Billboard JAPAN


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<インタビュー>Ettoneが掲げる“LOOSE POPS”に“エモさ”が加わった新曲「トワイライト」ができるまで

インタビューバナー

Text & Interview: 川倉由起子
Photos: Yuma Totsuka

 インタビュー中、まるで陽だまりの放課後であるかのような明るい笑い声が何度も響き渡った。anri、chiharu、koyuki、mirano、pia、shion、yuzukiの7人からなる、クリエイティブガールグループ・Ettone(エトネ)。国内外のアーティストのヒット曲を多数手がけてきたALYSAが主宰するクリエイティブレーベル「O21」に所属し、「自分らしくありたい」という感情に寄り添う独自の音楽ジャンル“LOOSE POPS”を掲げて活動を続けている。

 3rdデジタルシングル「トワイライト」を4月22日にリリースし、共同生活で絆を深めつつ充実した日々を送る7人にインタビューを実施。等身大の言葉で自分たちの音楽哲学や情熱をじっくりと語った。また、最新エピソードを交えた他己紹介では彼女たちの素顔が垣間見えるガールズトークも大いに盛り上がりを見せた。

左上から(時計回り):mirano、koyuki、shion、yuzuki、chiharu、anri、pia

──Billboard JAPANに初登場なので、まずは「Ettoneというグループをひと言で表すと?」という質問に答えていただけますか。

anri:ひと言で表すのが難しいのがEttoneでして(笑)。

koyuki:せっかくだから一人一言ずつ言ってみる?

yuzuki:いいね!

pia:じゃあ、piaから行きます。「余韻」です。

shion:私は漢字一文字で「楽」。活動が楽しくて、音楽をしているからです。

yuzuki:私は「人」ですね。みんなすごく人間っぽいんです。感情的な部分からロジカルな部分、そして、ネガティブもポジティブも混ざり合っているのが人だと思うし、Ettoneはまさにそういうグループだなと感じています。

mirano:「ハーモニー」です。声の重なりや和音を大切にしているのはもちろんですが、7通りの人生が重なって一つになっているという理由もあります。

koyuki:「等身大」かな。飾らないままの私たちが、バラバラな声質や個性をそのまま重ねて曲にしているんです。

chiharu:私は「重なり」です。miranoが言ってくれたハーモニーに近いですが、人と人との重なり、そして7人が掛け合わさることで生まれるケミストリーが一番の魅力だと思います。

anri:「ジャパンコア」という言葉を挙げたいです。単に「日本的」というだけではなく、日本の美意識って、全てを明言しないことや行間に余韻を残すことだと思うんです。piaも最初に「余韻」と言ってくれましたが、輪郭をきっぱりなぞるよりも、受け手によって物語が広がる余韻を持たせる――そんな日本文化っぽい「明言しない美しさ」をクリエイティブとして体現しているのがEttoneというグループだと思います。

──クリエイティブ面にも主体的に参加されていますが、発信する際に意識していることはありますか。

chiharu:私は、「今その時」に感じたことを大切にしています。やっぱり、その渦中にいるときでしか得られない思いや言葉が絶対にあると思うので。それを曲に落とし込んでいきたいです。

pia:全く同じことを思っていました。今しか出せない気持ちや記憶、感じたことの中に“美”があると思うし、それは、アートに変えられる宝物でもあるなって。

mirano:私は「否定しないこと」を心がけています。良い面だけを汲み取るというよりは、すべてを受け入れることに近いかな。誰も否定せず、誰も傷つけずに、でも寄り添ってほしいときにちゃんと寄り添える音楽を届けたいです。

anri:あとは「表現者としての責任」ですね。本当に届けたい相手に突き刺さるためには、自分自身のリアルをさらけ出す必要があって、触れたくない過去や痛みにも目を向けながら、生身の自分たちから滲み出るものを形にすることを大事にしています。

──その“痛み”と向き合う作業は苦しくありませんか。

koyuki:過去の痛みや後悔は当然あるけれど、それを経て今があるというか。今ここにいるために必要なものだったと捉えています。その当時は辛かったけど、今思えば自分がここにいるためのものだったんだ、頑張ったなって。

yuzuki:痛みを歌詞や曲にできた瞬間、心が少し軽くなるんですよ。向き合っている最中は「イテテテ…」ってなるんですけど(笑)。作品として形になることで、その痛みが消化されていく感覚があります。

anri:わかる。葬り去るんじゃなくて、形にすることで無駄にならなかったと思えるよね。報われた感というか。

yuzuki:そう!

shion:私はその時々の気持ちをジャーナルに書いていて、たまに見返しては「曲にできそうだな」と思ったりします。クリエイティブのすごくプラスな面ですよね。

anri:普通なら「今日は何もできなかった」と落ち込むような日や、イライラさえも、発想の転換で作品に繋がる。人生に無駄がなくなるというか、表現者としての大きなメリットだなと感じています。

──昨年9月のデビューから現在までで、グループの成長や絆を感じた瞬間はありますか。

anri:ハーモニーワークを重視していて、プロデューサーさんと共に日々練習しているのですが、最近はちょっとだけ職業病が出ています(笑)。例えば、買い物中に店内でストアソングが流れると、無意識にオクターブ上でハモり始めちゃって。主旋律が逆に出ないんですよ。カラオケに行ってもハモリしか出てこない。

koyuki:わかる! 主旋律とハモが混ざって、ぐちゃぐちゃになっちゃう(笑)。

anri:みんなの歌にどうハモるかを常に意識して練習しているからかな。脳が完全にハモりに変換されている実感があります(笑)。ハーモニーは、全員の音圧や声の質を1mm単位で合わせていくような精密な作業。全員が集中して同じポイントを目指す過程は、大変だけれど面白く、ある種の青春のようでもあります。

yuzuki:私はクリエイティブを通じてみんなの人間性が見えてくるのが楽しいです。koyukiと一緒に曲作りをしたときに、より深いレベルでお互いのアイデアや哲学を共有し合えた。それがすごくうれしかったです。

shion:自分が作った曲をなんとなく聴かせ合いっこするときも、個性がめっちゃ感じられて楽しい。性格出るなー、面白いなって思います。それぞれに違う感性を持っているからこそ、助け合えるし、いいスパイスにもなります。

koyuki:私は単純に賢くなった気がしますね。勉強の賢さではなく、発想とか生活する中での着目点が変わった感じ。メンバーと話して、いろんなワードを聞くことで、ボキャブラリーがどんどん蓄えられているなって(笑)。

anri:音楽を一緒にするって、言葉を介するよりももっと深いところを探れる作業だなと思います。言葉はいくらでも取り繕えるけど、音楽制作は人の奥底にある感覚や哲学にフォーカスするのでお互いを理解しやすい。言語化が難しい「ああ、こういう感じね」という感覚で繋がれるのもいいんですよね。

──一方で、大変だったことや苦労はありましたか。

koyuki:7人が違う場所から集まったので、最初は練習方法をずっと模索していました。効率を求めすぎちゃいけないけど、なるべく早いスパンで成果を出したい。それぞれのやりやすい方法が異なるので、そこが難しかったんですけど、一緒に生活して1年ちょっと経って、最近はスムーズにいくようになりました。

yuzuki:練習を重ねるうちに、こういうやり方がいいかもっていうのが掴めて。性格が分かってきたのも大きいですね。

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──次は、メンバーの皆さんの素顔を紹介していただこうと思います。最近のエピソードを交えて他己紹介をお願いします!

mirano:anriは、出会った当初は完全な夜型で徹夜も当たり前だったんです。それが最近、朝型にシフトしました。朝早くから学校に行くために早起きして、ストイックさは変わらずに生活リズムが整ったんです。

koyuki:私、anriと同じ部屋なんですけど起きたらもういないんですよ。

anri:6時とか7時に起きて走っているんです。ランニングにハマったから朝型になったんですよ。汗を流した後はカフェとか行って、軽くbreakfastを食べてから学校に行くみたいな。

anri以外:breakfast(笑)!!

koyuki:カッコいい! 発音も流暢だったから、英語で書いておいてもらおう(笑)。

anri:恥ずかしい。ちょっと調子に乗りました(笑)。

koyuki:私はyuzukiちゃんを紹介します。制作を一緒にするようになってから、自分にない知識や言葉をたくさん持っている人だなと改めて気づきました。2人が合わさるとパズルのピースがガチャーンとハマるように化学反応が起きるんです。

yuzuki:私もすごく楽しい。波長がめちゃくちゃ合うよね。

chiharu:私はshionなんですけど、彼女は、自分の雰囲気を体現するようなキラキラしたかわいい音を作るんです。完成度も高くてすごいなといつも思っていたところに、最近、shionが「今度一緒に曲を作ろう」と誘ってくれて……。

shion:(照れる)

koyuki:めっちゃ照れてるじゃん!

chiharu:私はそれが楽しみだなって。あと、夜にリビングにいたらカラオケに誘ってくれたのもうれしかったです。

shion:私は、ちーちゃん(chiharu)の歌詞作りや言葉選びを元々リスペクトしていて。その日は、キレイな言葉のスパイスが欲しいなと思って声をかけて助けてもらったの。

pia:私はchiharuなんですけど、めっちゃ話しかけてくれます(笑)。

anri:「話しかけてくれる」って(笑)。

yuzuki:shionが嫉妬しちゃう(笑)!

──(笑)。さて、お次は?

pia:ちーちゃんは普段、視野を広げようと頑張っているのがすごく伝わってきます。英語の分からないところを聞いてきてくれたり、音作りに関しても「このビートを聴いて何かアドバイスある?」って質問してくれたり。

chiharu:ぴーちゃん(pia)は耳がよくて、音のハマり方が違うとはっきり言ってくれるのがありがたいです。自分にはない視点をたくさん持っていて、すごく勉強になります。

yuzuki:miranoはもう、最年少とは思えないぐらいしっかり者。ダンスの振り付けのアイデアもすごいし、視点がユニークで勉強になります。一方のプライベートは……朝、起きてきたら顔がパンパンだったことがあって(笑)。理由を聞いたら「二郎系ラーメン食べた」って。

(一同爆笑)

shion:大食いにハマってるんだよね。ちなみに昨日も、うどん3玉いってた。私は1玉でお腹いっぱいだったのに。

anri:食べたものはどこに消えてるの?

mirano:blackholeです(笑)!

shion:こゆちゃん(koyuki)は最近、昔使っていたDSを撮影現場に持ってきてくれたんです。中身を見たら、幼少期の写真が残っていて、変なポーズとかしてるのがめっちゃかわいくて。かわいらしいなーと。

koyuki:あはははは。年下から「かわいらしい」出ました(笑)。

shion:私が一歳下ですが、何でも話せる“ダチ”のような存在。思ったことは全部言い合うし、メンバーであり、普通に親友だと思ってます。

koyuki:shionとは、グループになる前の合宿期間から地方組同士ホテルが一緒だったんだよね。その頃から「ダチストーリー」が始まっていたのかも。

anri:最後、私はpiaを紹介します。海外育ちの彼女と日本育ちの私で、真逆の文化圏で生きてきたように思えるけれど、精神性で共通する部分が最初から多くて。わりといろんなシチュエーションでシンパシーを感じますね。

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温かさと切なさの両方を感じられる楽曲だと思います

──新曲「トワイライト」についても聞かせてください。ヒューマンビートボックス世界大会で優勝した“ヒューマンビートシンガー”YAMORIさんと、プロデューサーのALYSAさん、そしてEttoneからanriさんとshionさんが制作に参加されていますね。

shion:まずYAMORIさんとALYSAさんが作ってくださったインストを聴いて。その印象からPinterestで画像を探したりクレヨンで絵を描いたりして、私たちの頭の中にあるイメージを視覚化したムードボードを作成することから始めました。

anri:17時の防災チャイムのような音は元々入っていて、そこからインスピレーションを受けて「ノスタルジックな感じだよね」って。私たちは現役大学生で、周りも含めて、そろそろ大人の社会に属してその責任も負わなきゃいけないという環境の中、子供の頃に自由に世界を捉えていたあの感覚をちょっと取り戻すことで、世界が色鮮やかになったり、人生が豊かになる瞬間があるんじゃないかと考えたんです。

──YAMORIさん、ALYSAさんとも熱い議論を交わされたとか。

anri:YAMORIさんが塾講師の経験がある方で、現役大学生の私たちとのセッションはまるで「YAMORI塾」でした(笑)。フィードバックの文章も「続きを読む」を押さないと見られないくらい長く書いてくださって。受験時代を思い出すくらい、歌詞の視点やストーリー性についてじっくり深掘りしていきました。「届ける層」というのも重要で。例えば私たちと同年代の就活生だったら、面接の帰りに駄菓子屋を見つけてふと心が和らぐ情景……みたいな。そういった細かいニュアンスまでイメージして作っていく作業はとても学びになりました。


──他のメンバーの皆さんは、この曲を聴いた時にどう感じましたか。

mirano:これまでの雰囲気とはガラッと変わった作品だったので、そのテーマをどう咀嚼してリスペクトを持って向き合うか……ということを考えました。歌詞やメロディーの雰囲気を汲み取って、自分の中でもしっかり落とし込んでからレコーディングに臨みました。

yuzuki:とにかく「エモい!」でしたね。自分も就活を経験したので、それを思い出すようなフレーズもありましたし、同世代の社会人になった友人たちに聴いてほしいなって。温かさと切なさの両方を感じられる楽曲だと思います。

koyuki:「シール交換」といったワードから、幼少期の記憶がいろいろ呼び起こされました。子供の頃は今よりもいろんなものに興味があって、世界がカラフルに見えていたと思うんです。その純粋さを大人になった今でも忘れたくないなって、そういう気持ちになりましたね。

chiharu:大人になって、みんなそれぞれに社会のしがらみなども抱えながら生きる中で、昔のおもちゃ箱を開けたときのような懐かしさに浸れる曲だと思います。小さい頃の無邪気さも素敵だけれど、それを経ていろんなことを考えられている今にも誇りを持ちたい。聴くたびに解釈が変わるような曲かなとも思います。

pia:私は日本育ちではないのですが、この曲に「ジャパンコア」を強く感じました。17時のチャイムやメロディー、ハーモニーに日本っぽさが詰まっているんですよね。日本育ちではない私にとって“青春”は映画やアニメなどの世界のものでしたが、この楽曲を通して「みんなと実際に青春してるな」と実感できる部分もあって、すごくエモーショナルな体験でした。二十歳になる前のラストティーンの時期に、この曲を歌えるのもエモいなと思います。

──最後に、これからEttoneを知るリスナーに、グループのアピールポイントをお願いします。

mirano:7人の女の子が集まって、一見、従来のようなガールズグループに見えると思うんですけど、まずは音楽を聴いてみてほしいです。私たちの基盤にある「LOOSE POPS」というスタイルは、J-POPとしての入りやすさとオルタナティブな奥深さを兼ね備えています。ありのままのあなたに寄り添い、何気ない幸せに気づくきっかけになりたい――そんな希望を込めて活動をしているので、ぜひ注目していただけるとうれしいです。

yuzuki:聴く人それぞれの解釈で味わっていただけるような楽曲を発信しています。苦しいときも悲しいときもうれしいときも、ぜひEttoneのさまざまな楽曲に浸っていただければいいなと思いますし、私たちはクリエイティブにとても力を注いでいるグループなので、一人一人が磨き上げた多様な表現を今後も楽しんでもらえたらと思います。

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