2016/03/01 22:04
ほとんど毎年のように来日しているアル・マッケイ・オールスターズだが、実際にコンサートに足を運ぶのは、僕は今回が初めてのことだった。なぜ行ってみようという気になったかといえば、それはもちろん、この時期のライヴは彼らにとって特別な気持ちが入るだろう、いや特別な気持ちでもって臨んでほしい、そんなコンサートになるはずだという期待があったからだ。
ステージのちょうど中盤あたりで、アル・マッケイはやはり、先に訃報が届いたモーリス・ホワイトについての話をした。いわく、モーリスはアース・ウィンド&ファイヤーにブラック・アポロ(黒人たちの宇宙船)というコンセプトをもたらした、本当に素晴らしい才能だった――。
ギタリストとしてだけでなく、「セプテンバー」などでソングライターとしてもアース・ウィンド&ファイヤーの屋台骨を支えたアルにとって、モーリスははやり特別な存在だったろう。モーリスについてしんみりと話をした後に歌われたバラードの2曲、すなわち「アフター・ザ・ラヴ・ハズ・ゴーン」と「リーズンズ」は、確かにこの夜のひとつのハイライトになったのだ。
ライヴ全般としても、アース・ウィンド&ファイヤーのきら星のような名曲で固められたそれは、十分に満足のいくものだった。メンバーは、シンガー3人、ホーンズ4人、キーボード2人、ベース、ドラムス、パーカッションに、ギターのアル。
序盤こそ、普段から慣れ親しんだアース・ウィンド&ファイヤーのシンガー2人とこの夜の3人との声の質の違いにやや戸惑いを感じたが、耳が慣れてきた頃には、もうOK。ホーンズのキレの良さはアース・ウィンド&ファイヤーの曲を上手く甦らせているし、ギタリストがメインのコンサートなのにギター・ソロのある曲が1曲もない、そんなアース・ウィンド&ファイヤーの楽曲の特徴もあらためて理解することができた。
途中、新曲と紹介されて演奏されたナンバーがあったのだが、それもアース・ウィンド&ファイヤーの作風を踏襲したポップなファンクで、今こういうナンバーが世の中に届けられていったらどんな反響を得られるのだろう?と思わされる。大所帯のファンク・バンドが第一線から消えてしまった現在の米国でぜひもうひと旗上げてほしいと、そう思えるナンバーであり、この夜の演奏だったのだ。
ラストの3曲になると、もう自然と身体が動き出す。本編の最後に歌われた「セプテンバー」と、アンコールの「シング・ア・ソング」、それに「レッツ・グルーヴ」。モーリス・ホワイトの魂は宇宙に旅立ったが、残された楽曲には永遠の生命が宿っている。そんなことも存分に確認できるステージだった。
Photo: Masanori Naruse
Text: 宮子 和眞
◎公演情報
アル・マッケイ・オールスターズ
plays music of アース・ウィンド&ファイアー
ビルボードライブ東京 2016年2月20日(土)・21日(日)・23日(火)
ビルボードライブ大阪 2016年2月26日(金)・27日(土)
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