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<インタビュー>KID PHENOMENON 【SXSW 2026】で掴んだ表現の進化と世界へ提示する「TOKYO NEO POP」

Interview & Text:高橋梓
2026年3月12日から18日に、アメリカ・テキサス州オースティンで開催された【SXSW 2026】。この世界最大級の融合型カンファレンス&フェスティバルに、7⼈組ダンス&ボーカルグループのKID PHENOMENONが出演した。彼らは「ボーイズグループ=K-POP」という先入観を塗り替えるべく、現地の音楽ファンを沸き立たせるパフォーマンスを披露して大きな手応えを掴んできた。本格的な世界進出の第一歩を踏み出した7人は、どんな思いで【SXSW 2026】に向き合ったのだろうか。ライブの余韻も冷めやらぬ中、メンバー全員に話を聞いた。
――【SXSW 2026】でのライブ、お疲れ様でした。無事ライブを終えた、今の率直な心境を教えてください。
夫松健介:初めてアメリカでパフォーマンスをしたので、正直、「盛り上がってもらえるかな?」と不安な部分もありました。来てくださるお客さんは、僕たちを知っている方だけではないので、KID PHENOMENONを知らない人でも盛り上がるように試行錯誤していて。結果、本番ではファンの皆さんだけではなく、純粋に音楽が好きな方々にも楽しんでいただけていてすごく嬉しかったです。中でも一番感動したのは、海外の方々が僕たちの楽曲を一緒に歌ってくれたこと。今回のチャレンジに全力で向き合ってよかったなと思いました。
鈴木瑠偉:客席の方からたくさん声が聞こえて、すごく嬉しかったです。
――ちなみに、【SXSW 2026】への出演が決まった瞬間はどうでしたか?
佐藤峻乃介:去年ベトナムでオーディション番組に出演させていただいたり、タイで【JAPAN EXPO THAILAND 2026】に出演した経験はあったのですが、【SXSW 2026】という世界的なイベントに日本を代表して参加できることがとにかく驚きで。ただ、僕たちは何かに対して挑戦することにすごく意欲的な7人なので、いろんな国からいろんなアーティストが集まるイベントで自分たちがどれだけ通用するのか、どうかませるのかを想像してワクワクしていました。
遠藤翼空:そこからセットリストを組むことから始めて、「アメリカで披露するならどんなパフォーマンスがいいか」を考えました。
――さまざまな経験もありますし、成功する自信もあったのではないでしょうか。
佐藤:たくさんリハーサルをしたので、めっちゃありました!7人で夜遅くまでリハーサルをしたり、それぞれ意見を出し合ったりしながら、今回の40分間のパッケージを作っていて。僕たちは、基本的に流れやセットリストを自分たちだけで作っているのですが、今回からダンストラックを作ることにしました。僕が楽曲をアレンジしてダンストラックを作っていて、今回は翼空もアレンジをしてくれています。他にも、楽曲アレンジや転換、振り付けなどさまざまな面で制作に関わりつつ、思いを込めた40分になりました。

――ステージのコンセプトを決めたりも?
夫松:KID PHENOMENONは「TOKYO NEO POP」をコンセプトとして掲げているので、それが伝わるステージにはしたいと思っていました。東京はいろんなカルチャーが融合している都市で、僕たちもそれぞれいろんなカルチャーを持っているメンバーが揃っている。それをパフォーマンスに注ぎ込んだら東京をレペゼンできるんじゃないかと思って、1曲目は日本テイストの「Party Over There」にしてみました。
他にもダンストラックはファンクに寄せて、ポップやロックをやっていた(岡尾)琥珀や(川口)蒼真がかましてくれていたり、(山本)光汰がコール&レスポンスを日本ではあまりしないようなちょっと複雑なものにしてみようとアイデアを出してくれたり。歌のアレンジ面では、翼空と光汰に「好き勝手やっていいよ」と言えばいい感じにやってくれて。そういった部分も含めて、自分たちが純粋に楽しむことを大切にしてステージを作っていきましたね。
鈴木:もちろん、しっかり事前準備はしていたのですが、アメリカ初ライブということで、良くも悪くも何も考えないようにもしていました。自分たちがこれまでやってきたことを信じて表現する、というか。そこに、ワクワクした気持ちを素直に自分たちらしくぶつけてパフォーマンスをしてきました。

――皆さん、3月12日にオースティン入りしたとお聞きしているのですが、11日までEXILEのNAOTOさんのソロツアーに出演されていましたよね? かなりハードスケジュールの中準備されていたのでは?
岡尾琥珀:でも楽しかったですよ。
夫松:ちょうどNAOTOさんと一緒にいた次の日にアメリカだったので、直接NAOTOさんに「明日アメリカに行ってきます」と報告もできました。「かましてこい!」とパワーももらえました(笑)。
――いい師弟関係ですね(笑)。そこからオースティンに入って、どんなふうに過ごされていたのですか?
遠藤:下調べです。他のアーティストの方のライブ感やオーディエンスの感じ、実際に僕たちがパフォーマンスする場所の下見に行きました。それに、グループとして初めてアメリカでパフォーマンスをするので、どんな感じになるのかをイメージするためにいろんなアーティストのライブにも行きました。メンバーそれぞれが見たいアーティストのライブにも行きましたし、たくさんのことを吸収できました。「世界」が垣間見えた気がしましたね。
夫松:僕はUKガレージにハマっているので、UKガレージのラッパーのライブを見に行きました。あとは、Don Toliverも見ましたね。ライブの前日には、SXSW用に作ったオリジナル・ハイチュウと僕たちのポストカードを配りました。会場には、音楽に乗って踊っている方がたくさんいらっしゃるんですよ。僕たちも音楽が大好きなので勝手に体が動いて一緒に踊って、「僕たちはこういうグループで、明日ライブがあるから来てね」と配ったんです。
佐藤:ポストカードは800枚くらい配りました。

――すごい!
夫松:それと、僕たち全員ファッションが好きなので、みんなアウトフィットをいろいろ考えて持ってきたんですよ。それを着ていたら、街中で「イケてるじゃん」と声をかけてくれる人がたくさんいて。そういう人たちにも「僕たちライブするから来てよ」と渡していました。路上ライブもやったり、音楽を流してフリースタイルで踊ったりも。
川口蒼真:通りかかった方々が、たくさん立ち止まってくださるんですよね。皆さん本当にフレンドリーなんです。しかも常にダンスや音楽が体に染み付いているみたいで、僕たちを見るだけじゃなくて、動画を撮りながら一緒に踊ったり、僕たちのサイファーのサークルに入ってきてくれたりしていて。今までに体験したことがなかったので、驚きましたが、改めて「ダンスや音楽は国や言語を超えるものなんだ」と実感しました。
――そういった活動もしつつ立ったステージだと、感じたこと、得たことも多そうです。
岡尾:はい。ポストカードを渡してコミュニケーションを取った方もたくさん来てくださいました。僕たちが登場する前、一人ひとりの名前が出る映像が流れたのですが、その時から声が出ていて。実際ステージに上がったらさらに勢いがすごくて、僕らもその勢いに負けないようにかましてやろうとより気合いが入るくらいオーディエンスの歓声が大きかったです。それに一緒に歌ってくださる方や、僕たちのことは気にせずただ音楽に乗ってくれている方もたくさんいて、自由に音楽を楽しんでいることが伝わってきました。日本とはまた違ったライブの空気感が味わえて、新鮮でした。
山本光汰:初めてのアメリカなのでKID PHENOMENONはどんなグループなのか、この楽曲はどんな曲なのかなど、僕たちのことを知っていただけるようパフォーマンスをしました。なので、今回MCや煽りの言葉もすべて英語で行ったんです。きちんと言葉で伝えながらのパフォーマンスだったので、メッセージもしっかり伝えられましたし、アグレッシブでパワフルなパフォーマンスができたと思います。日本でのライブ+αでKID PHENOMENONの表現、パワーの出し方ができたと自分でも感じました。

――日本で立っているステージよりはコンパクトなサイズだったので、皆さんからオーディエンスへ、オーディエンスから皆さんへ伝わる熱量も大きかったのではないでしょうか。
山本:客席の奥の方までみんなで一緒になって楽しんでいる姿を見た瞬間、「シンプルに僕たちの音楽を楽しんでいただけているのが嬉しい」と感じました。今回ライブをするにあたって、そこを一番表現したかったんです。初めてライブを行う場所で、それが実現できて良かったと思います。
――セットリストも美しい流れでしたよね。反応が良かったと思う曲はありましたか?
佐藤:個人的に「おぉ!」と思ったのが、「Trendsetter」の前のダンストラック。ダンストラックの前にやった「Underrated」は煽りメインの楽曲なので、切り替えというか、メリハリが効いていたみたいです。かなり沸いてくれて、ダンストラックが盛り上がったのが嬉しかったです。
夫松:全体を通してなのですが、日本とアメリカでの盛り上がり方が曲によってまったく違うと感じました。たとえば「Black Flame」だと、日本のファンの方は僕たちの世界観を見入ってくれる感じなんですね。でもアメリカでは「Black Flame」のサウンド感に浸って、一緒に乗ってくれている方が多くて。「Underrated」もそうでしたね。音楽に乗って自然と体が動いている方が多かったです。日本との違いを感じられたのも今回の学び。日本と海外でライブの作り方を臨機応変に変えていかないといけないなと思いました。
――「学び」というワードを出してくださいましたが、その他にも学びや刺激があったのではないでしょうか。
夫松:先ほど光汰が言ってくれたように、事前にMCを考えて持っていったんですね。準備していたから伝えたいことをきちんと伝えられたのですが、その反面引き出しが限られていたのかなと感じました。ライブの盛り上がりに合わせた臨機応変なMCや盛り上げ方ができていたら、より良いものになったのかなと思います。作り込んだものだけではなく、生感を皆さんと共有できたな、と。昨日、Ty Dolla $ignやJayDonのライブをみんなで観たのですが、オーディエンスに合わせた盛り上げ方をしていました。僕らも生感をもっと大切にしないといけないなと感じましたね。
遠藤:あとは、がむしゃらに伝える姿勢も大切にしたいなと思いました。アメリカ初パフォーマンスということもあって、すごく熱を込めてパフォーマンスをしたのですが、そこに対してリアクションをしてくださったのが本当に嬉しくて。スタイリッシュでこなれ感があるパフォーマンスも素敵なのですが、がむしゃらに伝えようとする姿勢も評価してくれるということに気が付きました。アーティストの表現方法の一つとして、こういう見せ方も持っていようと思いましたね。
“Japanese boy band”であることは譲れない

――今後もより熱いパフォーマンスが見られることを期待しています!そして、【SXSW 2026】への出演は、「世界への挑戦の第一歩」だったのかなと感じました。皆さんはどんな経験だったと考えていますか?
佐藤:得られるものがすごく多くて、KID PHENOMENONが今後ライブをしていく上での自信に繋がったと思います。今回いい評価をいただけましたし、たくさんの方から「すごくよかった」と言っていただけたので、自分たちの強みをさらに前に出していきたいな、と。もっと多くの方にKID PHENOMENONのパフォーマンスを見ていただけるよう、引き出しをもっと増やしていきたいですね。
――今後はどんな“KID PHENOMENON像”を世界に向けて発信していくのでしょうか。
岡尾:「TOKYO NEO POP」という僕ら独自のコンセプトを掲げているので、それをしっかり見せていきつつ、東京でリアルに生きる僕ら自身がTOKYO NEO POPを表現するキャラクターのようになっていきたいとも思っています。それぞれ好きなジャンルや得意なジャンルが違っている、個性が強い7つのキャラクターが集まったグループというのもコンセプトの1つとして掲げていますね。僕らの音楽はロック、ポップ、R&Bといろんなジャンルがあるので実現しやすいのかなと思います。
夫松:街中にいると、海外の方々から「K-POPグループなの?」と言われるんです。どうしてもボーイズグループ=K-POPというイメージがあるみたいで、そこに悔しさを感じていて。でも僕たちはいろんな楽曲をやれるし、“Japanese boy band”であることは譲りたくありません。KID PHENOMENONというジャンルを確立して、世界中の方々に自分自身を認めてあげること、自分らしくあることの素晴らしさを伝えていきたいからこそ、僕たちも自分らしさを大切にしていきたいです。なにかにとらわれるのではなく、「TOKYO NEO POP」を届けていきたいなと思っています。
――皆さんって、本当に個性豊かで、ダンスのジャンル、歌声、ファッションとさまざまなところで自分を発揮されています。それだけの多様性がありつつ、まとまりがあるのはなぜなのでしょうか。
一同:リーダー(夫松)のおかげです!
鈴木:それはないですね。
夫松:おい(笑)!
鈴木:リーダーのおかげも少しはあるのですが(笑)、僕たちはまず合わせることをしないんです。でも根本の部分で繋がっているというか。根本が一緒だから派生していても一体感がある。同じホームを全員が持っているから、でていったとしてもちゃんと戻ってこられるというか。軸があるからまとまっていると思います。
――その「軸」とは?
一同:そう、そう。軸って何(笑)?
鈴木:そうなるよね。なんだろう……。グループを思う心、とか?
一同:……。
鈴木:あれ?
夫松:「信頼」ですね。
鈴木:ナイスフォロー!そうです、「信頼」です!「信頼」がKID PHENOMENONをつなげてくれています。
――今のやり取りからも信頼が見えました!今だからこそ感じるグループの強みもあるのでは?
夫松:アメリカでの日々の中で感じたのは「物怖じしないこと」、「7人全員が音楽好きであること」。それと何と言っても、「好きなカルチャーにリスペクトを持っていること」。それぞれが好きなカルチャーをしっかりインプットして、バックグラウンドを理解した上で、リスペクトを込めて自分のスタイルに応用しているんですよね。だからこそ、誰がセンターに立っても、誰が目立っても成立するし、毎回違った色が見せられています。それこそ、瑠偉が言ったように揃えないことが僕たちの武器にもなっているというか。この先もそれぞれのカルチャーやスタイルをもっと研鑽していくことで、また違った側面も見せていけるようになるのかなと思っています。

――逆に世界で活動していく上で課題になりそうなことはありますか?
遠藤:言語の壁はあると思います。その壁を壊すためにも、訪れる国の言語を学ぶ必要があると思っていて。音楽を通して何かを伝えるには、その国の方々に寄り添わないと浸透していかないと思うんです。英語は日常会話くらいだったら話せるのですが、日本語と同様に使えるかと言ったらまだまだ。しっかり勉強をしていこうと思っています。
川口:タイに行く時はタイ語を練習しています。
遠藤:そうなんです。みんなでタイ語のレッスンを受けました。
夫松:サワディー・クラップ!
――おぉ!
夫松:タイに行った時もグループの説明以外はぜんぶタイ語で話したんですよ。現在は英語とタイ語がメインなので、もっとたくさんの言語を勉強していきたいです。
遠藤:それと、「TOKYO NEO POP」を表現するために、どう努力していくのかも課題になってくるのかな。しっかりギアをあげて、少しずつみんなで成長していきたいです。その上で個性の出し方も磨いていくことで、グループがより色鮮やかになるのかなと思っています。
佐藤:デビューから約2年半経った今、メンバーそれぞれの好きなものが確立されたんですね。なので、「このタイミングだったらこの人が出たほうが輝く」、「ここはこの人の方がいい」と選択肢が多くなっていて。しかも、しっかり背中を押せるメンバーが揃っています。将来的にはソロ活動をしても存在感をしっかり示せるようになりたいです。
――ちなみに、度々挙げていただいている「TOKYO NEO POP」というワード、あえて言語化するとどんな言葉になりますか?
遠藤:わかりやすくいうと、KID PHENOMENONのフィルターを通して東京のカルチャーを発信していく状態ですね。J-POPという言葉がありますが、すでにいろんなアーティストさんがJ-POPを発信して「J-POP」が成り立っていると思うんです。「TOKYO NEO POP」は音楽ジャンルではなくカルチャーとして捉えています。僕たちが東京を代表して、東京にあるいろんなカルチャーをさらに集約し、再解釈によって「今の東京カルチャー」として発信していくことで、「TOKYO NEO POP」という新たなカルチャーを作っていくことができると思っています。
山本:そこを今後海外に向けてより強く発信していきたいと思っています。
――ありがとうございます。では最後に。5年後までに実現していたいアーティスト像はどんなものでしょうか。
夫松:日本国内はもちろん、コーチェラやロラパルーザなど海外のフェスにも出演できるようなアーティストになっていたいです。KID PHENOMENONが世界のアイコンとして成立して、「KID PHENOMENONの音楽やファッションってイケてるよね」、「KID PHENOMENONを追いかけている人はイケてるよね」と言われる状態になれたら嬉しいです。そのためにも、自惚れることなく、物怖じせず、常に挑戦的なスタンスで貪欲に前進し続けるグループになります。
それと、海外で活動する期間が多くなると、日本のファンの皆さんは寂しさを感じるかもしれません。でも、僕たちは世界のどこに行ったとしてもfrom Tokyo、from JAPANを大切にし続けますし、日本で応援してくださる皆さん、日本での活動が僕たちの根底にある部分です。日本、世界とわかるのではなく、地球として考えてくださると嬉しいです。地球をレペゼンしている存在になりたいですね。世界中の色んな方の背中を押せるように。あくまでも日本をレペゼンしているということは大切にしているので、日本の皆さんも安心して応援してくれたら嬉しいです。

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