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「“リアル”なバンドになることをずっと望んでいて、周りからもそう認識してもらいたい」 ― ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー (5SOS) 来日インタビュー

ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー 来日インタビュー

 2014年3月にリリースされたデビュー・シングル「She Looks So Perfect」で、本国オーストラリアやイギリスで1位に輝き、彗星のごとく音楽シーンに登場したファイヴ・セカンズ・オブ・サマー(5SOS)。同年7月にリリースされた1stアルバム『ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー』は、米ビルボード・アルバム・チャート初登場1位を記録し、オーストラリア出身のバンドによるデビュー作としては、史上初の全米1位を記録するという快挙を成し遂げた。そして2015年10月には待望の2ndアルバム『サウンズ・グッド・フィールズ・グッド』を発表。再び全米アルバム・チャート1位に輝き、記録を更新するとともに、ヨーロッパ各国のチャートも席巻した。今作を引っさげたワールド・ツアー【Sounds Live Feels Live】をキックオフするために約1年ぶりに日本を訪れたルーク、カラム、マイケル、アシュトンの4人を直撃!日本での3公演、ニュー・アルバムについて話を訊いた。
★初来日時のインタビューはこちらから>>>

TOP Photo: Sotaro Goto

できるだけ多くの人にライブを観てもらって、最高の時間を過ごして欲しい

−−まず、【Sounds Live Feels Live】ワールド・ツアーを名古屋でキックオフして、日本での3公演を終えた感想は?

アシュトン・アーウィン:毎晩内容を少しずつ変えながら、よりいいショーを目指してる。日本の観客は最高だし、初めて名古屋にも行くことができた。地元の文化も堪能できたし、クールだったよ。観客の反応も場所によって少し違っていて興味深かったね。

−−昨晩の武道館公演を拝見しましたが、ファンからのサプライズや東京&渋谷(日本)についての即興ソングだったり、記憶に残る瞬間がたくさんありましたね。

アシュトン:あの曲はヒット確実でしょ(笑)!

マイケル・クリフォード:これまで作った曲の中でも断トツだね(大笑)。

−−本当にあの場で作ったんですか?

一同:そうだよ!

ルーク・ヘミングス:嘘っぽっかった?

−−そんなことなかったですよ。

マイケル:ぶっちゃけ、曲としてはヒドイ出来だけど、(胸を叩きながら)ここからの素直な気持ちだよ。そこが重要だよね。

−−ツアーのスタート地点として日本を選んでくれたことを喜ぶ日本のファンは多かったと思いますが、何か特別な理由があったのですか?

マイケル:日本に1週間滞在したいっていう想いがあったんだ。観光もしたかったし、それにTVに出演したり、今日はファン・イベントをやる。個人的にツアーをキックオフするのに最高の場所だと思ってる。ちょうど去年の今頃に初来日して、それから1年間戻って来れてなかったし。

カラム・フッド:早く戻ってきたかったんだ。

アシュトン:今年はすごく忙しいし、スケジュール的にも今の時期がピッタリだったのもあるね。

写真
2016.02.23 5 SECONDS OF SUMMER @ NIPPON BUDOKAN
Photo: Sotaro Goto

−−では、今回のツアーを構成する上で、特にこだわった部分、気に入ってる部分などあれば教えてください。

アシュトン:今回マイケルは果敢な挑戦をしている…。

−−キーボードを弾くパートですね。

マイケル:マジ下手くそだけど、徐々に上達してるから、ツアーが終わるまでには、エルトン・ジョンばりに弾けるようになってるはず!

アシュトン:超クールだよ。

カラム:楽しみにしてるぞ。

マイケル:あと、「Castaway」の終盤でジャム・セッションするところが好き。ライブの中で音楽的に自由に何でもできる部分だから。で、ギター・ソロをやることにした。個人的にすごく気に入っていて、ファンにとっても予想外だったと思うよ。尺としてはそんなに長くないけど。

アシュトン:マネージメントには止めとけ、って反対されたけどね。ギター・バトルなんてするな、って(笑)。

ルーク:新しいアルバムには、難度の高いヴォーカルワークが含まれているから、僕的にそこはちょっとキツかったかな。でも、曲を繋げて演奏したり、ファンと一緒に歌えるようなパートがあるとこがいいよね。「Castaway」に入るところも好きだな。

アシュトン:ファンと対話できるとこね。バンドとしての最終的な…メイン・ゴールは、最高なアリーナ・ライブをファンに届けることだから、よりいいショーにするために日々努力してる。できるだけ多くの人にライブを観てもらって、最高の時間を過ごして欲しい。それだけだよ。それと僕ら自身も楽しめるようなライブにすること。だって、これから数か月間はツアーが僕らの日常になるわけだから。

−−ライブに足を運ぶ男性ファンが増えている、という感触はありますか?

アシュトン:あぁ、特に日本はね。今回の日本公演は観客の15%が男性で、それって僕らのショーにしては大きな割合なんだ。もっと多くの男性ファンにライブに来てもらうのは、僕たちの大きな目標のひとつなんだ。

ルーク:他の国だと、安易に評価されることが多い。そうする理由もわからないことはないけど。4人の男がやってるバンドだけど、若い女の子のファンが多いから、そんな場で見られたくない、っていうのはよく聞く話だから。けれど日本の観客は、バンドのファンがどうとか、バンドのイメージや評判とかそういうことは関係なく、ただその音楽が好きで、生の音楽を聴きたいからライブに来てくれる。そこはすごく嬉しいよね。

アシュトン:確かに音楽を音楽として、偏見なく評価してくれる。どんな人が聴いてるとかじゃなくて、自分はこの音楽が好き、ってちゃんと自分の意見を持ってる。

マイケル:他の国だと、ティーンの女の子が熱狂するバンド、とかいう位置づけだけど、僕が不思議なのは、単純に女の子のファンだからって、彼女たちの音楽に対する感受性が他のリスナーに比べて劣るのか、ってこと。だって、別にそんなことないじゃん?とにかく、日本がクールなのは、音楽をちゃんと評価してくれるところだね。

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自分たちが本当に作りたい音楽により近いアルバムを作ることができた

−−ニュー・アルバムについてですが、本国オーストラリア、アメリカ、イギリスをはじめとする各国で1位を記録し、商業的には大成功を収めましたが、4人がこのアルバムで成し遂げたこと、その功績とは?

ルーク:とにかくロックなアルバムが作りたかった。だから、間奏が入っていたり、たとえば「Outer Space」とかはラジオで流れるような典型的な曲じゃない。トラックリストもよく練られているし、内容のある作品に仕上がった、って僕的に思ってる。そして何より個々の曲がいい曲ぞろい。

−−「Outer Space」は、5SOS的「Stairway To Heaven」のような大作ですよね(笑)。

一同:(笑)。

マイケル:嬉しいね~。

アシュトン:5SOS史上、一番壮大な曲だからね!それと今作はもっと僕ららしい作品になった。デビュー・アルバムを作った時は、若かったし、初めてのことばかりだったからすべてを理解できていなかった部分もあったかもしれないけど、結果的にはいい作品に仕上がった。でも、デビュー作と同じようなアルバムを作る気はなかったし、もっと色々なことに挑戦したかった。3rdへの架け橋となるような作品に仕上がったんじゃないかな。自分たちが本当に作りたい音楽により近いアルバムを作ることができたんだ。

ルーク:同感だね。次のアルバムでは、もっと自由に、好きなことができると思う。



−−今作ではクリエイティヴ面において、すべてバンド主導で自由に進めたのですか?

アシュトン:これまでもずっとそうだよ。マネージメントが信頼してくれているから、自由に何でもできる。それって、すごく最高の気分だよ。

−−“功績”という点では、【NME Awards】の<ワースト・バンド賞>を2年連続で受賞しました。おめでとうございます(笑)。

マイケル:実は秘かに発表を楽しみにしてたんだ(笑)。投票してくれたみんな、ありがとう!

ルーク:笑えるのが、去年獲った後はインタビューしたい、とか言われて…(苦笑)。

マイケル:で、今年また獲っちゃった、っていう。もうどうせなら、毎年獲り続けたいよね。

−−来年再び獲ったら殿堂入りの域ですよね。

マイケル:確かに!

ルーク:今年はU2もノミネートされてたよね。U2をいいバンドじゃないって言うこと自体が理解できないよ。

−−真面目な話に戻ると、新作は内省的な楽曲も多く、ソングライターとしても大きな成長が伺えました。とはいえ、一際ダークな「Jet Black Heart」や「Broken Home」などは書き上げるのがタフな曲だったのでは?

マイケル:実はそうでもないんだ。このアルバムの為に曲を書き始めた時、かなり苛立っていた部分があったし、言いたいことがたくさんあったから。ツアーが永遠と続いていて、曲を書く時間が欲しかったのに、それが難しかった。で、じっくり時間がとれて書き始めた最初の頃はアルバムには不適切な…すごくダークな曲ばかり出来上がって、最終的はボツにしたものが多かった。「Jet Black Heart」と「Broken Home」は、まさにその時期に書かれた曲だね。僕的には、アルバムの中ですごく気に入ってる曲なんだけど。こういう曲も書ける、何でもできるって証明したかった部分もあるし。



−−前作以上にアンセミックな音作り、「Invisible」や「Outer Space / Carry On」ではストリングスを起用したり、サウンドやプロダクションの面でも音楽の幅が広がっています。

アシュトン:とにかく時間をかけた。ギターからドラムのスネアの音まで、個々の音にすごくこだわったんだ。細かいことの積み重ねだけど、それを実際にちゃんとやることでいいアルバムができる。アルバムを“アンセミック”にしたかったのは、これから世界中で行うアリーナ・ツアーのため。そういう会場で映えるようなサウンドにしたかった。「これってクールだけど、大きな会場で聴いた時どうだろう?」って常に自問しながら、制作を進めていったんだ。

−−自分たちが書いた曲をオーケストラが演奏するのを見れたのもクールな体験だったと思います。

ルーク:信じられなかったよ!プログラミングして機械的に済ませるんじゃなくて、実際に生のオーケストラに演奏してもらったことで、完成した曲に劇的な変化を及ぼしたし、さらに曲を際出せてくれたと感じる。さっきアッシュが話してた、ギターやドラムに対するこだわりに加えて、オーケストラのパートをのせることで、曲のスケール感も増したし。

アシュトン:うん。今作の醍醐味は、そういった色々な要素を加えることで、バンドとして少し成長できたということだね。

ルーク:ポケモンみたいにね!

一同:(笑)。

−−アルバム制作中に口論したりすることはありましたか?

アシュトン:ノーだね。

カラム:自分が書いた曲には愛着が湧くからあれだけど…でもバンドとしての方向性がしっかりしてるから…。

マイケル:どうかな…?

カラム:…とにかく喧嘩はしないよ。マイケルのことは知らないけど(笑)。

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“リアル”なバンドになることをずっと望んでいて、
周りからもそう認識してもらいたい

−−今作のリリースを経て、バンドに対する偏見は少しずつ変わってきているように思いますか?

アシュトン:どうだろう?元々、あんまり気にしてないけど。

マイケル:アルバムを作っている最中は、何を言われても気にしがちだけど…『サウンズ・グッド・フィールズ・グッド』のメッセージは、他人を気にせずに、好きなことをする、っていうことだ。

ルーク:だからその張本人が気にしてたら、矛盾してるよね。

−−わかりました。バンドとしての活動期間がもうすぐ5年を迎えますが、ミュージシャン、人として、お互いどんな部分が成長したと感じますか?

アシュトン:まず、カラムはタトゥーが増えた!

ルーク:元々ベーシストじゃなかったのに、今では最強のベーシストになった。

アシュトン:確かにね。誰に聞いても同意してくれると思うよ。

マイケル:次世代のヴィクター・ウッテンって呼ばれてる(笑)。

一同:(笑)。

アシュトン:筋肉もついたし。

マイケル:恐れ知らずだ。

ルーク:全員ミュージシャンとして腕が上がったし、シンガー、パフォーマーとしても成長した。自信もついたし。パーソナルな面でも、大人になっていってる。それと体が大きくなった?

カラム:うん、みんな同じように成長してるんじゃないかな。

マイケル:自分ばっかりいいとこ取りするなよ。

カラム:この4年半、4人一緒に成長していってるから、自分の姿を鏡でみているような気もするよね。たとえば、「ルークはここが成長した」って言われたら、「自分はどうだろう?」って思うし。

アシュトン:お互い支え合っている感じだね。僕ら、一つのチームだから。マイケルに関して話すと、ギタープレイがマイケルならではの個性を持つようになった。もう少ししたら、「自分もマイケルみたいにプレイしたい。」って言う人が出てくるかもしれない。それって、ミュージシャンにとっては最高の褒め言葉で、目標のひとつだよね。自分にしかない強みや特性があるということだから。しかもギタリストなんて、この世にめちゃめちゃめちゃ大勢いるわけだし、その中で自分だけの個性を持つことは難しいことだと思うから。



−−最後の質問となりますが、昨年末ローリング・ストーン誌の表紙を飾った際の赤裸々なインタビューに対するファンの反応には驚きましたか?それとも想定内でしたか?

マイケル:表紙で裸になったのには理由がある。“リアル”な自分たちの姿を見てもらいたかったし、僕らは“リアル”なバンドになることをずっと望んでいて、周りからもそう認識してもらいたい。そういうことをわざわざファンから隠すような人間でもないしね。

アシュトン:だから、文字どおり“balls out(=制限なし、すべてさらけ出す)”したんだ。

カラム:最初はショックを受けたファンも多かったみたいだけど、これまでもずっとファンとは“パーソナル”な関係を築いてきたから、10年後に振り返った時も、「あれは誠実なインタビューだった。」って思えるんじゃないかな。だから後悔はしてないよ。

マイケル:多少、文脈から外れてる部分もあったけどね。

アシュトン:所詮エンタメ・サイト用の記事だからね。

ルーク:普段インタビューを受ける時って、今みたいに目の前に座って何分間か話すって感じだけど、あの時は長い時間ずっと一緒にいたから…。

アシュトン:1週間ね。

ルーク:誰かの悪い部分…記事はネガティヴなことがほとんどだった。たとえば、カラムが起きて下に降りてきて「ウィスキーが飲みたい。」ってジョークで言ったことが、紙面だと本気で言ってるような感じがする。実際はジョークだったのに。本当に飲むかって言ったら…。

(他の3人が笑い出す)

−−飲むんじゃないですか(笑)。

一同:(大笑)。

マイケル:とりあえず、ジョークってことで(笑)!

アシュトン:なんなら、僕がパトリック(記事のライター)ついて記事を書きたいね。パーティーに何回か連れていったし、全然書けるよ(笑)。彼のことは大好き。本当はすごくイイ奴なんだよ。

−−短い時間でしたが、ありがとうございました。今後のツアーも頑張ってください。マイケルは怪我をしないように…。

カラム:マジで!マイケルに災難が降りかかるコーナーを設けたらいいんじゃないか、ってぐらいだよね(笑)。

・5SOSのサイン入りポラロイド写真プレゼント企画は、2016年4月4日正午を持ちまして、締切とさせて頂きました。 多数のご応募、誠にありがとうございました!

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