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2026/10/27 12:00

<イベントレポート>Billboard JAPANとLuminateが主催する【NOW PLAYING JAPAN】第6弾のテーマは“海外から見た日本市場の評価と、メタデータの活用法”

 Billboard JAPANとLuminateによるビジネスカンファレンス【NOW PLAYING JAPAN Vol. 6】が、2026年10月2日に東京・ビルボードライブ東京にて開催された。

 今回のイベントでは、LuminateのCEOであるロブ・ジョナス氏が初登壇し、海外から見た日本の音楽市場を分析。また、同社の消費動向分析サービス「CONNECT」について、近く予定されているメタデータ情報の統合アップデートにより消費動向とメタデータを同時に把握できるようになることを踏まえ、精度向上と動向分析を両立する具体的な活用方法が提案された。さらに、ゲストとして経済産業省 文化創造産業課 課長の梶直弘氏が登壇し、8月に発表された「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」をもとに、モデレーターを務めたBillboard JAPANの礒﨑誠二とともに、コンテンツの海外売上を最大化するための支援や課題について語った。以下、同イベントの模様をお届けする。


プレゼンテーション1:ロブ・ジョナス(Luminate)

 最初に登壇したのは、LuminateのCEOを務めるロブ・ジョナス氏。同氏はまず、データの正確性と独立性を同社の強みとして挙げ、試験段階の取り組みとして、作品とレコーディングの紐付け機能、日本語で質問できるAIアナリスト機能、AI楽曲の検出を紹介。AI楽曲については「我々の役割はAI楽曲の善し悪しを判断することではなく、正確に計測することだ。それによって、レーベルや音楽出版社、プラットフォーム、チャートが事実に基づいて自ら判断できるようになる」と語った。

 日本市場については、2026年上半期の総オンデマンド・ストリーミングが1,060億回を超え、前年同期比9.5%増とグローバル(8.4%増)や英国(4.1%増)を上回ったと説明。また、国内ストリーミングの75%が有料会員によるもので、日本はアジア太平洋地域のプレミアム・ストリーミングの3分の1近くを占めている。さらに、ストリーミングに課金していない音楽リスナーのうち、ライブ参加者は今後6か月以内に有料会員となる可能性が90%、ゲーマーは67%、K-POPファンは38%高いという傾向があると明かした。

 海外に目を移すと、国内ストリーミングに占める日本人アーティストの比率は75.2%(2024年上半期は72.8%)に上昇しており、同氏はこれをファンの支持の強さの表れとしつつ、最大の成長機会は国外にあると指摘。日本は輸出力ランキングで世界12位に順位を上げ、J-POPはアジア以外でも米国(1億550万回増)、メキシコ(5,330万回増)、ブラジル(1,490万回増)で再生数を伸ばしている。海外のJ-POPファンにとって音楽発見の第1位はストリーミング・サービスだが、メキシコではファンの半数以上がアニメを通じて音楽を発見していると回答したという。

 続く“トランスメディア”のパートでは、米国で2026年に公開されたアニメ作品(Crunchyrollを除く)の上位10作品のうち6作品がNetflix配信であることを紹介。ケーススタディとして『氷の城壁』を取り上げ、Novelbrightによるオープニング・テーマ「透明」の再生数が米国での視聴拡大とともに19週にわたって高い水準を維持したと説明し、今月配信が始まるシーズン2は同バンドにとって“2度目のローンチ”になると述べた。ゲームでは、Fortnite Festivalなどのインタラクティブ・ストリームでYOASOBIが世界8位となり、その40%以上が米国からの再生であることを示した。

 最後に同氏は、国内市場の強さを海外展開の原資とすること、アニメとゲームを海外への発射台とすること、そして一部のアーティストに頼らず、量販店でのフィジカル展開を柱の一つとして米国で成長したK-POPのような仕組みを築くことを提言。「日本には国内の規模と海外のファンの両方がある。その2つをつなぐのが、正確で客観的なデータだ」と締めくくった。


プレゼンテーション2:梶直弘(経済産業省)×礒﨑誠二(Billboard JAPAN)

 対談では、「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」で音楽分野に具体的な海外売上目標が設定された経緯が語られた。戦略は2024年の6兆円弱から2033年に20兆円への拡大を掲げ、音楽は0.1兆円から0.7兆円、マンガは0.3兆円から1兆円を目指す。これまで業界全体で共有可能な統計情報が十分に整備されていなかった音楽の海外展開データを、「音楽産業における海外展開データに関する報告書」(2026年4月)において調査・整理したことで「目標や戦略等が具体化できるようになった」と梶氏。2029年度に実績を中間評価し施策の加速・維持・減速を判断する設計についても、税金を使う以上は軌道修正を前提に臨む自己規律の表れだと説明した。

 IP360では、アニメは認知拡大、ゲームは売上拡大、音楽は熱狂創出と各分野の役割を位置づけ、ジャンルを超えた海外展開を目指す。礒﨑がLuminateのデータをもとに、日本は韓国と異なりカタログ曲の比率が一貫して高く、新譜と過去曲の双方が持続的成長を支える構造にあると紹介すると、梶氏は各社の戦略構築にも生きるデータだと応じた。制度面では、2026年6月成立のレコード演奏・伝達権(著作権法改正、施行は遅くとも2029年6月)に触れ、分配に必要なデータの整備の必要性を説明。省庁横断の取り組みの例として、7省庁連名の「書店活性化プラン」にも言及した。

 終盤、0.7兆円の目標が達成された場合、礒崎は現場では海外に目を向ける会社の存在感が大きくなること、海外志向のアーティスト・ファンが担当者を通さず、海外と直接つながる時代になること、海外実績を持つ人材の価値が高まることの3点の可能性を挙げた。梶氏は、大手やインディーズなどに限られるものではなく、いずれは海外に特化した部署がなくなり、エンタメ業界に携わる全員がグローバルの視点を持つ時代が来る可能性があると締めた。

Text by Haruki Saito, Aoi Harigaya
Photos by Yuma Totsuka