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傳田真央 『Bitter Sweet』 インタビュー

傳田真央 『Bitter Sweet』 インタビュー

 それでもあなただけを忘れられなかった 忘れることなんて二度とはできないよ――― すでに着うた(R)のクラブチャートで1位を獲得するなど、大きな盛り上がりを見せている傳田真央の新曲『Bitter Sweet』。3月18日にCDシングルとしてもリリースされ、ますますその注目度を上げそうな彼女だが、約10年前よりしつこく追い掛け続けているBillboard JAPANとしては、傳田真央の今だけじゃなく過去も未来も愛してもらいたいっ!というわけで、その全部を本人の口から語って頂きました。

何を伝えたいんだろう?次の私として

--とりあえず僕は今作『Bitter Sweet』の前に、SPHERE『君といたい feat,傳田真央』の字面を何かで見て驚いて。しかも着うたチャートで1位とか獲ったもんだから、こりゃ凄いことになってる!って。あのコラボはどういった経緯で実現に至ったの?

傳田真央:8年ぐらい前に私が『抱き寄せたDestiny ~Dream of Asia~』っていう曲を出したときに、SPHEREにフィーチャリングアーティストとして参加してもらって。それ以来、ライブとかも一緒にやってたりして、すごく仲も良いんですけど。それで今回は逆にSPHEREの曲に参加してもらいたいっていう話をもらって。で、こうして再び傳田真央として歌い始める時期でもあったのでタイミング的にも良かったので「ぜひ!」みたいな感じでやることに。すっごい楽しかったですよ。

--着うたチャート1位の報せを聞いたときはどんな気分になりました?

傳田真央:嬉しかったですね。最初は現実味を感じられなかったんですけど。というのは、本当にお互いに自然体で参加した楽曲だったので。レコーディングのエンジニアさんとか、当時の傳田真央のスタッフをやってくれていた知り合いもいる中での制作だったんですよ。だから、あんまりこういう言い方は語弊があるかもしれないんですけど、遊んでる延長みたいな感じで楽しく作ったので、それが1位を獲るっていうことにビックリして。でもアーティストが楽しんでピュアに作った音楽がたくさんの人に届いたのは、すごく素晴らしいと思うし、嬉しかったです。

--ではでは、そんな傳田真央の新たなスタートを切るまでの経緯を聞いていきたいんですが。

傳田真央:この1年ぐらいはひたすら曲作ってました。これも感謝してるんですけど、たくさん曲を作らせてもらえる時間を頂けたので。まぁ私はこの10年の間にそういう時間がとても多いアーティストなんですけど(笑)今回もそうやって時間を掛けさせて頂いて、いろんな方と一緒に曲を作ったりとか、自分でもいろんなタイプの曲を作らせてもらったりして。ちょっとお姉さんになった大人の女性として、28才の傳田真央として、どういうモノを皆さんにお届けするのが良いのかな?とか、いろいろ考えつつ。泣いたり笑ったり、プライベートでもいろいろあったりしながら作っていましたね。

--新曲『Bitter Sweet』は1年以上時間をかけて制作したという話を聞いたんですが、基本的にはこの曲をどう仕上げるかがメインにある期間だったの?

傳田真央:『Bitter Sweet』という曲をずっと作っていたという訳ではなくて。いろんな世界観を持った曲を作っていく中で、Jeff Miyahara(ジェフ・ミヤハラ)さんとの出逢いがあって、それからすぐ出来ちゃったのが『Bitter Sweet』なんです。それまで1年かけていろんな曲を作って「これもいいけど、これもいいし……次の傳田真央はどれ?」「何を伝えたいんだろう?次の私として」って考えたりとかしてたんです。でもジェフさんと出逢って3日で『Bitter Sweet』の全体像が見えるところまで出来てしまったっていう。「この1年は何だったんだろう?」って思うぐらいの速さで(笑)。でもそのいろんなことを試していた時間があった上でジェフさんとお会いできたので。

--『Bitter Sweet』が出来てすぐに「これだ!」っていう感じだったの?

傳田真央:はい。私もそうだし、スタッフの皆さんもそうだったと思います。その1年間のあいだには、私が「これって凄い芸術だな」って思ったらスタッフにはイマイチそれが伝わらなかったり、スタッフの皆さんが「こういう曲を歌ってみたらどう?」っていう意見を「傳田真央という名前で歌うには違うと思う」って私が返したり、リアルなところではいろんなことがあったんですけど『Bitter Sweet』が出来たときは、全員が何かを感じられた。それで「あ、こういうことってちゃんとあるんだな」って自信も持てて。

--実際、ジェフさんとはどういうやり取りの中でこの曲を作っていったんですか?

傳田真央:曲作りのやり方が面白くて、私にはすごく合っているやり方で。まず最初にお喋りを始めて「どういうラブストーリーを作ろうか?」っていうのをすごく具体的にするんです。それはスタッフの皆さんも交えてだったりするんですけど、今回の『Bitter Sweet』は「テーマは再会にしよう」と。で、ちょうど私としても8年の時間を経て、傳田真央という名前で歌い出す。今の傳田真央として、ずっと応援して待って下さっていた皆さんと再会をしに行く。あと20歳ぐらいのときにしていた恋愛は、今してる恋愛とは全然違ったりするので、田舎娘が東京に出てきていろんな恋を知って、それから時間を経て大人になって、その頃にしていた恋愛の物語と再び出逢う。まぁそこがリアルかどうかは秘密なんですけど(笑)そういうストーリーを膨らませていって。

で、そのラブストーリーのイメージが体に馴染んできたところで「真央、何かフレーズが降りてきたら弾いてみて」っていう感じで、私がピアノで「こういうのはどう?」って弾いていく中であのイントロが生まれたりとか、コード感が生まれたりとか。それで「じゃあ、録ってみよう」ってレコーディングして、そこにジェフさんがビートを付けて。物凄くリアルタイムで、その場でジャムセッションしながら作っていくんです。その日その時間のリアルな傳田真央を切り取っていってくれるんですよね、ジェフさんが。

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泣かないように一生懸命頑張ってます

--どんなキャラクターの持ち主だったりするの?

傳田真央:……ちょっとお父さんっぽい(笑)。一緒にやってるアーティストの方とかきっとみんな感じてらっしゃると思うんですけど、包容力があるんですよ。すごく自然体でいてくれるんで、自分も心を開いちゃうみたいな。自然な包容力を持ってる。あとはアーティストが内に持って眠らせてるモノを引き出すのがすごく上手。何かを取って付けたりとか、時代を読んでそこにはめるっていうことよりも、アーティスト本人が眠らせている「でもすごく面白いんじゃない?そこ」っていうのを見つけて、自然に引き出しちゃうのが上手なカウンセラーみたいな。そういうアーティストの中の計り知れない可能性を引き出してくれるんで、輝かせてもらってます(笑)。

--そんなジェフさんと共に作り上げた『Bitter Sweet』、仕上がりにはどんな印象や感想を?

傳田真央:本当に「やっとできた!」って思いましたね。「傳田真央の作品ができた」って思ったんですよね。傳田真央にしかできない1曲と、やっと再会できたなって。シンガーとしても女性としてもいろんな経験を積んできた、今の28才の傳田真央として生み出せた1曲。いろんな音楽が溢れてる中で、たったオンリーワンのモノができたなっていう想いがあって。言葉にしちゃうとすごくシンプルだし、今までも1曲1曲作る度にそう思っていたつもりだったんですけど、今回は本当にそれを感じています。

--僕も聴かせてもらっていろんなところにグッと来たんですけど、個人的には「あれからいくつもの恋に抱かれて 幸せ言い聞かせた」とかね、もうそんなこと言うなよって思うぐらい切なかったです(笑)。

傳田真央:アハハハ!

--その上で「それでもあなただけを忘れられなかった 忘れることなんて二度とはできないよ」ですからね。ずっと抑えてきた気持ちが溢れかえってしまうっていう。それを言葉だけじゃなくちゃんと声でも表現していて。

傳田真央:ありがとうございます。私、自分で毎日聴いちゃってますから。自分で浸っちゃってる(笑)。ライブで歌ってるときも泣かないように一生懸命頑張ってます。

--でもそのギリギリの、涙が出るのを堪えるぐらいの想いで歌ってるから響くんでしょうね。

傳田真央:コーラスも全部に自分の念力が入ってる感じがするんで、レコーディングのときはすごく疲れていたと思います。帰るときも脱力して動けないぐらい。

--そんな『Bitter Sweet』がCDリリース前から、着うた、着うたフルのクラブチャートで1位を獲得。どんな気分でした?

傳田真央:いやぁ~、ご自慢ですね(笑)。ここ1年、本当にいろんな曲作りをして、いろんな実験をして、頑張ってきたので。「傳田真央として何ができるか?」ってひたすら探してやっとできたのが『Bitter Sweet』で。その曲が皆さんにダウンロードして頂けたっていう事実に、現実を動かせたという状況に対して、自分に自信を持てたし。またこれから傳田真央としていろんなメロディだったり言葉だったり、こうやってインタビューでお話するメッセージもそうなんですけど、アーティストとして発信していくことにもっと責任を持って伝えていく原動力になってます。

--ぶっちゃけ話をしてしまえば、傳田真央名義で新曲をリリースするのって『ONE LAST KISS』『Diamond Kisses』以来、8年以上ぶりでしょ?それでこの盛り上がりはちょっと奇跡的ですよね?

傳田真央:そうですよね。本当に有り難いと思ってます。

--なんでこの奇跡は起きたんだと思いますか?

傳田真央:何年も表立った活動を他のアーティストの皆さんみたいにやってなかった時期があったんですけど、やっぱり傳田真央という1人の人間として、女性として、毎日いろんな自分に向き合ったり、いろんな音楽を作ったりしながら、心の目線を高めてきて。それは「頑張ろう」っていうつもりで頑張っていた訳じゃないんですけど、そういう自分に向き合い続けて過ごしていたので。喜びを感じながら。やっぱりそういうモノで伝わる何かはあるって信じてるんです。野心を持って何かをするっていうことではない部分で、精神的な部分だったり、人間的な部分だったり、あと何かに感謝をするとか、いろんな人とお話をしたり、いろんな人に刺激をもらうとか、そういう漠然としたことがすごく大きな力を持ってるって信じたいんですよね。

--その力は声にも出てると思うんですが、今作で言えば、切なさをこの上なくエモーショナルに響かせることができる声。っていうのは今の話が全部あって出てきてるモノだと思うんです。

傳田真央:やっぱりそうだと思います。傳田真央さんとして日々過ごしてる中のモノが出てると思うんで。その中で一緒に時間を過ごしてくれる人たち、友達だったり、恋人だったり、家族だったり。そういういろんな人の力も入ってると思いますし。

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--なので、先程『Bitter Sweet』が出来てすぐに全員が「これだ!」ってなったと話してましたけど、傳田真央がどういう人で、こういう性格や生き方からあの声は生まれていて、その声の魅力を爆発させるためにはどんな曲が必要なのか?って、やっぱりみんなそれぞれに分かってたと思うんですよね。それは傳田真央にしか歌えない曲で、それが『Bitter Sweet』だった。だから満場一致だったんだろうし。その傳田真央にとってのベストが今の状況を生んでるのはすごく必然に感じるんです。

傳田真央:なるほど。

--で、僕はこの声がね、いわゆる着うた層、若い女の子たちを中心に聴かれていることがすごく…

傳田真央:嬉しい!私はいつでも女の子の味方なんで。その分、男性の皆さんには厳しいんですけど(笑)。ずっとラブソングを歌っていくアーティストだって自分のことを思ってるんで、女の子たちに届いてほしいなって。

--今リアルに恋をしている人たちに響く歌をうたいたいっていうのは、変わらないんですね。

傳田真央:変わらないですね。最近は年齢的にもお姉さんになってるんで、特にそう思うんですよね。昔の傳田真央ちゃんは「私、こんなことあったよ」っていうのを歌っていたと思うんです。恋愛についても「私、こんなこと経験して、こんなことを思ってるんだけど、みんなもそう思う?」みたいな。でも最近の歌詞は、自分の体験ももちろん書いたりするんですけど、街を歩いてたりカフェでお茶してたりする中で、街にいる女の子を見て「あの子、今日何があったのかな?」とか。時々夜の街を泣きながら歩いてたりすると、凄い愛情が湧いちゃって「どうしたの?」って思っちゃうんです。で、その子の想いとかを私が代弁する感じで詞にしたりして、それを聴いてもらったときに「私もそういう想いしてる」って思ってもらいたいなって。それは傳田真央ちゃんと傳田真央さんの違いかも。

--今恋に悩んでる女の子とかが『Bitter Sweet』で傳田真央の存在を知って、これをキッカケに『耳もとにいるよ…~Ring the bells~』とか『Happy Ever After』といった過去の作品を聴いて共感したりしたら、それもそれで素敵なことだなって思ったりするんですが、どうですか?

傳田真央:多分そういう方が最近は少しずつ増えてきてると思うんですけど、そのときの空気だったり、私の真心だったり、声から伝わる波動だったり、歌詞ができるにあたっての自分のいろんな経験、自分がしていた恋のお相手だったり、その恋の相談に乗ってくれた友達だったり、いろんな想いとか念力が詰まってる1曲。それを10年近く時間が経った今、若い世代の人たちが聴いてくれて何かを感じてくれている事実がすごく不思議だし、すごく温かいなって思うんですよね。いろんなモノが変わって新しいモノが溢れている世の中で、10年前の曲が変わらず何かを感じさせる力があるとしたら、それはすごく温かい話だと思う。

--ちなみに2月21日に表参道で行ったライブでは『耳もとにいるよ…~Ring the bells~』や『Happy Ever After』を歌ったそうですが、今改めてあの時代の歌をうたうとどんなことを感じたりします?

傳田真央:変わらないモノを感じます。今はまた新しい曲も作ってて、今日も夕方はジェフさんのところに行って作ったりするんですけど、新しく知っていくモノと変わらないモノ。その2極性を最近すごく感じていて。街を歩いてても一週間でどんどんお店とかも変わっていったりするし、出逢いに関してもインターネットの掲示板とかで会ったことがない人と会話をして仲良くなれたりする。でもなんでそのめくるめくたくさんの情報の中に私達は入っていくのか?って思うと、変わらない絆とか愛情みたいなモノを探しているからこそ、なのかなって。

私はそうした2極性を今テーマにしてて『Bitter Sweet』みたいな今のリアリティを切り取った新しい曲を歌う自分と、10年前の傳田真央が作った曲を歌う自分。そこにはもちろん違いはあるんだけど、逆に変わらないモノも感じるんです。リアルな話をすると、当時の傳田真央ちゃんの曲って結構キーも高かったり、あり得ない歌い回しがあったりするんです。恐れを知らない純粋な娘の曲なので(笑)。でも変わらず歌い続けられる自分がいたりして。特に『Happy Ever After』の自分を無にして、アーティスト・傳田真央を降ろしてくる感じとかは今も昔も一緒だし。そこはどれだけお姉さんになってもキープしていきたいなって。

--さて、そんな多くの想いを胸に『Bitter Sweet』から新たな傳田真央のストーリーが始まっていくわけですが、まず今年の傳田真央は自分でも楽しみなんじゃないですか?

傳田真央:そうですね。今年は働きます!

--(笑)。

傳田真央:いっぱい充電期間があってね、旅行もしたし、曲もたっぷり作ったし、ガールズトークもいっぱいしたので、今年はいっぱいいっぱい……みんなにあげる(笑)!

傳田真央「Bitter Sweet」

Bitter Sweet

2009/03/18 RELEASE
UPCH-5580 ¥ 1,257(税込)

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Disc01
  1. 01.Bitter Sweet
  2. 02.晴れ時々雨
  3. 03.Bitter Sweet -Jazztronik Remix-

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