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<インタビュー>TAEYONGが“WYLD”である理由 抑圧から解放され、本能のままに

Text & Interview: Mariko Ikitake
Photos: Yukitaka Amemiya
NCTの “NEO KING” TAEYONGが帰ってきた。前作から約2年3か月ぶりとなる渾身の1stフルアルバム『WYLD』は、あらゆるジャンルの枠を超えた音楽性の中に、抑圧から解き放たれた野生の本能が宿る一枚だ。自由に、野性的に、そして本能のままに――その姿は一言では言い表せない。
Billboard JAPAN初登場となるTAEYONGに、今作が完成するまでの制作過程から、“WYLD”の言葉に込められた真意、そして今年の活動展望まで、じっくりと話を聞いた。まずは取材前日に催された、日本でのファンサイン会で交わされたシズニとの交流エピソードの話題から。
──サイン会の様子やファンの方々の喜びの声が、たくさんSNSにあがっていました。
TAEYONG:ひさしぶりにファンの皆さんに会えて本当にうれしかったです。本当に昔から、10年ぐらいずっと僕のことを好きでいてくださっているファンの方々もいらっしゃって。このアルバムのことや先日出演したフェスティバル【Seoul Jazz Festival 2026】のことなど、いろんなトピックを話す時間が楽しかったです。僕がこれから(6月20日)出演するフェスティバル(【RAPBEAT FESTIVAL 2026】)にも期待してくれていることも教えてくれました。
──【Seoul Jazz Festival 2026】のパフォーマンスはバンド演奏でしたね。
TAEYONG:バンドスタイルでソロ活動をするのがあまりなかったので、とても楽しかったです。

──『WYLD - The 1st Album』は一言で表現するのが難しい、多彩なジャンルサウンドに溢れていて、TAEYONGさんにとっても新しいフィールドに挑戦する機会になったと思います。リリースから少し時間が経った今、このアルバムをどう見ていますか?
TAEYONG:『SHALALA』や『TAP』と違う大きな点は、(前作から)2年3か月ぐらい、ひとりで曲を作りながらたくさんのことを考える時間があったところです。リリースしてから2~3週間ぐらい経った今でも、ファンの皆さんが収録曲をたくさん気に入ってくださっているので、努力をした甲斐がありました。以前の作品と比べて、ディープになったというか、僕の考えや感情を言葉で伝える方法がより正確になった気がするんです。メロディーの作り方やライム(韻)の組み合わせなど、そういった構成の部分の精密さが、『SHALALA』や『TAP』よりも増したと思いますし、歌う時のデリバリーも非常によくなったと感じています。何より、以前よりもさらに音楽に対する欲が大きくなったと言えます。
──この作品に点数をつけるとしたら10点満点で何点でしょうか?
TAEYONG:うーん、8.5点。残りの1.5点は、もっと努力して、次のアルバムで満点を狙いにいきます。
──収録曲の全10曲の作詞、9曲の作曲を担当されました。このアルバムの作風やテーマの決め手となったキーポイントになった出来事はありますか?
TAEYONG:僕は、K-POPはすべてのジャンルが可能だと思っているんです。僕自身も音楽はオールジャンル好きなので、いろんなジャンルを織り混ぜてみたいという気持ちがいつもありました。これはある時から思い始めたことですが、だからこそ、ジャンルを横断した作品が作れたと思いますし、失敗があったからこそ可能になったとも思います。
──その失敗というのは、例えば?
TAEYONG:ここに収録されていない曲が本当にたくさんあるんです。僕のスマホの中には数多くの曲が眠っていて、それらは今までリリースしたアルバムの“残骸”。この2年3か月の間に55曲くらい作りました。『WYLD』に入らなかった、残りの40近い曲はすべて残骸です。
──その残骸も、時間をかけてブラッシュアップしたら、出せるとこまでいけそうでしょうか?
TAEYONG:できそうなものは2~3曲ありますが、音楽をやっている方ならわかると思いますが、こういうときは(ブラッシュアップするよりも)新しいものを作ったほうが早く出来るんです。僕がSoundCloudにアップしている曲がありますけど、ソロ活動を始めた頃はその中の曲を発展させようと努力してみましたがダメだったので、もういっそのこと新しく書いたほうがいいと学びました。
──このアルバムの制作期間はTAEYONGさんにとって、どんな時間になりましたか?
TAEYONG:まず、ストレス発散するのにとてもいい方法であると言えます。音楽制作をすることも手伝って、無事に除隊できたのではないかと思うくらい。そして、軍隊にいる間は本当に考える時間がたくさんあって、自分が生きていくうえで必要なもの、不要なものを選ぶ時間でもありました。
──この作品の中で、そのストレスが発散されている曲はありますか?
TAEYONG:特にストレスを解消できる曲は「Skiii」です。軍隊にいる時は運動する時間がたくさんあって、なんだか強烈な曲を聞きたいと思って、いろいろ探したんですけど、しっくり来るものがなかったんです。自分を満足させる曲がなかったので、それで作った曲でもあります。ストレスを感じている方におすすめします。
──確かにこの曲はアグレッシブですね。野性的を意味するワイルド(WILD)のIが、本作ではYになっている理由は何かありますか?
TAEYONG:これは、Wild(野性的)、Yell(叫ぶ)、Loud(うるさく)、Dance(ダンス)の頭文字を取っているんです。ダンス、歌、声を通して、抑圧から解き放たれた本性や本能、その解き放たれた自分をお見せするという抱負を込めたタイトルです。そして、ジャケット写真で僕はマスクをしていますが、犬の口を塞ぐ口輪がありますよね。マスクを脱ぎ捨てて、抑圧されているものを噴出させるという意味が込められています。実際、そういうオブジェがひとつ、僕の家にあって、自分にとっても何か意味がある気がしているんです。

──エネルギーを吹き出すようなステージが期待できますね。「Skiii」こそ、まさに“WYLD” なパフォーマンスなのではと想像します。
TAEYONG:実はさっきYUTAと一緒に「WYLD」を踊ったんですけど、踊るのがすごく大変だって言ってました(笑)。このアルバムから「Skiii」と「404 Euphoria」はすでにソロコンサートで披露していまして、「Skiii」は「404 Euphoria」とは違うタイプですが、僕の心の中にあった当時の気持ちをストレートに表現しました。
──その“404” シリーズも、TAEYONGさんの作品では外せないトピックですね。「404 File Not Found」「404 Loading」に続く、「404 Euphoria」では、ワイルドな姿から少しかけ離れた世界観に引き込まれます。
TAEYONG:少し恥ずかしいですが……ありがとうございます。この404シリーズはもともと、自分の内面にある批判的な側面や疑念を少し表に出したいと思って始めたシリーズです。そして、このシリーズを続けていきたいと思うのは、僕の中のディープな部分を消失させたいという思いがあるから。心の奥底にある感情をコントロールできる時もあれば、できない時もあって、それを自分で解消したい気持ちがあるので、この404シリーズは続けていきます。最初、「404 Euphoria」ではない別の曲にしようと思っていたんですが、その曲が少しネガティブなエネルギーを持っていたので、「次を約束しよう」という願いを込めて、「404 Euphoria」を入れることを決めました。
──心の奥にあるご自身の感情と向き合うことは多いですか?
TAEYONG:多いと思います。そして、忘れるために、友達に会ったり、仕事にのめり込んだりしようとします。
NCT 127がなぜ127という名前なのかを見せる時だと思っている

──ラストナンバーは意味を持つことが多いです。「Run」にはどんな思いが込められていますか?
TAEYONG:「Run」も「404 Euphoria」も「ファンの皆さんは僕のユーフォリア(理想郷)だった」という意味があります。「404 Euphoria」はディストピア(絶望郷)を表しているような内容で、あえてその反語であるユーフォリアをタイトルに使っています。「Run」ではファンの皆さんに自分が戻ってきたことを伝えながら、この曲を聴いたあとに、また初めからこのアルバムを聞きたくなると思ってもらうために、最後に入れました。
──バンガー揃いの今作において、「Hypnotic」のように楽器の音色が前面に際立つ楽曲もまた、一際印象的でした。
TAEYONG:この曲を一緒に書いてくれたお兄さん(Royal Dive)は「TAP」でもご一緒した方で、クラシックピアノを弾くのがすごく上手なんです。でも、なにかこう、「来た!」っていう時しかピアノを弾いてくれないんですよ。今回、お兄さんの感覚が研ぎ澄まされたようで、ピアノをたくさん弾いてくれました。お兄さんも曲作りしている時に気分がよかったようで、僕も自由に作業ができました。
──4月にリリースされたアンダーソン・パークとの「Rock Solid」もインパクトのあるドラムサウンドで、見事なカムバックでしたね。彼とのコラボレーションはどんな経験になりましたか?
TAEYONG:最初は事務所のほうから、僕の音楽の世界観が広がるんじゃないかと誘っていただいて、音源を聞いてみたところ、初めてではないのですが、あまりやったことのないソウルドラムのビートに惹かれました。あと、僕は(制作に入っている)Dem Jointzさんに本当に憧れていたので、一緒にやってみたかったし、一緒に作業する過程で本当にたくさんのことを学ぶことができました。聞いた話では、Dem Jointzさんが10年ぐらい前に作られたメロディーを今回使ったと。【Seoul Jazz Festival 2026】でも披露したのですが、これからも披露していきたいと思っています。ガンバリマス。
──今年になって作った曲はほかにありますか?
TAEYONG:今、ちょうど日本で作っている曲もあるんですけど、それは“今以上に有名になった僕” に向けて書いている曲です。リリースされるかどうかはわからないんですけど、悲しい曲ではなくて、有名になりたいという気持ちを込めた、ユーモアがある曲です。有名っていうのは音楽的に有名になるということです。
──今もまさに楽曲制作中とのことですが、ここ最近気になっているトレンドや今後やってみたいジャンルはありますか?
TAEYONG:(日本語で)日本でシティポップ! 日本のシティポップとかジャズが大好きだから。あと、YUTAさんのロックも大好きです! 一緒にうわーーって叫びたいです。
──それもワイルドですね!
TAEYONG:でも、シティポップはやっぱり日本でやらないと上手くいかないです。ちょっと前に挑戦してみたことがあるんですけど、なかなかいい感じが出せなかったんです。時間があれば、また日本に来て、挑戦してみたいです。

──やりたいことが尽きないTAEYONGさんですが、もうすぐで31歳のお誕生日を迎えます(7月1日が誕生日)。30歳最後の日は何をしていると思いますか?
TAEYONG:うーん、考えたことないんですけど(笑)、一人でウィスキーを飲みたいですね。
──年を重ねることが待ち遠しいタイプですか? それとも、できることならいつまでも今のままでいたい?
TAEYONG:(日本語で)とっても嫌いです。若い頃に戻りたいです。
──それはどうしてでしょうか? 体力的な面でしょうか?
TAEYONG:実は、体力は今がベストなんですけど、昔の何も知らない自分が羨ましいです。初めてを体験するときのワクワク感とかときめきは、何物にも代えられないですよね。

──最後に、また近々、ファンの皆さんがTAEYONGさんに会える機会はありそうでしょうか? このアルバムのツアーの予定は?
TAEYONG:ツアーは来年かもしれないですね。というのも、今年はNCT 127の活動が待っていますから。これが一番重要なことなので。2年くらいアルバムを出していないですし、NCT 127がなぜ127という名前なのかを見せる時だと思っているので、今、メンバーと話し合いながら、一生懸命、頑張って準備しています。僕も楽しみですし、緊張もしています。今年はチーム活動に集中しようと思っていますが、絶対、このアルバムのツアーをしますし、そっちも早く見てもらいたいです。
リリース情報

TAEYONG The 1st Album『WYLD』
2026/5/18 RELEASE
再生・ダウンロードはこちら
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NCT 公式ウェブサイトTAEYONG 公式インスタグラム
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