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<インタビュー>「最強のバンド」を目指し続けた10年間――新章の幕を開けたACE COLLECTION、3年目のビルボードライブに向けて

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Interview & Text:Takuto Ueda
Photo:SHUN ITABA

 ACE COLLECTIONの3年連続となるビルボードライブ公演が、4月24日に東京、4月26日に大阪で開催される。

 YouTubeで公開したカバー動画がきっかけで注目され、2020年にメジャーデビュー、メンバーの幅広い音楽ルーツに由来する楽曲のバリエーションや、SNS世代に共鳴するリアルなメッセージ性が支持を集める彼ら。2025年11月には2年ぶり、通算3作目となるアルバム『名前のない気持ち。』をリリース。“ACE COLLECTIONの新章”を掲げた本作は、幅広い音楽性を凝縮させつつ、精緻なソングライティングとアレンジはさらに進化して、バンドの充実した創作意欲をありありと伝えてくる。

 そんな新作を引っ提げたツアーを経て、いよいよ初登場となる東京公演を含む今回のビルボードライブ・ツアーに向けて、意気込みを語ってもらった。

見えない階段を上がり続けている

――来年、ACE COLLECTIONは結成10周年を迎えますね。「もう10年」と「まだ10年」、皆さんの体感はどちらですか?

LIKI:体感的には短いけど振り返ると長いですね。何かを思い出すたびに「いろいろ経験したな」と感じます。

たつや◎:僕らのバンド人生って安定した時期がなかったので。常にジェットコースターに乗っている状態というか、ずっとGを感じながら気づいたら10周年みたいな感覚ですね。

――皆さんが思う“安定”というのは?

たつや◎:財力的な安定もあれば、集客の安定もあったり。赤裸々に話すと今でも裕福というわけではないし、集客においても一度落ちた時期から諦めずに頑張ってきて、また皆さんに見ていただける機会も増えてきて。SNSの時代とはいえ、メディアへの露出があるときとないときではやっぱり差がありますよね。それでも常に状況を良くしようと考えながら活動を続けてきた結果、10年が経っていた。

――環境の変化は目まぐるしかったわけですね。バンドの状態はどうですか?

たつや◎:バンドはずっとうまくいっている気がしますね。4人のマインドはブレていない。昔は気を遣い合っていたところも、月日が経つにつれて腹を割れるようになったとか、そういうのはありますけどね。でも、基本的には外的な要因、例えばコロナ禍があったり、事務所からの独立も経験しているし、どうしても環境が変わると不安定にはなっちゃうじゃないですか。そこに対して、4人でどう立ち向かっていこうかみたいな。RPGみたいな感じですね。




――たつや◎さん、LIKIさん、RIKUさんは初期メンバーですが、結成当時に思い描いていたバンド像と、現在のACE COLLECTIONの有り様を比べてみてどうでしょう?

たつや◎:個人的には意外と大差ない気もしていて。もともと若気の至り的な思考で、自分たちのことを最強だと思っていたんですよね。今でも「負けないし」みたいな反骨心は変わらず持っていて、でも、大人になるにつれて見えていなかった課題が見えてきた感じというか、「最強ってこういうことかも」みたいなことが言語化されていった感覚があるというか。

――なるほど。

たつや◎:例えば良い曲が書けるとか、演奏が上手いとか、パフォーマンスがかっこいいとか。でも、そういう課題は一つひとつクリアしてきたと思います。将来のビジョンに対して、見えない階段を上がり続けている。それに天井もいまだに感じていないし、それが今の自分にとってはすごくモチベーションになっていますね。

――「最強のバンド」というビジョンの解像度が少しずつ上がってきている感じですかね。

たつや◎:そんな感じかもしれないです。目標が叶わないことを知ったとか、目指していたものが違う形になったとか、そういうのは全然ないかもしれないです。

LIKI:自分もそう思いますね。いろいろ紆余曲折があったけど、自分たちを見つめ直したうえで選択肢を採っていくのが正解に一番近づける考え方だし、自分の中から出てくるものでしか本当の価値を作れないというか。ガワだけじゃだめなんだというのは、10年間を経て気づいたことだと思います。

――RIKUさんを中心にたつや◎さん、LIKIさんを含む当初のメンバーが集まり、ACE COLLECTIONは2017年に結成されました。自分たちの未来について、当時どんな話をしていたか覚えていますか?

RIKU:「音楽で飯を食いたくね?」みたいな。当時20歳だったけど全く売れていなかったし、音楽を仕事にできないとやばいから「最強のバンドを組まなきゃ」と思って、それぞれを集めて組んだって感じですね。

――つまり結成時から「売れる最強のバンド」という目標地点が明確だったし、覚悟も決まっていた。

RIKU:そうですね。だから、誰がどんな性格とか全然知らないままでバンドを組んだし、そこから一緒にルームシェアを始めたり、腹を括ってのスタートでした。

たつや◎:こうやって話していて思うのは、その「最強」を目指すうえで客観視は必要不可欠だったんだなって。自分たちの好きなことを尖らせていくのが全てというアーティストもいるけど、それこそ「売れる」とか「仕事にする」というワードが発起の段階から僕たちの頭の中にはあって、誰かが聞いたらダサいと思うかもしれないけど、そこは純粋に一貫しているACE COLLECTIONの核なのかなという気がします。

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ACEの一番の武器



――Mochiさんの加入は2022年なので、ちょうど結成5周年あたりの頃ですね。当時のACE COLLECTIONはどんなふうに見えていたんですか?

Mochi:正直うざかったので見ていなかったです。

――どういう意味で?(笑)

Mochi:みんな年が近いし、たつや◎は昔からずっと知り合いで。

――同じバンドで活動していたんですよね。

Mochi:高校生のときに一緒に組んでいました。別々の道を進むことになったあと、ACE COLLECTIONを結成したことを知って、当時すごく勢いがあったので、自分も別のバンドをやっていたけど、同じ土俵でやれていない現実が悔しかったんです。だから、うざかった。と言いつつ、純粋に良いバンドだなと思っていましたね。昔からたつや◎は自分の中で1番のボーカリストだったので、認めている部分はめちゃくちゃありました。

――あらためてMochiさん合流までの経緯をうかがえますか?

Mochi:たつや◎は年1で連絡をくれるんですよ。本当にちょうど丸1年くらいのスパンなんですけど、それでライブに来てくれたりして、終わったあとに「最近こうなんだよね」とかちょっと話したりして。だから仲はずっと良かったんです。2021年の秋冬くらいの頃にまた年1の連絡が来て、焼鳥屋に行ったんですよね。そこで一人抜けることを聞いて、メンバーに誘ったもらったんです。

たつや◎:そんな前か。

Mochi:僕は当時、バンドじゃなくて音楽関係の別の仕事をしていたんですよ。だからベースも弾いていなかったし、どうして誘ってくれたのか不思議だったけど、それでも「入ってくれ」と言ってくれたので「じゃあやるか」って。

たつや◎:自分の中で大事にしているのが、僕らはミュージシャンなので、一番注力するべきは音楽だということで。そこがMochiは揺るぎないんですよね。ベースと向き合う姿勢だったり、いろんなルーツ・ミュージックを聴いて好きな音楽を見つけにいく感じとか。今でもACE COLLECTIONのライブでは、Mochi中心に外音を見たりしているので、そういうミュージシャンとしての芯があるところが大きかったです。あとはキャラクター性ですかね。やっぱりバンドはサポート・ミュージシャンじゃだめなので。メンバーとして欠かせない存在感みたいな部分でも、Mochiは絶対に良いなと思っていたので誘いました。

――音楽ルーツも結構それぞれ違いますよね。

Mochi:バラバラだと思います。

――ACE COLLECTIONとしての音楽性を確立できたな、といったような手応えを感じたのはどのあたりの頃ですか?

たつや◎:確立できたかと言われると、正直まだ少しずつ進んでいっている感覚で。でも、一つあるとすればバラードですかね。バラードに関しては、僕もひたすら尖った作品を作れるし、みんなも「ACEのバラードはこうだよね」ってそれぞれ頭の中にアレンジやフレージングのイメージがあると思います。

RIKU:バラードにはメンバー全員、すごく自信を持っているというか、ACEの一番の武器として間違いないなって。全員のルーツが別々だし、たつや◎が何でもできちゃうので、ある意味、器用貧乏なバンドだと思うんです。だから悩む時期も多かったし、いまだにそれを模索して、徐々に研ぎ澄ましていっている段階ではあります。




ACE COLLECTION - 花火大会 【OFFICIAL LIVE VIDEO】


LIKI:エモーショナルなバラードはバンドならではだと思うし、自分たちで演奏していてもめっちゃ気持ちいいんですよね。そもそも歌が上手くないと成り立たないですから。RIKUの言った通り、ほかにない武器なんじゃないかな。

たつや◎:だからこそ、普段バンドを聴いていないような、ライブハウスに行ったりしないような人にも届いている手応えはありますね。

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いつも以上に音に集中する

――昨年リリースされた3rdアルバム『名前のない気持ち。』のバラエティも豊かで、楽曲ごとに異なるサウンドスケープを展開しています。皆さんの中にはどんな手応えがありますか?

LIKI:ジャンルは広いけど、音色とかテーマという意味でのまとまりは結構あるなと感じていて。これまではジャンルごとにばらけていたイメージがあるけど、今回は「こんなふうにまとめることができるんだな」という手応えがありました。

――どういった部分が核になっているんだと思いますか?

LIKI:たつや◎が制作時に言っていたけど、それぞれのフレーズでそれぞれの色を出したいというのがあったからかもしれないですね。

たつや◎:基本的にアレンジも含めてDTMで曲を作るんですけど、僕自身がその時点でメンバーっぽいフレーズを入れるんですよね。そういう想像をしながら作っているのもあるし、それらの化学反応が生まれるアレンジを考えたりもしています。あと、個人的にまとまり感は音色だと思いますね。例えばドラムのパーツごとの周波数とか、そういうところにもこだわっているので。ディティールの部分が全体の一貫性につながっている気がします。




――それは過去のアルバムと比べて、ご自身で成長を感じる部分でもある?

たつや◎:僕がDTMを始めたのって21歳くらいのときなんですよ。だから全然日が浅くて。ACE COLLECTIONがたくさん露出させてもらっていた頃から模索してやっていたので、ある程度は時間に追われつつ、その時々の100パーセントを出してきたつもりではあって。それがこの『名前のない気持ち。』で、やっとディティールとか個性を意図的に出せるようになってきた感覚があります。あと、今作は音源として日常生活の中で聴いてもBGMとして成り立つというか、耳触りの良い聴きやすいロックサウンドだけど、ライブで演奏すると化ける楽曲を作ろうという意識はずっと念頭にありました。

――年末にはツアーがありましたよね。

RIKU:アルバムを引っ提げてとなると、結構な曲数が加わって、それまで必ず披露していた楽曲を削ったりして、セットリストもアップデートするんですけど、アルバムを作っているときからそれは意識していました。「今のACEのライブにこういう曲があったらいいよね」とか。セットリストを組むときは起承転結を大事にしているので。ツアーって公演を重ねるごとに良くなっていくと思うんですけど、今回は1日目からめちゃめちゃ良いライブになっていたという肌感があって。

Mochi:今作の新曲たちはかゆいところに手が届くというか、今までのセットリストでちょっと手が届かなかったところを賄ってくれている気がします。




ACE COLLECTION - 花火大会 【OFFICIAL LIVE VIDEO】


――そして、4月には東京と大阪のビルボードライブ公演も開催予定。ライブハウスやホールとは趣が異なる会場ですが、そのあたりについてはどのように感じていますか?

LIKI:それこそバラードが強みというのもあるし、初見の方も来やすいと思うので、ACEと親和性があるんじゃないかなと思います。

――24年、25年の公演を振り返ってみていかがですか?

たつや◎:毎回、タイトルに“Special”と入れているけど、文字通りスペシャルなんですよね。僕らもお酒を飲んでいますし、個人的な感覚ではテーマパークに来ているような感じ。皆さんを音楽に浸らせたり楽しませることが一番ですけど、自分自身も毎回すごく楽しいです。しかも普段と違うのは、ピアノを入れた5人編成でやるので、いつも以上に音に集中するというか、音楽をしに行くという感覚があるので、その感じもいいですね。

――純粋にシンガー、プレーヤーとしての腕の見せ所でもある。

たつや◎:そうですね。ビルボードライブって変な話、シビアではあるから難しいとは思うんですよね。歌も演奏も軸がしっかりしていないと成り立たない。僕らもまだまだですけど、自分たちが楽しめるくらいにはやれているなと思うので。

RIKU:あまりロックバンドがやっているイメージがなかった場所なので、こうやって3年連続でやらせていただけるのがありがたいなと思いますし、毎年の文化祭の準備をしているような感じですね。フォーマルな衣装もほかのライブではあまり着ないし、ステージ上で乾杯できるのもビルボードライブだけだし。そういう楽しみな心構えで向き合いつつ、でも、たつや◎が言った通り、技術が露骨に見えちゃうライブでもあるので、本番が近づくにつれて緊張感は増していきます。

――新作のリリースも経て3年連続ということで、特に今年は進化したパフォーマンスにも期待しています。

たつや◎:そうですよね。進化はしていますよ。任せてください。

LIKI:年々、良くなっているので。




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