2014/12/31 15:00
2014年、ホージアのアルバム・デビューは、ポップ・ミュージック・ファンにとって重要なトピックとなった。本名アンドリュー・ホージア=バーン、アイルランド出身のこのシンガー・ソングライターは、そもそも2013年にリリースしたデビュー・シングル「Take Me to Church」の衝撃的な内容が各国諸地域で話題を呼び、セルフ・タイトルのアルバム『Hozier』は母国アイルランドで最高1位、米Billboardでは最高2位を記録するなど、その他各国チャートにおいてもトップ5に食い込むほどの快挙を成し遂げた。
沈んだトーンのピアノとホージアの歌声で幕を開ける「Take Me to Church」は、<ベッドルームで跪く>というゲイのセックスをテーマにしたロマンチックなナンバーであり、同性愛を禁ずるカトリックの教えに対しての背徳感と、率直な恋愛感情との狭間で引き裂かれるような思いに<アーメン>と唱える壮絶な一曲だ。MVではリンチを受ける同性愛者たちの痛ましいドラマに、反同性愛法下のロシアにおけるデモの様子が挿入されている。
全人口の8割以上がカトリック教徒と言われるアイルランドで、ホージアはブルースやゴスペル、ジャズなどを愛聴して育ったという。教義の抑圧的な部分には反抗心も抱いていたそうだが、聖歌隊で活動していたこともあるようだ。すくなくとも、音楽と宗教をめぐる彼の経験とデリケートな感覚は、「Take Me to Church」でも明らかなようにアーティストとしてのホージアに大きな影響を及ぼしていると言えるだろう。
その「Take Me to Church」で幕を開けるアルバム『Hozier』は、アナログなスタジオ・ワークに立ち籠める熱気までが伝わるような作品だ。ホージアの宗教観とルーツ・ミュージックを何度も交差させつつ、「僕らの子供たちにジャッキーとウィルソンという名前を付けて、リズム・アンド・ブルースを聴かせて育てるのさ」と歌う牧歌的なラヴ・ソング「Jackie and Wilson」が届けられたり、まさに古い労働歌を現代ポップ・ミュージックに蘇らせるような手応えの「Work Song」があったりと、濃密な時間が育まれている。アルバムはライヴ・テイクの“Cherry Wine”で締め括られているのだが、生々しいタッチのリフレインが伝うギター・プレイ、そして滋味深い歌声が余韻を残すようだ。
現在、ライヴの機会には20人ものコーラス隊を迎えてパフォーマンスを行うこともあるというホージアは、ルーツ・ミュージックの中から、現代社会の困難に立ち向かうための普遍的なエネルギーを引き出しているアーティストだ。アルバムを聴きながら、来日の機会を心待ちにしたい。
Text:小池宏和
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