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<インタビュー>Ado、衝撃のデビューから変わったマインドセットと変わらぬ深いボカロ愛 放つ“Hibana”は日本から世界へ
Text: Mariko Ikitake
正しさとは 愚かさとは それが何か見せつけてやる――そんな歌い出しから始まる「うっせぇわ」に、当時の音楽シーンはもちろん、日本全土が衝撃を受けた。当時17歳が放つ圧倒的な歌声と、鬱憤を代弁する一種の下克上、そして顔出しを一切しないスタイルはどれも新鮮で、Adoは一気に多くの支持を得た。その後、全世界興収319億円を記録した大ヒット映画『ONE PIECE FILM RED』(2022)でヒロインの歌姫・ウタの歌唱キャストを担当、主題歌「新時代」はまたしても国民的ヒットとなり、それは世界へも伝わった。
瞬く間に日本を代表するアーティストへと成長したAdoの、2020年10月の鮮烈デビューから現在までの楽曲を網羅した集大成『Ado のベストアドバム』は、まさに“ベスト”と呼べる作品。日本人アーティスト史上最大規模となる世界33都市・50万人以上動員予定のワールドツアーを控えるなか、彼女が見据える未来とは。
──メジャーデビュー以降、特に印象に残っている出来事はなんでしょうか?
Ado:たくさんの思い出がありますが、2022年にさいたまスーパーアリーナで行ったワンマンライブははずせないと思います。一番の夢でもあったさいたまスーパーアリーナでのライブが叶ったという、本当に自分の人生にも大きく影響を与える、そんな一日だったので、メジャーデビューしてからの思い出の中でも、すごく印象深く残っております。
──『Ado のベストアドバム』には「わたしに花束」と「ロックスター」の新曲が2つ収録されています。それぞれどんな曲になっていますか?
Ado:「わたしに花束」は、ジョージアさんとのタイアップ楽曲で、HoneyWorksさんに書き下ろしていただいた楽曲です。出勤前や学校に行く前など、朝、頑張りたいときに聴いていただきたいです。皆さまの背中を押してくれるような元気にあふれた素敵な一曲となっておりますので、たくさんの世代の方々に聴いていただきたいという思いがあります。
もう一曲、「ロックスター」は私の楽曲ではおなじみのjon-YAKITORYさんに書いていただきました。こちらは丸紅さんとのタイアップ楽曲で、現在もCM放映されております。これまでにもjon-YAKITORYさんに楽曲を書き下ろしていただいており、jon-YAKITORYさんの曲に私がフィーチャリング参加するなど、ロックといえばjon-YAKITORYさんと言えるほど、jon-YAKITORYさんにはお世話になっています。CMでも「ロックスター」を歌うシーンがあり、ライブ映えするような、聞いていて心が燃えたぎるようなカッコいい楽曲だと思っておりますので、私もいつか「ロックスター」をライブで披露できることをとても楽しみにしております。
──5年間の活動のなかで、制作やライブなどにおいて変化した、成長したと感じるのはどんな点でしょうか?
Ado:考え方が大きく変わったと思います。自分の活動や自分自身のことを客観視することが増えました。視野が広がり、自分自身のことだけでなくファンの皆さまや支えてくださるスタッフの方々、自分がいる環境について、ひとつひとつ見直して、皆さまからいただくたくさんのご意見や活動と向き合う機会もここ最近は多くなってきました。以前よりは落ち着いた部分が増えたのかなと思っております。
また、ライブパフォーマンスも成長したと思います。デビュー当時はたどたどしい部分やぎこちない部分があったなと、感じています。ありがたいことにたくさんのライブをすることができて、場数を踏んで成長したという実感があり、今のライブのほうが見応えがあると思います。逆に昔のライブでしか感じられない幼さや自分の未熟な部分があって、ファンの皆さまは私の成長を楽しんでいただけるのかなと思っております。
──本作には全40曲が収録。収録曲の中でデビュー当時の自分に聞かせたい曲とその理由を教えてください。
Ado:選ぶのがなかなか難しいところではありますが、ディスク2の20曲目の「桜日和とタイムマシン with 初音ミク」は、デビュー当時の自分に聞かせたい一曲です。それぐらい私の中で特別な楽曲です。憧れの歌い手である、まふまふさんに書き下ろしていただいたもので、私はずっとボカロ楽曲に支えられて今に至るので、私がずっと大好きな初音ミクさんと一緒に歌えたことは自分の原点でもあるような、原点に帰るような楽曲でもあります。デビュー当初の自分に聞かせたら、ものすごく感動するのではないかなと。感動しすぎて横転してしまうんじゃないかなと思います。
──アーティスト活動を始めてから、歌に対する意識はどう変化しましたか?
Ado:メジャーデビューをした頃やする前は、自分の歌を聞いてもらいたい、自分の思いや考え、自分というものを見てもらいたい、という思いが強かったんです。怒りの感情だったり、感情をそのまま伝える部分が大きかったのですが、いろんな歌を歌っていると、気持ちの寄り添い方や歌詞によって内容も違うので、自分の人生観を振り返ったり、自分の経験を歌にあてはめたりして、いろんな感情と向き合う機会が増えました。インプットとアウトプットは変わらず大事にしておりますが、ここ最近は、いろんな歌をいろいろな言語で歌えるようになりたいという気持ちが高まってきました。中でも「エルフ」は、Adoの楽曲をより多くの方々に楽しんでもらえる歌い方になっています。
──活躍の場を広げておられますが、現在の夢を教えてください。
Ado:現在の夢、明確な目標は【グラミー賞】を取ることです。そして、控えている【Hibana】以上の世界ツアーをいつかやることも、今の目標であり、夢です。
日本の魅力や文化、日本の音楽の強さを伝えたい
──4月からは世界30都市以上をまわる、日本人アーティスト過去最大級となる、2度目の世界ツアー【Ado WORLD TOUR 2025 “Hibana” Powered by Crunchyroll】が開催されます。お気持ちを聞かせてください。
Ado:2回目となる世界ツアーで、日本人アーティストとしてはこれまでにない規模ということで、私も楽しみな気持ちでいっぱいです。30都市以上の公演を通して、日本の歌い手・アーティストとして、世界の皆さまに日本の魅力や文化、日本の音楽の強さを伝えたいです。“Hibana”というタイトルのように、小さな火が大きな火となるきっかけになるような世界ツアーにできたらいいなと思っております。
配信ありがとうございました!
— Ado (@ado1024imokenp) October 24, 2024
そして、重大発表です!
『Ado WORLD TOUR 2025 “Hibana”』開催決定しました!https://t.co/rPhFfw6phc
初日は日本のさいたまスーパーアリーナ公演からスタートです!夢のたまアリに帰ってきます! pic.twitter.com/NSHt5BoLMF
──海外ツアーに向けて、準備していることはありますか?
Ado:最近は早寝、早起きを心がけています。時差ボケしてしまうのは致し方ないのですが、時間があれば歩いてみたり、筋トレを頑張ってみたりして、健康面にも気をつけています。
──ツアー先で楽しみにしていることがあれば教えてください。
Ado:今回のツアーで特に楽しみにしているのはイタリアです。本や映画、教科書でしか見てこなかった風景をこの目で見られる喜びがありますので、非常に楽しみにしております。
──前回のワールドツアー【Ado THE FIRST WORLD TOUR “Wish”】の合間に、どこか訪れましたか?
Ado:ヨーロッパを観光する時間がありまして、フランスが楽しかったです。(パリにある)サント・シャペルを訪れたのち、歩いてセーヌ川まで行き、ルーブル美術館のあとにはシャネルの本店に足を運びました。私はココ・シャネルを尊敬しておりまして、実際にショーが行われた憧れのシャネルの階段も見たあとに、凱旋門までの大通りを歩きました。ヒールのあるおしゃれなブーツを履いていたので、凱旋門で何百段もの階段を上ることになって大変でした。合計3~4万歩ぐらい歩いたフランスの思い出が印象に残っております。
──ご自身の暮らしでこだわっていることは?
Ado:最近は乾燥が気になってしまうので、寝るときは加湿器をつけるようにしています。あと、外食が多くて栄養面に偏りが出てしまいがちなので、自炊するようになりました。こだわりと言ったらちょっとアレなんですが、食材を買い込みすぎないように気をつけています。食べきれる分の食材を買って、食べきれる分だけ作ることを大事にしています。
──音楽以外でハマっていること、リラックス方法はありますか?
Ado:最近は、オイルパステルというクレヨンで絵を描くことにハマっています。自分で撮った花の写真や私が好きなモネのイラストの模写をクレヨンで描いていると、心が安らいで、すごく落ち着きます。あとは隙間時間に映画を観ることにもハマっております。
──デビュー5周年にちなんで、Adoさんが5歳だった頃のエピソードを教えてください。
Ado:5歳の私は雪がすごく好きでした。私は東京出身で、あまり雪が降らなかったので、雪が降った日はものすごく嬉しかったです。目の前が雪景色になるのがすごく嬉しくて、「今年も雪降らないかな」と毎年、天気予報を眺める時間がありました。てるてる坊主に雨が降らないおまじないがあるなら、雪が降るダンスを踊ろうと、自作の“雪フレフレダンス”を毎日のように歌って踊っていました。盆踊りのような振り付けで、「ゆーき、ふーれふーれ」って踊っていたら、ある日、おばあちゃんと近所に買い物へ行っている間に雪が降ったんです。その日は天気予報でも雪は降らないと言われていたので、私のフレフレダンスをずっと見ていた親も「本当に雪が降ったね!」って驚いて。私もフレフレダンスのおかげだと思い、しばらく自分のことを雪女だと呼んでいました。小学校に入学したとき、みんなは自分のこと晴れ女とか雨女と言っている中で、私は雪女だと得意げに話していた記憶があります(笑)。
──ファンへメッセージをお願いします。
Ado:「うっせぇわ」でデビューをしてから、もう5年も経ったんだと思うと、ちょっとした衝撃もあります。5年という時間はまだまだ少ないかもしれませんが、長く活動を続けさせてもらえて、たくさんの方々にAdoを知っていただけている今に、すごく感謝をしています。聴いててくださっている皆さま、そして、私を取り扱ってくださるメディアの皆さま、スタッフの皆さまに支えられております。本当にありがとうございます。
リリース情報
『Adoのベストアドバム』
2025/4/9 RELEASE
<完全数量限定:デラックスBOX盤(2 CD+GOODS+Blu-ray)>
※UNIVERSAL MUSIC STORE(国内)& Ado Official Music Shop(海外)限定販売
PDCV-1247 14,300円(tax in)
<完全数量限定:デラックスBOX盤(2 CD+GOODS+DVD)>
※UNIVERSAL MUSIC STORE(国内)& Ado Official Music Shop(海外)限定販売
PDCV-1248 14,300円(tax in)
<初回限定:『喜劇』盤(2 CD+Blu-ray)>
TYCT-69342 8,800円(tax in)
<初回限定:『喜劇』盤(2 CD+DVD)>
TYCT-69343 8,800円(tax in)
<完全数量限定:シャカシャカアクリルチャーム盤(2 CD+GOODS)>
TYCT-69344 4,950円(tax in)
<通常盤(2CD)>
TYCT-69345/6 3,850円(tax in)
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ツアー情報
【Ado WORLD TOUR 2025 “Hibana” Powered by Crunchyroll】
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Ado 公式サイトAdo レーベルサイト
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