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2021/03/19

『Zoom In』リンゴ・スター(EP Review)

 ポール・マッカートニーがビートルズを脱退すると表明した2週間前、1970年3月27日にリリースされたソロ・デビュー作『センチメンタル・ジャーニー』から50年、昨年の7月で80歳をむかえたリンゴ・スター。ビートルズ結成からの時間を含めると63年という長いキャリアで、80歳という年齢も不思議ではないが、容姿や声の張り、衰えないセンスからすると“傘寿”には驚かずにいられない。
 
 本作『Zoom In』からのリード・シングル「ヒアズ・トゥ・ザ・ナイツ」のミュージック・ビデオでは、その年齢を感じさせない見事な筋肉と鮮やかなドラム・プレイを披露した。この曲は、新型コロナウイルスの影響によるロックダウン中にレコーディングされたもので、困難となった一年を振り返り、平和や愛、家族や友人への想いの丈等が込められている。年内にリリースしたいと思ったのも、そういった意図があるからだそう。
 
 同曲には、スターシップの「愛はとまらない」(1987年)や、セリーヌ・ディオンの「ビコーズ・ユー・ラヴド・ミー」(1996年)など、米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で1位に輝いた大ヒット・ナンバーを多数手掛けてきた女性シンガー・ソングライターのダイアン・ウォーレンが共同制作者としてクレジットされている。リンゴ・スターの曲では「イン・ア・ハートビート」(1992年)も共作したが、リード曲としては初のタッグとなる。
 
 思い出に浸りながら祝杯を挙げる青春賛歌風のフレーズを、優しい旋律の6/8カントリー・メロウに乗せた傑作で、サビでは「ヒアズ・トゥ・ザ・ナイツ」を発表した直後に18作目のソロ・スタジオ・アルバム『マッカートニーⅢ』をリリースしたポール・マッカートニーとの“ハーモニー”もたのしむことができる。
 
 ポールの他には、イーグルスのジョー・ウォルシュやフー・ファイターズのデイヴ・グロール、女性シンガー・ソングライターのコリーヌ・ベイリー・レイやシェリル・クロウ、ベン・ハーパーやレニー・クラヴィッツといった実力派から、カントリー界の注目株クリス・ステイプルトン、ビリー・アイリッシュの兄でプロデューサーのフィニアスなど、ジャンルをクロスオーバーした新旧の豪華ミュージシャンたちがゲストとして参加した。
 
 ロックダウン中に制作・撮影されたミュージック・ビデオでは、各々それぞれの場所から歌入れしたシーンがカットごとに起用されている。本作『Zoom In』に収録されたその他の4曲も、2020年4月から10月にホーム・スタジオで録音されたもので、おそらくはパンデミックがなければ実現しなかった作品といえよう。
 
 ザ・ドアーズのギタリスト=ロビー・クリーガーが参加した「ズーム・イン・ズーム・アウト」は一転、ビートルズ時代も彷彿させるファンキーなロック・クラシックに仕上がった。女性のバック・コーラス、インタールードのギタープレイもスタイリッシュで、懐かしい風景が蘇る。TOTOのスティーヴ・ルカサーとジョセフ・ウィリアムスによる共作曲「ノット・イナフ・ラヴ・イン・ザ・ワールド」も、TOTO寄り(AOR)というよりは古典的なUKロックで、真骨頂ともいえるドラムの力強さにシビれる。
 
 ワン・ダイレクションやパニック!アット・ザ・ ディスコ、ケイティ・ペリーなど主にはポップ・シンガーを手掛けてきたサム・ホランダーによるプロデュース曲「ティーチ・ミー・トゥ・タンゴ」は、彼等の楽曲にも通ずるアップテンポのポップ・ロック。華やかなオープニング、ラップのように紡ぐボーカル、歓声のようなコーラス、高らかに舞うホーン&ギター、何れをとっても音楽を楽しんでいるのがダイレクトに伝わってくる、ハッピーなナンバーだ。
 
 一方、エンジニアのブルース・シュガーと制作した「ウェイティング・フォー・ザ・タイド・トゥ・ターン」では、スティーヴィー・ワンダーの「マスター・ブラスター」(1980年)にも似せたホットなグルーヴのレゲエに挑戦している。ジャジーなムードも織り交ぜた大人のためのアダルト・コンテンポラリーは、熟した現在のリンゴ・スターでないと醸せない風格がある。どの曲からも「もう一花咲かせてやろう」という意気込みは(良い意味で)なく、自分らしい音楽を貫いたスタイルが確立された。
 
 そういった余裕も、ロックダウン中にゆっくり家で過ごしたり、日差しを浴びながら散歩をしたり、絵を描いたりした時間の賜物……と、いえるのかもしれない。その若さの秘訣として、ウォーキングやジムでの筋肉トレーニング、煙草を辞めてベジタリアンになった等の健康法を挙げていたが、心身共に健康であることが健全な楽曲に繋がると思える、そんな作品。
 
Text: 本家 一成

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