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大人のためのダンスホール・レゲエ入門~必聴!5人のレジェンドたち

“特集

 蒸し暑くなると、条件反射的にレゲエを聴いてしまう夏。しかし、レゲエといっても、種類は様々だ。ボブ・マーリーやジミー・クリフに代表されるルーツ・レゲエ、その大元となったスカやロックステディー、そしてラヴァーズ・ロックやダブといった進化系など多彩だが、この30年ほどの主流はなんといってもダンスホール・レゲエだ。
 大胆なアップテンポのビート、刺激的なサウンド、早口でまくし立てるトースティングという歌い方。ヒップホップやソカなどへも影響を与えたダンスホールは、昨今の90'sリバイバルの流れの中でスポットを当てられることも多い。メジャー・レイザーやエイサップ・ロッキー、ドレイクなどが、ダンスホールを取り入れた楽曲を発表していることも注目すべきだ。クラブ・ミュージックにおける今後のトレンドになるのは確実といわれている。しかし一方で、うるさいとかチャラいなんていう印象で嫌われることが多いのも事実。いわゆるジャパレゲといわれる日本のレゲエ・シーンが、J-POPとダンスホールを融合させたものが多いことも、洋楽志向のリスナーから敬遠されている理由だろう。
 とはいえ、歴史に名を残すダンスホールのレジェンドたちをあらためて聴いてみれば、それぞれ個性的で面白く、時代によって変化していく様も興味深い。そして、ルーツ・レゲエと密接に関わっているアーティストも珍しくなく、レゲエ自体をさらに深く知るには聴いておくべき作品も多数あるのだ。ここでは、ダンスホールのムーヴメントを作ってきた5人に焦点を当て、このシーンの魅力に迫ってみたい。

TOP Photo: Jonathan Mannion

Yellowman

イエローマン



▲ 「Zungguzungguguzungguzeng」 / Yellowman


 ダンスホール黎明期における最初の大スターといえば、なんといってもイエローマンだろう。1956年生まれの彼は、生まれつきアルビノ(先天性白皮症)だったため両親に捨てられ、孤児院で育つという壮絶な人生を歩んできた。しかし、各地のサウンドシステムでトースティングの腕を磨いたイエローマンは、きわどい下ネタや生まれ持った風貌を武器にして一躍大スターとなる。そして、メジャー・デビューしてRun-D.M.C.と共演するなど、ダンスホールを一般的な存在へのし上げる役割を果たした。今もなお現役で精力的に活動を続けているが、『Mister Yellowman』(1982年)や『Zungguzungguguzungguzeng』(1983年)といった初期作品における飄々とした作風は、何物にも代えがたい雰囲気を持っている。


Sugar Minott

シュガー・マイノット



▲ 「Herbman Hustling」 / Sugar Minott


 シュガー・マイノットも、ダンスホール草創期における重要なアーティストのひとりだ。1956年生まれで、イエローマンと同い年。もともとはサウンドシステムでセレクターとして活動していたが、シンガーに転向。リディムと呼ばれる既存のトラックに乗せて歌うことで話題を呼び、1978年に本格的にソロ・デビュー。一時期は英国に拠点を移してラヴァーズ・ロックに傾倒していたこともあるが、ジャマイカに戻ってからはルーツ・レゲエとダンスホールを行き来しながら多数の傑作を生み出し続けた。彼の良さは、やはりその見事な歌唱力だ。ヴォーカリストとしての卓越した表現力を、ダンスホール特有のビートに乗せて活かす技は他の追随を許さない。惜しくも2010年に逝去したが、その影響力は未だに衰えず、次世代からもリスペクトされ続けている。


Super Cat

スーパーキャット



▲ 「Boops」 / Super Cat


 ダンスホールを世界中に広めた功労者のひとりとして、スーパーキャットはレゲエ史から外せない人物である。1963年に生まれ、貧しいゲットーで育った彼は、13歳ですでにDJとして活動を開始。80年代半ばにはダンスホール・シーンの中心的な存在となり、とくに1986年発表の「Boops」はジャマイカ中を席巻した。その後、米国へと拠点を移し、次々とコアなダンスホール作品を作り続ける。そして、ヒップホップ・シーンとも密接に交流することでさらに評価を高め、ビルボード・チャートで全米1位となったクリス・クロスのデビュー曲「Jump」のリミックスにも参加した。90年代半ば以降は寡作となってしまったが、ヒップホップだけでなくシュガー・レイのようなロック・バンドに呼ばれることも多く、絶大な人気を誇っている。


Buju Banton

ブジュ・バントン



▲ 「Champion」 / Buju Banton


 ダンスホール界の問題児と言われつつも、確固たる地位を築いているのがブジュ・バントンだ。1973年生まれの彼は、13歳ですでにレコード・デビューしていたという早熟なアーティスト。90年代初頭に発表した「Love Me Browning」は、肌の色の薄い女性を称える内容だったため批判が起きた。また、その直後にヒットした「Boom Bye Bye」にいたっては、同性愛者への嫌悪を表現していたことで世界中からバッシングを受け、謝罪することになる。しかし、ラスタファリ運動に傾倒していくことでルーツ・レゲエにも接近。社会的なメッセージを盛り込むことで独自のスタイルを築いていった。ハードで刺激的なスタイルのトースティングは、その後のダンスホール・シーンに多大な影響を与え、フォロワーを生み続けている。


Beenie Man

ビーニ・マン



▲ 「King Of The Dancehall」 / Beenie Man


 ダンスホール・シーンのベテランの中でも、常に最先端を走り続けているシンガーといえば、ビーニ・マンだろう。1973年に生まれ、5歳から歌い始める。10歳ですでにレコード・デビューを果たしているというから、相当な早熟だといえる。90年代初頭から本格的に頭角を現し、バウンティ・キラーとのクラッシュなど、センセーショナルな話題を作って人気を得た。2000年にはアルバム『Art And Life』でメジャーに進出し、グラミー賞を獲得するなどワールドワイドに展開。ジャネット・ジャクソンやワイクリフ・ジョンなどと共演も多く、他のジャンルとも積極的に交流。最近では、ドレイクのアルバム『Views』に参加したことでも話題になっている。“キング・オブ・ダンスホール”と呼ばれるアグレッシヴなトースティングは、唯一無二の存在だ。

☆来日公演情報☆
ビルボードライブ大阪:2016/8/9(火)
>>公演詳細はこちら

ビルボードライブ東京:2016/8/12(金)
>>公演詳細はこちら

INFO: www.billboard-live.com

BAND MEMBERS
ビーニ・マン / Beenie Man (Vocals)

【HOME GROWN】
タンコ / Tanco (Bass)
ユッキー / Yukky (Drums)
イワッチ / i-Watch (Guitar)
ママアール / Mama-R (Keyboards)
セイジマン / SEIJIman (MPC)

ブジュ・バントン「ヴォイス・オブ・ジャマイカ」

ヴォイス・オブ・ジャマイカ

2014/12/17 RELEASE
UICY-76931 ¥ 1,100(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Searching
  2. 02.Red Rose
  3. 03.Commitment
  4. 04.Deportees (Things Change)
  5. 05.No Respect
  6. 06.If Loving Was A Crime
  7. 07.Good Body
  8. 08.Wicked Act
  9. 09.Tribal War
  10. 10.A Little More Time
  11. 11.Him Take Off
  12. 12.Willy (Don’t Be Silly)
  13. 13.Gone A Lead
  14. 14.Make My Day
  15. 15.Operation Ardent
  16. 16.ホワイ・ブジュ・ラヴ・ユー

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