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2018/05/12

「ウォッチfeat.リル・ウージー・ヴァート&カニエ・ウェスト」トラヴィス・スコット(Song Review)

 2017年は、ドレイクの『モア・ライフ』やシザの『Ctrl』、ミゲルの『ウォー・アンド・レジャー』などの大ヒット作に起用され、大活躍したトラヴィス・スコット。2018年に入ってからは、モデルのカイリー・ジェンナーと復縁したとか、プロデュースしたスニーカーが大ヒット……と、歌手活動以外のネタで注目を集めたが、およそ2年振りとなる新作『アストロワールド』を間もなくリリースすると告知し、アルバムからの先行シングル「ウォッチ」も解禁され、アーティスト活動を本格始動させた。

 ゲストには、昨年ミーゴスの「バッド・アンド・ブージー」にフィーチャーされ大ブレイクしたリル・ウージー・ヴァートと、来月通算8作目のスタジオ・アルバムと、キッド・カディの新プロジェクト=キッズ・シー・ゴーストのアルバム『キッズ・シー・ゴースト』をリリースする他、アーティストへの楽曲提供など突如精力的に動きはじめたカニエ・ウェストが参加。制作・プロデュースは3者に加え、ピエール・ボーンがクレジットされている。ピエール・ボーンは、6IX9INEの「ガンモ」をプロデュースした人物で、同曲を「無断譲渡された」と激怒したことが話題になった。ミキサーには、多くのヒップホップ・アーティストを手掛けるマイク・ディーンを迎えた。マイク・ディーンは、カニエの新作にも参加している模様。

 ミーゴスとカーディ・B&ニッキー・ミナージュによる「モータースポーツ」や、ジェイ・Z夫妻とフューチャーがコラボしたDJキャレド の「トップ・オフ」のように、それぞれが交互にラップ・パートを披露する、入れ替わり(?)式の展開。名前の由来でもあるマシンガンのようにハードなリル・ウージー・ヴァートから、どちらかというとボーカル・パートがメインのトラヴィス・スコット、そして独特のリズム刻み、声質、単語の重ね方など“入れ替わった”と即座に分かるカニエの順で繋げていく。アウトロでは、トラヴィスと交際中(というか復縁?)のカイリー・ジェンナーによるフレーズも飛び出す、遊びゴコロも忘れない。

 トラック自体は重すぎず軽すぎず、キャッチーなフレーズとラップを絡めたフック含め、“カニエっぽさ”が全面に出たヒップホップ。ケンドリック・ラマーとコラボした「グースバンプス」(2016年)や、アルバムからの1stシングルル「バタフライ・エフェクト」(2017年)と比べると若干弱い気もするが、カニエとのコラボ、ピエール・ボーンによるビートだからこその味わいはある。これまでのトラヴィス・スコットらしくない感じも新鮮でいい。

 シングル・ヒットが多いとはいえないが、2015年にリリースしたデビュー・アルバム『ロデオ』は米ビルボード・アルバム・チャート(Billboard200)で3位、2016年の2nd『バーズ・イン・ザ・トラップ・シング・マックナイト』が同チャート1位に輝き、ラップ・チャートでは2作連続の首位獲得を果たしている。「ウォッチ」が収録される予定の通算3作目となるスタジオ・アルバム『アストロワールド』も、ヒットすることは間違いなさそうだが、現時点で正式な発売日や参加アーティストなどは明かされていない。トラヴィスは、5月11日からマイアミで開催される【Rolling Loud 2018】ではヘッドライナーを務める。

Text: 本家 一成

◎リリース情報
「ウォッチfeat.リル・ウージー・ヴァート&カニエ・ウェスト」
トラヴィス・スコット
2018/5/4 RELEASE

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