2021/02/18 20:01
【TORU ~ his love & friends~】コンサートが、2月20日から配信される。この日は作曲家・武満徹(1930-96)の命日。武満の盟友リチャード・ストルツマンと、鈴木大介を中心とした日本のアーティストたちが集い、ときに微笑ましく、ときに遊び、ときに“魂”のこもった演奏を披露した。楽しい気分も人生の深淵さも感じる、そんな贅沢な時間となった。
武満が亡くなって25年。四半世紀も過ぎ、残念ながら武満と交友した人も減りつつある。しかしその作品は、武満を直接知る人にも、亡くなったあとに生まれた人にも愛され続けている。人を惹きつける魅力は、なんだろう。このコンサートはその謎を解くひとつのきっかけとなりそうだ。
若い頃に武満と出会い、20数年にわたり交友関係のあったリチャード・ストルツマン。ストルツマンの傍にいることで武満の存在を身近に感じているミカ・ストルツマン。武満に録音を聞いてもらえたが、会えなかった鈴木大介。亡くなったあとに演奏する機会が増えた岩佐和弘。物心つくころに武満はいなかったが、深く関心を寄せている北村朋幹。このメンバーが集まることは、少し前には想像できなかった。普段、ストルツマン夫妻はアメリカに。鈴木と岩佐は各地を飛び回り、北村はドイツを拠点にしている。コロナによる非常事態宣言中だからこそ、彼らが一堂に会することが可能になった。あぁ!不条理も道理もごちゃまぜの息苦しさを感じているのは、音楽家も私たち聴衆も同じだった。このコンサートは、重い気持ちから私たちを自由にし、音楽をすること、聴くことの喜びを再認識させてくれた。
トークには武満の愛娘・真樹が登場。ストルツマンをふくめ、和やかな場となる。進行役は鈴木。彼はまたしてもギタリスト以外の才能を発揮した。ときおりチューニングしながらコンサートの進行も務める。アットホームな雰囲気のまま、コンサートは進む。
ストルツマンが友を偲んでいることは、演奏からひしひしと伝わってくる。ピアノの独奏では、また違う感情がよぎったようだ。昨年この世を去った友のピアニスト、ピーター・ゼルキンを思い出しつつ、武満と実際に会ったことのない若い世代のアーティストの演奏に感銘を受けていた。そして皆が聴き入ったのは、幻の曲《二つのレント》。武満のデビュー作でその後、楽譜が行方不明になっていた曲だ。生の感情が渦巻く20歳の武満がそこにいるように感じられた。
鈴木のアレンジによるストルツマンとギターの二重奏による「どですかでん」で、コンサートは最高潮に。鈴木は本気で挑みながら音楽の流れに身を委ねて楽しそう。それをストルツマンは柔らかく受け止め、自由な音楽の翼を得てゆく。そこに武満も微笑んでいるような、暖かな時間が訪れた。
ストルツマンは白いシャツの下に、武満が「鳥は星形の庭に降りる」作曲中に描いたスケッチを柄にした黒いTシャツを着ていた。TORUと一緒、という気持ちなのだろう。彼らの会話も含めて、武満を知る人にも、知らない人にも、必見・必聴のコンサートだ。
◎配信情報
『TORU ~his love & friends~
没後25年になる2021年2月、盟友リチャード・ストルツマンが語る人間 “武満徹”』
出演者:
リチャード・ストルツマン(クラリネット)
ミカ・ストルツマン(マリンバ)
鈴木大介(ギター)
岩佐和弘(フルート)
北村朋幹(ピアノ)
プログラム:
武満徹 :
海へ
『二つのレント』より Ⅰ. アダージョ
レノン=マッカートニー(挾間美帆編):ミッシェル
小さな空
どですかでん
…他
チケット:1,500円
視聴可能期間:2021年2月20日(土) 10:00~2月26日(金) 23:59まで
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