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<インタビュー>これを機にインスト音楽に触れてほしい――Novelbright沖聡次郎、念願のソロアルバムを携えてビルボードライブへ

インタビューバナー

Interview: 森朋之
Photo:高田梓

 Novelbrightのギタリスト・沖聡次郎のソロプロジェクトが始動。初のソロアルバム『GALLERY』が2月25日に配信リリースされた。
 バンドのコンポーザーとして「ツキミソウ」「愛とか恋とか」などのヒット曲を手がけてきた沖。『GALLERY』は、全10曲構成のインストゥルメンタル・アルバムで、ヘビーメタル、フュージョン、ゲームミュージックなどの影響を取り入れながら、独創的かつポップな世界観を描いている。
 3月13日にはビルボードライブ横浜で1stソロライブ【沖聡次郎 Oki Sojiro Billboard Live ~GALLERY~】を開催。アルバム『GALLERY』の制作とソロライブについて、彼自身の言葉で語ってもらった。


ずっと夢に見ていたソロプロジェクト

――まずはソロプロジェクトを立ち上げた経緯を教えてもらえますか?

沖聡次郎:バンドに参加する前、18、19の頃はギターインストを一人で作ってたんです。自分の部屋で宅録して、楽曲データを盤(CD)に落として友達に配ったり。デビューもリリースもしてないので、夢のままで終わってたところがあったんですよ。でも、自分としては「いつかソロアルバムを作りたい」という構想があって……。今年30歳になったんですけど、このタイミングで自分の作品を残しておきたいと思い立ちました。

――沖さんにとってNovelbrightとしての成功は、想像してない未来だったのかも。

:そうかもしれないですね(笑)。いろんな縁があって、バンドに参加して、いい環境で活動させてもらって。そのなかで得た知識だったり、やれることが増えて、スキルが上がった状態で1stアルバムを作れたのもよかったのかな、と。ただ、制作はめちゃくちゃ大変だったんですよ。Novelbrightのニューアルバム(『PYRAMID』)の制作とソロアルバムを同時進行しなくちゃいけなくなって。バンドのトラックメイカーも僕なので、ソロ曲と合わせると18曲くらいを半年間でフィックスさせることになったという。


――すごい!

:いえいえ(笑)。バンドの制作はメンバーにも任せられるので。逆にソロのほうは自分でやらなくちゃいけないし、際限なくやれちゃうじゃないですか。しかもほとんどの曲が書き下ろしだったので、やっぱり大変でした。レコーディングはスタジオではなくて、自宅のスタジオで完結させて。ミュージシャンの皆さんと演奏データのやり取りをしながら制作したんですが、ギターの録音はかなり大変でしたね。まずは1回録り切って、それを1日寝かせて。次の日に聴くと、やっぱり気になるところが見えてくるんですよ。で、またやり直して。それを1週間くらい繰り返した曲もありますね。


――アルバム全体の構想については?

:ギタリストのソロアルバムって、テクニックというか、超絶技巧を入れる傾向があると思っていて。今回のアルバムはそうじゃなくて、作品全体の空気感みたいなものを意識したんです。Novelbrightのファンは普段あまりインストを聴かないかもしれないし、ラウドロックやヘビーメタルになじみがないかもしれない。だからこそ、全体を通して「いい雰囲気だな」「もう1回聴きたい」と思えるようなアルバムにしたかったんですよね。


――どの曲もメロディの構成がしっかりしてて、ポップスと同じような感覚で聴けそうですよね。一方でテクニック重視の曲もあって。

:普段はやらないようなテクニックも見せたいので(笑)。あとはライブを意識していた部分もあるんですよ。今回のプロジェクトは「ソロアルバムを出します」「ビルボードライブでソロライブをやります」を同時に進めていて。ビルボードライブで演奏することをイメージして、どういう感じで演奏するか、どんな見られ方になるかを考えながら作ったアルバムでもあると思います。


――なるほど。沖さんがギターインストに興味を持ったのはどんなきっかけなんですか?

:いちばん好きなギタリストはスティーヴ・ヴァイなんですよ。今思うとすごい偏見なんですけど、「上手い人は海外にいるはずだ」と思って、YouTubeで“ギター 最高峰 海外”みたいに検索して(笑)。確か最初に出てきたのがイングウェイ・マルムスティーンだったんですけど、そこから関連動画を見てるうちにスティーヴ・ヴァイを知って。専門学校に入って、プロを視野に入れ始めてからはフュージョンやR&B、AORなども聴くようになったんですけど、いちばんはやっぱりスティーヴ・ヴァイですね。


――スティーヴ・ヴァイのライブも観たことあるとか。

:それもビルボードライブなんですよ。僕が18歳のときに(2014年)、スティーヴがビルボードライブ大阪に来て。最前列に座ってたら、スティーヴが目の前に来て、僕が食べてたステーキを食べちゃったんですよ。「代わりにギター触っていいよ」って(笑)。


――すごい体験だ(笑)。

:まだキッズだったし、「こんなことするんだ?!」ってめちゃくちゃビックリして。そういうフランクな感じもいいなって思います。




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自分がいなくなったあとも残ってほしい作品

――ではアルバム『GALLERY』の収録曲について。先行配信された「TESTAMENT」はピアノから始まる壮大な楽曲。ストーリー性のあるメロディが印象的でした。

:ピアノやギターの旋律が重複しながら進んでいく曲ですね。RPGのサウンドトラックの雰囲気もあると思うんですが、それも自分の音楽の軸になっている部分で。いろんな作品のオマージュも込めているので、そのあたりも楽しんでもらえたらなと。この曲を聴いてもらえれば、アルバムのムードを掴んでもらえると思います。




――「Diner」は華やかなフュージョン系のサウンドを取り入れた楽曲。ライブ映えしそうですね。

:この曲はまさにビルボードライブをイメージしていて。食事したり、お酒を楽しみながら、リラックスして聴けるような曲にしたかったんですよね。ユニゾンのフレーズがあるんですけど、そこはチック・コリアの「スペイン」の雰囲気を取り入れたくて。自分のいろんな側面を感じてもらえる曲かもしれないですね。


――オーケストラとヘビィメタルを融合させた「Ⅵ -six-」、和の要素とヘビーロックが結びついた「HAKUGEI」もこのアルバムの聴きどころ。このテイストも沖さんのルーツですよね。

:そうですね。「Ⅵ -six-」は変拍子も入っていて、めちゃくちゃテクニカルで。BPMも早いし、ライブで演奏するミュージシャンの皆さんにも重荷になるかも(笑)。「HAKUGEI」にはジェントの要素も入っていて。どちらの曲もメロディアスだし、切なさみたいなものを表現しています。


――そのほかにもケルト音楽のテイストを感じさせる「Miniature Garden」、ポップス的な魅力を持った「ANNIVERSARY」など、バラエティに富んだ楽曲が収録されています。『GALLERY』というアルバムタイトルについては?

:まずジャケットのコンセプトから考えたんです。蝶のはく製を配置したデザインなんですけど、“ずっと残るもの”という意味合いを込めていて。上がってきたデザインを見ているときに“GALLERY”という言葉が浮かんで、そのままタイトルにしました。自分にとっては“ずっと残るものを作りたい”というのが行動原理というか。音楽は聴覚上でしか感じられないし、モノとしては残らない。それでも「自分がいなくなったあとも残ってほしい」という気持ちがあるんですよね。大勢じゃなくてもいいんです。僕がいなくなった後、1人でもいいから『GALLERY』を聴いて何かを感じてくれる人がいたら、この作品を作った意味があると思うんですよね。




――3月13日にはビルボードライブ横浜で初のソロライブが開催されます。先ほどのスティーヴ・ヴァイの話もそうですが、ビルボードライブには10代の頃から足を運んでいたそうですね。

:はい。先輩のミュージシャンに連れていってもらったり、何度か行かせてもらいました。バンドではライブハウスやホール、アリーナでライブすることが多いんですけど、ビルボードライブは特別な空間だなと思っていて。あの場所にしかない緊張感や楽しさがあるんですよね。


――2022年にはNovelbrightとして初めてビルボードライブ公演を行っています。

:あのときはアコースティック・セットだったんです。しかも僕、ギターじゃなくてピアノを弾いたんですよ。うちのボーカル(竹中雄大)に「ピアノも弾けそうじゃない?」って言われて(笑)。思い入れのあるビルボードライブでピアノを弾くという、めちゃくちゃ緊張感のあるステージでした。


――今回の公演に参加するミュージシャンはIKUOさん(Ba)、クレハ リュウイチさん(Key)そしてNovelbrightのねぎさん(Dr)。

:IKUOさん、クレハさんはバンドでデビューした直後くらいから関わりがあって。アレンジやレコーディングでお世話になってるんですけど、一緒に音を出すのは初めてなのですごく楽しみです。百戦錬磨のミュージシャンだし、僕なんかより全然経験がありますからね。ねぎには、僕がNovelbrightに参加した10年前から「いつかソロアルバムを出したいんだよね」って話してたんですよ。当時から「そのときは叩きたい」って逆オファーをくれてたので(笑)、「もし気持ちが変わってなかったらお願いするね」って言ってて。実現してうれしいですね。


――記念すべき最初のソロライブ、どんなステージにしたいですか?

:気軽にジャズバーに遊びに行くくらいの感覚で見に来てほしいです。ファンの皆さんからは「どんな格好で行けばいいですか」「どんなライブですか?」って心配そうなメッセージが届いているんですけど、そんなに構えないで、ただ音楽を楽しんでほしいなって。僕にとっては“沖総次郎”としての最初の一歩。今後もアルバムを出したいし、ライブの本数も増やしたいので、みなさんと一緒に作り上げていきたいと思ってます。


――これからもソロプロジェクトを継続したい、と。若い世代のバンドのギタリストがソロ活動すること自体、かなり貴重だと思います。

:そうかもしれないですね。ソロプロジェクトを発表したとき、「歌うんですか?」という質問がけっこうあったんですよ。これを機にインストの音楽に触れてほしいし、僕が好きなミュージシャンの音楽にも興味を持ってもらえたらなって。そんなコミュニティーを作っていけたらすごくいいですよね。




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