2017/09/02 12:00
今週は、桑田佳祐の6年半ぶりとなるオリジナル・アルバム『がらくた』が、Hot Albumsでダントツの首位を獲得した(【表1】)。グラフを見るとただの点がひとつあるだけだが、セールスもルックアップ(CDのPCでの読み取り数)も、曇りのない1位であるということ。8月23日の発売日から3日間の初動だけで10万枚を超え、初週の累計は168,681枚。2位の『THE IDOLM@STER MILLION LIVE! M@STER SPARKLE 01』が18,434枚と桁がひとつ違うことから考えても、どれほどの勢いなのかがわかるだろう。最近のヒット作でいうと、スピッツの3枚組ベストは初週が8万枚弱、RADWIMPSの『君の名は。』も5万5千枚ほどだ。もちろん、初動の強いアイドル系などでは20万超えも珍しくはないが、桑田ほどのベテランの作品で、ここまでの指数を稼ぐというのは並のことではないだろう。
このチャート実績も、ただ漫然とリリースしているからではない。本人稼働を含めたプロモーションが綿密に行われ、それが功を奏しているからに他ならない。例えば、アルバム・リード曲「オアシスと果樹園」のアクションを見ればよくわかる(【表2】)。5月からCMタイアップとして使用されているが、この時点ではリリースもないためほぼチャートの動きはない。しかし、先行配信されてラジオでのオンエアが解禁された8/21付で一気にオンエア回数は3位にまで上昇し、アルバム発売週の今週は見事1位に到達(緑のグラフ)。これは、マスコミの支持が非常に高い上に、ラジオを中心としたプロモーションが成功したということだろう。
しかし、こういった宣伝戦略も、作品の内容が伴っていないとここまでの効果は得られなかったはず。ドラマやCMのタイアップ楽曲も多数あるとはいえ、それ以上に桑田節がぴりっと効いた宝物のような名曲が、アルバムにはぎっしりと収められているのだ。『がらくた』という桑田らしい自虐的なタイトルも、その中身のクオリティの高さと、これだけの実績を出せる自信があってこそといえるだろう。Text:栗本斉
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