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Buffalo Daughter × ASA-CHANG 爆笑対談



Buffalo Daughter × ASA-CHANG 爆笑対談

 「ロックは死んだ」と言われ慣れてきた1990年代後半、何食わぬ様子で米国のビースティー・ボーイズが運営するレーベル“Grand Royal”と契約し、堂々たる“現代のロック”を世界中で響かせた3人組がバッファロー・ドーターだ。その独自サウンドは、恐らく”ジャンルレス”を日本で初めて感じさせたロックバンドでもあり、国内アーティストにとっても先駆者的な憧れの存在でもあったように思う。その後2002年にはASA-CHANG率いるASA-CHANG&巡礼 がアルバム『花』を発表。作品は各方面から絶賛され、英WIRE誌の「2002年のベストアルバム」では4位に選出された。特筆すべきは両者の“真の音楽性価値”が逆輸入されたこと。それらが一体どういうことなのかを2017年になっても日本の音楽メディア及び市場は考え続けなければならないのかもしれない。

 今回、そんなバッファロー・ドーターがASA-CHANGを迎えてビルボード大阪に登場する。互いの強烈な個性が遠慮なく混ざり合って相乗効果を生み出すのは“ロックの自由さ”を本質的に愛している両者だからこそなせる術。このステージを想像しただけでも興奮せずにはいられないのだが、2016年や当時を振り返ったこのトークでも、一バンドの単独インタビュー並みの結束感でどこまでも笑えるのだから…もうこれは居ても立ってもいられないのである。

ASA-CHANGとのライブも“行き先が分からない感”が面白かったんですよ。(吉永)

−−まずはご自身で2016年の活動を振り返っていかがですか?バッファロー・ドーターの皆さんは今年は国内での活動が多かったように思えますけども。

大野:どうだったかなあ?

シュガー吉永(以下:吉永):近年の中では今年はあんまりライブをやってないですよね。

大野:うん、少ない方だったかな。

吉永:オファーがあって海外は行ったりもしているんですけど、今はちょっと落ち着いて来たから、そろそろ次の事について考えようかなっていうモードになりつつある。

−−今年一年印象に残ったライブはありますか?

吉永:ASA-CHANGと今度やるライブもそうなんですけど、ゲストを迎えてのライブを都内で何回か演っていて、今年の初めにLEO(今井)君と演った事ですね。

大野:あれ?ASA-CHANGと演ったのは去年だったっけ?

吉永:去年じゃなかったっけ?

ASA-CHANG:今年な気もしますねえ…2015年は代官山ですか…年をとったんですね(笑)。でも、あれは面白かったですねえ、合音の!

−−共演されるきっかけは?

吉永:会場の人が「(ASA-CHANGと)一緒に演るのはどうですか?」って訊いてくれて。で、ASA-CHANGって前から知っていたし、他のバンドとかでは演っているんだけど、バッファローとして一緒にやったことがそういえばなかった。

ASA-CHANG:そう、対バンとか。あとは、小山田圭吾つながりみたいなところはありますね。

吉永:そう。バッファローとしてはなかったんだよね。だから、それは意外に古そうで新しいかも!って思った。

大野:うん、すごく新鮮だったね!

吉永:その時は東京でしかできなかったんだけど、来てくれたお客さんはすごく喜んでくれたし、私たちもかなり楽しめたんでね。もう一回やろうとその時思えたかどうかは忘れてしまったんだけど、今回せっかく大阪で演るんだったら、大阪の人にお見せしていないですし、2年ぶりにASA-CHANGと演るのが面白いんじゃないかなって思いついた。

大野:そうね。

−−ASA-CHANGの2016年はどんな年でしたか?

ASA-CHANG:僕はASA-CHANG&巡礼名義でアルバムを出しまして、今もツアーをしていますね。あとはNHK(Eテレ)の「ムジカ・ピッコリーノ」という番組に出ておりましたね。

−−新メンバーとして色々と活動を広げながら、ASA-CHANG自身も変わったところはありますか?

ASA-CHANG:少しずつ地に足がついて来た…かなあ。なんせアルバムを出すまでに7年間もフラフラしておりましたから。次にどういう形になるかっていう着地点が見えて来た気もしますね。と、いうより実際には地に足がつけばいいなあ…と、今も思っています。

−−今回の対談に当たってお二人の歩みを改めて振り返ってみたんですけども、ASA-CHANGが東京スカパラダイスオーケストラを脱退した後のソロ初作品『ダブラマグマボンゴ』と、バッファロー・ドーターがレーベル”Grand Royal”と契約されてからのアルバム『New Rock』が同年(1998年)に発表されているんですね。

ASA-CHANG:ああ、トラットリアから出した、胡散臭いジャケットのやつですね(笑)。でも僕、その頃は適当で「これが面白かったら出してくれ!」みたいな感じだったんでね…その頃のバッファロー・ドーターは同じTシャツを着て三角形の三つ巴みたいな、カッチコチの…

一同:爆笑

吉永:ワハハ!三角形だって!“イメージ”ね(笑)。

ASA-CHANG:そうそう(笑)。マスロックのシンメトリーなビジュアルがカッコよかったのを憶えていますねえ…カッコよかったよね!三人でさ、三つ巴のさ…違う?

大野:ワハハ!

吉永:三人で並んでた時だよね。でも言いたいことはわかる。

ASA-CHANG:そうそう!パーツがあるというか、シンメトリーというか…クラフトワークを相似られるというか…ああいうやつですよ!ああいう写真を日本でまず僕は見たことがなかった。

−−今となってはSNSも発達したおかげもあって、海外で活動をすることが以前ほど難しいことではなくなりましたが、日本でCD売上が絶好調へと向かっていた1993年という時代に、バッファロー・ドーターは結成早々にアメリカのレーベルを選択し、世界中を駆け巡るという様はまさにパイオニア的な存在でもありました。

大野:あの頃って通信がE-MAILじゃなくてFAXの時代だったんだよね。だから海外のレーベルからリリースするのに、FAXとかでやり取りしてて…

吉永:そうだ!だってさ、カバーアートの色校(正)を得るのにFAXだからさあ…!

大野:白黒なんだけど!

一同:爆笑

ASA-CHANG:完全に”勘”だね。

吉永:あれは(山本)ムーグさんも困ってた!

大野:そうだよね。白黒の上に文字で” blue“とか”pink”とか書いてあってね、それをイメージするのにね。

吉永:E-MAILに添付ファイルとかもない時代だった、そういえばね!

大野:うそう、E-MAILはあったんだけど、まだ文字だけでしかやり取りできなかった気がする。

吉永:今考えればすごい世界だったよね。…ああ、思い出して来た!すごいね、この話(笑)。

一同:笑

ASA-CHANG:縄文時代の話みたいだもんね。

吉永:そうそう!

大野:思い出した!やり取りにものすごい時間がかかってたのと、よくわかんないまま「来い!」って言われて現地に行ったら、拉致されてる感じでずーっと連れまわされたね(笑)。

一同:笑

吉永:そうだね、拉致だったね!

大野:急に連絡が来るんだよね。

吉永:で、行ったら一ヶ月くらい帰してもらえない。

ASA-CHANG:いつ帰るかわかんないの?

大野:うん、急に延ばされる。「帰れないのかな〜」って、よく思ったよね!

吉永:一応スケジュールが出るんだけど「帰るのがもったいないからこのまま次は○○へ行っちゃいましょうね」って言われて「はい〜?」みたいな、ね!

大野:めちゃくちゃだったよ(笑)!

吉永:で、ヨーロッパを全部回ったら今度はアメリカに飛ばされて、アメリカを回ってまた最後ヨーロッパに戻されて、それでやっと帰って来たり。

大野:一回ツアーが終わっても「評判良かったからもう一個ツアーあげる。」とか言って、五大湖の周りを何回も行き来したこともあったね!

ASA-CHANG:その間はずっとライブを演ってるの?

大野:そう、毎日ライブ演ってるの。

吉永:今考えるとすごいね(笑)!

大野:めちゃくちゃだったよね(笑)。

吉永:でも、それくらいインディペンデントレーベルの人たちがエネルギーを持ってやっていたっていうのが、今になってはすごく感じる。とにかく情熱で動いちゃうっていうことが素晴らしいことだったと思うよね。

大野:うん、今思えば。むちゃくちゃなことばっかりで面白かった!

吉永:あの時の“行き先が分からない感”も良かったよね。2015年に共演したASA-CHANGとのライブも“行き先が分からない感”が面白かったんですよ。一応事前にリハーサルをして、当日もリハーサルをして、この曲をやろうよっていう打ち合わせまでありつつ…でも演っていくうちに…

ASA-CHANG:始まっちゃうと、ね!

吉永:ASA-CHANGはどんどん入ってこられちゃうし、なんでもできちゃうから、一緒に「これもやろうあれもやろう!」って出て来ちゃって、ASA-CHANGは「え?これもやるんですか?」って(笑)。

ASA-CHANG:そう、それで整理がつかないままライブに出ると、逆に面白い時もある(笑)。バッファロー・ドーターの曲に僕が乗っかって演る、一見普通のライブなはずですけど…これが不思議ですよね!

−−想像が益々膨らみますね。

ASA-CHANG:僕の音はピコピコ音ばっかりですよ。キューンっていう音とか。僕の場合はちょっとコミカルな音が多い。

吉永:でも、ネタはすごいシリアスだったりしない?

ASA-CHANG:そう、マシンの中にはあらゆる国の大統領のスピーチが入っているしね(笑)。

吉永:プレゼンテーションがコミカルな感じに見えるけど、中身はめっちゃシリアスだよね。

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本当に音楽が好きな方やハコ(場所)として面白いと思っている方に僕らの音楽がどう響くのか。すごく楽しみですね!(ASA-CHANG)

−−そういった面も両者がマッチしている部分ではないかと感じます。本質は情熱的でシリアスなんだけども、ポジティブな響きを聴かせてくれる。そんな両者が12月28日に初の大阪で、ということですけども。

ASA-CHANG:今回はZakがいるんだよね。

吉永:そうだね。バッファロー・ドーターのサウンドはZakが担当していて、レコーディングも全部一緒にやっているし、ツアーもよく一緒に回っていたんです。

大野:ASA-CHANGのこともよく知ってるよね。

ASA-CHANG:そう、僕にとってもよく知った古い友達。頻繁に会わないけども、話さなくても気が合うので、僕は「Zakに任せれば!」って信頼していますね。

吉永:ライブでは演奏している人の誰の音をどう出すかっていう、サウンド面もすごく重要な部分。そういう意味ではベストメンバーですよね!

ASA-CHANG:そうですね!しかも2回目っていうのが、気合も違う!1回目はどうしてもトライアル的な感じになっちゃいますけど、2回目は嬉しいし気合いが入り方が、1回目の時とは全然違う。

−−一回目の公演は、両者とも慣れ親しんでいる座敷のライブハウスで、お客との距離感がとても近い空間でのプレイでしたね。今回はハコもまたガラリと違う。

吉永:すっごいアウェーですよね(笑)!お食事されてるし!

一同:爆笑

吉永:でも、チャレンジが好きなんでね!だから、すっごく楽しみですね。

−−そうですね、以前からアウェーが大好きっておっしゃっていましたね。

吉永:アウェー大好きですよ!昔からね。

大野:私達目当てのお客さんが誰もいない、とかね(笑)!

吉永:そう!私たちのことを誰も知らないっていう環境でしかやってこなかったからね!

大野:アハハハ!

吉永:逆に歓迎されちゃうと、ちょっと驚いちゃうかも(笑)!?

ASA-CHANG:ビルボードという場所にはアーティスト目当てでははないお客様がいらっしゃるじゃないですか。そういう方は、本当に音楽が好きな方やハコ(場所)として面白いと思っている方。 この日も例えば、おじさまとおばさまが記念日とかで、ビルボードで何やら素敵な音楽ライブをやっているらしいからと入って来られて、僕らの音楽と出会う——そういうサプライズも僕はすごく楽しみにしているんです。そういう人々に僕らの音楽がどう響くのか。すごく楽しみですね!

吉永:そうだね!

ASA-CHANG:訳ありカップルが大切なお食事をしている時とか、ね(笑)。

一同:爆笑

ASA-CHANG:そうそう僕、そういういやらしいトコがあるから…冗談ですよ(笑)!

一同:再爆笑

−−何と言ってもwith ASA-CHANGです。文明開化みたいな曲が更に聞いたことのないグルーヴの連続で…大事な話を忘れてしまうかも。

ASA-CHANG:そうそう、大切な一夜がね、思いもしない音楽によって思いもしない方向に作用したらいいですよね!

吉永:そうだね。皆さん、楽しいと思いますよ〜。

大野:ASA-CHANGも一緒だし!

−−そうでした!インタビューひとつでこんなに爆笑ばかり。ライブでのMCもめちゃくちゃ面白いんです、皆さんが常にフランクで。

吉永:MCはめっちゃくちゃ面白いから(笑)!

ASA-CHANG:いやいやいやいや!もうね、僕はとにかく音楽の「美学」みたいなのを壊してしまわないように、徹底的に気をつけますよ(笑)。

大野:そんなことないでしょ(笑)!

−−この12月28日のライブを終えると、すぐに2017年ですね。バッファロー・ドーターではシュガー吉永さんが新バンド “Halo Orbit(ヘイロー・オービット)”として活動を開始されますね。

吉永:そうなんです。ビルボード(大阪)にはまたすぐにお世話になります。

ASA-CHANG:業界が騒然、ですよ!東京公演はないの?

吉永:東京はまた別の場所(UNIT)でね。現時点ではアルバムも出来ていて、セッションも何回かやっているんですけど、ライブとしてはまだやっていないんです。まあ、日本の公演前にロスで一度ライブして来るんで、大阪では期待していてください!




−−バッファロー・ドーターのアルバムリリースも2014年以来ですから、来年あたりは期待できそうですか?

吉永:そうですね。そろそろ新しいアルバムを作る気持ちになってきています。今回はビルボードで2ステージ演るし、ASA-CHANGと一緒だし、ちょっとくらい新しいマテリアルができたらいいなあって思って、準備をしていますね。大野が、ASA-CHANGがいる前提で「ASA-CHANGがいるからこういう曲ってどうかなあ?」って…

ASA-CHANG:マジですか!!それは嬉しいです!

吉永:まあ、これからリハーサルしてカタチにしていきたいと思っています。

−−素晴らしいニュースが聞けたところで、ASA-CHANGの2017年も聞かせてください。

ASA-CHANG:来年はシュガー(吉永)さんと大野さんに従ってアドバイスをいただきつつ…

一同:爆笑

吉永:笑ってばっかりで、これをどうやって記事にまとめるんだろうね(笑)。

ASA-CHANG:でもね、やっぱり今回(2回目)があったので、バッファロー・ドーターがすごくこれからも身近に感じるというか…。バッファロー・ドーターにはASA-CHANGが自然にいるイメージも面白いのかもな、というくらいにまで今は思っていますね。

Buffalo DaughterとASA-CHANGが2016年によく聴いた曲

「2016年によく聴いた曲」を、シュガー吉永、大野由美子、松下敦、ASA-CHANGに聞きました。

Billboard JAPANのApple Musicプレイリストはこちらから>>>

【シュガー吉永 選曲】
Happy - Mitski
Much More To Lady M (Chris Bear Mix) - Blonde Redhead

【大野由美子 選曲】
Illminated - Arto Lindsay
Happy Gamma Ray - Jino Ohno Mitchell Mills
New Romantic - Andy Stott

【松下敦 選曲】
CLAY - YAMASHITA TRIO
星屑の街 - 三橋美智也
IN A SILENT WAY - MILS DAVIS

【ASA-CHANG 選曲】
DON'T TOUCH MY HAIR - SOLANGE
Big Blue - Native Dancer
もぐらたたきのような人 - 町あかり

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