981年にUGUISSを結成した佐橋は1983年にデビューするが、アルバム1枚を残して翌年解散。セッション・ギタリストとなった佐橋は、先輩の清水信之に誘われたことをきっかけに渡辺美里のサポートに参加し、ギタリストとしての知名度を上げた。その後、小田和正、山下達郎、桑田佳祐、坂本龍一、佐野元春、氷室京介、福山雅治など錚々たるアーティストのレコーディングやライヴに関わっていく。小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」(1991年)や、藤井フミヤの「TRUE LOVE」(1993年)のイントロにおけるギター・フレーズは、まさに佐橋の代名詞だ。



▲ 「TRUE LOVE / 藤井フミヤ」


 1994年には初のソロ・アルバム『TRUST ME』を発表。そして、数多くのサポート以外にも、自身のグループでも精力的な活動を行ってきた。小倉博和との山弦、山下達郎バンドで結成したネルソンスーパープロジェクト、Dr.kyOnとのダージリンなどがあり、いずれも音楽ファンから高い評価を得ている。また、公私共にパートナーとなった松たか子のサウンド・プロデューサー兼バンマスとしても活躍。2015年には彼の仕事を集めたコンピレーション・アルバム『佐橋佳幸の仕事(1983-2015)~Time Passes On~』もリリースされた。

 さて、清水、EPO、佐橋という高校の同窓生によるスペシャルなライヴ。前回は楽しくも懐かしいトークと、主にEPOの名曲で盛り上がったという。今回はどんなサプライズが待ち受けているのか。同窓生もそうでない音楽ファンも、ぜひ日本の音楽会が誇る3人のスペシャルなコラボレーションを楽しんでいただきたい。

 

 

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