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カウボーイ・ジャンキーズ来日記念インタビュー&プレイリストを公開

カウボーイ・ジャンキーズ来日記念インタビュー

 オルタナ・カントリー・バンドカウボーイ・ジャンキーズ。1985年にマーゴ・ティミンズ(Vocals)、 マイケル・ティミンズ(Guitar)、 ピーター・ティミンズ(Drums)、 アラン・アントン(Bass)の4人で結成された。1988年にリリースされた2ndアルバム『The Trinity Session』は、そのたゆたうような音像と独特のムードで、後の音楽シーンに深い影響を与えた。2007年には同作のリメイク作『Trinity Revisited』をリリース。こちらはライアン・アダムスも参加し、バンドの影響力を改めて示す作品となった。結成から30年以上を経て、今なお独自の道を歩み続けるバンドが27年ぶりの再来日が決定。1月の来日公演を前に、カウボーイ・ジャンキーズのギタリスト、マイケル・ティミンズがBillboard JAPANのインタビューに答えてくれた。

 また、次ページにて、カウボーイ・ジャンキーズが選ぶ「最高のカナディアン・ロック」のApple Musicプレイリスト、音楽評論家 保科好宏氏のコメントも公開中!

オルタナ・カントリーのパイオニアにして北米音楽シーンの良心

――いまどんなシチュエーションで質問に応えてくれていますか?また、回答してくれているのは誰でしょう?

マイケル・ティミンズ:今はトロントにいて、このインタビューには僕、マイケル・ティミンズが答えるよ。

――まず初めに、カナダの偉大なシンガーソングライターであるレナード・コーエンの死についてお悔やみ申し上げます。彼はあなたたちにとってどのような存在でしたか?

マイケル:僕たちは若い頃に彼の音楽にとても影響を受けたんだ。僕たちモントリオールで育って、いつも彼のことを“僕たちの一人”としてみなしていた。だから彼の音楽は、とても若いときから聞いていたよ。僕たちの音楽を聴くと彼の影響を受けたことがわかるんじゃないかな。リリックは詩的なアプローチで、静寂な中に激しさがあるみたいなところとかね。

――普段、皆さんはどんな風に音楽活動、そして生活を送っていますか?

マイケル:ツアーに回ることは簡単なことではないけど、生演奏でパフォーマンスすることはとても楽しいよ。まだ訪れたことのない国や街に行けることはとてもワクワクするし、僕たちにとって新鮮なことなんだ。日本には1度行ったきりだから、今回の再来日は本当に楽しみにしているよ。

――来日公演、非常に楽しみにしております。今回は27年ぶりの来日公演になりますが、当時日本に来た時のことを覚えていますか?

マイケル:初来日は本当にエキサイティングだったよ。『The Trinity Session』が世界中で注目を集めている時だったからね。初来日の数年前には、自分たちが日本に呼んでもらえてパフォーマンスできるなんて想像していなかったよ。

▲Cowboy Junkies - Sweet Jane (Official Video)


――いくつか基本的なことも聞かせて下さい。このバンドが始まったきっかけは何だったのでしょうか?

マイケル:ベースのアランと僕は幼少期からの友達で、2人とも音楽が大好きだったから、引き寄せられるように自然とバンドを始めていったよ。

――音楽を演奏しはじめた頃のヒーローは誰でしたか?

マイケル:ニール・ヤング、ライトニン・ホプキンス、レナード・コーエンだね。

――1986年には最初のアルバム 『Whites Off Earth Now!!』 をリリースしました。このアルバムにはLightnin' Hopkins、Robert Johnson、John Lee Hookerと、素晴らしいブルース・シンガーのカバーが多く収録されています。当時の若いバンドとしては珍しいことだったと思いますが、なぜこれらの曲を入れたのでしょうか?

マイケル:誰も歌詞を書きたくなかったんだよ。でもサウンドのアイデアは生まれていて、それを楽しんでいたんだ。それに僕はブルースの大ファンでね。自分たちのサウンドとブルースの歌詞を融合させたら面白いものになるんじゃないかなと思ったんだ。

――その後、今でも傑作と名高い『The Trinity Sessions』を1988年にリリースします。一夜にして教会でマイク一本でレコーディングされたというエピソードは非常に有名ですが、なぜそのようなレコーディングを行ったのでしょうか?

マイケル:実は『Whites Off Earth Now!!』も同じようにレコーディングしたんだよ。当時は、レコーディングにかけられるお金が全然なくてね。そんな時にマイク1本でレコーディングをするというプロデューサーのピーター・ムーアに出会ったんだ。僕たち全員、この方法でレコーディングすることが僕たちのサウンドを正確に、そして効率的に捉えられると思ったんだよ。

▲Cowboy Junkies『The Trinity Sessions』

――同アルバムでは有名なThe Velvet Undergroundのカバーも収録されました。この曲のどういった部分に惹かれたのでしょうか?

マイケル:僕たちはみんなヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファンで、ルー・リード(ボーカル、ギター)の曲をカバーしたいと思ってね。この曲は彼らのベスト・ソングの一つでもあるし、この曲を僕たちらしくカバーすることは僕たちにとっての挑戦だと思ったんだ。

――Chicago Blues、Neil Young、Bob Dylan、Lou Reed、The Cure…あなた達のカバーした曲のリストを見ていると、そのままレコード・コレクションを見ているような気分になります。実際のあなた達のレコード・コレクションはどのようなものなのでしょうか? 何か意外なものは見つけられますか?

マイケル:ミュージシャンとして音楽活動する前から、僕たちはみんな音楽が大好きなんだ。だから、僕たちがカバーする曲は僕たちの音楽の嗜好が映し出されていると言えるだろうね。僕はかなり大量のレコード・コレクションを持っているんだけど……どれが意外なものかはちょっとわからないな。

――一方で、これまでに多くの自作曲をリリースしています。バンドにとって、特にお気に入りの自作曲があったら教えて下さい。

マイケル:「Bea's Song」、「Late Night Radio」、「Cause Cheap Is How I Feel」、それからアルバム『Renmin Park』の曲は全部お気に入りだよ。

▲Cowboy Junkies 'Cause Cheap Is How I Feel


――2010年代に入ってからは『Nomad Series』という非常に野心的な試みがありました。改めて、あのプロジェクトについて、当時考えていたことを教えて貰えますか?

マイケル:あのプロジェクトは自分たちに課した挑戦だった。2年間で4枚のアルバムをレコーディングしてリリースをするっていうね。それぞれのアルバムがバンドの色々な側面を表しているんだよ。『Renmin Park』は 観念で、『Demons』はカバー・アルバム、『Sing In My Meadow』はサイケデリックで、『The Wilderness』はソング・ライティングやフォークがルーツになっているんだ。

――Nomadとは遊牧民のことですが、 例えば、古のブルース・マンやフォーク歌手もNomadのような側面があったと思います。 彼らのように自由に移動しながら音楽を作ることに憧れはありますか?

マイケル:僕の人生における今このタイミングであれば、もしかするとNomadのスタイルは安らぎになるかもしれないね。でも熱いシャワーが恋しくなると思うよ。

――最後に、ランダムな質問を二つ。ドナルド・トランプが大統領になったことについてどのように感じますか?また、ボブ・ディランがノーベル文学賞を獲得したことについてはどのように感じますか?

マイケル:トランプが大統領になることは恐ろしいことだね。彼自身がというわけではないけれど、彼は膨大な怒りやアメリカの失望を象徴しているんじゃないかな。今後どうなっていくかは誰もわからないね。ボブ・ディランのノーベル賞授賞についてはコメントしづらいところだね。彼は、今生きている最も素晴らしいシンガーソングライターの一人だというのは確実だけど、ノーベル文学賞授賞に値するかどうかはわからないな。

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音楽評論家 保科好宏氏コメント

 まだオルタナ・カントリーという言葉が無かった1988年、世界デビュー作となったセカンド『トリニティ・セッション』での緩やかな時間が流れる甘味なサウンドは、今聴いても全く古さを感じさせない、時代を超越したタイムレスでマジカルな魅力に溢れている。そのアルバムがマイク一本とDATレコーダー1台を用い、教会を14時間借りた僅か150ドルで制作したにも拘らず、150万枚位以上のセールスを記録したのは、1つの奇跡には違いない。

 あれから30年、カナダのトロントで結成されたマーゴ(vo)、マイケル(g)、ピーター(dr)のティミンズ3兄弟に友人のアラン・アントン(b)を加えたメンバーは今も変わりなく、音楽性や音の佇まいも基本は何も変わっていないのは、この時代においては奇跡的なことのように思える。もちろんその間、グランジ~オルタナ・ロックの90年代には時代の息吹を感じさせる生々しいサウンドを聴かせたり、2000年前後には少しサイケデリックなテイストを纏ったりはしたものの、本筋はカントリー・ミュージックをジャズ・マナーで演奏したような独特のヴァイヴは何も変わっていない。だからこそ、ライアン・アダムスやヴィック・チェスナットといったアーティスト達もカウボーイ・ジャンキーズのファンを公言しているのだろう。

 しっとりとした歌声の中にヴァイタルなエモーションが脈打つマーゴのエレガントでフェミニンなヴォーカルを、Billboard Liveという彼らの音楽を聴くのにこれ以上はない空間で楽しむ贅沢。27年ぶりの来日公演が今から楽しみで仕方がない。(保科好宏)

カウボーイ・ジャンキーズが選ぶ「最高のカナディアン・ロック」

今回のインタビューに答えてくれたマイケル・ティミンズが選ぶ「最高のカナディアン・ロック」10曲にカウボーイ・ジャンキーズの名曲を3曲加えたプレイリストを作成。
それぞれの曲についてのコメントはBillboard JAPAN編集部によるもの。

01. Down By The River - Neil Young & Crazy Horse

1996年リリースのアルバム『ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース』収録曲。この曲の作曲中、ニール・ヤングは39度の高熱で精神が錯乱状態だったといわれている。


02. Bird On A Wire - Leonard Cohen

1969年リリースのアルバム『Songs from a Room』収録曲。この曲は、ティム・ハーディンに取り上げられ、1990年にはネヴィル・ブラザーズにも歌われている。
漂泊の詩人として知られたレオナード・コーエンは2016年11月に82歳で死去した。


03. New Orleans Is Sinking - The Tragically Hip

1989年リリースのアルバム『Up to Here』収録曲で、セカンド・シングルとしてリリースされた。カナダのRMP Canadian Content Chartで1位を獲得し、The Tragically Hipの代表曲の一つとして知られている。2005年にはCBC Radio Oneのカナディアン音楽を代表する50曲にも選曲された。


04. The Weight - The Band

1968年リリースのファースト・アルバム『Music from Big Pink.』から唯一シングルカットされた一曲。バンド・メンバーのロビー・ロバートソンが作曲し、ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500で41番目にセレクトされている。


05. River - Joni Mitchell

1971年リリースのアルバム『Blue』に収録されている、クリスマス・フォーク・ソング。シングル曲としてはリリースされていないが、この曲はジョニ・ミッチェルの楽曲で最も多くの作品に収録されている曲の一つ。


06. Dear Darling - Mary Margaret O'Hara

1988年リリースのアルバム『Miss America』収録曲。メアリー・マーガレット・オハラ自身の名義ではアルバム2枚とEP1枚しかリリースはしていないが、現在もライブ活動やコンピレーション・アルバムへの参加など精力的に行っている。


07. Wake Up - Acade Fire

2004年リリースのデビュー・アルバム『Funeral』からの5番目最後のシングル曲。2005年には7インチのアナログ盤としてもリリースされている。この曲は、 ジュノー賞の最優秀ソングライター賞を受賞。その他、NMEやローリング・ストーンでは2000年代の代表曲の一つにも選ばれている。


08. You Oghta Know - Alanis Morissette

1995年リリース、3枚目のスタジオ・アルバム『Jagged Little Pill』収録曲。各国の週間シングルチャートでは、オーストラリアで4位、アメリカ合衆国で6位などを記録した。グラミー賞では、最優秀楽曲賞にノミネートされ、最優秀ロック楽曲賞と最優秀女性ロック・ヴォーカル・パフォーマンス賞を受賞している。また、ジュノー賞では最優秀シングル賞を受賞した。


09. Pamphleteer - The Weakerthans

2000年リリースのアルバム『Left and Leaving』収録曲。The Weakerthansは、ジョン・K・サムソン、 ジェイソン・タイット、 ステファン・キャロル、 グレッグ・スミスの4人から成るカナダ・のインディー・ロック・バンド。時には6人編成で活動もしている。アルバム『Left and Leaving』は、2001年のジュノー賞で年間最優秀アルバム賞にノミネートされた。


10. I Will Give You Everything - Skydiggers

1991年リリースのアルバム『Skydiggers』に収録されており、このアルバムの中で一番ヒットした曲。デビュー・アルバム『Skydiggers』から2016年リリースの『Here Without You – The Songs of Gene Clark』までメンバーが入れ替わりながらもカナダを中心に活動を続けている。


11. Bea's Song (River Song Trilogy: Part II) - Cowboy Junkies
12. Cause Cheap Is How I Feel - Cowboy Junkies
13. Sweet Jane - Cowboy Junkies

11&12曲目は、マイケル・ティミンズがインタビューで答えたカウボーイ・ジャンキーズの楽曲で特にお気に入りの曲。13曲目はアルバム『The Trinity Sessions』からの代表曲。


Billboard JAPANのApple Musicプレイリストはこちらから>>>

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