快晴の空にパンクヒーロー難波章浩が未来の音をかき鳴らす

　震災で大きな被害を受けた地域の1つである茨城のキッズに向けて熱いメッセージを投げかけた直後に奏でたイントロはなんと不滅の青春アンセム『STAY GOLD』だ。いきなりそう来たか！大いに面喰う気持ちを抑えつつ、熱気と大合唱の波に飲み込まれていく。続いて披露されたのは、Hi-Standard活動休止から約10年の時を経て、再びパンクに回帰し率直に思いを綴ったナンバー『MY WAY』。この流れだけですでにナミダ目というオールドファンも多かったに違いない。そこから『PUNK ROCK THROUGH THE NIGHT』『WILD AT HEART』と畳み掛けるようにパンク街道を爆走していく。

　そして原発の話を始める難波。パンクという音楽自体がそもそも強いメッセージを発するものだということ加えて、いつだってみんなと同じ目線で、優しく、温かく、分かりやすい言葉で語りかけ、一歩先の世界へと導いてくれる。ハイスタ世代以降のパンクキッズにも支持され続ける理由はきっとそこにあるのだろう。震災以降に感じた怒りや憤りを爆発させたナンバー『LEVEL7』では、難波のメッセージを受け取ったオーディエンスが会場に大きな感情の渦を作りだしていた。そして、感情の高まりをさらに昇華させるかの如くダフト・パンクのパーティーチューンのカヴァー『ONE MORE TIME』に突入。オールディーズからポップス、果てはアニメソングまで、どんな曲でも爽快なパンク・ナンバーに変えてしまうのはバイタリティの成せる業だ。『ONE STEP INTO THE FREEDOM』に続いて、今夏からバンドに加入したギターのLyokiも改めていい曲だと実感したという『TAKE ME HOME, COUNTRY ROADS』を披露。演奏前にベースにトラブルが発生するもLyokiが「風の音を聴こう」と促し、会場はなんとも穏やかな雰囲気に。怒りの先にあるポジティヴな感情がオーディエンスに溢れかえる中、『未来へ?It's your future』で締めくくるヒーローの目は確かな未来を見据えていた。