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MONDAY満ちる 30 Anniversary Playlist~クラブ・ジャズ界の歌姫、30年の歩み

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 ジャジーでグルーヴィーなシンガー・ソングライターの代表であるMonday満ちる。渋谷系、レアグルーヴ、クラブ・ジャズ、フューチャー・ジャズといったその時々の音楽のトレンドのなかで活動しながらも、他にはない独自のスタイルを獲得していった。今現在、いわゆるクラブ・ミュージック・シーンの周辺で活躍するアーティストとしては、もっとも第一線でのキャリアが長く、もっとも精力的にライヴを行っている存在といっても過言ではない。まもなく恒例のビルボードライブ公演を控えた彼女の軌跡を追いながら、Monday満ちるという特別なアーティストの魅力を解明していきたい。

 Monday満ちるの父はジャズ・サックス奏者のチャーリー・マリアーノ、母はジャズ・ピアニストの秋吉敏子。いわばサラブレッドの家系に生まれ育った。しかし、最初に注目を集めたきっかけは音楽ではなく、母の名字をとった芸名「秋吉満ちる」名義で行った女優活動だった。1987年に公開された相米慎二監督の映画『光る女』の主演に抜擢され、独得の映像美の中で不思議な存在感を持つヒロインとして印象的な演技を披露。日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、一躍脚光を浴びた。

 歌手活動は、1980年代末からアニメの主題歌を担当することからスタート。1991年には初のアルバム『mangetsu』で本格的なデビューとなった。本作はガーシュインやトッド・ラングレンのカヴァーも含んではいるが、大半の楽曲を自身で作詞作曲。また、クラブ・ミュージック・テイストがある一方で、母親の秋吉敏子やルー・タバキンも参加し、ジャズ色がすでに現れ始めている。

 Monday満ちると本名に戻してからは、1993年にミニ・アルバム『NAKED WITH YOU』を発表。そして、翌1994年にMonday満ちるとしての初のフル・アルバム『MAIDEN JAPAN』をリリースする。この作品では久保田麻琴がプロデュースを手がけ、Love T.K.O(中西“TOSH”俊夫&工藤“KUDO”昌之)やDJ Krushといった当時の最先端のクリエイターがこぞって参加。アシッド・ジャズ以降のクラブ・シーンとも絶妙にリンクしたことで大きく評価された。

CD
▲『Jazz Brat』

 その後の躍進ぶりは驚異的だ。大沢伸一や沖野修也といった当時のキーマンとともにプロデュースした1995年の3作目『Jazz Brat』でさらに評価を高め、ヨーロッパ各国でもリリースされるという快挙をものにした。さらに翌1996年には、大沢伸一を中心としたザ・パラドックス・バンドとのレコーディングで、セルフ・プロデュース作『Delicious Poison』をリリース。さらには、『DOUBLE IMAGE』(1998年)、『Optimista』(1999年)といった力作を発表し続ける。この当時、UA、bird、SUGAR SOUL、MISIAといったいわゆるディーバたちが続々とブレイクしていくが、Mondayはその先駆者としてリスペクトされる存在となった。

CD
▲『Episodes in Color』

 その後、結婚と出産を経て、2002年に発表された『Episodes in Color』からは、徐々にジャズ色が濃厚になっていく。アレックス・シピアギンを筆頭にニューヨークのジャズ・ミュージシャン中心にサウンドを固めながら、ジャズとポップス、クラブ・ミュージックを巧みに融合していった。また、プロデューサーに頼ることなく、Monday自身がサウンドにもさらに深く携わっていくことになる。クリス・ポッターなども参加した『MOODS』(2003年)、久々に大沢伸一とコラボレートした『Routes』(2005年)、初のカヴァー・アルバムとなった『My Ever Changing Moods』(2007年)、ディープな世界観を確立した『NEXUS』(2009年)、カヴァー・アルバムの第2弾『Don't Disturb This Groove』(2011年)、そしてブラジリアン・サウンドに振り切った『BRASILIFIED』(2013年)と、続々と話題作を発表し続けてきた。



▲「Sands of Time」MV




▲「Monday Michiru Live at Java Jazz Festival 2013」


CD
▲『JAZZ
CONVERSATIONS』

 また、彼女は自身の作品だけでなく、ジャンルをまたがって様々なコラボレーションを行っている。United Future Organization、MONDO GROSSO、DJ Krush、Kyoto Jazz Massive、Jazztronikといった日本のクラブ・シーンを網羅するだけでなく、クレモンティーヌや小野リサのようなボサノヴァ・シンガーとも相性がいい。加えて、母親である秋吉敏子と密に共演したジャズ・アルバム『JAZZ CONVERSATIONS』(2015年)も大きな話題となった。

 こういった柔軟な姿勢を持ちながらも、どこに出ていってもMonday満ちるとしてのスタイルは変わらないのが彼女の凄さだ。ジャジーで伸びやかなヴォーカル、時にはフルートも演奏するサウンド・クリエイターとしてのセンスは、まさに日本だけに収まらないワールドワイドのスケールを感じさせる。積極的にライヴも行い、ニューヨーク在住ながら日本での活動が途絶えることがないのも、ファンにとっても嬉しいところ。もちろん、彼女のグルーヴ感満載のステージも必見だ。まもなく行われるビルボードライブのパフォーマンスで、唯一無二のシンガーであるMonday満ちるの世界を堪能してほしい。



▲Monday満ちる&秋吉敏子 『JAZZ CONVERSATIONS』EPK


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MONDAY満ちるからのコメント

 今年はなんと、私が日本でデビューしてから30周年ということで、思い出の曲や30周年に繋がる曲をApple Musicからリストアップしました。私は、音楽業界に入ってからもう40年以上になるのですが、色々な音楽を聴いて、自分の音楽を育ててきました。

 スティーヴィー・ワンダーやアース・ウィンド&ファイアー、チック・コリアとか、様々なアーティストの曲からはもちろん大きな刺激を受けてきたのですが、私はいつも"その時代"、"その世代"に流れている音楽のなかで「前向きな曲」や「新しいと感じる曲」、「私の気持ちや世の中で起こっていることに繋がる曲」というのを常に大切にしてきました。なので、今回選んだ15曲は、昔聴いていた曲というより、いまのデビューから30年経った自分が「いま新しく感じる曲」を中心にリストアップしました。

 ただ、その中でも3曲だけは、いまだに聴いてカッコいい!いまでも新しい!と感じる曲です。あと自分の曲も1曲入れさせてもらいました。まず1曲目はスポークン・ワードなんだけど、ダナ・ブライアントの「Dominican Girdles」。最近彼女の名前はあまり聞かないんだけど、その当時は、こういうことをやっている人は少なかったし、いまでも新鮮に聴こえる素晴らしい曲です。そして2曲目は70年代のフュージョン / ポップス系といえばこの曲しかないというほどの傑作、ボズ・スキャッグスの「ロウ・ダウン」。そして3曲目は私がいまだに歌手の中で"Queen"だと思っているチャカ・カーンの「I Know You, I Live You」。この曲は前のアルバムでカバーしました。そして自分の曲(というより、フィーチャリングさせてもらった曲)は、P’taah「The Cosmic Laws」。私がスポークン・ワードをやった中でもすごく気に入っている曲です。

 そのほかの曲は、ここ最近の曲なんですが、Gabriel Garzon-Montanoは気に入っているソウル系のアーティストで、ヒップホップ系だとKendrik Lamar「The Heart Part 4」や、ちょっとガキっぽいんだけど息子が聴いていて「カッコいいじゃん!」と思ったYahzarah「Strike Up the Band」。仲間でもあるMark de Clive-Loweの「The Mission」は最近ライブを観てやっぱりカッコいいなと思い直した曲です。そして、以前私の曲にも参加してくれたネイト・スミスのKINFOLKというプロジェクトから「Disenchantment: The Weight」。これはもうホントにカッコいい……などなど、どの曲も私がいま新しいなと感じている素晴らしい曲なので、是非聴いてみてください。

 そして4月には、30th Anniversary Spring Tourとして各地でライブをやらせて頂きます。ビルボードライブのメンバーは、いつもお世話になっているピアノの吉澤はじめさん、ギターの鈴木よしひささん、ベースの小泉P克人さん、そして若手のドラマーの平陸さん、そして私の5人でライブをお届けします。鈴木よしひささんとは初めて一緒に演奏してから今年で10周年で、こないだ一緒にデュエットアルバムを作ったばかりでなので今回のツアーでもそのアルバムを是非皆さんに買って聴いていただければと思っています。ライブは30周年ということなので、もちろん昔の曲もやりつつ、その新しいデュエットアルバムから新曲も何曲かやらせてもらおうかと思ってます。

 みなさん是非会場に遊びに来てください!それではっ。

――MONDAY満ちる

 

MONDAY満ちる 30周年記念プレイリスト

Billboard JAPANのApple Musicプレイリストはこちらから>>>

Monday満ちる「Selections ’97-’00」

Selections ’97-’00

2014/12/03 RELEASE
UPCY-9434 ¥ 1,500(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Chasing After The Sun (Barefoot’n’Pregnant Version)
  2. 02.Play It By Ear
  3. 03.Fallin’ (Indian Summer Mix)
  4. 04.Emerald Life (Nunca Tan Fermosa Cosa Vido)
  5. 05.You Make Me
  6. 06.Chances
  7. 07.Full Bottle of Soul
  8. 08.Do It Again
  9. 09.Thinking of You
  10. 10.Stop n’ Listen
  11. 11.Far To Go
  12. 12.Suspirar

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