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<コラム>SNSの弾き語りから1億回再生へ――MON7A、本物の恋が生んだヒットの理由

Text:小松香里
2007年生まれ、東京都出身のアーティスト、MON7A(もんた)。TikTokを中心にSNSでギターの弾き語り動画が拡散され、特に机の上に足を乗せて撮影した動画に注目が集まる。
“もんた界隈”という言葉が生まれ、じわじわと知名度が上がる中、2025年6月にABEMA恋愛リアリティショー『今日、好きになりました。ハロン編』に参加。ストリート感溢れるファッションやヘアスタイルでポップアイコンとしての人気も高まり、同番組の週間視聴者数最高記録を更新するほどの存在となる。アーティストデビュー曲「おやすみTaxi」が多くのチャートにランクイン。3か月間で1,600万回再生を超える数字を記録し、華々しいデビューを飾った。
「おやすみTaxi」ミュージック・ビデオ
2026年1月にリリースしたメジャー1stシングル「TOGE TOGE」に続き、3月にリリースした2ndシングル「僕のかわい子ちゃん」も好調だ。『今日、好きになりました。ハロン編』に参加した際、想いを寄せていた長浜広奈へアピールするために弾き語りで披露した楽曲をフルバージョンで音源化した形となる。そもそも約1分間の弾き語り動画の時点でYouTubeで470万回超えを記録し、TikTokでも広く拡散。番組放送直後には世界最大の歌詞サイトGenius Japan総合ソング・チャートで2週連続1位を獲得、昨年の年間総合ソング・チャートでは25位にランクインするなど異例のチャートインを果たしていた。リリース後も、Billboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”で初登場13位にチャートインし、TikTok総再生回数は現在1億回超。リリースから約1か月でストリーミング総再生回数は1,400万回を突破し、MON7Aの新たな代表曲となっている。
<教えて 好きな映画とか 教えて名前の由来とか>という歌い出しから始まる「僕のかわい子ちゃん」。片想いの相手に対するピュアな欲求をまっすぐぶつけるラインにいきなり心を掴まれたリスナーも多いだろう。ギターの弾き語りを、MON7Aの「おやすみTaxi」や「TOGE TOGE」の編曲も手がけたアレンジャー・釣俊輔の手によりバンドアレンジで再構築し、よりダイナミックで奥行きのある楽曲に進化。<くだらない話でさえ もっともっと全部 君を知りたい>や<眠れない 君のせい><くだらない話でさえ もっともっと君を思い出してしまう>という、誰しも感じたことがあるであろう普遍的な恋愛感情を宿したラインと、<白いシャツの中に 閉じ込めた想い>や<眠らない星の上 君と僕は波を前にして>や<眩しそうに笑う 長いまつ毛の先>といった具体的な情景が想像できる描写をバランスよく混在させることで、高い共感力を呼ぶことと、もんひな(MON7Aと長浜広奈ペアの呼称)ファンが抱える切なさを高めること、両方を成し遂げている。MON7Aの何の寄り道もせずに想いを最短距離で届けるような素朴な歌唱力も遺憾なく発揮されている。
「僕のかわい子ちゃん」ミュージック・ビデオ
公開から1か月で370万再生を記録したベトナム/ハロンで全編ロケ撮影したミュージック・ビデオの力も特筆すべき点だ。ハロンは言うまでもなく『今日、好きになりました。ハロン編』の舞台となった場所である。長浜広奈との思い出の場所がいくつも登場。MON7Aがアコースティックギターを弾く砂浜には“僕のかわい子ちゃん”は不在で、一人きりだ。「もっと君を知りたい」という想いが「もっと君を思い出してしまう」に変わり、恋が成就しなかったことをよりリアリティを持って伝えてくる。ちなみに、ミュージック・ビデオとジャケットに使用されているタイトルデザインやイラストは長浜広奈が手がけていることも、もんひなファンが盛り上がった大きなポイントである。
リリースから1か月が経ち、TikTok総再生回数は1億回を超え、音楽配信サービスでは1,000万回再生を突破し、ミュージックビデオが400万回再生、UGCも35,000回再生を超えるというヒットを記録する中、4月24日には「THE FIRST TAKE」で「僕のかわい子ちゃん」を歌唱。公開前夜の22時に投稿したリーク映像はインプレッション88万、いいね1万超えを記録、公開から6日間で60万再生を超えている。「めっちゃ緊張する」と言ってヘッドフォンを装着し、「“THE FIRST TAKE”に来ちゃいました」と口にし、嬉しそうに手を広げるMON7A。ワクワクした表情で「この曲を一番最初に聴いてもらった時は“THE FIRST TAKE”だったのでまたここで歌う夢が叶って嬉しいです」と話し、一発録りのギター弾き語りから「僕のかわい子ちゃん」が始まったことを示唆してから歌唱。小気味よくギターをカッティングしながら、切ない思いを真っ直ぐに歌い上げるMON7A。躍動感あふれるバンドの演奏が加わり、一気に厚みが増大する。鍵盤や弦楽器がフィーチャーされ、シャープなギターソロが織り込まれた「THE FIRST TAKE」ならではのアレンジ。音源と比べ、音色はぐっと増えているが、あくまでも真ん中にあるのはMON7Aの歌。「君」への切実な想いがより際立ったテイクだ。
「僕のかわい子ちゃん」THE FIRST TAKE
4月27日にはMON7A史上最速の疾走感溢れる高速ドラムンベース曲となる3rdシングル「とめないで」をリリース。<LooseでFree 自分で決める道><俺ら今を走ってる この道がまだ続く 続いていく>というラインが印象的な、今のMON7Aの勢いを想起させるメッセージが疾走していく曲だ。ABC-MART「ゴールデンウィークセール」TVCMソングに起用されており、MON7Aの勢いをさらに加速させていくだろう。既に夏フェスの出演も決まっており、2026年の音楽シーンの台風の目となりそうだ。

























