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2022/10/07

<インタビュー・前篇>スリップノット3年ぶりの新AL完成「これまで探し続けていたものをこれ以上探す必要がなくなった」

 スリップノットが3年ぶりとなるアルバム『ジ・エンド、ソー・ファー』をリリースした。本作は通算7作目のアルバムとなり、スリップノットとプロデューサーのジョー・バレシが共同プロデュースした作品。2022年10月5日公開のBillboard JAPAN総合アルバム・チャート“HOT Albums”では初登場9位を記録した。

 今回リーダーのショーン “クラウン”クラハンのインタビューが到着。クラウンによる『ジ・エンド、ソー・ファー』の解説や、スリップノット解散説について、さらに2023年4月に決定している【KNOTFEST JAPAN】での来日についてなど、前篇・中篇・後篇と3部に分けて紹介する。


■最新作『ジ・エンド、ソー・ファー』の出来栄えに関する現時点での感触。

 俺自身としては、とても素晴らしい作品に仕上がったと感じている。1stアルバム以来これまで23年間にわたり音楽的な探求を続けてきた結果、今作ではもうこれ以上新たな何かを探す必要がないと思えるほどの地点に到達できたと感じている。とても成長することができたし、成熟感のあるアルバムになった。そして成熟した作品だからこそ面白くて他とは一線を画するものになっている。俺にとっては異質なものであると同時にとても愛着深い作品だが、思い入れが強すぎていまだに自分の中で整理しきれていないところもある。このアルバムのために働きまくったから疲れ果てている、というのも正直なところだ(笑)。

 繰り返しになるが、俺自身は今作の完成をもって、これまで探し続けていたものをこれ以上探す必要がなくなったと感じている。もうすべてを見つけたからね。それによって俺たちは、これまで以上に素早く到達点に辿り着くことができるようになった。このバンドは7枚ものアルバム契約を結んでこれまで制作を重ねてきた。そして結成からこれまでの25年間は、素晴らしい芸術作品を最高にクリエイティヴな人々と共に作り上げてきた“思考のプロセス”だった。この区切りの到来に向けて今作を完成させることができたのを誇りに思っている。終わりは始まりに過ぎず、始まりは終わりに過ぎない。混乱したり心配したりする必要はない。これはただの現状であり、さまざまな結果に繋がっていくことだろう。言いたいことをまとめると、成熟した、大胆不敵なアルバムになっているし、俺自身も誇りに思っているということ。みんなもきっとこのアルバムに圧倒されることになるはずだ。

■パンデミックがアルバム制作に及ぼした影響と今作の制作時期について。

 パンデミックについて知ったのは、ヨーロッパから帰国して、ラスベガスで少し休養を取っていた時期だった。その時にコロナに関するニュースを初めて聞いたんだ。それからしばらく家で過ごしていたんだが、(2020年春に予定されていた)日本公演をキャンセルしなければならなくなった。そのあとで今回のアルバム制作に向けて考え始めた。制作に数年かかり、その間にも世界ではいろいろなことが起き、ロックの世界においてもさまざまなことが起きた。そうした意味においては、どんな仕事に就いている人だろうとパンデミックの影響を受けてきたはずだ。

 実際、とてもチャレンジングな時期だったし、このアルバムはパンデミックに取り囲まれながら制作したようなものでもある。なにしろパンデミックがピークの時期に作曲とレコーディングをしていたからね。ただ、俺自身はそうした現実からは距離を置いていた。ニュースを見ず、世界のトラウマに耳を傾けないことにしていたんだ。誤解して欲しくないんだが、俺もまた人類の一員だし、みんなの痛みにも共感する。だけど俺自身を痛みから解放するために、夢の中に没入していた。その成果として『ジ・エンド、ソー・ファー』が出来上がり、今現在に至っているというわけだ。そうした意味においてこのアルバムは俺にとって本当に個人的なものでもあるし、その制作プロセス自体がセラピー的なものでもあった。わかってもらえるはずだが、俺はいまだに深い悲しみの中にいる。このアルバムはそれとは異なった視点、異なった色彩のパレットから生まれたものだといえる。俺はビジネスのことを忘れて芸術的創作に勤しむ時間を心から楽しんだよ。そしてある意味、このアルバムとそうした制作過程すべてがパンデミックという夢に影響されているとも言える。

 話を整理すると、正確な日付などは憶えていないけど、この制作過程が始まったのは日本公演キャンセルを決めた当時だったと思う。俺の別宅には小さなスタジオがあって、基本的にデモ制作などは全部そこでやっていた。メンバーたちもそこに来ては帰っていき、制作プロセスが進んでは止まる、という感じだった。とても長い過程だったし、それ自体がとても変わったものではあった。お察しのとおり、俺たちは集まりのいいバンドではないし、変更なども多い(笑)。大勢が集まる時にはコミュニケーションやクリエイティヴな作業が大変な場合もある。なにしろ山ほどのアイディアや各自の夢がそこに注ぎ込まれることになるわけだからね。

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