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<インタビュー>LiSA “好き”を編み上げたアルバム『LACE UP』――デビュー15周年、走り続ける彼女の現在地

Interview & Text:森朋之
LiSAから、7作目のオリジナルアルバム『LACE UP』が届けられた。
前作『LANDER』以来、約3年ぶりのアルバムとなる本作には、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』主題歌「残酷な夜に輝け」、映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』日本語吹替版主題歌「REALiZE」、アニメ『俺だけレベルアップな件 Season2 -Arise from the Shadow-』オープニング・テーマ「ReawakeR (feat. Felix of Stray Kids)」などを含む全15曲を収録。作家陣に野間康介、堀江晶太、ケンモチヒデフミ、GLIM SPANKY、小南泰葉、水野良樹、梶浦由記、秋田ひろむ(amazarashi)、澤野弘之、ツミキ、田淵智也などが参加し、LiSA自身の“好き”がしっかりと編み上げられた作品となった。
アルバムリリース後には、国内、アジア、ヨーロッパ&UKを巡るツアー【LiSA LiVE is Smile Always ~15~】も予定されている。15周年を迎えてさらなるスケールアップを果たしたLiSAに、そんなアルバムや“15周年”の節目について、たっぷりと語ってもらった。
エネルギッシュな楽曲たちを
編み上げたアルバム
――ニューアルバム『LACE UP』が完成しました。この約3年の軌跡を刻みつつ、“らしさ”と”新しさ”が共存した作品だと感じましたが、LiSAさんの手ごたえはどうですか?
LiSA:エネルギーがすごいですよね。この約3年、いろんなシングル曲を出させてもらって、ジャンルもサウンドも、作っていただいた方々(の幅)もすごく広がって。その曲たちがすごくエネルギッシュだったからこそ、アルバムとして編み上げるときも、ちゃんとエネルギーを持った楽曲を揃えたかったんですよね。
――確かに、収録されたシングル曲はすべてパワフルですよね。
LiSA:ぜんぶ受け止めてやるぞ!という気持ちで走っていました。たとえば『NieR:Automata Ver1.1a』で出会った秋田ひろむ(amazarashi)さんと作った「ブラックボックス」だったり、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』で梶浦さんとご一緒させてもらった「残酷な夜に輝け」もそうですけど、一つひとつに全力を注いでいたら幅が広がったというか。ありがたい挑戦をたくさんさせていただきました。
――アルバムの新曲もすべて個性が強くて。まずは「DECOTORA15」ですが、すごいタイトルですね。
LiSA:そうですよね(笑)。これはアルバムのタイトルにも関わってくるんですけど、私、ライブのときはいつもドクターマーチンを履いているんです。靴ひもを締めて「準備完了!」という感じでステージに上がるんですけど、最初はひとりで(マーチンで)走っていたのが、軽トラになって、大型トラックになって、飾りが増えてデコレーションされて……いろんな瞬間やみんなの想いも重なって、まさにデコトラみたいなLiSAになったなと思っているんです。私は岐阜の出身なんですけど、小さい頃によくデコトラを見ていたんですよね。
――今のLiSAさんを象徴する存在なんですね、デコトラは。ポップパンク、スカコアのテイストを取り入れたサウンドもLiSAさんらしいなと。
LiSA:最初はもうちょっとポップな感じの曲だったんですけど、アルバムに収録するにあたって、もっとエネルギッシュで駆け抜けるような楽曲にしたくて。私の心のなかにはずっとパンクロックがあるんですけど、今は疾走感のあるスカパンクがあまりないし、だったら自分でやっちゃおうと。「このメロディを活かして、パンクにしたいです」と野間康介さんに相談しました。MVもかっこいいのでぜひ観てほしいです。
LiSA『DECOTORA15』MUSiC CLiP
――「小豆あらい feat. MAISONdes, ケンモチヒデフミ」もすごいインパクトでした。このコラボレーションが実現したきっかけは?
LiSA:MAISONdesと一緒にやることになって、「誰に作ってもらいたいですか?」と聞かれたときに「ケンモチさんとやりたいです!」と言いました。もともと大好きだったんですけど、実際にお会いしたら思った通りの素敵な方でしたし、とにかくエネルギーがすごくて。ご一緒できてよかったです。楽曲に関しては、世界中を踊らせたいという気持ちがありました。去年に北米ツアーをやらせてもらって、今年はアジア、ヨーロッパ&UKツアーがあるし、日本の文化を発信するひとつとして私がいるのだとすれば、海外のみなさんに日本の音を楽しんでもらいたいなって。
――“小豆洗い”をテーマにした歌詞もケンモチさんらしくて。
LiSA:ケンモチさんのなかで“小豆洗い”一択だったんです(笑)。妖怪は人を驚かせるのが仕事なのに、小豆洗いは小豆を「シャキシャキ」って洗うだけ。「こんなに愛らしい存在はいないし、いつか曲にしたかったんですよ」って。私もあんこが大好きなので、「名案です!」と乗って(笑)。レコーディングも楽しかったです。ちょっと民謡調に歌ってみたりして、すごく自由に歌わせてもらいました。
――GLIM SPANKYのおふたりが作詞作曲を手がけた「SWEET MAGIC」も印象的でした。 GLIMとLiSAさん、めちゃくちゃ相性いいですね。
LiSA:うれしいです。GLIM SPANKYはデビュー当初からすごく好きで、最高のバンドが来た! と思ってずっと聴かせてもらっていて。いつか一緒に出来たらいいなと思っていたんですけど、以前は「GLIM SPANKYの曲をLiSAがやったとして、ファンの方に楽しんでもらえるのかな?」という感覚があったんです。それは私の力不足だったんですが、『LANDER』でa flood of circleに曲を作っていただいて(「シャンプーソング」)、それをみんなが受け入れてくれたことで、「今だったらGLIM SPANKYのおふたりにお願いできるかもしれない」と思って。
――楽曲の制作はどんなプロセスだったんですか?
LiSA:制作は1年くらい前なんですけど、ただ「ご一緒したい」という気持ちだけでご相談して。その後、松尾レミさんと1日一緒にいて、いろんな話をさせてもらったんですよ。そのうえで作ってくださったのが「SWEET MAGIC」の原曲で。さらにヌテラという私の大好きなチョコレートのWEB CMのお話をいただいて、「好きと好きが混ざったら、もっと好き!」みたいになったんです(笑)。レミさんもポップなもの、可愛いものがお好きなので、いいバランスでアレンジしていただきました。
――そして「あばよ」は小南泰葉さんの作曲。曲名もそうですが、歌謡的な匂いがする楽曲ですね。
LiSA:昭和ですよね。みんみん(小南)が作ってくれた曲はたくさんあるんですけど、これまではどちらかというと洋楽っぽい曲が多くて。もちろん全部かっこいいんですが、今回はちょっと“違和感”みたいなものを混ぜたかったんです。いつもは歌詞の年齢感が若いというか、“青春”っぽい感じで書きたくなるんですけど、「今回はそっちじゃないよ」って。耳なじみの良さと引っかかりみたいなものが両方ある曲になったかなと思っています。
――昭和歌謡もお好きなんですか?
LiSA:私、ちあきなおみさんが好きなんですよ。小さい頃にちあきさんの映像を見て、子どもながらに刺さるものがあって。勝手に親近感を感じていたんですよね。ノスタルジックな感じや、独特の切なさもそうなんですけど、憧れていたんだと思います。あと、“リバイバル”の感覚がやっとわかるようになってきて。中学生の頃に好きだったシール集めがまた今流行っていたり、私が10代の頃に好きだったものがいま戻ってきているんですよね。それもあって、過去に好きになったものを、今の感覚で表現できるようになってきたのかなと。
リリース情報
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15周年の節目に感じる
“みんな”の歴史
――「HOMEだよ」はハートウォームな手触りのミディアムチューン。作曲はいきものがかりの水野良樹さんです。
LiSA:私が東京に出てきた頃、ちょうど「ブルーバード」がリリースされたんですよ。たくさん好きな曲があるんですけど、特に「笑顔」というポケモンの曲(『劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ 神速のゲノセクト ミュウツー覚醒』主題歌)が印象に残っていて。すごく素直な言葉で、(吉岡)聖恵さんのストレートな歌声がグッと入ってくるんですよね。私も聖恵さんほどではないですけど、歌声自体はポップだと思うし、もしかしたら共通しているところもあるのかもなって。そういう話を水野さんにさせてもらったら、「詞先でやってみませんか?」とご提案いただいたんです。
――まずLiSAさんが歌詞を書くと。
LiSA:はい。詞を(メロディより)先に書いたことはないので、どうしたらいいのかわからなくて、まずは手紙みたいに自分の想いを書いてみたんです。それを水野さんにお渡しして、歌詞として整えて曲にしていただいたのが「HOMEだよ」ですね。〈わたしにはあなたが/あなたにはわたしが HOMEだよ〉は水野さんが書いてくださった歌詞です。
――家族をモチーフにした歌詞だと思いますが、こういう曲が似合うようになってきたのかも。
LiSA:そうですね。“15周年”ということで過去を振り返ることも多いんですけど、デビューした頃は居場所を求めてライブハウスに来てくれたり、LiSAの曲を聴いてくれたりしていた子たちがいて。そのうちに、そんな子たちもライブ会場で友達ができたり、同じものが好きな仲間が出来たりしながら少しずつ大人になって、結婚したりお子さんが生まれたりする子も増えてきたんですよ。『鬼滅の刃』のタイミングからは(そんなファンが)お父さん、お母さん、おばあちゃんと一緒に来てくれるようになったり、みんなの歴史を実感することも多くなってきて。
――まさに“家族”のイメージですね、それは。
LiSA:私はステージから見て想像しているだけなんですけど、(ライブに来る観客の)年齢の幅は広がっていて。そのときに感じたことが後に歌詞のテーマになることもありますね。
LiSA『残酷な夜に輝け』MUSiC CLiP
「嘘をつかない」
――「残酷な夜に輝け」からアルバムは後半へ。「シャドウ」はNOMELON NOLEMONや、Aoooのメンバーとしても活動しているツミキさんが手がけたアッパーチューンです。
LiSA:ツミキさんとの出会いは「Shouted Serenade」のカップリング曲「ハルシネイト」でした。大人になると「この人、好き!」という出会いがちょっとずつ少なくなる気がするんですけど、ツミキさんは出会ったタイミングから「好き!」となった方。15周年のタイミングでリリースするアルバムでも、ぜひ一緒にやりたかったんですよね。「シャドウ」はポップなところがすごく活きているし、ブラックな要素も入っていて。ツミキさんはすごく柔らかい方なんですけど、表現している楽曲が本当の彼なんだろうなと。(堀江)晶太くんもそういうタイプかも。
――確かに! アルバムの最後は、今話に出た堀江晶太さんが作曲した「Patch Walk」。
LiSA:アコースティックな温かみや切なさ、LiSAのエネルギッシュなところが両方出ている楽曲だと思います。私がアヴリル・ラヴィーンにきゅんとしたときの気持ちをアップデートしてくれる曲でもあるのかなって。
――そこにもLiSAさんの“好き”が込められているんですね。〈“好き”を縫い合わせて 仕立てた私〉という歌詞もアルバムを象徴しているのかなと。
LiSA:好きなもの、大切にしているものもたくさんあるし、関わってくれている人たちの好きなところを積み上げて、編み上げて出来上がったのが私自身なんだなと思います。今回のアルバムも大好きな人と作り上げた感覚があるし、ここまで来たら、もう好きな人としかやらないでおこうかなと思って(笑)。これからもLiSAとして楽しんで進んでいくためには、好きな人と好きなことをやること、嘘をつかないことが大事だと思うんですよね。
――LiSAさん、本当に嘘がないですよね。
LiSA:デビューしたときに「嘘をつくのはやめよう」と決めたんです。「人に迷惑をかけたくない」と思って本心を隠すこともあったんですけど、それが結果的に人を傷つけることになってしまうこともあったので。「嘘をつかない」という気持ちは、今もまったく変わってないですね。
――4月からは全国ツアー【LiVE is Smile Always~15~】がスタートします。
LiSA:“15”という冠が付いたツアーだし、15周年を感じてもらえるツアーにしたいと思っています。めちゃくちゃエネルギッシュなライブになるんじゃないかなって。
――楽しみです! ライブに対するモチベーションも上がっていますか?
LiSA:一昨年までは正直、どこを向いてライブをしていいかわからなかったんですよ。みんなが好きなこと、みんなが求めていることを意識しているうちに、自分の好きなものがわらなくなってしまって。去年、「アカペラで歌う」「裸になる」みたいな感覚で、自分の好きなものや、「どういう気持ちでこの曲を歌っていたんだろう?」という部分を見つめ直したんです。そこでいろいろ取り戻せたし、今はすごく楽しいですね。
――9月にはヨーロッパ&UKツアーもあるし、アグレッシブな1年になりそうですね。
LiSA:そうですね。LiSAというデコトラで走れるだけ走ろうと思っています!
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LACE UP
2026/04/15 RELEASE
VVCL-2890 ¥ 3,850(税込)
Disc01
- 01.OPENiNG -LACE UP-
- 02.DECOTORA15
- 03.QUEEN
- 04.REALiZE
- 05.小豆あらい feat.MAISONdes,ケンモチヒデフミ
- 06.SWEET MAGIC
- 07.あばよ
- 08.HOMEだよ
- 09.残酷な夜に輝け
- 10.ブラックボックス
- 11.ReawakeR (feat.Felix of Stray Kids)
- 12.シャドウ
- 13.Shouted Serenade
- 14.HELLO WORLD
- 15.Patch Walk
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