ニュー・アルバム『A Song For You』

－－今回の新譜『A Song For You』では、マスタリング・エンジニアとしてアデルやシャーデーを手掛けてきたN.Y.スターリング・サウンドのトム・コイン氏を起用しておられますよね。出来上がってきた音を聴いて率直にどう思われましたか？

Tina：お恥ずかしい話なのですが、実はある時期まで、マスタリングってアルバム収録曲全体のバランスと曲間を決めるというような認識でいたんですね。ですが、マスタリングという作業で、音のひとつひとつが変わって楽曲が生まれ変わるというのを実際に体感しました。そういったそれぞれの分野においてのプロフェッショナルの尽力で楽曲に益々命が吹き込まれて、それがあってこその作品というかそんなことを改めて感じています。

－－そして今回のアルバムタイトルにもなっていますが、レオン・ラッセルの名曲「A Song For You」をカバーしておられます。この楽曲を吹き込みそしてタイトルにしようと思ったいきさつを教えてもらえますか？

Tina：今回のアルバムを制作するにあたって、カバー曲を1曲作りたいと思っていて。色々とカバー曲の候補があった中で、良い曲だからカバーするっていうのも１つの理由としていいと思ったんですが、どうしてもその曲をカバーする意味を考えてしまうというか…。この「A Song For You」の「今まで数えきれない程沢山の場所で、拙い歌詞を書いたこともある、何千何万っていう人達の前で歌ってきたけど、今僕はこの曲を君の為に歌うよ」っていう歌い出しと全体の歌詞に改めて向き合った時、是非この曲を歌いたいって思いました。アルバムのタイトルもこの曲からネーミングしました。

－－デビュー当時から親交があるDJ WATARAI氏、ラッパーのAnarchy氏、Super Butter Dogの竹内朋康氏などが今回のアルバムに参加されていますが、それぞれどのようなキッカケで？

Tina：このアルバムには私のデビュー曲"I'll be there"をサンプリングした楽曲が入っていたり、私にとって久々のアルバムということもあり、デビュー当時から公私共に関わりの深いDJ WATARAI君には是非参加していいただきたいと思っていたんです。今作で唯一の客演であるANARCHY君ですが、２年前の彼のアルバムにゲストVo.として参加したんですが、その時に声をかけていただいたのが出会いのきっかけです。彼のラップは誠実で真っ直ぐでハートに突き刺さるというか、ヒリヒリするようなブルースを感じるんですね。彼のラップが入ることで、歌詞の世界観の情景が膨らみました。ギターの竹内朋康君は、実は私が１８歳の頃からお互いに面識はあって。ですが今回は参加していただいた楽曲のアレンジをSWING-O君がやって下さっていて、彼が竹内君に声をかけてくれたんです。それで、今回はじめて楽曲でご一緒させていただきました。

"Soul"、そしてアルバム・リリース・ライブついて

－－Tinaさんの音楽を語る際によく"SOUL"という言葉が用いられることがありますが、いままで"SOUL"とどのように関わり、今後はどのように"SOUL"を表現していこうと思いますか？

Tina：ジャンルという意味でのソウル・ミュージックは、私自身一番影響を受けていますね。ですが、ここ数年音楽と向き合っていく中で、自分の今まで思ってきた「ソウル・ミュージックはこうあるべき」というこだわりが表面的で、すごくちっぽけに思えた時があって。去年の震災もひとつのきっかけではありますが、ジャンルや形式に関わらず、いいなと思える音楽はあって、そういう音楽はハート、魂の奥に響いてくるという共通点があるんですね。そういった意味で、私自身自分の音楽に対してもっと自由にありたいと思うし、そう思っている時点で実はすごく不自由だったりして(笑)　聴いて下さった方のどこかに残るような、Tinaなりのソウル・ミュージックになればと思っています。

－－ 8月22日のビルボードライブ大阪でのライブはどのような内容になりそうですか？

Tina： アルバムでも参加してくれたミュージシャン、そして以前からライブで一緒にやってきたミュージシャンなど、最高のグルーヴで演奏してくれる素晴らしいミュージシャン達とのステージは楽曲のアレンジ含めて、このライブならではのステージになると思います。これからリハーサルなのですが、私自身も楽曲がどんな風になるか今からとても楽しみです！皆さん是非、New Album『A Song for You』をチェックして、ライブにお越しいただけたら嬉しいです！！！