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PLAYING FOR CHANGE来日記念インタビュー&プレイリスト ~音楽チャリティー・プロジェクトが世界を繋ぐ



PFC インタビュー

 現在、世界中に着々と広がっているチャリティー・プロジェクト“PLAYING FOR CHANGE”。日本では大和証券グループのCMシリーズで大きな反響を呼んでいる。今月(2017年10月)、このプロジェクトが、Char、平井 大、福原美穂の豪華ゲストを迎えスペシャル・ライブを開催する。この来日公演を記念し、PLAYING FOR CHANGEの代表、マーク・ジョンソンにインタビューを敢行。PFCの活動や今回のスペシャルステージについてなど色々と答えてもらった。また、「日本のファンに聴いてほしい世界の名曲」のプレイリストも公開されているので、そちらもぜひチェックしてほしい。

音楽、動画、視聴者の間にフィルターは無い

−−それではまず、PLAYING FOR CHANGEというプロジェクトについて教えてください。

マーク・ジョンソン:"PLAYING FOR CHANGE"は、人生においてどんな事が僕たちを引き裂こうとしても、音楽の力によって再び一つになり、その力に勝ることはないという意味が込められているんだ。

――PLAYING FOR CHANGE立ち上げのきっかけはなんだったのでしょうか?

マーク:10年ほど前、ニューヨークで音楽の力を目の当りにした経験をした。レコーディング・スタジオに向かっている途中、地下鉄の駅で白塗りのローブをまとった修道僧を2人見たんだ。一人は僕の知らない言語で歌を歌っていて、もう一人がギターを弾いていた。駅のプラットホームは2人の音楽に魅了された人々で溢れかえっていて、電車に乗ろうとする人は誰一人いなかったんだ。笑っている人もいれば、泣いている人もいて、でもそこにいる全員がその音楽で繋がっていることは確かだった。僕は電車に乗って仕事へ向かったんだけど、その時に僕は、これまで聴いた中で一番最高の音楽をスタジオの外で聴くことができたんだと思えたよ。

 これがこのプロジェクトのアイデアの原点で、レコーディング・スタジオを世界中にいるミュージシャンの元へ、彼らにとって自然な場所に持っていこうと思ったんだ。



▲Celebrating 10 Years of Positive Change Through Music | Playing For Change Foundation


−−プロジェクトは確実に、そして着実に世界に広がっていると思いますが、その実感はありますか?

マーク:"PLAYING FOR CHANGE"はYouTubeや何百万人の人々が僕たちの動画を見てシェアできるという技術の発達によって、ここ何年かで着実に広がってきている。去年だけでみても、僕たちの動画は195か国で、1億万回以上も再生されているんだ。音楽、動画、視聴者の間にフィルターは無い。PFCの動画、それからPFCバンドが世界中をツアーで回ることは、良い意味で人々が世界中で繋がることを手助けし、人種問題に直面している暗い時代だからこそ、こういったプロジェクトはすごく重要だと感じるんだ。

−−プロジェクトが広がる理由に「音楽」というものの存在は非常に大きいと思います。活動をしてみて「音楽」にはどんな力があると思いますか?

マーク:音楽は社会変動に対しポジティブなインスピレーションを与えるため、人間が発明した本当に素晴らしいツールだと思っている。音楽がかかると僕たちを引き裂くものは消えていくんだ。「音に打ちのめされて傷付くものはいない。それが音楽のいいところさ。」とボブ・マーリーも言っているようにね。

−−今現在、このプロジェクトが一番力を注いでいる活動はなんですか?(ex.インドやネパールにおける難民への必要物資の提供、南アフリカでの音楽スクールなど・・・)

マーク:僕たちはいつも、音楽を通した世界の繋がりというミッションに重点を置いている。このミッションを遂行するために様々な方法を使っているよ。例えば、世界中でレコーディングをすることは、他の文化や様々な人々と出会う貴重な機会になっていて、実際に自分たちの目で見てそのコミュニティでの音楽の作り方や彼らのアイデンティティを知ることができるんだ。そして、そのコミュニティ内で信頼を築き、そこから彼らのために音楽を使ったプログラムを作ったり、そのコミュニティに必要なニーズ、例えば浄水へのアクセス、太陽光発電、人身売買から家族を守るための教育、または自然災害時における即時救済などの手助けをしている。これによって、ネパールで起きた地震の時、僕たちは音楽学校の生徒たちの家族のために新しい避難所を建てることができたんだ。僕たちは日々、人々が自分たちの住んでいる世界のことにもっと目を向けてほしい、そして周りの人にも同じようなインスピレーションを与えてほしいと思っているんだ。一つの曲に一つの心という気持ちで。



▲WE STAND BY NEPAL | Playing For Change Foundation


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音楽はより良い世界を作ってくれるパワフルな道具

−−中東やアフリカでは紛争が絶えず、そしてアジアも北朝鮮のミサイル開発により緊迫した状況になっています。こうした世界情勢の中で、今後このプロジェクトがどのように活動していきたいと思っていますか?

マーク:興味深い質問だね。この間、11月から新しく始まる"Song Around The World"のシリーズ用の曲としてリリースされる予定のキューバの楽曲「Chan Chan」の新しいバージョンの動画を観ていたんだ。このビデオの中で、キューバのトレース奏者からレバノン共和国のベイルートにいるウード奏者へ、そしてアメリカのニューオーリンズにいるトランペット奏者へ移っていくシーンがある。僕は、「これを見て聞いてみなよ、キューバから中東、そしてアメリカが音楽を通してこんな簡単に一つになれるんだ」と自分自身に言い聞かせたよ。人生における音楽というものは、僕たちに違いを生み出し、僕たちを更に強くしてくれる。"PLAYING FOR CHANGE"は世界中で僕たちが直面している様々な分裂に橋をかける手助けをしていると信じているし、究極的に言えば、音楽はより良い世界を作ってくれるパワフルな道具だと思っているよ。

−−世界中のミュージシャンが、一つの楽曲を一緒に奏でているように仕上げた映像が大きな反響を得ました。このアイデアはどこから生まれたのですか?また、どのように実現していったのでしょうか?

マーク:15年前、カリフォルニアのサンタモニカの道を歩いているとき、ロジャー・リドリーが歌う「Stand By Me」が聞こえてきたんだ。彼の歌声に物凄いソウルを感じて、すぐに彼の元へ行って、「今からレコーディングの機材とカメラを持ってくるから、あなたが「Stand By Me」を歌っているところ撮りたい。そして、そのトラックに世界中に持って行って様々なミュージシャンに参加してもらおうと思ってる。」と言ったんだ。そしたら彼は、クレイジーな奴だな、というような顔をして僕の事を見たんけど、「君が戻ってくるならまた歌うよ」と返してくれてね。ロジャーのところに戻ったとき、僕は彼に「あなたはこんなに素晴らしい歌声を持っているのに、なぜストリートで演奏しているの?」と尋ねたんだ。その質問に彼は、「マーク、私は自分にとって楽しいことしてるだけ。ただ外に出て人々と触れ合いたいんだ。」と答えたよ。このエネルギーが「Stand By Me」のような曲と組み合わさったとき、世界と繋がる素晴らしいスタートを切ることができるとわかったんだ。僕は少人数のクルーと一緒に、カメラと携帯型のレコーディング・スタジオ、ゴルフカートのバッテリー、それから車のバッテリー、小さなバッテリーパックまで持って、街のストリートや地下鉄、インディアン居留地、アフリカの村々や非白人居住地域、中東、それからヒマラヤ山脈まで回ったんだ。この旅路の中で、音楽の力とインスピレーションを通し僕たちは世界中に家族を作ることができたんだ。



▲Stand By Me | Playing For Change | Song Around The World


−−これまでに、「上を向いて歩こう」「One Love」「Stand By Me」などの名曲をカバーしてきましたが、楽曲を選ぶ際の基準はありますか?また、今後カバーしてみたいと思っている曲はありますか?

マーク:僕たちは、様々な理由で曲を選んでいる。例えば、「Stand By Me」や「One Love」はみんなが一つになろうとするときにピッタリな曲だけど、僕たちは世界中を旅する中でたくさんの貧困や戦争、分裂を目の当りにして、「War/No More Trouble」や「Gimme Shelter」のような緊迫していて、強い信念を持った曲も作っていく必要があると感じたんだ。音楽は僕たちを良い気分にさせてくれて、僕たちは繋がっているという気持ちにさせてくれる力を持っているし、もっと言えば、行動を起こすための原動力にもなるんだ。最新の"Song Around The World"では、もっとクラシックな楽曲、ドゥービー・ブラザーズの「Listen To The Music」やボブ・ディランの「All Along the Watchtower」やブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの「Chan Chan」をフィーチャーしているよ。



▲War/No More Trouble | Playing for Change | Song Around The World


−−プロジェクトには本当に多くのミュージシャンが参加していますが、今回来日してくれるメンバーを紹介してもらえますか?

マーク:今回の来日公演に参加するPFCのバンドメンバーは、コンゴからマーマンス・モセンゴとジェイソン・タンバ、イスラエルからはタル・ベン・アリ・"トゥラ"、南アフリカからはティティ・トゥシラ、そして日本からは素晴らしいキーボード奏者のケイコ・コマキを含む10か国から総勢11名で編成されているんだ。彼女はニューオーリンズで音楽を勉強していて、今回はこの世界中から集まったPFCバンドの一員として彼女自身の故郷に帰ることができるんだ!

−−来日公演では、どんな曲を披露してくれますか?可能な範囲で構わないので教えてください。

マーク:今回の公演は、PFCの定番曲「Stand By Me」や「One Love」に加え、各国からのオリジナルの曲を織り交ぜた、まるで世界中を旅行しているようなステージにしようと思っているよ。

PLAYING FOR CHANGEが選ぶ「日本のファンに聴いてほしい世界の名曲」プレイリスト

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