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<インタビュー>ふみの、1stアルバム『僕のすべてを知ってるような君だから』で見せる新たな表情

インタビューバナー

Interview & Text:小松香里
Photo:堀内彩香


 社会現象を巻き起こしたガールズグループオーディション【No No Girls】のファイナリスト、ふみの。ちゃんみなから贈られた「favorite song」でデビューして以降、いくつものタイアップ曲をリリースし、全国路上ライブツアーを始めるなど、さまざまな経験を通して研鑽を積んできた。初のアルバム『僕のすべてを知ってるような君だから』は、シンプルな歌とメロディを軸に、ふみののシンガーソングライターとしての確かな才能を感じさせる一方、これまで見せてこなかった表情も詰まっている。アルバムに込めた思いから、楽曲制作、そして初のワンマンライブツアーへの意気込みまで、ふみのに話を聞いた。

――『僕のすべてを知ってるような君だから』というアルバムタイトルにはどんな想いがありますか?

ふみの:歌詞も曲調も一曲一曲が異なる色を持つアルバムなので、ジャンルで括れないこのアルバムにはどういうタイトルが良いのか、かなり迷いました。私の経歴や年齢、性別というフィルターを通していろんな視点から「ふみの」という存在が定義されてきたと思いますが、このアルバムを聴いて「今の私」のことを知ってもらえたら嬉しいなと思って、最終的に『僕のすべてを知ってるような君だから』というタイトルをつけました。


――アルバム曲のことを中心に聞かせてください。1曲目の「18」はアルバムタイトルのお話にも通じる、これまでリスナーに見せてこなかった、ふみのさんの孤独感や強がりな気持ち、嫉妬といった一面が出ている曲だと思いました。

ふみの:デビュー前に書いた曲です。「favorite song」とどっちをデビュー曲にするか、ずっと迷っていた曲ですね。タイトル通り、18歳だった頃の自分について書いた曲で、これまでで一番自分の弱い部分をさらけ出しているので、リリースすることに恥ずかしさを感じるくらいです。この曲のMVを撮った時に、改めて歌詞と向き合って、「当時の自分はかわいそうな状態だったんだな」と思いました。当時は、ネガティブな気持ちはありながらも、私にはアーティストになるっていう夢があるから、ネガティブな気持ちは放っておこうという、半ば諦めの気持ちがあったんです。高校生で見えてる景色も狭かったので。今はネガティブな気持ちになったら溜め込まずに誰かに相談できていますし、自分のやりたいことができていて、この時よりは幸せに過ごせていますね。


――アルバムの1曲目にしたのは原点という想いもあったのでしょうか?

ふみの:そうですね。曲調は置いておいて、自分のことを書いている曲が多いので、曲の中で書いている自分の年齢順に並べてみようと思ったんです。そうなるとやっぱり最初は「18」だなって。



ふみの / 18 -Music Video-

――デビュー曲の「favorite song」を挟んで、「White lie」でもふみのさんの強がりな一面が出ていますよね。

ふみの:私って素直じゃないんですよね(笑)。ありのままでいることを大事にしていて、ファンの方に対しては、素直な気持ちを曲にできるんですが、近くにいる人に対してはそれができなくて、想いを伝えるのが苦手なんです。「White lie」、「白い嘘」、「優しい嘘」っていう3つの言葉がスマホのメモに書かれていて、いつか曲にしたいなって思って、この曲で昇華しました。「愛ゆえの自己犠牲」とも言える、優し過ぎる人のことをテーマにした曲です。「もっと自分を出して良いんだよ」っていう。この曲はクラシックギターの音色を活かしつつ、独創的なサウンドをアクセントに差し込みました。


――「どっちがいい?」は、「favorite song」にも参加していたNatsuhiko OkamuraさんとSANGWOOさんとの共作曲です。爽快でパワフルなバンドサウンドですが、どんなイメージがあったんでしょう?

ふみの:華やかさのあるバンドサウンドをイメージしました。私は優柔不断なので、「どっちがいい?」って聞かないでほしいっていう気持ちから生まれた曲です(笑)。選択肢を与えてほしくなくて、どこに行くかとか決めてほしいんですよね。何を食べるかも決められないです。与えられる選択肢に翻弄されながらも、最終的には「僕は君が好きなものが好きだよ」という歌詞で不器用にも答えを出している、愛おしい曲です。



――「満腹」は、普段のふみのさんとはまた雰囲気が異なりますね。

ふみの:デビュー後の気持ちを書いた曲です。環境が大きく変わったのに、自分の気持ちはあまり変わってなくて、そのことに戸惑ったんです。今思うと、周りが変わっても自分が変わらないって良いことだと思うんですが、当時は「夢だったアーティストのスタートラインにやっと立つことができたのに、私はなんで変われないんだろう?」って思って。当時はデビューしたら、それまでの自分とは違う何かになれると思っていたのかもしれないです。「あともう一歩」を求めてしまう当時の心境を描いたこの曲にふさわしいタイトルを模索していたとき、食事シーンからとある着想を得ました。腹八分目がちょうど良くて、満腹になってしまうとちょっと気持ち悪さがある。けれども満腹の状態では、腹八分目で食事を終えようとした時には無い、もう一口、もう少し、食べたくなってしまう気持ちが出てきてしまうと思ったんです。そんなあと少しを求めるようなシーンがこの楽曲とリンクしていると思い、タイトルは「満腹」にしました。


――「ロックスター」はまさにロックスターらしい曲ですが、【SWEET LOVE SHOWER】で早速披露されていました。

ふみの:最後に演奏したんですが、【SWEET LOVE SHOWER】出演時はまだリリースされていなかったので皆さん知らない曲のはずなのに盛り上がってくれて、めっちゃ楽しかったです。ライブで盛り上がる曲を1曲は入れたいと思って作りました。誰かの意見に惑わされることなく「自分らしく生きていきたい」という強いメッセージを込めた曲です。


――〈今日の僕は真実なんかじゃ 揺るがないロックスター〉というフレーズが何度か出てきますが、ふみのさんのロックスター像が反映された曲なんでしょうか?

ふみの:自由にやりたいことをやるっていうロックスター像に自分がなりきって歌を歌うイメージで書きました。ひとつ例を挙げるとすると、小学生の時、あいみょんさんの「生きていたんだよな」を聴いて、「こんな自由な表現の曲があるんだ」って驚いて、そこから生まれたロックスター像っていうのはひとつありますね。あいみょんさんとは夏フェスで挨拶することができて、すごく嬉しかったです。


――複数の夏フェスに出演される中で、特に印象的だったライブというと?

ふみの:ハルカミライさんのライブです。お客さんの上をメンバーの方が歩くような演出を見て、「これこそロックだ!」って思いました。MCも熱くてかっこよくて。強い刺激を受けました。



――「生きろ」もロックサウンドですが、どんなイメージがあったんですか?

ふみの:この曲もOkamuraさんとSANGWOOさんとセッションで作りました。歌詞は自分ひとりでじっくり考えながら書きたいタイプだったんですが、「favorite song」をちゃんみなさんが作ってくださった時、その場でクイックに歌詞を書いていて、それがとても印象に残っていて。私もそういう詞の書き方をやってみようと思った時に、スマホにメモしていた「石ころ 生きろ」というワードが目に入って、それを入れて書いていきました。多分この時はすごくポジティブだったんだろうなって思うような歌詞ですよね。私は場所や状況によってマインドが大きく変わるので。


――強がりでもあり、孤独を感じることもある自分を前向きにするための意識はしているんですか?

ふみの:あまりしてないですね。ネガティブな気持ちは、それはそれで曲にできるので、「今はネガティブな時期なんだな」くらいの感覚でいます。だから、結局はポジティブなんだと思います(笑)。


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――「うたかた」はJ-POPのエッセンスが感じられる曲ですね。

ふみの:そうですね。このアレンジがめっちゃ好きで。広がりをとても感じる曲になったなって。


――歌詞に「お前」や「あいつ」というワードが出てきますが、特定の人物がいるのでしょうか?

ふみの:仲の良い友達で、すごく前向きですべてのことがうまくいくみたいなマインドの人がいるんです。私が将来について悩んでいる時期も、その人が先のことについて悩んでいることを見たことがなくて、今を生きてるって感じで。その友達の生き方にインスピレーションを受けて、今を大切に生きようってテーマを軸に書いた曲です。人生って輝く時もあれば、そうではない時もある。だからこそ今を大切にしたいなっていう。


――ふみのさん自身は、今は先のことを悩んだりは?

ふみの:あまり悩まないですね。やっぱり「18」で描かれてる心境とは変わっていて。もちろん辛いことはありますが、曲にすると気分がころっと変わったりします。あと、友達と喋ると気持ちがリセットできるんです。不思議な力を持っている友達がいて。すごく大事な存在ですね。


――「東京」を最後にしたのはどうしてだったんでしょう?

ふみの:10曲目の「うたかた」で、「先のことはあるけど、今を生きたいよね」って歌った後に、気分が沈んだり上がったり、自分を見失ったりもする。「それでも私は東京で生きます」と宣言するような「東京」が、流れ的にはぴったりだなと思ったんです。「東京」だけはっきり言い切ってる曲なので、締めとなるアルバムの最後を飾るのに相応しいと思いました。


――ふみのさん自身の覚悟が、曲順に重なったんですか?

ふみの:重なりましたね。アルバムをひとつのストーリーとして聴いてほしくて。「ホットライン」で愛を知って、その愛を自分がダメにしてしまって、「よくあるはなし」に繋がる。最初から聴いていただいた上で、最後「東京」を聴くとまた聴こえ方が変わると思うんです。曲順はすごく迷ったんですが、最終的に「この曲順しかない」って思いました。



――アルバムを作るにあたってたくさん曲を書いたそうですが、入ってない曲もありますか?

ふみの:結構ありますね。今回は、自分のことを歌っている曲で、かつ“未完成の愛”っていうのが裏テーマがあって。その上でいろんな愛の曲を入れていきました。寂しがり屋な自分が出たアルバムだなって思います。ずっと誰かを求めてるんだなって。曲になるとそういう自分に気付きます。


――曲作りのおもしろさをどう感じていますか?

ふみの:いろんなジャンルの曲ができて、音楽ってすごく楽しいなって思いましたね。自分の軸みたいなものも感じられるのがおもしろい。どんどん曲を作っていきたいです。


――9月20日からは東名阪の初のワンマンライブツアーが行われます。

ふみの:ラブシャはアルバムの曲も含めて、これまでで一番長い時間ライブをやったんですが、めちゃくちゃ楽しかったんです。ワンマンはもっとたくさんの時間、お客さんの前でライブができる。あと、路上ライブツアーを通して、お客さんとライブを作っていく感覚を覚えられたこともあって、路上ライブで重ねた研鑽をどう活かすか、というところも個人的にはすごく楽しみです。


――ふみのさんならではのライブを作り上げている段階だと思いますが、ご自身のライブをどんな場所にしていきたいと思っていますか?

ふみの:気楽に楽しめる空間でありたいなって思ってます。路上ライブも、最初はMCで話すことをしっかり固めていたんですが、徐々にリラックスできるようになって。事前に話すことを考えずにその場で思いついたことを話すようになって、すごく楽しくなったんです。最高にかっこいいパフォーマンスをお届けするのはもちろん、その場の空気感を大切にしたいですね。


――ファンの方の反応で特に印象的だったことはありますか?

ふみの:全国路上ライブツアーの最終公演地最後が東京だったんですが、「東京」を皆さんが一緒に歌ってくれて。そういうことは初めてだったので、めちゃくちゃ嬉しかったです。ワンマンライブツアーでも一緒に大合唱できるような演出を考えたいなと思いました。路上ライブツアーを越えるくらい、ワンマンライブツアーも会場がひとつになって楽しめるライブにしたいです。



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