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ポール・マッカートニー最新インタビュー~『エジプト・ステーション』全米No.1獲得の心境/ファンの反応について語る

インタビュー

 ポール・マッカートニーのニュー・アルバム『エジプト・ステーション』が、米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で初登場1位を獲得した(2018年9月22日付)。ザ ・ビートルズとしてもソロ・アーティストとしても幾多の楽曲やアルバムを全米チャートに送り込んできた彼だが、実はアルバムが初登場1位を記録したのは初めてで、1982年に3週首位をキープした『タッグ・オブ・ウォー』以来実に36年以上ぶり、通算8枚目のNo.1獲得となった。

 ポールは2018年9月19日に米ビルボードとの電話インタビューに応じ、久しぶりに1位を獲得した心境や、『エジプト・ステーション』のために展開された異例とも言えるプロモーション活動(『レイトx2ショー』の“Carpool Karaoke”に出演し司会のジェームズ・コーデンに英リバプールを案内、英ロンドンのアビー・ロード・スタジオでシークレット・ライブを敢行、米ニューヨークのグランド・セントラル・ステーションでサプライズ・ライブを行いYouTubeで生配信など)について、そしてファンや友人から寄せられるアルバムの感想など、様々な話題について語った。

TOP Photo: WireImage

実は収録しなかった曲があと10曲くらいあったけど、それも結構いい曲なんだ

−−まずは『エジプト・ステーション』の初登場1位おめでとうございます。このアルバムでNo.1になった気分はいかがですか?

ポール・マッカートニー:すごくいい気分だよ。1位より高いところはないからね。すごくいい気分だ。僕たちはかなりの労力を注ぎ込んだ。僕と、チームのみんな全員。グレッグ・カースティン、ライアン・テダー(ワンリパブリック)、エンジニアのみんな。凄くいいコンパクトなチームなんだ。みんなすごく頑張ってくれた。僕たちは一生懸命やった。価値のあるものを、誇れるものを作りたかったからね。だから実際に結果が出たことは素晴らしい。

 キャンペーン関係者もそうだ。マネージャーのスコット・ロジャー(Scott Rodger)。広報担当者たち。みんなですごく楽しめた。僕は最初に、「なるべく楽しもう。“ああ、アルバムのプロモーションしなきゃ”って思うだけじゃなくて、実際ワクワクできるようなアイデアを思い付こう。僕たちが楽しめば、それが自然に伝わるだろうし、面倒な過程にならないだろうから」ってみんなに言ったんだ。だからすごく楽しめたよ。ジェームズ・コーデンから[6月21日に“Carpool Karaoke”、8月20日にCBSの1時間特番出演]、ジミー・ファロンまで[9月6日に『ザ・トゥナイト・ショー』出演]、そしてグランド・セントラルのライブや[9月7日にYouTube生配信]、アビー・ロードもね。



▲ 「Paul McCartney Carpool Karaoke」


−−実は、プロモーションにとても力を入れていましたね、と言おうと思っていたところでした。ジェームズ・コーデンの時は必要以上に努力していましたよね、リバプールを案内したり。アルバムのことを周知しようとしているのは明らかでした。現場に出てあれほどまでこのアルバムのプロモーションに力を入れようと思ったのは何故ですか?

ポール:どのアルバムに関しても実際みんなに知ってほしいと思ってるんだよ。だってそこが問題だから。「え、アルバム出してたの?知らなかった」って人に言われるのは最悪だ。

 ただ今回はみんなで、「(プロモーションは)するけど、クールな感じでやろう。プロモーションのために魂を売ったみたいに見えるのは嫌だ。自分たちも本当に楽しめる方法でやりたい」って決めた。正直言うと、ジェームズ・コーデンの時はやりたいかどうか最初は決めかねてたんだよ。でも承諾してやり始めたら、ジェームズが“リバプールでやろう”とか案をどんどん出してきて……。そして彼と一緒に車に乗り込んだら、「ちょっとこれ楽しいじゃないか!」って思い始めたんだ。リバプールでドライブするのは大好きなんだ。「あれが初めてライブをしたところで、あれが弟が結婚したところだよ」とか言いながら自分の地元を見せびらかすのが。番組の収録じゃなくてもやってることだ。

 

 だから全てでそれをしようとした。アビー・ロードでちょっとしたライブもやった。あそこに戻るのはとてもクールだった。いいアイデアだったよ。「大きなツアーに出る前に、小さなライブをどこかでやりたいんだけど。何回か小さなライブをやろうよ」って自分がみんなに言ったんだ。だからみんなで、「じゃあ理想を言えばどこに行くのがいいかな」って考え始めた。それが秘訣だったと思う。「どこでもいいよ、どうでもいい、どこだって一緒だ」じゃなくて、「いやいや、アビー・ロードに行こうよ、きっと楽しいよ」という発想をしたんだ。裏の部屋でタバコを吸ってたこととか、そういうちょっとした話ができるじゃないか。自分の母校を訪れた時もそうだ。リバプールのThe Cavern Clubにも行った。(プロモーションをしていた)あの頃は懐かしさでいっぱいだった。幾つもの大好きな場所に行って、ちょっとしたライブをやる、でも同時にそれがプロモーションでもある、という感覚でね。

−−楽しんでいたらプロモーションにもなっていた、という2つの側面があったわけですね。

ポール:そうそう!その通り。僕たちが楽しめば、それが伝わる。こういう形のプロモーションをずっとしたかったんだ。昔はね、レコード・レーベルに欧州に行かされたんだ。ドイツの中心にあるケルンに。何故ケルンなのか聞くと、「ドイツの中心にあって、フランス、スイス、イタリア、オランダとかから人に来てもらってインタビューしてもらえるから」って言われた。ケルンは大好きだけど、そこで一日中同じ部屋で同じ質問に答え続けるんだよ。悪夢みたいだった。

 そしてあのインタビューもそれが伝わってたと思う。だから今回は、「“ケルン”はやらない。絶対嫌だ。楽しめることを考えなければダメだ」って自分のスタッフに言ったんだよ。ミーティングで全員が色々なアイデアを出して、本当に面白い(プロモーション)プログラムをまとめることができた。すごく楽しみながらプロモーションができた。いいアルバムができたと思っていたからね。シングル候補ばかりを集めたものではなく、アルバムらしいアルバムを作ろうと、アルバムというフォーマットに立ち返ろうと早い段階で決めていたんだ。



▲ 「Paul McCartney and Jimmy Fallon Surprise Fans in 30 Rock Elevators」


−−アルバムに対するファンのリアクションは嬉しかったですか?

ポール:そうだね!ファンや友人たち、そして一般の人たちのね!本当に素晴らしいんだ。色々な人や友人から“あのアルバム、まあまあだって聞いてたけど、買ってみたらすごく良かったよ!」ってメールがたくさん来てる。みんな1曲ずつ聴きながら、「あ、これ好き!」って……。

−−自分は「シーザー・ロック」が好きです。

ポール:ああ、それは良かった。まあ、つまりそういうことなんだよ。面白いね、ちょうどそのことについて考えていた。あれは真っ先に挙げるような曲じゃないからね。もっと明快な曲が入っているだろう?でも「シーザー・ロック」を入れて良かったと思ってるんだ。ちょっと実験的要素が強くて、自分のホーム・スタジオでふざけているような感じがあって。結果的にいい曲になったと思ったからアルバムに入れたわけだ。

 実は収録しなかった曲があと10曲くらいあったけど、それも結構いい曲なんだよ。でもアルバムとしての流れが出るように曲を選んだ。『エジプト・ステーション』というタイトルを思いついた時にメイン・プロデューサーのグレッグ・カースティンに伝えたら、「いいと思いますけど、それは何のことですか?」って聞かれて、「単に絵画のタイトルだよ」って答えた。でもそれはきっと少し不思議で、少しエキゾチックな感じになると気付いて、“旅”のようなものという発想を膨らませてアルバムを作り始めたんだ。みんなにヘッドホンをしてじっくり聴いてもらいたいと願っている。

−−ツアー中にインタビューに応じてくださり、ありがとうございました。現在のツアーでも公演のたびにニュー・アルバムの新曲を3曲ずつ披露していますよね。それは毎回変える予定ですか?

ポール:3曲ずつ演っている理由は、リハーサルの時間があまり取れなくて、まだ覚えてないからなんだよ。曲を書いて、レコーディングする。レコーディングされた曲には当然ながらアレンジがあって、今度はそれを再現できるようにならなければならない。最初からアレンジを覚え直す必要があるんだよ。で、僕たちは3曲覚えた。もう1曲ほぼできているのもある。だから徐々に加わるだろう。そうなれば入れ替えることもできるようになるね。

Q&A by Keith Caulfield / 2018年9月19日Billboard.com掲載



▲ 「Paul McCartney: Live from NYC」


ポール・マッカートニー「エジプト・ステーション」

エジプト・ステーション

2018/09/07 RELEASE
UICC-10040 ¥ 2,860(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.オープニング・ステーション
  2. 02.アイ・ドント・ノウ
  3. 03.カム・オン・トゥ・ミー
  4. 04.ハッピー・ウィズ・ユー
  5. 05.フー・ケアズ
  6. 06.ファー・ユー
  7. 07.コンフィダンテ
  8. 08.ピープル・ウォント・ピース
  9. 09.ハンド・イン・ハンド
  10. 10.ドミノズ
  11. 11.バック・イン・ブラジル
  12. 12.ドゥ・イット・ナウ
  13. 13.シーザー・ロック
  14. 14.ディスパイト・リピーティッド・ウォーニングス
  15. 15.ステーションⅡ
  16. 16.ハント・ユー・ダウン/ネイキッド/C-リンク
  17. 17.ゲット・スターティッド (ボーナス・トラック)
  18. 18.ナッシング・フォー・フリー (ボーナス・トラック)

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