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FMfanのアーカイヴであの時代にタイムスリップ!タイムマシーン特集

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ニュー・ロックとモダンフォークそれにジャズの名盤もそろう

CBS・ソニー 3月新譜
No.4

ニュー・ロックとモダンフォークそれにジャズの名盤もそろう
Photo: Getty Images

● 「サンタナ」
新しいニュー・ロック・グループで、このレコードはアメリカではベスト・セラーを記録した。コンガやティンバルなどラテン打楽器を加えたユニークな編成で、サウンドにも個性がある。一種ラテン・ジャズ的な色彩が入ってきている。グレッグ・ローリーのオルガンがジャズ的なアドリブを展開、リーダー、カルロス・サンタナのギターも実力を有している。曲によってトランペットなども加え、ニュー・ロックに、ラテン・タッチをもち込んだところが新鮮だ。ジャズ色が強くジャズ・ファンにも歓迎されよう。「ウェインティング」「エビル・ウェイズ」など9曲がきける。

●「イッツ・ア・ビューティフルデイ」
ニュー・ロックの新しい方向として注目されているヒッピー・ミュージックともいうべき、ドラッグ・サウンドとかマリファナ・サウンドとか呼ばれる一派である。全米のLPチャートで上位にランクされており日本でもようやく話題になってきたようだ。イッツ・ア・ビューティフルデイというのがグループであり、グループ名通りのやさしく、美しい音楽を奏でるチームで、フォーク・ソング的なタッチが感じられる。ヒッピーとは本質的に平和と愛を求める人たちの群でありシャロン・テート殺しの一派などはヒッピーの風下にもおけないにせヒッピーである。6人編成のグループで、リーダー格のデヴィッドとリンダ・ラフレイムの2人が書いた曲ばかり7曲が歌われ、演奏されている。抒情的なものが多く誰にでも愛されるだろう。

●「ソーサラー」
マイルスとウェイン・ショーターによるコラポレーション(共同作業)がもっとも美しく開花したLPのひとつで、ショーターの作、編曲を主にした一種クールなグループ・サウンドがききものである。「ESP」「マイルス・スマイルズ」の延長線上に位する作品でもあり、とくにショーターのオリジナルの多い点がききものだ。「プリンス・オブ・ダークネス」「マスクアレロ」「リンポ」「ポネッタ」がショーターのオリジナル。「ソーサラー」はハンコックの作品で、魔術師とは彼がつけたマイルスのあだ名である。「ネフェルティティ」(SONP-50186)は、これにつづくマイルス・クインテットの演奏で、タイトル曲がききもの。やはりマイルスとショーターのコラボレーションで、ここでは、即興演奏のない幻想的なプレイが神秘的な雰囲気を作り出している。この曲はナイル河の上流で発掘された古代エジプトのネフェルティティ王妃の胸像に感銘を受けて作曲された曲である。「ソーサラー」とともにマイルスの傑作LPとして見逃せない。

●「ブラボー! ブルーベック!」デイヴ・ブルーベック・クァルテット
 ブルーベック・クァルテットが解散直前に、メキシコのプエブラ・ジャズ祭に出演したときの実況録音盤で、メキシコの民謡を中心にしたラテン・ナンバー集となっており、ブルーベックの陽気な作風とよくマッチして、楽しい演奏となっている。ポール・デスモンド(アルト)とのコンビネーションも絶妙だ。
 とくにメキシコ録音とあって、現地のミュージシャン、サルパトール・ラビート・アグエロス(ボンゴ、コンガ)ベンジャミン・チャミン・コレア(ギター)が客演、ラテン・ムードを出している。「シェリト・リンド」「ベサメ・ムーチョ」など有名曲が多く、ポップス・ファンにも喜ばれよう。

●「ジョージ・ベンソン・ファースト・アルバム」
 ベンソンは若手の黒人ギターで、目下、亡きウェス・モンゴメリーの後任者的役割を果たし、大活躍しているが、これはベンソンがCBSに吹き込んだ2枚のLPからビック・アップして作ったレコードで、ベンソンのソウルフルで、若々しいプレイが堪能できる。オルガン、バリトソ・サックス、ドラムを加えたクァルテットの演奏で、R&Bバンドの出身者らしく、ベンソンはロック調を身につけている。「ザ・クッカー」「オール・オブ・ミー」など10曲がきかれる。

●「ルイ・アームストロング・プレイズW.C.ハンディ」
 名盤を発掘、発売するディグ・シリーズの1枚である。CBSに吹き込まれたサッチモのLP中、ベスト・ワンに挙げられるのが、このブルースの父W.C.ハンディの曲ばかりを演奏したLPだ。ハンディのディキシーによる名演は意外に少ないが、これはまったく理想的にいっている。1954年7月にシカゴで吹き込まれたものでトラミー・ヤング(tb)パーニー・ビガード(Cl)ビリー・カイル(p)らを加えたオールスターズによるもので、故ヴェルマ・ミドルトンの歌も傑出している。「セントルイス・ブルース」「ラブレス・ラブ」らの名曲が11曲きける。

●「フリーホイーリン」ボブ・ディラン
このところ、またボブ・ディランの人気が急上昇してきている。モダン・フォークの世界においてディランが果している役割は大きく、彼の音楽には、現代の状況が見事に反映されている。このレコードは、ディランの2枚目のLPに当り、今日では、ディランを知る上で欠かせない重要なLPに数え上げられている。すでにフォークのスタンダードともなっている「風に吹かれて」「北国の少女」「くよくよするなよ」などがきかれる。

●「アンディと歌おう/ゲット・トゥゲザー」
アンディ・ウィリアムスの待望の新作で、オズモンド・ブラザーズ、ロード・ストーンとの共演もきかれる。最近のヒット、「アクエリアス」「ロミオとジュリエット」「ゲット・トゥゲザー」などが収められており、ポップ・ヴォーカルの楽しさが満喫できる。

●「華麗なるピアノ・ムード/ヘアー」
ポピュラー・ピアニストの人気男ピーター・ネロはRCAからCBSに移籍したが、これはその2枚目のLPで新作。スタン・アップルパウン指揮のオーケストラと共演、快いイージー・リスニングに徹している。ネロは若々しい感覚とすぐれた技巧が売りもので、ここでは最近のヒット・ナンバーを中心に演奏している。「アクエリアス」「真夜中のカウボーイ」「風のささやき」などどれもききものだ。

●「ナタリーの朝」オリジナル・サウンド・トラック
近く封切られる、東和提供の映画「ナタリーの朝」は、醜女を主人公に、現代の愛と生き方を追求したもので、芯のあるアメリカ映画として注目される一作。また、ヘンリー・マンシーニの音楽が久しぶりに光っており、ロッド・マッケンが自ら作詞して歌った主題歌も美しい。このところ人気の出てきた映画音楽の中でもとくに印象ぶかいもののひとつで、映画ともども大ヒットしそうである。「ナタリー」「愛するデヴィッドヘ」など11曲がきかれる。

●「デサフィナード! ボサ・ノバ・ベスト・アルバム」
 これは日本で録音されたイージー・リスニング・タッチのポサ・ノパ・アルバムである。
 演奏は鈴木康允カルテット・プラス西条孝之介で、西条のソフトで、甘美なテナーがよくポサ・ノバのフィーリングを生かしている。「イパネマの娘」「デサフィナード」「黒いオルフェ」など名曲ぞろいである。

(岩浪良三)

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サミー・デイビス・ジュニア 万国博のオープニングを飾る

満員の客席を本場アメリカのショーのふん囲気に
No.4

サミー・デイビス・ジュニア 万国博のオープニングを飾るPhoto: Redferns

万国博のポピュラー部門の催し物は、初日十五日 万国博ホールで行われた「サミー・デイビス・ジュニア・ショー」でその幕が切って落とされた。さすがの大物のサミー・・・・
満員の客席を本場アメリカのショーのふん囲気にすっかりひたらせていた。
「アイブ・ゴッタ・ビー・ミー」「ビギン・ザ・ビギン」などレパートリーをたっぷり聞かせ、会場を多いにわかせた。

(共同)

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楽団をバックにピアノをひきながらレイ・チャールズは歌う

RAY CHARLES’ SHOW/7月13日 東京・厚生年金ホール
No.16

楽団をバックにピアノをひきながらレイ・チャールズは歌う Photo: Redferns

彼の楽団をバックにピアノをひきながらレイ・チャールズは歌う。豊かな声の表情と全身でたたくピアノが指揮に代わる。さらにサックスも吹くこのエンターテイナーには専属の女性ボーカル・グループ、レイダーズがコーラスをつとめ、ショーは一分のすきもない。「愛さずにいられない」「ホワット・アイ・セイ」「わが心のジョージア」などのかつてのヒット曲から「イエスタデイ」などポピュラー・ナンバーまで、ソウルフルなレイ・チャールズぶしを聞かせた。

(共同)

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新しいロック・ミュージックの追及に若い力をそそぐFREE

ストーンズと並ぶ強力なサウンド・クリエイターとして急上昇中
No.25

新しいロック・ミュージックの追及に若い力をそそぐイギリスのフリーは、今やローリング・ストーンズと並ぶ強力なサウンド・クリエイターとして急上昇中である。このグループは1968年春、ブラック・キャット・ボーンズという名前で結成されたが、すぐ“フリー”と改称してデビューした。69年、70年と連続してワイト島のミュージック・フェスティバルに参加、ドアーズ、ザ・フー、スライ&ファミリー・ストーンらと競演して圧倒的な人気を呼んだ。

彼らのアルバムには「フリーNO.1」「フリーNO.2」に続いて、日本フォノグラムから現在「ファイア・アンド・ウオーター」が発売されている。この中の“オール・ナイト・ナウ”はこの夏イギリスのヒット・パレードでトップを独走した。

(共同)

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ハービー・マンが昨年に次いで4度目の来日

五重奏団“ハービーとファミリー・オブ・マン”を新編成
No.18

ハービー・マンが昨年に次いで4度目の来日Photo: Redferns

ジャズ・フルートにかけては世界中でもその右に出るものがいないというハービー・マンが昨年に次いで4度目の来日をする。しかも今回は来日公演に際して五重奏団“ハービーとファミリー・オブ・マン”を新編成しており、その中には昨年の来日以降、ソロ・アルバムを出したりして急激に世界的人気を得るようになった若手ベーシストのミロスラブ・ビトウスや新しく入団した新進気鋭のサックス奏者、スティーブ・マーカスらが顔をそろえている。ほかに団員はソニー・シャーロック(ギター)、ダニエル・ユメール(ドラムス)がいるが、いずれも現代ジャズ界の最先端をゆくプレーヤーばかり。またハービー・マン自身も相変わらずの人気に加えて、最近彼が設立したエンブリオウ・レコードの出足がすこぶる好調なだけに大いに期待してよかろう。東京公演は8月31日、9月1、7日(サンケイホール)、13日(日比谷公会堂)、15日(渋谷公会堂)。そのほか、大阪16、17、19日(フェスティバル・ホール)、八幡2日、福岡3日、札幌4日、川崎8日、名古屋12日、京都18日、西宮20日、神戸21日と巡演する。

(共同)

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ボブ・ディランの新アルバムの吹き込みは終了

アル・クーパーが、イギリスの音楽誌メロディ・メーカーに語った
No.21

ボブ・ディランの新アルバムの吹き込みは終了Photo: Time & Life Pictures

ベスト・セラー中の2枚組みアルバム「セルフ・ポートレイト」につづくボブ・ディランの新アルバムの吹き込みは終了したと伝えられる。このニュースは、過去6ヵ月間、ディランの新アルバム吹き込みに働いた、アル・クーパーが、イギリスの音楽誌メロディ・メーカーに語ったもので、それによると、全曲ディランのオリジナル、彼のアルバム「ブロンド・オン・ブロンド」を連想させるという。アル・クーパーのほか、ドラムスのビリー・マンディ、ベースのハービー・ブルックス、それにビートルズのジョージ・ハリスンも吹き込みに参加している。ディランは、歌とギターに、珍しくピアノもたたいているがなんとも異様な、しかし、それでいていかした演奏で、だれも彼の様にはひけない、とアル・クーパーは語っている。発売日などの詳細は、いっさい分からない。

(共同)

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