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2020/08/11

米Twitchでの音楽使用料に関してミュージシャンから親会社アマゾンのジェフ・ベゾスへ公開書簡

 アマゾンの創設者でCEOのジェフ・ベゾスは、先月末の議会聴聞会の証言で、同社の傘下にあるライブストリーミング・プラットフォームTwitchにおいて、ユーザーがストリーミングした音楽に対してロイヤリティーを支払っているかどうか確かではないと認めた。彼のこの発言は、アーティストが運営する非営利であるアーティスト・ライツ・アライアンスから怒りを買い、Twitchでの音楽ストリーミングが急増する中、アーティストに公平な取り分を支払うようベゾスに書簡を送った。

 「私たちは、これらのTwitchによる行為に関する最も基本的な質問に、あなたが答えることができない、または答えようとしないことに驚愕しました」と書簡で述べ、「Twitchが、音楽を使ってオーディエンスを増やし、ブランドを形作る中で、クリエイターに対してあなたが議会証言で示した意図的に目を背け、曖昧で中身のない考え以上の借りがあります」と続けた。

 この書簡は、プロデューサーのイヴァン・バリアス、ロザンヌ・キャッシュ、音楽マネジャーのトーマス・マンジ、キャッシュ・ミュージックのエグゼクティブ・ディレクターであるマギー・ベイル、ギタリストのマシュー・モンフォート、ケイクのジョン・マクレア、ティフト・メリットを含むアーティスト・ライツ・アライアンスの取締役会員によって署名されている。

 米アマゾンが2014年に買収したTwitchは、従来のゲーム・コミュニティーに焦点を当ててきた。しかし、コロナウイルスのパンデミックが、ストリーミングを収益化したり、世界のファンとの繋がりを保つことができるTwitchを多くの音楽アーティストが使用するよう駆り立てた。ストリームラブズとストリーム・ハチェットの最近の報告によると、Twitchは2020年第2四半期に50億時間の視聴があり、2019年を83%上回り、業界アナリストは2021年までに4000万人の米国ユーザーを超えるペースでTwitchが成長すると予想している。

 しかし成長するにつれ、Twitchには音楽ライセンス契約の欠如に関する精査が増々必要となる。Twitchは、ユニバーサル・ミュージック・グループ、ソニー・ミュージック、ワーナー・ミュージック・グループ(または、それらの出版機関)とのライセンス契約をしておらず、パフォーマンス権利団体のASCAP、SESAC、BMIとの契約がある。

 YouTube、TikTok、インスタグラム、およびユーザーがアップロードしたコンテンツをホストする他のプラットフォームと同様に、Twitchは1998年のデジタルミレニアム著作権法(DMCA)の「セーフ・ハーバー」規定の下で運営されており、権利保有者からの削除要求に迅速に対応する限り、ユーザーによる著作権侵害に対する責任からコンテンツをホストするプラットフォームは保護さている。6月に、政策立案者が議会でDMCAの有効性について議論していたのと同じように、アメリカ・レコード協会(RIAA)はTwitchユーザーに2500件の著作権侵害による削除通知を提出し、Twitchにライセンシングに関してさらなる圧力をかけているようである。

 アーティスト・ライツ・アライアンスの書簡には「アマゾンが適切なライセンスを受けたストリーミング・サービスをいくつか提供していることに感謝します。しかし、アマゾンの子会社Twitchは、先ほど述べたサービスの1つではありません」と綴られており、「削除要求を処理するだけで、最小限で不十分な努力しか行わない会社の明らかな怠慢」を非難し、Twitchで音楽が使用されたアーティストやソングライターがいかに公平に支払われるか公に説明するようベゾスに求めることで書簡は締めくくられている。  

 Twitchのライセンス苦境にもかかわらず、膨大なオーディエンスとクリエイターのための収益化オプションは、多くの音楽業界の関係者が見送るにはあまりにも魅力的である。先週末、米サンフランシスコの【アウトサイド・ランズ・フェスティバル】は、過去のアーカイブ映像や近々発表される新しいパフォーマンスを8月28日~29日にTwitchで独占的に無料のバーチャル・イベント「インサイド・ランズ」を開催すると発表している。また先月末、Twitchはロジックと独占的なライブ・ストリーミング契約を結び、同社にとって初の音楽アーティストとの契約となった。 

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