2026/04/14 18:00
MUFGスタジアム(国立競技場)が2026年4月より展開するヴィジョン“KOKURITSU NEXT”(コクリツ・ネクスト)の一環として、日本の音楽の未来を動かしていく新たな“音楽の頂”をコンセプトにした音楽イベント【THE MUSIC STADIUM】。ONE OK ROCKをオーガナイザーに迎え、その記念すべき第一回公演【docomo presents THE MUSIC STADIUM 2026 organized by ONE OK ROCK】が4月4日、5日の2日間にわたって開催された。対バン形式で開催された今回は、初日の【DAY01】にUVERworld、2日目の【DAY02】にはYOASOBIがゲストとして出演。両日出演のONE OK ROCKと熱いバトルを展開し、詰めかけたオーディエンスを文字通り、興奮渦巻く“音楽の頂”へと誘った。本稿では【DAY01】の模様をレポートする。
これを歴史的と呼ばずしてなんと言おうか。ONE OK ROCKとUVERworld、日本が誇るロックバンドの二大巨頭による対バンが実現しただけでもただごとではないのに、その一世一代のガチンコ勝負が国内最大級のキャパシティを有する国立競技場にて繰り広げられようとは。この国のロック史に燦然と輝く金字塔が打ち建てられる瞬間だ。
しかも単なるビッグネーム同士の顔合わせではない。一般的にはあまり広く知られていないかもしれないが、ONE OK ROCKのTaka(Vo.)とUVERworldのTAKUYA∞(Vo.)の親交はかねてより深く、交流の発端はONE OK ROCKがメジャーデビューしたばかり、Takaが10代の頃に遡る。しかし、互いへのリスペクトゆえに馴れ合うことをよしとせず、それぞれの道で自身とバンドを研鑽しながら、いつか来るべきときに途轍もなく大きく高い場所で待ち合わせをしようと約束を交わしたのが16年前なのだという。男同士の誓いがいよいよ果たされる念願の大舞台。両者の胸にたぎる闘志が尋常でないだろうことは容易に想像がついた。なお、ONE OK ROCKもUVERworldも国立競技場に立つのはこの日が初となる。
先陣を切ってステージに登場したのはUVERworldだ。待ちに待った16年分の想いを全放出するかのごとく、のっけから激情を暴発させる1曲「Touch off」を投下し、Crew(UVERworldファンの呼称)はもとより、OORer(ONE OK ROCKファンの呼称)の感情、むき出しとなったその導火線に火をつける。あいにくの雨模様、しかも徐々に雨足は強まりつつあったものの、ひとたび燃え盛った熱狂の炎はもはや鎮まる術を知らない。
「16年前に交わした約束、それが幻想やマボロシで終わっていいはずがない!」とTAKUYA∞の渾身のシャウトで突入した「ナノ・セカンド AX」でステージが完全に覚醒モードに入ったUVERworld。会場の規模に加えて天候など、さまざまな要因が絡み合っていたためだろう、音響はけっして満足と言い切れる状態ではなかったが、そんな状況もものともせず、メンバー全員がフルスロットルで魅せるパフォーマンスは圧巻の一語だ。6万人を瞬時に惹きつけ、国立競技場の大空間をたちまちライブハウス級の濃厚な熱狂で満たす圧倒的なエネルギーには瞠目せずにいられなかった。
彼らの生き様そのものを音楽に昇華した「PRAYING RUN」では、〈全部やって確かめりゃいいだろ〉という最強のパンチラインをCrewとOORerが一緒になって嬉々として叫び、サビの〈La la run...〉では6万人が一丸となったシンガロングを轟かせたかと思えば、「俺たちとあいつら(ONE OK ROCK)の本気が観てぇんだろ?」「最高の生き方でぶちあがろうぜ!」と挑発的に焚きつけるTAKUYA∞のアジテーションに応えて会場を揺らしに揺らした「IMPACT」とオーディエンスのボルテージも曲を追うごとに加速度的に上昇する。
そのままとことんアッパーにぶち上げて、ラストまで駆け抜けることだって彼らには容易だったはずだ。だが6人が最後に畳み掛けたのは「EPIPHANY」「EN」「7日目の決意」というUVERworldの楽曲のなかでも図抜けてメッセージ性の高い3曲だった。本当に追い求めるべきものは何なのか、心から大切にすべきものとは、後悔のない生き方とははたして——彼らがその歌と演奏でオーディエンス一人ひとりに訴えかけているのは“諦めず、どうか自分自身を生きてほしい”という切なる願いに他ならない。UVERworldもONE OK ROCKもけっして平坦ではない道のりを、それでも自分たちを信じ抜き、今日まで歩んできたバンドだ。この国立競技場はそんな2組がたどり着いた、かけがえのない場所であり、そこに集まってくれたそれぞれのファンには必ずや届くと信じての選曲だったに違いない。
「次は俺たちにONE OK ROCKを呼ばせろよ? あいつら、いつも歌ってるじゃん? 〈先攻か後攻で~〉って。俺たちにも一回、チャンスをください。」
ラスト「7日目の決意」を前にしたMCでTAKUYA∞は少々冗談めかしつつも、そう希望を口にした。彼が口ずさんだONE OK ROCKの「Puppets Can't Control You」に場内が喜び、さざめいた光景がとても印象に残っている。「あいつは俺には勝てない。そして俺もあいつには勝てない。そんな勝負を見せていけるように、自分を磨いていきます」ともTAKUYA∞は言った。対等な仲間であり友人であるからこそバチバチに火花を散らせる、そんな関係性こそが、まだまだ山あり谷ありなロックのこれからを切り拓いていくのだろう、おそらく会場にいる全員がそう確信していたはずだ。
大きな余韻を残して終幕したUVERworldのステージ。バトンを受け取ったONE OK ROCKのターンは、もはや絶対王者の風格さえ漂わせていた。悪天候のため、予定されていたドローンショーは中止されたが(【DAY02】では実施)、場内のテンションには微塵の差し障りもない。一段と激しさを増した雨の中、姿を現した4人に押し寄せたのは凄まじいとしか形容しようのない6万人分の大歓声。一気に高まる期待を裏切ることなく、むしろさらに底上げせんとすべく1曲目に披露された「I was King」に怒涛の大合唱が起こる。続けざまに「アンサイズニア」「ONION!」と懐かしい曲が並ぶが、奏でられる音像、Takaのクリアながら線の太いボーカルはONE OK ROCKというバンドの今をありありと示して実に不敵だ。TAKUYA∞効果もあってか、歌い出しから客席がことさらに沸いた「Puppets Can't Control You」と、序盤からまるでクライマックスかのような盛り上がりが延々と紡がれていく。
「こんばんは、ONE OK ROCKです! この2つのバンドが集合するにはこれ以上ない場所だと思っています。大きな場所で必ず落ち合いましょうと誓ってから、とんでもない月日が経ちましたが、こうして国立競技場という場所に立つことができました。もちろんバンドとしても嬉しいですが、何よりも男同士の約束を今日しっかりと果たせたことを誇らしく思います。今日集まってくれたすべての人たち、本当にありがとうございます。ONE OK ROCKのライブで雨が降ることは滅多にないんですが、この雨はきっと僕の感極まる感情を空が代わりに表現してくれていると思っています。」
万感の想いを込めて挨拶したTakaに注いだ満場の拍手。次の瞬間、鳴り渡った端正なイントロにどよめきが広がった。ミディアムスローの名曲「C.h.a.o.s.m.y.t.h.」だ。楽曲に込められているのは進む道はバラバラでも変わることのない大切な仲間への親愛。それが今日、この場所にもリンクして、聴く者の心をもひときわ震わせる。ライブで演奏されるのもかなり久々になるとのこと、それほどに本イベントが彼らにとって特別なものであるという証左だろう。バラードの「Wherever you are」がスタートすると客席いっぱいにスマートフォンのライトが灯され、国立競技場が一面の光の海に。上空は雨雲に覆われていながら、その下では星空よりもまばゆい情景が織りなされている不思議。これだってまごうことなき音楽の力だ。
「ここからは暴れていきます」と宣言、再びアグレッシブモードに舵を切った後半戦、「C.U.R.I.O.S.I.T.Y.」では音源でもフィーチャリングで参加しているロックバンド・PaleduskからKAITO(Vo.)とDAIDAI(G.)、さらにラッパーのCHICO CARLITOが登場。「Mighty Long Fall」では2024年の【SUPER DRY SPECIAL LIVE Organized by ONE OK ROCK】でも共演したジャパニーズヒップホップ界のクイーン・Awichをサプライズで呼び込むなど見せ場も満載で、オーディエンスを驚喜させたが、本イベントの主旨を鑑みるに特筆すべきは「この曲はUVERworldのファンに捧げたいと思います」とTakaが告げて演奏された「The Beginning」だろう。
「TAKUYA∞くんが『あいつは俺に勝てない。俺もあいつに勝てない』って言ってくれて、すごく響きました。僕はあの人と出会って自分に勝てた気がしたんです。みなさんが追いかけてきたUVERworldは絶対に間違いない。でも今は少しだけONE OK ROCKのことを好きになってください。」
そう言って「The Beginning」が鳴らされた途端、OORerからもCrewからも悲鳴のような歓声が上がった。雨音をかき消すハンドクラップの嵐、朗々としたシンガロングがステージからほとばしる剛健なアンサンブル、Takaのしなやかな歌声と混じり合い、UVERworldのときとはまた異なった一体感を描き出していく。赤裸々なエモーションをぶつけ合うことで生まれるシナジーがUVERworldの一体感だとすれば、ONE OK ROCKのそれは調和、あるいは融和。ロックとエンターテインメントをどちらの良さも損なわぬまま自身の内に取り込んで、唯一無二の音楽へと昇華させている彼らのスタンスにも通じるのではないだろうか。
本編ラストは「Stand Out Fit In」だった。「みなさん、一度、お座りください」とオーディエンスを一旦、着席させた直後にTakaは「跳べ!」と掛け声一発。するとアリーナ席もスタンド席も一斉にその場で跳ね、またしても強大な一体感を空間に築かれていく。
アンコール2曲目、TakaがTAKUYA∞を呼び込んで、ついに叶ったステージ上での2ショットは、間違いなくこの日のハイライトだったはず。ライブはもちろんながら、客席だってこの瞬間を待ち焦がれていただろう。ガッチリと熱いハグを交わし、お互いに少しだけ面映そうにしながら、出会った頃を楽しげに振り返るふたり。TakaいわくTAKUYA∞は「全ミュージシャンを合わせてもいちばん尊敬している大好きな先輩」であり、まだメジャーデビューしたばかりのTakaに「おまえらは絶対に売れるから、絶対大丈夫だから」と言い続けてくれた存在なのだそう。それを受けてTAKUYA∞も「みんながまだONE OK ROCKに気づいていないとき、Takaを見つけられていないときからずっと『絶対いける。だから人生を大切にしろ』って言い続けたから」と明かした。自身にとってTAKUYA∞は本気で叱ってくれるほぼ唯一の存在だともTakaは語る。だが、あまりに仲が良すぎたため、対外的には逆に不仲のフリをしようと画策したこともあったらしい。
本稿冒頭にて、一般的にはあまり広く知られていないかもしれないと書いたが、ふたりの親交が認知され出したのは昨年、ONE OK ROCKが開催したスタジアムツアー【DETOX JAPAN TOUR 2025】ではなかったか。同ツアーの日産スタジアム公演中、左足小指を骨折したTakaからのたっての頼みを受け、最終日のヤンマースタジアム長居公演にTAKUYA∞がゲスト出演し、「Wasted Nights」をコラボレーションしたことがそのきっかけだ。だが、そこでの共演はあくまでも不測の事態。約束が果たされる場所はやはりここ、国立競技場しかない。「ヤンマースタジアムで『この曲を歌おう』っていちばん最初に言ってた曲があるやん? なのに3日くらい前に曲が替わって。今日はその最初の曲をやろう」とTAKUYA∞が切り出せば、「あのときは恥ずかしかったんです。世間の大人に中指立てまくっていた頃の曲なので、昔の自分を思い出しちゃいそうで」と照れくさそうに言い訳するTaka。微笑ましい会話にほっこり和みかける客席だったが、披露される曲がONE OK ROCKのメジャーデビューシングル「内秘心書」と判明するや、この日いちばんの歓声が空間をつんざいた。
「今日しか聴けねぇぞ!」
「しっかり心に刻み込め!」
扇情的に煽るTAKUYA∞と向き合って歌を重ねるTakaのなんと誇らしげなことか。TAKUYA∞も同様にTakaの目をまっすぐに見つめては存分に声を解き放った。日本のトップボーカリストふたり、満を持しての夢の共演。相性抜群な歌声のみならず、魂までもやり取りし合うパフォーマンスはスリリングだが、同時に固く結ばれた信頼と絆もはっきり目にみえるかのようで思わず涙腺が緩んでしまう。
再度、力強いハグでTAKUYA∞を見送ったあと、【DAY01】のオーラスは「We are」が飾った。2017年のNHKサッカーテーマソングにも抜擢されたこの曲は、サッカーの会場としても使われている国立競技場にとてもよく似合った。気づけば雨もずいぶん収まったようだ。
「俺の想いが成就したから雨が止んだのかもしれないな。最高の日でした。みなさん、本当にありがとうございました! またどこかで会いましょう。ONE OK ROCKとUVERworldでした。」
リング状の大屋根の向こうに花火が次々と打ち上がる。この日観た一部始終の光景は微かな火薬の匂いを伴っていつまでも脳裏に刻まれていることだろう。彼らが次に待ち合わせるのは、いつ、どこになるのか。そう遠くない未来を期待したい。
Text by 本間夕子
Photos by Masahiro Yamada、森好弘、MASANORI FUJIKAWA
◎セットリスト
<UVERworld>
1. Touch off
2. ナノ・セカンド
3. PHOENIX AX
4. NO MAP
5. PRAYING RUN
6. Eye's Sentry
7. 在るべき形
零HERE~SE~
8. IMPACT
9. EPIPHANY
10. EN
11. 7日目の決意
<ONE OK ROCK>
1. I was King
2. アンサイズニア
3. ONION!
4. Puppets Can't Control You
5. C.h.a.o.s.m.y.t.h
6. Wherever you are
7. Make It Out Alive
8. C.U.R.I.O.S.I.T.Y. (with KAITO, DAIDAI, CHICO CARLITO)
9. The Beginning
10. Mighty Long Fall (with Awich)
11. Stand Out Fit In
12. +Matter
13. 内秘心書 (with TAKUYA∞)
14. We are
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