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新国立劇場『ルチア』開幕 固唾飲む世界最高の「狂乱の場」ペレチャッコ、ジョルディ、ルチンスキー

 新国立劇場にて、ベルカント・オペラの最高傑作ドニゼッティ作曲「ルチア」が314日に初日を迎えた。注目のタイトルロールにはロシアの若きスター、ペレチャッコが出演。狂乱の場ではグラスハーモニカの幻想的な音色と共に客席を狂気の世界へ誘った。

 スコットランドの貴族の館で実際に起こった悲劇を元に書かれた、サー・ウォルター・スコットの小説『ラマムーアの花嫁』を元に、オペラ用に簡素化した脚本に作曲された悲劇『ルチア』。家の存続の為、恋人エドガルドとの仲を兄に引き裂かれたルチアは、望まない相手との婚礼の夜に、絶望のあまり惨劇を引き起こし、正気を失ってしまう。

 モンテカルロ歌劇場と共同制作での新制作となるこの舞台は、ドニゼッティが生きた19世紀ヨーロッパのロマン主義をキーワードに、幻想的な世界を描き出している。冒頭、波が打ち寄せては引いていく海辺の岩場の場面から始まり、そして収束するこの演出では、常に波の音が通底して流れ、これがスコットランドの海岸で起きた事件だということを思い起こさせる鍵となっている。

 タイトルロールは「ベルカントの新女王」と評されている美貌のスター、オルガ・ペレチャッコ=マリオッティ。コロラトゥーラの超絶技巧を駆使して歌う「狂乱の場」では、珍しく、作曲オリジナル通りの楽器、グラスハーモニカとの二重唱を聴くことができる(通常フルートに置き換えられることが多い)。この世のものとは思われない幻想的な音色を響かせるグラスハーモニカと常軌を逸した超絶技巧により、幻想的な狂気の世界が出現し、客席は固唾を飲んでこの美しい時を見守っていた。

 恋人であるエドガルド役は、同役を世界の劇場で歌い好評を博しているスペイン人テノールのイスマエル・ジョルディが鮮やかな美声を響かせドラマティックに恋と裏切り、そして絶望を歌い上げた。また兄エンリーコ役には、世界の一流劇場で目覚ましい活躍をしているアルトゥール・ルチンスキーが登場。家長の威厳と重量感を、安定感ある圧倒的な歌唱力で聞かせた。

 「ルチア」公演は326日まで全5公演。この新制作のプロダクションは、201911月のモナコ公国建国記念日にモンテカルロ歌劇場での上演が決定している。新国立劇場から世界へ発信される「ルチア」。世界最高峰の歌声が描く悲劇を、聞き逃さないようにしたい。
text:yoano /
写真撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

公演情報
ドニゼッティ作曲 オペラ「ルチア」
2017
314日~326日(日)全5公演
新国立劇場



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