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Port of Notes×Polaris スペシャル対談~新作リリースを控え、新境地を迎えている2バンドの現在

インタビュー

 ジャズやボッサを融合し、アコースティックサウンドと瑞々しい歌声で音楽ファンの心をとらえてきたPort of Notes、極太サウンドとリリシズムを感じさせるヴォーカルで唯一無二の存在を放ってきたPolaris。まったく違うスタイルでそれぞれの音楽を築いてきた2バンドは2017年同じマネージメントとなり、Polaris は6月に3年4ヶ月ぶりとなる新作アルバム『天体』を、Port of Notes は7月に活動再開後のリリースとしては2作目となるEP『水蜜桃』のリリースを控え、互いに新たな境地を迎えている。

 そんな2バンドが、2018年6月末よりツーマンの東名阪ツアーを開催。公演を前に意気込みから、お互いの印象、そして新作について語ってもらった。(インタビュアー&文:宮内 健)

「今になってマネージメントが一緒になるっていうのが面白いよね」

一PolarisとPort of Notesは、それぞれに長く活動してきたわけですが、時を経て、こうしてマネージメントが同じになるっていうのは、不思議な巡り合わせを感じますね。

オオヤユウスケ:そうなんですよ。僕は大学卒業してそのまま、1998年に前のバンドでデビューして。2000年に譲さんとPolarisをはじめて。

小島 大介:Port of Notesは1997年に自分たちでEPを作ったのが一番最初かな。

オオヤ:僕は、その1997年の頃のPort of Notesをとくによく聴いていましたね。その頃のPort of Notesの印象は、なんというか「代官山」って感じだった。



▲Port of Notes - Sailing To Your Love @ 音泉温楽 2010


畠山 美由紀:(笑)。たしかに代官山のbonjour recordsが、私たちの音楽をすごく応援してくれてましたしね。

オオヤ:それにあの頃の代官山って、渋谷とかに比べても特別な場所ってイメージがあったじゃない? Port of Notesはそこで出会った音楽って感じで、当時からすごく洗練された完成度の高い音楽だなって感じてた。その後ソロデビューした美由紀ちゃんと交流があったりして、実際の人柄に触れてみると、また聴こえ方が変わっていったというか。

小島:ちょうどbonjour recordsが出来た頃と、僕らのデビューが同じタイミングなんですよ。お店でLittle Creatures関連をずっと応援してくれてて、その流れから俺らの音楽も洗練されたような印象を持ってもらえたのかもしれない。でも、実は……(笑)。

オオヤ:藤沢であんなベロベロになってる姿を見るとは(笑)。

小島:オオヤくんと美由紀ちゃんと俺で、今年の初めに藤沢で飲んだんだよね。

オオヤ:あれは強烈な飲み会だったね(笑)。

一Port of Notesのお二人は、Polarisにどんな印象を持ってました?

小島:いろんな媒体で拝見してましたし、J-waveなんかでもよく流れてたから、自然と生活してると聴こえてくる音楽ですよね。

畠山:あとバンドとして楽しそうだなって思ってましたね。私たちはデュオで、バンドではないから。

柏原 譲:そうか。たしかに最初からバンドという形を取るか取らないかで、かなり違うのかもしれないね。それにしてもPolarisとPort of Notesが、今になってマネージメントが一緒になるっていうのが面白いよね。もし90年代後半から2000年代はじめに一緒だったとしても、ここまで交流できなかったんじゃないかな。

畠山:たしかに、そうかもしれない。

柏原:去年の夏、京都の円山公園であったフェス(“BUNGALOW 5th ANNIVERSARY PARK LIFE”)で、Port of Notesとしてのライヴを初めて観ることができて、「これはすごい! この人たちが同じマネージメントになるのか!」って刺激を受けたんだよね。

畠山:本当ですか? 嬉しい!

柏原:僕もPort of Notesを最初に知った時のイメージは、オオヤくんじゃないですけど「代官山」だったんだけど……。

一同:(笑)。

柏原:でも、実際にはもっと生命力にあふれる音楽で。本当に感動しましたよ。

小島:実はあの時、5年ぶりぐらいのライヴだったんだよね。Port of Notesが再び動き出すきっかけになったのは、あのフェスに誘ってもらったことが大きかった。

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一二人でまた一緒に音楽を奏でてみて、あらためて感じたことはありますか?

畠山:みんなそれぞれそうだと思うけど、やっぱり大ちゃんのギターは誰とも違う。一緒に曲を作れる感じも、独特の滲みがあるというか。

小島:あと、年が一緒っていうのもあるし、知り合ってからもずいぶん長いから。そういう面白さもあるんですよね。友達っていうか、久々に会っても思い出話とか、現状報告からはじまりますからね(笑)。。だけど音楽って、そういう部分がないと俺はうまく作れないところがあって。そういうヴァイブレーションが、美由紀ちゃんと一緒にやると自分の中に起こるんですよね。5年ぐらい間が空いてるうちに、その感覚を忘れてて。「あ!このうねりだ」っていうのは、久々に感じましたね。

一若い頃から一緒にやっていても、年齢やいろんな経験を重ねてきた今は、また全然違う感覚なんでしょうね。

畠山:若い時は、わりと自分の主張が激しくて。小競り合いばっかだったから。二人しかステージにいないのに「私、ギターのモニター入りませんから!」とか言ってたからね(笑)。

一同:(笑)。

オオヤ:怖っ!(笑)。

小島:それは覚えてないけど(笑)、意味のない小競り合いは多かったよね。

畠山:だけど今はもう、大ちゃんの良さみたいなものをしみじみと感じるというか。あと、自分は騙せないなっていうか。このきらめきがまだあってよかったなって。

オオヤ:Polarisも結成して18年になるけど、年を重ねるごとにだんだん深まっているというか。ありがたいことに、この1年半ほどすごくライヴも多いんですよ。それに加えて、リハやレコーディングもある。そうするとバンドの形や音楽が育っているのもわかる。

柏原:そうだよね。バンドって、たまに会って「じゃあバンドやろうか」っていうふうにはならなくて。やっぱり、ほとんど寝食ともにするぐらいじゃないとバンドの音にはならないんだよね。

オオヤ:まあ、僕らも「寝」はしてないんですけどね(笑)。別に仲が悪いわけじゃなくても、人間関係として共有してる時間が少ないと、お互いに構えちゃったりして、どうしても音に出ちゃうものなんだよね。



▲ Polaris "SEASON" (Official Music Video)


小島:Port of Notesを二人でまたはじめられたのも、僕がいま伊豆に住んでて、美由紀ちゃんの家は鎌倉のほうにあって。相模湾を眺めながら、車でつるっと行ける距離なんですよね。この感じだったらわりと通って作れるなっていうのも大きくて。

畠山:そうそう。練習や曲作りはもちろん、大ちゃんはエンジニアもできるから、そこで録音までできるから。

オオヤ:東京に出なくても会える環境っていうのは大きいかもね。

畠山:手土産に買ってきてくれたプリンを食べながら、世間話がはじまったりして。そういえば、最近幼少期の話をよくするようになって。そういう会話の中で、今まで整理がつかなかったものが、ちょっとずつ無意識に整理されてるようなところもあるかもね。

小島:そこに向き合うのが、今は大切だなって。1年後はもっと柔らかく溶け合ってるような感覚になってたら、自分も楽しめるんだろうねって思います。Polarisはbud musicに入ったのが1年先輩だけど、オオヤくんと譲さん二人のコミュニケーションの感じがとてもよくて。それが僕らの1年後みたいな感じで目標にしてるところはありますね。

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CD
▲Polaris『天体』

一さて、6月20日には、3年4ヶ月ぶりとなるPolarisのニュー・アルバム『天体』がリリースされますね。

小島:一足先に聴かせてもらったんですけど、最初の曲からギターの音がめっちゃよくて。なめらかというか、スーッと入ってくる音で、一瞬で好きな感じだなって思いました。

オオヤ:わーーっ、すごくうれしい! なんかね、素直にバンドの音楽を作れるようになってきてるっていうのが今の自分たちには大きくて。曲を書くにせよ詞を書くにせよ、最近は「Polarisっぽい」とか「Polarisの音ってこういう感じだよね」っていうのが全然なくなったんですよ。今素直に感じてるものを作ろうと思って。別にジャンルは関係ないし、それこそ初期なんていろんなタイプの曲があって。もともと僕も譲さんも音楽については雑食な聴き方をしてる人なので、それがそのまま反映されたって感じ。

一雑食な感覚やアンテナの広げ方も、年齢を重ねたことで、より感度が高くなってるかもしれない。

オオヤ:それはあるかも。本当に一回りしたっていうか、ここ1年ぐらいは南米の音楽もまた好きで。そうやって自分がいいなっていうものが、自然とにじみ出る。かといって真面目な南米音楽を作る気もないし。

柏原:うん、真面目なやつをやる気がしてないところが強いよね。

オオヤ:そう。自分の場合、レゲエもそうだし。不真面目なほうが好き。

一もっとフラットに音楽として面白がる?

柏原:それだけでいいじゃんって思うんですよね。

畠山:私たちも、いろんな音楽から影響受けて、なんでもやっちゃうから。そこが専門家の人から見ると「嘘くさい」って思われるのかなって思ったりもするけど、そういう意見を聞くと安心するよね。

CD
▲Port of Notes『水蜜桃』

一Port of Notesもいろんな音楽を取り入れつつ、根本にあるのは歌とギターっていうのがあって。それがあるから、何をやってもブレない感じもありますね。7月11日には、久々のリリース作品となるEP『水蜜桃』が発表されます。表題曲の「水蜜桃」はとても大人な歌でしたね。それもドラマの『昼顔』ではなく『金曜日の妻たちへ』的といいますか。

畠山:そうですか? でも、たしかにエロティックな部分にちょっと踏み込みたいなって感覚はあって。松本隆さんとか加藤登紀子さんとか、年齢を重ねるごとに踏み込んでるんですよね。そういうのがカッコいいなあって思って。この「水蜜桃」も、20代や30代じゃ書けなかった詞だと思います。

オオヤ:歌詞って、年を重ねると変わってくるよね。自分も今までは全体を俯瞰してるような歌詞が多かったけど、今はもうちょっと自分の生活の一コマを切り取ったような歌詞になってきた。自分なりに言いたいことを歌っていいのかなって変化してる気がします。

一そんな2組が、東京・大阪のBillboard Liveで初の2マンライヴを開催します。こうしてガッツリ共演するのは初めてなんですよね?

オオヤ:いや、もう楽しみですよ。

畠山:本当、超楽しみ!

オオヤ:PolarisはBillboard LIVEに出るのは初めてなんです。

畠山:私個人ではおおはた雄一さんや、ジェシー・ハリスさんとか、誰かと一緒にで出たことはあるんですけど、Port of Notesとしても初めてですね。

柏原:同じマネージメントになるんだったら、一緒に何か作りたいなってずっと思ってて。だから今回ライブで共演できるのは、すごくうれしいんだよね。

一今回はステージ上に両者の楽器をあらかじめセッティングしたままで、転換時間なしでライヴが進行するそうですね。PolarisとPort of Notesのセッションも期待していいんでしょうか?

オオヤ:もちろんです! PolarisとPort of Notesが合体しても各々のパートがかぶってないから、いろんなことが一緒にやれちゃうだろうなってワクワクしてます。

畠山:お互いの曲に彩りを添えられるのかなって思うと、すごく楽しみじゃない? たとえば私がPolarisの曲にコーラスとか入れちゃっていいのかな?

柏原:おおーっ!

オオヤ:やりましょうよ、ぜひ!

畠山:自分でフロントに立たないで、ミュージシャンとしてステージに立つっていうのが楽しみで仕方ないんですよ。

小島:そのセッションためのリハもあらかじめやらないと。リハはちょっと早めから始めましょうよ(笑)。

オオヤ:横浜あたりでリハして、帰りにみんなで野毛に行って飲む!

畠山:最高だねぇー!

柏原:ていうか、リハ初日は楽器持っていかなくてもよさそうすね。

畠山:それぐらいの気合いを込めていきたいですよね。普段の生活から馴染みあってれば、もっと面白いものが生まれそう!



▲Polaris | Album「天体」(Official Teaser)


Polaris「天体」

天体

2018/06/20 RELEASE
DDCB-12357 ¥ 3,080(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.わすれてしまうまえに
  2. 02.See The Light
  3. 03.グラデーション
  4. 04.星屑
  5. 05.Nocturne
  6. 06.真空
  7. 07.反復
  8. 08.cyan (Album Version)
  9. 09.オハナレゲエ
  10. 10.とどく (Album Version)
  11. 11.ピリオド

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