Special
Billboard JAPAN 2025年上半期チャート発表、Mrs. GREEN APPLEが“JAPAN Hot 100” “Hot Albums” “Artist 100”首位
ビルボードジャパンの2025年上半期チャートが決定した。本特集では総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”、総合アルバム・チャート“Hot Albums”、“JAPAN Hot 100”と“Hot Albums”のポイントを合算したアーティスト・チャート“Artist 100”、そして世界でヒットしている日本の楽曲をランキング化した“Global Japan Songs Excl. Japan”などの上半期チャートを解説とともに発表する。
※集計期間:2024年11月25日(月)~2025年5月25日(日)
▲ 「ライラック」MV / Mrs. GREEN APPLE
2025年の上半期Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”で、Mrs. GREEN APPLEの「ライラック」が首位を獲得した。
本楽曲はアニメ『忘却バッテリー』のオープニング・テーマ。2024年4月12日にリリースされると、4月17日公開チャートで総合11位に初登場し、その後、アニメ最終回の放送終了後となる7月17日公開チャートで、チャートイン14週目にして遂に総合首位を獲得した。その後も順位を大きく落とすことなくトップ5内以内を維持し、9月11日公開チャートで再び首位に。そして、『第66回 輝く!日本レコード大賞』にて、日本レコード大賞を受賞、『第75回NHK紅白歌合戦』では「青と夏~ライラック 紅白SP」を披露するなど、年末にも再び注目を集め、上半期チャート集計期間中にも通算5回(2025年1月8日、15日、22日、2月19日、3月26日公開)で首位を獲得するという、ロングヒットを見せた。上半期チャートでの各指標の順位はストリーミング、動画、カラオケで1位、ダウンロードで2位、ラジオで23位という結果に。総合ポイントは2位の約1.5倍という大差をつけて上半期を制した。なお、Mrs. GREEN APPLEは他にもチャートインを果たしており、トップ5内に4曲、トップ100内に20曲チャートイン。上半期チャートでトップ5内に同一アーティストが4曲チャートインするのは、Mrs. GREEN APPLEが初となる。
▲ 「APT.」MV / ROSÉ & Bruno Mars
続く2位はロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」。2024年10月18日にリリースされると、米Billboardが発表する“Global 200”で通算12回、"Global Excl.US”では通算19回の首位を獲得するという世界的なヒットを果たした。日本でも2024年11月20日に総合首位を獲得して以降、年末年始に再び話題となり上半期チャート集計期間中も3度の首位(2024年12月4日、25日、2025年1月1日)を獲得した。各指標の順位ではラジオ1位、ストリーミングと動画が2位、ダウンロード6位、カラオケ39位という結果になっている。
そして3位はMrs. GREEN APPLE「ビターバカンス」。2024年11月29日にリリースされた映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~』の主題歌で、チャートイン2週目となる2024年12月11日公開チャートで首位を獲得した。その後2月26日公開チャートまでトップ10内を維持、上半期チャートの集計期間中はトップ30内をキープしストリーミング3位、ダウンロード10位、ラジオ12位、動画13位となった。4位はMrs. GREEN APPLE「ケセラセラ」。2023年4月25日にリリースされた楽曲で2023年の年間チャートで23位、2024年は6位、そして2025年上半期は4位と順位を上げ続けている。昨年以前にリリースされた楽曲が続く中、5位は1月にリリースされたMrs. GREEN APPLE「ダーリン」が獲得。現時点までで総合首位を獲得した週はなかったがトップ10内を維持、カラオケも順位を上げ続け上半期5位に食い込んだ。
その他、2月にサカナクションが約3年ぶりの新曲としてリリースした「怪獣」は上半期12位に。2025年2月26日公開チャートで2位を獲得し、4月23日公開チャートまでトップ5内を維持、上半期集計期間中はトップ10内をキープした。また4月にデビューを果たしたHANAは2曲チャートイン。デビュー曲「ROSE」は週間チャートで2位首位となり上半期28位、プレデビュー曲「Drop」は46位となった。HANAをプロデュースしている、ちゃんみなの楽曲も最終審査が話題になった影響で、週間チャートにたびたびチャートイン。ストリーミングとカラオケが牽引し、「ハレンチ」は上半期で総合86位に浮上した。AKASAKIが2024年10月にリリースした「Bunny Girl」は上半期16位に。UGCチャートでも12位を獲得するなど、ストリーミング、動画、カラオケでポイントを獲得した。
Text by 高嶋直子
- 2025年 上半期Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”
-
1位ライラックMrs. GREEN APPLE
-
2位APT.ロゼ&ブルーノ・マーズ
-
3位ビターバカンスMrs. GREEN APPLE
-
4位ケセラセラMrs. GREEN APPLE
-
5位ダーリンMrs. GREEN APPLE
-
6位SoranjiMrs. GREEN APPLE
-
7位オトノケCreepy Nuts
-
8位かわいいだけじゃだめですか?CUTIE STREET
-
9位幾億光年Omoinotake
-
10位Bling-Bang-Bang-BornCreepy Nuts
インタビュー抜粋

本当に嬉しいです。ちょっと恐れ多さもあるんですけれども、多くの方に聴いていただけているという事実が本当に嬉しいです。これからもしっかり音楽を作っていきたいなと思いました。ありがとうございます。(大森元貴)
こうしてたくさんの方々に僕たちの音楽を届けられているという実感、本当に嬉しいです。「ライラック」は去年の曲ですし、僕たち自身、長く愛され続けるような楽曲を目指して作っているので、本当に嬉しいです。ありがとうございます。(若井滉斗)
Mrs. GREEN APPLEは今年でデビュー10周年になります。バンドを組んだ当時から、僕らは大森が書く楽曲をアウトプットすることを大切にやり続けてきたことなので、このように評価していただける、たくさんの人に聴いていただけるということは、本当に嬉しいな、ありがたいなという気持ちです。ありがとうございます。(藤澤涼架)
▲ 「ANTENNA」MV / Mrs. GREEN APPLE
2025年度上半期のBillboard JAPAN総合アルバム・チャート“Hot Albums”で、Mrs. GREEN APPLEの『ANTENNA』が首位を獲得した。
“Hot Albums”チャートでは、サウンドスキャンジャパンによるリアルストア、コンビニ、Eコマース全ての販売チャンネルの9割以上をカバーするパッケージ実売データをもとにした全国推定売上枚数と、GfK/NIQ Japanが提供する国内主要音楽ダウンロードサービス(Amazon、iTunes、mora、mu-mo、レコチョク)の販売実績およびLuminateが提供する、その他音楽レーベルのiTunesの販売実績による推定値を合算してチャートを生成してきたが、2024年12月26日よりGfK Japanが提供する国内主要ストリーミングサービス(Amazon Music、Apple Music、Spotify他)の再生回数が合算されている。
『ANTENNA』は、Mrs. GREEN APPLEが2023年7月5日にリリースした5thアルバムで、「Soranji」「ケセラセラ」「Magic」などのシングル曲を含む全13曲が収録されている。Mrs. GREEN APPLEは、2024年の年末に『第65回 輝く!日本レコード大賞』で「ライラック」が大賞を受賞、『第75回NHK紅白歌合戦』や『CDTVライブ!ライブ!年越しスペシャル!2024→2025』へ出演したことなどもあり、2025年1月8日公開のチャートで1位をマーク。今回、集計期間内で計4回首位を獲得し、その以外の週でもトップ5にチャートインし続けるなど、大きく存在感を発揮して、上半期首位の座に立った。
今回、『ANTENNA』はCDセールス数49,212枚で59位、ダウンロード数7,389DLで7位、ストリーミング1位となっている。また3位には、同じくMrs. GREEN APPLEの『Attitude』がダウンロード数2,840DLで30位、ストリーミング2位を記録してチャートイン。7月8日にはベストアルバム『10』がリリースされることも決定しており、下半期もMrs. GREEN APPLEの快進撃は続くと考えられる。
▲ 「Snow Man BEST ALBUM 'THE BEST 2020 - 2025' Visual Teaser」
2位には、Snow Man『THE BEST 2020 - 2025』がチャートイン。本作は、デビュー5周年記念日である2025年1月22日にリリースされたベストアルバムで、1月29日公開のチャートで初登場1位を記録した。その後、4月7日よりストリーミングとダウンロードの配信がスタートしたため、4月16日公開のチャートで再び首位に返り咲き、そのまま4週連続で首位をキープ。CDセールス数1,616,736枚で1位、ダウンロード数9,766DLで6位、ストリーミング6位と好成績を収めた。
新メンバー募集オーディション『timelesz project』を経て、2025年2月より8人編成となったtimelesz。2月28日にリリースされたデジタルコンピレーション『Hello! We're timelesz』は、ダウンロード数9,989DLで5位、ストリーミング8位となって、総合8位にチャートインした。オーディションの最終審査結果が発表された2月15日から2週間足らずでリリースされ、話題が広がったことで、3月5日公開のチャートから2週連続で首位を獲得している。
トップ100では、2025年発売のタイトルが18作品、2024年発売のタイトルが27作品、2023年以前に発売されたタイトルが55作品という内訳に。前述した通り、ストリーミング指標が加わったことで、アルバムとして評価されている作品がより鮮明に分かるようになった。またチャートの上位は、ストリーミング順位とほぼ相対的にもなっている。発売日に関係なくチャートインする可能性が高くなる中で、年間はどういった結果になるのか注目したい。
Text by Tatsuya Tanami
- 2025年 上半期Billboard JAPAN総合アルバム・チャート“Hot Albums”
-
1位ANTENNAMrs. GREEN APPLE
-
2位THE BEST 2020 - 2025Snow Man
-
3位AttitudeMrs. GREEN APPLE
-
4位stroboVaundy
-
5位No.INumber_i
-
6位replicaVaundy
-
7位ロージーロゼ
-
8位Hello! We're timelesztimelesz
-
9位LOST CORNER米津玄師
-
10位BAD HOPBAD HOP
▲ 「ビターバカンス」MV / Mrs. GREEN APPLE
2025年の上半期Billboard JAPANトップ・アーティスト・チャート“Artist 100”で、Mrs. GREEN APPLEが首位を獲得した。
本チャートは、総合ソング“JAPAN Hot 100”と総合アルバム“Hot Albums”のポイントを合算したアーティスト・ランキングだ。Mrs. GREEN APPLEは2024年上半期に引き続き2度目の首位に。また昨年はストリーミング、動画、カラオケで1位だったが、今年はCDセールスを除く全ての指標(ラジオ、ダウンロード、ストリーミング、動画、カラオケ)で首位という圧倒的な強さを見せた。上半期チャートの“Hot 100”では、1位「ライラック」、3位「ビターバカンス」を含め、昨年上半期の14曲を上回る計20曲がチャートイン、“Hot Albums”では2025年よりストリーミング数をチャートに反映させた影響もあり1位『ANTENNA』、3位『Attitude』など計8タイトルを送り込んだ。
▲ 「高嶺の花子さん」MV / back number
続く2位は、昨年の上半期より1ランクアップしたback number。“Hot 100”には32位「高嶺の花子さん」を筆頭に計8曲、“Hot Albums”には14位『スーパースター』を含む7タイトルがチャートインを果たした。ここ数年で「クリスマスソング」の順位が上がり続けているのも印象的で、2023年上半期は67位、2024年上半期は55位、そして2025年上半期は50位圏内となる49位へと徐々に浮上。クリスマスの定番ソングとして愛されている様子がうかがえる。
3位は昨年の上半期から2ランクアップのVaundy。11位「怪獣の花唄」、72位「走れSAKAMOTO」など“Hot 100”に5曲、4位『strobo』など“Hot Albums”に2タイトルがチャートインを果たした。CDセールスで首位を獲得したのはアルバム・セールスチャートも制したSnow Man。『THE BEST 2020 - 2025』を1,616,736枚売り上げ、上半期のアルバム・セールスで2位以下に大差をつけて首位を獲得している。
▲ 「Never Grow Up」MV / ちゃんみな
その他、昨年から大きく順位を上げたのは10位のちゃんみなだ。BMSGとともに実施したガールズグループオーディション『No No Girls』が話題となり、「Never Grow Up」や「ハレンチ」などが週間チャートを賑わせ、2024年上半期は49位、年間で48位だったが2025年上半期では大きくランクアップを果たした。また、RADWIMPSも2024年年間の82位から20位へと大きく浮上。ストリーミング数が牽引し、“Hot Albums”に2作(80位『RADWIMPS 4~おかずのごはん~』、89位『君の名は。』)がチャートインを果たした。
Text by 高嶋直子
- 2025年 上半期Billboard JAPANアーティスト・チャート“Artist 100”
-
1位Mrs. GREEN APPLE
-
2位back number
-
3位Vaundy
-
4位米津玄師
-
5位Official髭男dism
-
6位YOASOBI
-
7位あいみょん
-
8位Creepy Nuts
-
9位Snow Man
-
10位ちゃんみな
2025年の上半期Billboard JAPAN総合アニメソング・チャート“Hot Animation”で、TVアニメ『忘却バッテリー』のオープニング・テーマであるMrs. GREEN APPLEの「ライラック」が1位に輝いた。
アニメ初回放送後となる2024年4月12日に配信がスタートした同曲は、14週連続首位(2024年7月17日公開分~10月16日公開分)を記録するなど目覚ましい成績を残し、2024年の年間“Hot Animation”においては上半期の12位から3位へと浮上しトップ3圏内に登場。2025年度に入ってもその勢いは衰えず、上半期チャートの集計期間中は常にトップ3圏内に君臨し続けるという驚異的な成績を残している。
指標別に見ると、「ライラック」はストリーミング、動画再生、カラオケの3指標で1位を記録。CDセールスは現時点でCDシングルは未発売であるため加算なし、ダウンロード指標は惜しくも米津玄師「Plazma」に追いつかず2位に甘んじる結果となった。また、この楽曲はストリーミング指標における圧倒的なポイント獲得数が印象的だ。2位と比較してみると、ストリーミングはCreepy Nuts「オトノケ」(TVアニメ『ダンダダン』オープニング・テーマ)の約2倍ものポイントを獲得している。アニメ総合としては2位に2.2倍以上のポイント差をつけ、ダントツの首位に輝いた。
2位には、前述のCreepy Nuts「オトノケ」がチャートイン。アニメ初回放送の直前、2024年10月4日の0時から配信がスタートした本楽曲は、2024年10月9日公開チャ―トで9位に初登場。その後は順位を上げ続け、7週連続の首位(2024年10月23日公開分~2024年12月4日公開分)も記録。2025年5月7日公開チャートで初めてトップ10圏外へと順位を落としたが、引き続きチャート上位を走り続けている。指標別では、前述の通り2位を記録しているストリーミングのポイントが突出しており、動画再生とダウンロードがそれに続く形となっている。
▲ 「Bling-Bang-Bang-Born」×TV Anime「マッシュル-MASHLE-」Collaboration Music Video / Creepy Nuts
3位は、2024年年間チャートで当チャート含む12冠を達成した、同じくCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」(TVアニメ『マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編』オープニング主題歌)に。昨年は史上初のアニメチャート24連覇を果たすなど、他を寄せ付けない圧倒的な成績を残していた同曲だが、2025年においても安定したチャートアクションが続いている。また、首位からは多少遠ざかってしまったものの、「Bling-Bang-Bang-Born」は2025年5月14日発表チャートまでトップ10圏内のポジションを継続していた。これは初登場翌週の2024年1月17日週から実に69週に渡って続いていた記録で、アニメ放送終了後も長く聴かれ続けているロングヒットぶりを象徴する数値と言えるだろう。
▲ 「クスシキ」MV / Mrs. GREEN APPLE
今回の上半期チャートでは、同一シリーズ作品のタイアップ曲が複数同時にトップ20入りしている点も特徴的だ。例えば、『映画ドラえもん』シリーズからは2024年公開の『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』と2025年公開の最新作『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』それぞれの主題歌(Vaundy「タイムパラドックス」、あいみょん「スケッチ」)、『薬屋のひとりごと』のオープニング・テーマからは、Mrs. GREEN APPLE「クスシキ」、幾田りら「百花繚乱」、緑黄色社会「花になって」が並び、『【推しの子】』の第1期と第2期のオープニング・テーマ(YOASOBI「アイドル」、GEMN「ファタール」)も揃って登場している。新曲が旧曲を置き換える形ではなく、新旧タイアップ曲が並行して聴かれている傾向が見て取れる。また、2025年上半期のトップ20に登場したアーティスト数は14組と前年上半期の16組を下回っており、特定の人気アーティストにアニメタイアップが集中していることも窺える。これらを踏まえると、楽曲のヒットは作品側の影響力だけでなく、アーティスト側の人気や話題性にも支えられていると推察できる。
下半期も、『ダンダダン』第2期、『SPY×FAMILY』Season 3や『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』第一章 などの人気シリーズ作品の続編や、新作アニメの放送/公開が予定されている。2025年リリースの楽曲の中で、「Bling-Bang-Bang-Born」や「ライラック」、YOASOBI「アイドル」のような圧倒的な突き抜け方を見せる楽曲の台頭はまだ見られていない。ただ、上半期4位のサカナクション「怪獣」(TVアニメ『チ。-地球の運動について-』オープニング主題歌)や5位の米津玄師「Plazma」(『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』主題歌)など、勢いを見せている楽曲も上半期チャートに登場している。下半期から当チャートの大元となる“JAPAN Hot 100”(当アニメチャートは“JAPAN Hot 100”からアニメTV/映画のタイアップ楽曲と、アニメ声優による楽曲を抽出してランキング化している)にリカレントルールが導入されたことも含め、年間チャートがどのようなラインナップになっていくのか、新たなダークホース的な楽曲が登場するのか、注目していきたい。
Text by Haruki Saito
▲ 「Plazma」MV / 米津玄師
2025年上半期Billboard JAPANダウンロード・ソング・チャート“Download Songs”で、米津玄師の「Plazma」が、累計130,282ダウンロード(DL)を売り上げて1位に輝いた。
本楽曲は、2025年4月放送開始のTVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』および同年1月公開の劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』の主題歌。1月20日に配信リリースされ、1月29日公開チャートで首位デビュー、その後2月19日公開チャートで再び首位に浮上し、通算2回の首位を獲得した。また、主題歌となっているアニメの人気の影響もあり、上半期集計期間中は本チャートのトップ20位圏内を維持した。なお米津玄師は、TVアニメ『メダリスト』のオープニング主題歌「BOW AND ARROW」(83,414DL)も4位にチャートイン。トップ10に2曲を送り込んだ。
続いて、2024年の年間Download Songsで5位を獲得したMrs. GREEN APPLE「ライラック」が、上半期期間中も118,826DLを売り上げて2位に。TVアニメ『忘却バッテリー』のオープニング・テーマで、2024年4月17日公開チャートにおいて初登場4位を記録して以来、2025年5月21日公開チャートまでトップ20圏内を維持しており、2024年末のレコード大賞受賞や、『紅白歌合戦』への出場が話題となり、さらに新規リスナーを獲得した。なおMrs. GREEN APPLEは、「ダーリン」(59,156DL)が9位に、「ビターバカンス」(58,767DL)が10位に、「クスシキ」(55,063DL)が12位を獲得。さらに2023年リリースの「ケセラセラ」(44,165DL)が16位に、2019年リリースの「僕のこと」(38,488DL)が19位と数年前の楽曲もチャートインしており、2025年上半期もさらに新規ファンを獲得した。先日開催された国際音楽賞【MUSIC AWARDS JAPAN 2025】で最優秀アーティスト賞に選ばれた彼らだが、上半期チャートでも根強い人気をあらためて示している。
そして累計92,207DLを売り上げたNumber_i「GOD_i」は、上半期3位につけた。メンバーの岸優太がプロデュースを担当しており、2025年1月27日にリリースされると、2月5日公開チャートで首位デビュー。そして5月19日には同曲を表題にしたCDシングルがリリースされた影響により、5月28日公開チャートで再度首位へ浮上した。また、1stフル・アルバム『No.Ⅰ』デラックス盤に収録の「HIRAKEGOMA」(35,725DL)は22位を記録している。
4位の米津玄師「BOW AND ARROW」に続き5位となったのは、累計78,787DLを売り上げたサカナクション「怪獣」だ。3年ぶりとなる新曲で、TVアニメ『チ。 ―地球の運動について―』オープニング・テーマのために書き下ろされた。2月26日公開チャートで26,512DLを売り上げて首位デビュー。アニメとの相乗効果、ミュージックビデオの話題性などもあり、上半期チャート集計期間中においては常にトップ20位圏内をキープした。
▲ 「百花繚乱」MV / 幾田りら
アニメタイアップがヒットのトレンドとして挙げられることが多い昨今。本チャートでは、既述の楽曲のほか、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第2期OPテーマの幾田りら「百花繚乱」(72,009DL)が7位に、TVアニメ『ダンダダン』オープニングテーマのCreepy Nuts「オトノケ」(59,507DL)が8位に、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』の劇場先行挿入歌とテレビシリーズのEDテーマに起用されている星街すいせい「もうどうなってもいいや」(51,834DL)が13位にチャートインするなど、トップ20のうち半数がアニメ関連楽曲となった。
そしてMrs. GREEN APPLEが複数曲チャートインし、強い存在感を見せた上半期チャート。他にも上位には、サカナクションやKing Gnuなどのバンド、洋楽としてロゼ & ブルーノ・マーズ、ボーイズグループやVTuberなど、多様なアーティストが名を連ねた。半年後に発表される年間チャートでは、ここからどのような変化が見られるか注目してみたい。
Text by Yutaro Takahashi
▲ 「サザンオールスターズ NEWオリジナル・アルバム『THANK YOU SO MUCH』2025年3月19日リリース [Official Trailer]」
2025年上半期Billboard JAPANダウンロード・アルバム・チャート“Download Albums”で、サザンオールスターズの16作目となるオリジナル・アルバム『THANK YOU SO MUCH』が堂々の首位を獲得した。
本作は、2025年3月19日にリリースされたサザンオールスターズにとって実に約10年ぶりとなるニュー・アルバム。リリース初週に7,588ダウンロード(DL)を記録し、3月26日公開のチャートで初登場1位を飾ると、その後も2週連続で首位をキープ。集計期間中はトップ10圏内を維持し、累計16,128DLで見事に上半期チャートの頂点に立った。
▲ 「Travis Japan 'VIIsual' -Special Teaser-」
続く2位は、Travis Japanの2ndアルバム『VIIsual』(累計11,740DL)。2024年12月4日にリリースされ、翌週の12月11日公開チャートで1位デビューを果たし、一時チャート圏外となるも、複数回にわたり再浮上を見せた。そして僅差の累計11,597DLで上半期3位につけたのは、Adoのデビュー5周年を記念した、全40曲収録の『Adoのベストアドバム』。4月9日に発売されたベスト・アルバムで、4月16日公開のチャートで2位に初登場すると、その後2週にわたって首位を獲得した。
4位に続いたのは、累計10,325DLを記録したONE OK ROCKの11作目となるアルバム『DETOX』。2月26日公開チャートでNo.1デビューし、その後も25位圏内を堅実に維持しながら、ポイントを積み上げた。3月5日公開チャートで首位発進したtimeleszのデジタル・コンピレーション・アルバム『Hello! We're timelesz』は累計9,989DLで上半期5位に。Snow Man初のベスト・アルバム『THE BEST 2020 - 2025』(累計9,766DL)を6位に挟み、総合アルバム・チャート“Hot Albums”で上半期1位のMrs. GREEN APPLE『ANTENNA』はDownload Albums上半期7位(7,389DL)となった。
2024年の年間“Download Albums”で3位に輝いた米津玄師による通算6枚目のスタジオ・アルバム『LOST CORNER』は引き続きポイントを重ねて、上半期8位に。そして上半期9位には、星街すいせいの『新星目録』(6,663DL)、10位には香取慎吾の『Circus Funk』(5,818DL)が続いた。両者にとって3rdアルバムとなる作品で、いずれも“Download Albums”の週間チャートを制している。
トップ20圏内には、5月14日にリリースされた星野源の6年半ぶりとなるニュー・アルバム『Gen』が累計5,269DLを獲得し、わずか2週で11位にチャートイン。また、Stray Kids(16位/3,957DL)、ロゼ(17位/3,878DL)、JIN(18位/3,819DL)、G-DRAGON (from BIGBANG)(19位/3,730DL)など、K-POP勢も多数名を連ねた。
Text by 岡田
2025年上半期Billboard JAPANストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”で、Mrs. GREEN APPLE「ライラック」が首位を獲得した。
首位を獲得した「ライラック」はTVアニメ『忘却バッテリー』のオープニング・テーマ、またMrs. GREEN APPLEとしては約5年ぶりのアニメタイアップ作として、アニメ初回放送後の4月12日にデジタル・リリース。金曜日リリースであった影響もあり、集計初週の4月17日公開チャートでは15位であったが、そこから翌週4月24日公開チャートで4位とトップ5圏内に浮上。5月8日公開チャートで3位へ上昇してからは、最新の6月4日公開チャートに至るまで、じつに57週にわたってトップ3圏内を守り続けているというモンスター曲だ。また、当チャートにおける連続首位獲得数は18週で歴代6位(DA PUMP「U.S.A.」と同率)、通算首位獲得数は32週で歴代2位の記録を打ち立てている。
▲ 「ダーリン」MV / Mrs. GREEN APPLE
連覇数という点では、昨年の当チャート上半期/年間を総なめしたCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」を思い出す人もいるだろう。この曲と「ライラック」の異なる点は、Mrs. GREEN APPLEが“アーティスト単位”として、新譜/旧譜の区別なく継続的にストリーミング再生され続けているという点にある。実際、今回の上半期チャートでミセスはトップ20に10曲、トップ100では22曲を送り込んでいるが、そのうち「ライラック」「ビターバカンス」「ダーリン」など2024年~2025年リリースの新曲が上位を占める一方、「青と夏」や「点描の唄」「僕のこと」など、数年前の代表曲も依然として高い再生数を保ち続けている。この「新旧問わず楽曲が同程度聴かれ続けている」という現象は、back numberやOfficial髭男dism、YOASOBIといった特にストリーミングに強いアーティストにたびたびみられる傾向ではある。ただ、特に2025年上半期のMrs. GREEN APPLEが特異なのは、「新曲が“毎度”チャート上位に登場している」という点にある。
とりわけ、2024年後半からのMrs. GREEN APPLEは確変状態といえるほどの快進撃をみせていた。「familie」は「ライラック」が到達するのにかかった6週の半分、チャートインから3週で当チャート2位を記録。次作「ビターバカンス」はさらに短い2週で2位に到達し勢いの兆しが見えていたが、2025年に入ってからリリースされた「ダーリン」「クスシキ」「天国」の3曲は、いずれも登場2週目で当チャート首位を獲得している。また、2025年1月8日公開分からの20週にわたっては、当チャートの首位楽曲がすべてMrs. GREEN APPLEの楽曲となっており、計4曲(「ライラック」「ダーリン」「クスシキ」「天国」)が入れ替わり立ち替わりでチャート1位を維持するという状態が続いている。これは単にファン層の厚さだけでは達成しえないもので、シンプルに「広く愛される楽曲を作り続ける」という、ごく限られたアーティストしか実現できない現象を彼らが達成したのだといえるだろう。
もちろんMrs. GREEN APPLEのほかにも、楽曲(の一部)がお茶の間にまで広がった楽曲が特に上位へ登場している。2位となったロゼ(BLACKPINK)とブルーノ・マーズのコラボ曲「APT.」は、世界的アーティスト同士による共演とキャッチーなリフレインで、リリース後まもなくから世界規模でストリーミングが急上昇(当チャートでは楽曲が金曜日リリースだった影響で、登場2週目から急上昇した)。当チャートでは8週にわたって首位を獲得した。また昨年のtuki.「晩餐歌」のように、いわゆる“無名の新人”によるブレイクもみられている。11位のCUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」は彼女たちのデビュー曲にして、TikTokやSNS等での話題を背景に上昇。15位にランクインしたAKASAKI「Bunny Girl」も、リリース後初週の2024年10月9日公開チャートで33位に初登場したあとすぐに急浮上し、上半期チャートでも存在感をみせる結果となった。
▲ 「怪獣」MV / サカナクション
さらに、サカナクションにとって約3年ぶりの新曲「怪獣」の勢いも見逃せない。構想に2年を費やしたという渾身の新曲、またバンド初のアニメタイアップ作という話題性も相まって、今回のトップ20圏内では最もリリースから日が浅い(2025年2月20日リリース)楽曲ながら、すでに上位をキープ。上半期集計の最終週にあたる5月28日公開チャートでは、この曲でサカナクションとして初の累計1億回再生を突破しており、長く支持され続けているバンドが持つ底力を見せつける形となった。
Billboard JAPANチャートでは、2025年下半期よりリカレントルール導入によるストリーミング値の減算がおこなわれている。“JAPAN Hot 100”および“Hot Albums”の総合チャート2種には変動がみられはじめているが、同ルールは当ストリーミング・ソング・チャートには適用されないため、当チャートでは今後も従来通りにストリーミング再生数の推移を追っていく。7月にはベストアルバムのリリースと、神奈川・山下ふ頭で自身最大規模のライブを開催するMrs. GREEN APPLEが下半期もチャートを席巻するのか、もしくは2024年の「Bling-Bang-Bang-Born」、2023年のYOASOBI「アイドル」のように爆速でチャートを駆け上がる楽曲が番狂わせを起こすのか、下半期の動きにも注目だ。
Text by Maiko Murata
▲ 「消費期限」MV / SEVENTEEN
2025年上半期Billboard JAPANシングル・セールス・チャート“Top Singles Sales”で、SEVENTEEN『消費期限』が831,553枚を売り上げ首位に輝いた。
本チャートは、2024年11月25日から2025年5月25日まで、計6か月間のサウンドスキャンジャパン販売枚数データを累計したもの。首位を獲得した『消費期限』はSEVENTEENの日本4thシングルで、NHK夜ドラ『未来の私にブッかまされる!?』の主題歌であった表題曲に、先に韓国語でリリースされた「Circles」「MAESTRO」の日本語バージョンを含めた計3曲が全形態共通で収録されている。本作は集計期間初週の2024年11月27日にリリースされ、初登場週となった12月4日公開チャート(集計期間:2024年11月25日~12月1日)の時点で自身最多初週セールスとなる514,234枚を売り上げ、ハーフミリオンを突破。その後も常にシングル・セールストップ100に入り続ける売上を記録し、上半期での売上は累計83万枚超で走り切った。
なお、SEVENTEENは4月~5月にかけて日本でのファンミーティング・イベント【『SEVENTEEN 2025 JAPAN FANMEETING 'HOLIDAY'】を開催済み。現在13人のメンバーのうちジョンハンとウォヌのふたりが兵役中であり、次回来日公演の予定はまだ発表されていないが、下半期初週となった6月4日公開のアルバム・セールス・チャートで首位を獲得したニューアルバム『HAPPY BURSTDAY』のリリースなど、継続して話題を振りまいている。ここから年間チャートまでの間でミリオンセールス突破となるか注目だ。
▲ 「ネーブルオレンジ」MV / 乃木坂46
続く2位と3位は乃木坂46が独占。上半期チャート発表時点で最新作となる38thシングル『ネーブルオレンジ』とその前作37thシングル『歩道橋』が、それぞれ683,428枚と666,256枚を売り上げてチャートインした。両作とも初週売上でハーフミリオンを突破しているほか、乃木坂46は2013年7月3日リリースの6thシングル『ガールズルール』以降33作連続でのシングル・セールス・チャート初週1位を記録しており、下半期以降もこの記録を伸ばすか期待がかかる。
今回のトップ20は2024年上半期とほぼ登場アーティストが変わらず、ジェンダー比が見事に半々であることも変わらなかったが、特に女性グループのラインナップに多様性が生まれている。各1作ずつトップ20入りした48グループ(AKB48、SKE48、NMB48、STU48)や、集計期間中にリリースしたシングルがすべてトップ20入りした坂道シリーズ(乃木坂46、櫻坂46、日向坂46)は引き続き大きな存在感をみせているが、きゃりーぱみゅぱみゅや新しい学校のリーダーズを擁するアソビシステムの「KAWAII LAB.」所属であるFRUITS ZIPPERがCDセールスでも成績を出していたり(16位『KawaiiってMagic』)、「愛♡スクリ~ム!」が世界規模でヒットしたAiScReamのメンバー黒澤ルビィ(CV. 降幡 愛)も所属するAqoursが、6月21日および22日に開催する9人でのラストワンマン公演【ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~】のテーマソング『永久hours』を19位へ送り込んでいる。また男性グループでも、4位の&TEAM『Go in Blind (月狼)』は自身初となるフラゲ日でのハーフミリオンを達成するなど、全体的に自身最多初週セールスを更新したアーティストが計6組(SEVENTEEN、&TEAM、=LOVE、FRUITS ZIPPER、≠ME、Aqours)と特に多かった印象だ。
なお、今年の上半期はSnow Manがシングルリリースを行わなかったこともあり、まだミリオンセールス作が出ていない。2024年のミリオン突破シングルはSnow Manの『LOVE TRIGGER / We'll go together』『BREAKOUT / 君は僕のもの』の2作のみであったが、先の『消費期限』をはじめ、ここから1年間をかけてミリオンを突破する作品が出てくるのか、下半期も注目だ。
Text by Maiko Murata

2025年上半期Billboard JAPANシングル・セールス・チャート“Top Singles Sales”で僕たちの『消費期限』が1位という光栄な結果をいただき、ありがとうございます。 この素敵な結果をいただけたのも、いつも応援してくれるCARATのおかげです。本当にありがとうございます。タイトル曲「消費期限」は、感情の「消費期限」に悩む気持ちを歌詞に表現したバラード曲です。まだ聞いたことがない方には、これを機会に聞いていただけると嬉しいです。これからも良い音楽を届けていきますので、期待していてください!
▲ 「Snow Man 'THE BEST 2020 - 2025' Solo MV Behind The Scenes」
2025年上半期Billboard JAPANアルバム・セールス・チャート“Top Albums Sales”は、Snow Man『THE BEST 2020 - 2025』が首位を獲得した。
本作は1月22日にリリースされた自身初のベストアルバム。初週で1,438,742枚を売り上げて首位を獲得、上半期の期間中にトータル1,616,736枚を記録し、2位以下に100万枚以上の差をつけて首位となった。なおSnow Manは昨年の年間“Top Albums Sales”を制した『RAYS』も63位にチャートインし、トップ100内に2タイトル送りこんだ。
▲ 「雪明かり」MV / &TEAM
2位は&TEAMの2ndアルバム『雪明かり (Yukiakari)』がチャートイン。12月18日にリリースされると、初週491,677枚を売り上げ、12月25日公開チャートで首位を獲得。上半期の期間中に累計521,081枚を売り上げた。続く3位はSixTONESの5thアルバム『GOLD』。1月15日にリリースされ、初週435,227枚を売り上げて1月22日公開チャートで首位に。上半期期間中は504,903枚を売り上げ3位につけた。なお、メンバーの京本大我のクリエイティブ・プロジェクト「ART-PUT」が初の音源としてリリースしたアルバム『PROT.30』は23位にチャートインを果たした。
4位にZEROBASEONE『PREZENT』、5位にJO1『BE CLASSIC』とボーイズグループが続く中、6位にサザンオールスターズ『THANK YOU SO MUCH』がチャートイン。サザンオールスターズが10年ぶりにリリースしたアルバムで、初週245,176枚を売り上げ3月26日公開チャートで首位に。上半期チャートでは、ダウンロード・アルバム・チャート“Download Albums”で首位を獲得した。
Text by 高嶋直子
▲ 「ケセラセラ」MV / Mrs. GREEN APPLE
2025年の上半期Billboard JAPAN作詞家チャート“Top Lyricists”にて、Mrs. GREEN APPLEのフロントマン、大森元貴が1位に輝いた。
本チャートは、総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”にチャートインした楽曲を作詞家別にランキング化したもの。大森はCDセールス以外のダウンロード、ストリーミング、ラジオ、動画再生、カラオケの5指標でトップを記録した。本チャートでは、2023年年間から1位をキープしている。
今回の加算対象となった楽曲を振り返ると、Mrs. GREEN APPLEの「ライラック」や「ケセラセラ」などロングヒットの楽曲に加えて、「ビターバカンス」「ダーリン」「クスシキ」など2024年の年末以降にリリースされた楽曲も大きくポイントに貢献。いずれも2025年の上半期総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”にチャートインしている。2025年は「ビターバカンス」や「ダーリン」が累計再生回数1億回を突破しており、Mrs. GREEN APPLEは依然としてストリーミング指標が強い。1億回を突破する勢いも徐々に早くなってきており、現在Mrs. GREEN APPLEはアーティスト別最多記録となる23曲を保有している。なお、大森元貴は2025年の上半期作曲家チャート“Top Composers”でも、1位を達成した。
back numberのフロントマンである清水依与吏は、2024年年間の本チャートに引き続き2位を記録。今回、ダウンロード13位、ストリーミング2位、ラジオ19位、動画再生11位、カラオケ2位を獲得した。back numberの「高嶺の花子さん」「水平線」「花束」といったロングヒットしている楽曲を筆頭に、2025年の上半期総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”には計8曲を送り込んだ。
▲ 「走れSAKAMOTO」MV / Vaundy
そして、Vaundyは2024年年間の本チャート4位から3位に上昇。集計期間内でVaundyは2回ピークを作っている。1回目は「走れSAKAMOTO」のリリースや【Vaundy one man live ARENA tour 2024-2025】を開催していた1月中旬、2回目は「まじで、サヨナラべぃべぃ」のリリースや5週にわたり『CDTVライブ!ライブ!』に出演していた5月中旬だ。巧みなスケジューリングでポイントを稼いだ。
2025年上半期は、アイドル文化を世界に向けて発信するアソビシステムのプロジェクト「KAWAII LAB.」発の楽曲が賑わいを見せた。11位以下を見てみると、FRUITS ZIPPERの楽曲を担当したヤマモトショウや、CUTIE STREETやSWEET STEADYの楽曲を担当した早川博隆などがチャートインしている。キャッチーなフレーズをフックに、ダンス動画も話題になっていることから、ヤマモトショウと早川博隆共に動画指標が一番強い。下半期もどんな楽曲で作詞家が新しくチャートインしてくるのか、注目したい。
Text by Tatsuya Tanami
▲ 「ライラック【LIVE from ゼンジン未到とヴェルトラウム〜銘銘編〜】」 / Mrs. GREEN APPLE
2025年の上半期Billboard JAPAN作曲家チャート“Top Composers”で、大森元貴が1位に輝いた。
本チャートは、総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”の中から作曲家にフォーカスしたランキングだ。2023年年間“Top Composers”、2024年上半期“Top Composers”、そして2024年年間“Top Composers”でそれぞれ1位を獲得した大森元貴。今回の上半期チャートでは2024年年間チャートと同様にストリーミング、動画、ラジオ、ダウンロード、カラオケの5指標で1位を獲得する形となった。また、大森は本チャートにおいて、23年12月27日発表分から上半期チャート集計対象最終週である2025年5月28日発表分まで1位をキープ。じつに75週連続で1位を獲得し続けるという圧倒的な成績を残している。
大森元貴がフロントマンを務めるバンド、Mrs. GREEN APPLEは2024年11月以降「ビターバカンス」「ダーリン」「クスシキ」などを含む配信シングルを続々リリース。その全てが週間の総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”に複数週チャートインし続けており、3曲は首位を獲得している。一方でストリーミングやアニメのチャートで上位を維持し続けている「ライラック」を筆頭にリリース後も長期的に聞かれ続ける楽曲の存在も大きく、今回の上半期“JAPAN Hot 100”においても新旧合わせて計20曲も送り込んでおり、それらを手掛ける大森元貴の力量を改めて実感できる上半期となった。
続いて、2024年上半期“Top Composers”で3位、2024年年間“Top Composers”で2位を記録した清水依与吏が今回も2位に登場。指標別に見ると、ストリーミングとカラオケで2位、動画で10位、ダウンロード13位、ラジオ18位、CDセールス100位圏外と、24年年間時と近い結果となっている。清水がフロントマンを務めるback numberは、25年4月に「ブルーアンバー」を配信リリースし、週間の総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”で首位を獲得。また、「高嶺の花子さん」「水平線」といったロングヒット曲も引き続き支持され続けており、長期的なチャートアクションを見せている。
2024年年間“Top Composers”で4位を記録していたVaundyは上半期で3位に浮上。集計期間中は常にトップ5圏内にチャートインし続けたが、中でも1月の「走れSAKAMOTO」配信リリースと、5月下旬の「まじで、サヨナラべぃべぃ 」配信リリースのタイミングで順位を上げた。指標別では、ストリーミング3位、ダウンロードとカラオケで4位、動画5位、ラジオ6位、CDセールス100位圏外と殆どの指標で上位をキープしている。
▲ 「わたしの一番かわいいところ」MV / FRUITS ZIPPER
トップ10を見てみると、2024年年間“Top Composers”にチャートインした作曲家の多くが引き続き登場している中で、アイドル文化を世界に向けて発信するアソビシステムのプロジェクト「KAWAII LAB.」からFRUITS ZIPPER(ヤマモトショウ)やCUTIE STREET(早川博隆/渡辺俊彦)の楽曲を担当した作曲家もチャートイン。2025年上半期に同プロジェクトのグループ達が見せた盛り上がりが窺える結果となった。ここから下半期においてどの作曲家がどのような楽曲でチャートインしていくのか、新たなニューカマーの登場はあるのか、注目したい。
Text by Haruki Saito
▲ 「テトリス」MV / 柊マグネタイト
2025年上半期Billboard JAPAN“Heatseekers Songs”で、柊マグネタイト「テトリス」が1位に輝いた。
“Heatseekers Songs”は、総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”を構成するデータのうち、ラジオ、ダウンロード、ストリーミング、週間動画再生数を集計し、その中から急上昇中のアーティストを抽出したチャートだ。
首位を獲得した「テトリス」は、ボカロPの柊マグネタイトが2024年11月8日に投稿した楽曲。2024年12月18日公開の“Heatseekers Songs”で初の首位を獲得し、2025年3月12日まで13週連続で首位を飾った。中毒性のあるサウンドと深読みを誘うような歌詞の組み合わせが話題になり注目を集めると、カバー動画も次々と投稿され、二次創作での人気も加速。Billboard JAPANチャート“ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20”でも通算11週首位を獲得した他、2025年6月時点でのミュージック・ビデオ再生数は6,800万回を突破し、動画再生とストリーミングを中心にポイントを伸ばし続けた。
▲ 「Life is Romance」MV / Kaneee
続く2位には、Kaneee「Life is Romance」がチャートインした。「Life is Romance」は、ラッパーのKaneeeが2024年6月12日にリリースした1stアルバム『Remember Me?』の収録曲。2024年12月25日公開の“Heatseekers Songs”で3位に初登場すると、その後13週連続でトップ3にチャートインした。心地よいサウンドとポジティブなリリックが注目を集め、主にストリーミングで高ポイントを獲得し、2025年上半期2位という結果に。
▲ 「like JENNIE」MV / JENNIE
そして3位は、JENNIE「like JENNIE」。JENNIE自らが作詞作曲に参加した楽曲で、自身3度目の出演を果たした【コーチェラ】のステージでも披露された。世界中でダンスチャレンジがブームとなり、Instagramでの「like JENNIE」を使用したリール投稿は、現在22万件を超えている。ファンのみならず、K-POPグループもチャレンジに参加し、グローバルな流行を巻き起こした。
4位には、同じくSNSでのダンスカバーが注目を集めているCANDY TUNEの「倍倍FIGHT!」、5位にはKvi Babaの「Friends, Family & God (feat. G-k.i.d & KEIJU)」が、それぞれトップ5入り。トップ10を見てみると、VOCALOID楽曲やラッパー、ガールズグループやバンドなど、幅広いジャンルのアーティストが頭角を現している。
また「like JENNIE」を始め、aespaのメンバー・KARINAの「UP」(6位)やSnow Manのメンバー・Daisuke Sakuma「守りたい、その笑顔」(20位)と、グループ活動とは異なる、ソロアーティストとしての個性やスタイルに共感を集め、支持されているアーティストがチャートインしていることにも注目したい。そんな上半期を経て、残りの2025年はどんな楽曲がチャートインしてくるのか、下半期の“Heatseekers Songs”も見逃せない。
Text by Sakika Kumagai

「テトリス」が両チャート1位をいただけて本当に嬉しいです!ロシア民謡「コロブチカ」をもとに自分なりの感情を重ねて作ったこの曲が多くの方に届いたことを、とてもありがたく思います。(※“ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20”と共通のコメントとなっています)
▲ 「モニタリング feat. 初音ミク」 / DECO*27
2025年の上半期Billboard JAPAN UGCソングチャート“Top User Generated Songs”で、DECO*27の「モニタリング」が1位に輝いた。
本チャートは「踊ってみた」動画など、YouTubeで公開されているユーザー生成コンテンツ(UGC)のみを集計したチャートだ。昨年11月22日に公開された「モニタリング」は、今年1月中旬からじわじわと注目を集め、2月5日公開チャートで1位を獲得後、上半期の集計期間中に計13回トップに立っている(最終週まで連続11週首位をキープ)。左目に眼帯を付けた印象的なサムネイルを使って、各ユーザーも自分のキャラクターを使ったカバー動画をあげている。ローレン・イロアスの「歌ってみた」は860万回、ましろは330万回、花芽すみれは200万回近い再生数を記録している。
2位はCreepy Nuts「オトノケ」。2024年年間トップに立った「Bling-Bang-Bang-Born」に続くUGCヒットは、アニメ『ダンダダン』のオープニング曲でもあるため、作品のキャラクターを使用したビデオも多く見られる。特徴的なイントロが出だしから視聴者の視線を捕え、小刻みなビートに合わせた切り替えの早さも相まって、視聴者を飽きさせない映像クオリティを生み出している。また、R-指定の難易度の高いラップがユーザーの挑戦意欲を掻き立たせていることも、UGC人気の要因だろう。
▲ 「モエチャッカファイア」 / 弌誠
3位の弌誠「モエチャッカファイア」と4位のロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」のポイントは僅差。両の人差し指と親指でハートマークを作ったサムネイルが特徴的な前者は、オリジナル同様にメイド服を着てカバーしたり踊ったりする投稿が多く見られる。ミュージック・ビデオのイラストを真似るようにメイド服で低音ボイスの早口ヴァースを口パクし、萌え萌えハートをする動画も多くあり、どこか冷めた印象の映像は逆にクールに見える効果も。世界的大ヒットを記録したロゼとブルーノのコラボ曲は、代名詞でもあるピンクの背景と雷を使って、MVを真似たり、動物がふたりに扮したりしている投稿が人気だ。比較的簡単に踊れるため、「踊ってみた」に挑戦しやすい点もユーザーの二次創作を後押ししたとも考えられる。
5位のサカナクション「怪獣」は「歌ってみた」動画の再生回数が多い。リズムよく進みながらもブレスのタイミングが非常に難しいこの曲は、アニメ『チ。 ―地球の運動について―』のオープニング・テーマで、歌詞の深い意味や意外な構成、そしてピアノや楽器の演奏がユーザーやプレイヤーたちを惹きつけている様子。ボーカルの山口一郎による一発撮りパフォーマンスは490万回再生を記録しており、もりもりによる様々な映像を編集して繋いだ映像は240万回、ガチャピンが本気で歌う映像は70万回以上も再生されている。
トップ20のうち、公式ミュージック・ビデオで本人が顔出ししているものは、「オトノケ」、「APT.」、「怪獣」、CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」の4つ。アニメ関連曲もあるが、そのキャラクターを使った作品よりも歌唱やラップ、ダンスといったパフォーマンスにフォーカスした投稿が多く、高難度なものから両手を使った簡単なダンスまで、バラエティ豊かなラインナップとなった。
Text by Mariko Ikitake

こんなにも「モニタリング」を楽しんでもらえて嬉しいです、ありがとうございます!歌・ダンス・考察など、みんなが作った動画を見て僕も楽しんでます。引き続き「モニタリング」をよろしくお願いいたします!
2025年上半期Billboard JAPAN“ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20”で、柊マグネタイト「テトリス」が首位を獲得した。
「テトリス」は、柊マグネタイトが2024年11月8日に投稿した楽曲で、重音テトをボーカルとして起用している。落ち物パズルゲーム『テトリス』をテーマにしており、ゲーム内で使われているロシア民謡「コロブチカ」のメロディーをサンプリングしている。中毒性のあるメロディーと深みのある歌詞、そして“回り続ける重音テト”のミュージック・ビデオは国内外で大きな話題を呼び、多数の二次創作やミームを生み出した。また、ネクストブレイク楽曲を抽出した上半期“Heatseekers Songs”チャートでも首位を獲得し、上半期2冠の快挙を達成した。
続いて、DECO*27「モニタリング」は僅差で2位につけている。ドアスコープを覗き込む初音ミクを起点に物語が始まるミュージック・ビデオが印象的で、リスナーに向かって投げかけるような歌詞もさまざまな考察を巡らせている。また、オリジナルにインスピレーションを受けた、さまざまなキャラクターが主役となった二次創作動画が次々と誕生しており、上半期UGCソングチャート“Top User Generated Songs”で1位を獲得した。
▲ 「メズマライザー」 / サツキ
そして、2024年年間チャートで2位を獲得していたサツキ「メズマライザー」は3位に。曲名が「催眠術をかける人」「魅了するもの」という意味を持つ本楽曲は、2025年もリスナーを強く惹きつけている。4位には、ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ「み む かゥ わ ナ イ ス ト ラ イ」がチャートイン。同楽曲は、ボカロPの子牛と南ノ南が、ゲームで下位になる榊みむを「みむかわ、ナイストライ!」と励ましていたことが元ネタになっているという。
▲ 「オーバーライド」 / 重音テトSV[吉田夜世]
5位には、2024年年間チャートを制した吉田夜世「オーバーライド」がチャートイン。ポイントの内訳を見ると二次創作ポイントが3位で、タイトル通りで新しい二次創作動画が次々と“オーバーライド”しているようだ。続いて、ミームやパロディ要素を多数取り入れたDECO*27「テレパシ」は6位につけており、雨良 Amala「ダイダイダイダイダイキライ」は10週の集計で7位に続いている。
“中毒性”や“ミーム化”が印象的な2025年上半期チャート。これらの傾向は、現代ネット文化や社会の気分を色濃く映し出しているとも言えるだろう。ますます目まぐるしくなっている現代社会とトレンド、下半期にはどのような変化が現れるのか、引き続き注目していきたい。
Text by ian li
▲ 「GOD_i」MV / Number_i
2025年の上半期Billboard JAPAN急上昇ソング・チャート“JAPAN Hot Shot Songs”で、Number_iの「GOD_i」が1位に輝いた。
本チャートは、総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”の指標から、ダウンロード、ストリーミング、動画再生の3指標の合計ポイントが増加した順に並べた“急上昇楽曲チャート”だ。2024年12月4日(集計期間:2024年11月25日~12月1日)より公表をスタート。上半期では、他チャートのような累計ポイントではなく、最も週次ポイントの増加数が高かった楽曲順にランキング化した。
メンバーの岸優太がプロデュースした「GOD_i」は1月27日に配信がスタートし、5月19日にCDがリリースされた。この2度のタイミングで本チャートと“JAPAN Hot 100”のトップに立ったのだが、動画再生1位、ダウンロード1位(60,058ダウンロード)、ストリーミング16位(約470万回再生)を記録した初週ポイントのほうが高かった。なおNumber_iは昨年12月配信の1stフルアルバム『No.I (Deluxe)』の収録曲で、初週31,895DL、約275万回ストリーミングされた「HIRAKEGOMA」も上半期10位についている。
続いて1月29日公開チャートでトップに立った米津玄師「Plazma」が2位に。劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』の主題歌で、1月20日に配信された本曲はダウンロード1位、ストリーミング3位、動画再生3位で総合首位デビュー。興行収入が約34億円を達成した本映画は6月20日から全国368館の劇場で再上映されることが決まっており、再び本主題歌が上昇する可能性もある。
チャートを席巻するMrs. GREEN APPLEは、1月に「ダーリン」、4月に「クスシキ」、5月に「天国」と、今年もコンスタントに楽曲をリリース。3位についた「ダーリン」は動画再生1位、ストリーミング&ダウンロード2位と好調なスタートを切ったのだが、同日配信の「Plazma」にわずかに及ばず、同日チャートで2位に登場していた。Mrs. GREEN APPLEは前述3曲に加えて、記念すべき本チャート1週目の首位を飾った「ビターバカンス」もトップ20入り。新作リリースへの注目が高いことがわかる。
他には、鮮烈なデビューを飾ったHANAの「ROSE」、構想に2年を費やし、アニメ『チ。 ―地球の運動について―』とのリンクや緻密な展開が多くの驚きを呼んだサカナクション「怪獣」が続く。
トップ20のうち、ダンスグループやアイドルグループ/デュオの楽曲は11曲。どれもダウンロード1位や2位を取っているものばかりで、ファンの献身的な購買意欲の高さが見て取れる。中でも上半期19位のKinKi Kids「愛のかたまり」は、2001年11月発売のシングル『Hey! みんな元気かい?』のカップリング曲ながら、5月5日のサブスク解禁&ダウンロード配信時には、ダウンロード1位、ストリーミング16位と好調な滑り出しを見せた。彼らのファン以外の期待も非常に高かった証だろう。
Text by Mariko Ikitake

「GOD_i」が、Billboard JAPAN 2025年上半期“JAPAN Hot Shot Songs”で首位を頂けたと伺い、本当に嬉しいです。 応援してくれているiLYs、聴いてくれたすべての方に感謝しています。 これからもNumber_iらしい音楽を皆さんに届けていきますので、引き続きよろしくお願いします。
▲ 「オトノケ」 / Creepy Nuts
世界でヒットしている日本の楽曲をランキング化した“Global Japan Songs Excl. Japan”。 2025年の上半期は、Creepy Nuts「オトノケ」が1位に輝いた。
「オトノケ」は、Creepy NutsがTVアニメ『ダンダダン』オープニング・テーマとして書き下ろした楽曲。2024年に大ヒットを記録した「Bling-Bang-Bang-Born」に続くアニメタイアップとして注目を集め、上半期期間中は計17週首位を獲得した。また「Bling-Bang-Bang-Born」は、リリースから一年以上経った現在も根強い人気をキープし2位に。2025年の上半期は、Creepy Nutsが1位・2位を独占する形となった。
▲ 「ReawakeR (feat. Felix of Stray Kids)」MV / LiSA
上半期にリリースされた新曲の中で最も高い順位を獲得したのは、5位にチャートインしたLiSA「ReawakeR (feat. Felix of Stray Kids)」。同曲は、韓国のウェブ小説を原作とするTVアニメ『俺だけレベルアップな件 Season 2- Arise from the Shadow -』のオープニング・テーマに起用された楽曲で、Stray Kidsのフィリックスが参加したことでも話題を呼んだ。2025年1月16日公開チャートで10位にデビュー後、じわじわと順位を伸ばし、MV公開後の3月6日公開チャートで初の1位を獲得。以降8週連続で首位の座をキープし、上半期リリース曲で唯一トップ20に食い込んだ。
「ReawakeR (feat. Felix of Stray Kids)」を除き、上半期にリリースされた楽曲でトップ100に入ったのは、DECO*27「モニタリング」、AiScReam「愛♡スクリ~ム!」、幾田りら「百花繚乱」のみだった。これは、昨年の上半期の半数にあたり、この上半期は特に新曲のヒットが少なかったと言えるだろう。要因としては、アニメタイアップ起因のヒットが減少したことや、米津玄師、YOASOBI、XGといった海外ツアーを行った人気アーティストの楽曲が上位をキープし続けたことなどが考えられる。
今年、世界7都市を回るワールドツアーを成功させた米津玄師は、「KICK BACK」と「Lemon」の2曲をトップ20に送り込んだ。また、昨年12月から今年2月までアジアツアーを開催したYOASOBIは、アーティスト別で最多となる9曲がトップ100入りを果たした。一方、来年2月に初の有観客ライブを控えるtuki.の「晩餐歌」が16位にチャートインするなど、インターネットを中心に活動する新世代アーティストの存在感も増している。さらに、スペクトラム「F・L・Y」や、AiScReam「愛▽スクリ~ム!」といった、ショート動画プラットフォーム発のミームをきっかけに人気を集めた楽曲もトップ100入りした。
下半期には、Creepy Nuts、LiSA、藤井 風らが海外ツアー・フェス出演を控えている。また、5月には【MUSIC AWARDS JAPAN】が初開催されるなど、日本のカルチャーを世界に発信しようとする機運がますます高まってきている。既存のヒットパターンである「アニメタイアップ」「ショート動画プラットフォームでのバズ」に加えて、新たな潮流が生まれるのか、引き続き注目したい。
Text by Mika Fuchii

この度、「オトノケ」が2025年上半期のBillboard JAPAN世界でヒットしている日本の楽曲のランキング、“Global Japan Songs excl. Japan”で1位を獲得しました。ありがとうございます! 「オトノケ」は自分たちとしても自信作なので、たくさん海外の人に聴いていただいて嬉しいです。またライブでも、曲を聴いてくださっている国にお邪魔することができたらうれしいなと思っております。今後もよろしくお願いします!
世界各国/地域でヒットしている日本の楽曲をランキング化した “Japan Songs(国/地域別チャート)”。2025年の上半期チャートは、Creepy Nuts「オトノケ」が6か国で首位を獲得した。
「オトノケ」は、TVアニメ『ダンダダン』オープニング・テーマに起用されている楽曲で、2024年10月4日にリリースされた。アニメとの相乗効果もあり、上半期の集計では、フランス、イギリス、ブラジル、南アフリカ、アメリカ、ドイツの6か国で首位に輝いた。
▲ 「死ぬのがいいわ」 / 藤井 風
藤井 風は、インド、インドネシア、マレーシアで「死ぬのがいいわ」、タイで「満ちてゆく」が、それぞれ上半期の首位を獲得。特にタイでは上半期のトップ4を独占し、計5曲をトップ10に送り込むなど、同国における圧倒的な人気を示している。
▲ 「ベテルギウス」MV / 優里
韓国では、2024年年間チャートに続き、優里「ベテルギウス」が1位をマーク。一方、シンガポールでは、YOASOBI「夜に駆ける」が首位を獲得した。アジアツアーのシンガポール公演行った際に、YOASOBIの楽曲が軒並みにシンガポールのチャートで上昇したことから、現地公演の効果がデータとしてチャートに反映し、上半期の首位につながったと見られる。
そして台湾ではtuki.「晩餐歌」が1位に。韓国でも2位を記録したこの楽曲は、【第75回NHK紅白歌合戦】でのパフォーマンスを機に、台湾および韓国での再生数が急増していた。日本の国民的音楽番組が、近隣地域のリスナーにも影響を与えていることがうかがえる。
2025年上半期の国/地域別チャートを振り返ると、総じてまとめることは難しいが、欧米ではリズム重視のアニメ・ゲームとのタイアップが人気を集め、文化的・地理的な距離が近いアジア圏では、洗練されたメロディーとコード進行や、SNSを通じた話題性のある楽曲がより好まれている傾向が、より一層はっきりしたではないかと考えられる。下半期には、どのような日本の音楽がどのように世界に響くか、今後の動向にも引き続き注目したい。
Text by ian li
関連商品