Billboard JAPAN


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2022/04/22

<コーチェラ2022現地レポ>ドージャ・キャット、超一級エンタメ・ショーでその類い稀な才能をアピール

 世界的野外音楽フェスティバル【コーチェラ・バレー・ミュージック&アート・フェスティバル】が、新型コロナウイルスの影響による2年連続の中止を経て、米カリフォルニア州インディオにて開催された。

 ヘッドライナーにハリー・スタイルズ、ビリー・アイリッシュ、そして直前で決定したザ・ウィークエンドとスウェディッシュ・ハウス・マフィアを迎えた今年のフェスティバルは、これまで以上に国際的かつ多様性を重視したアーティスト・ラインナップとなった。ここでは、2022年4月15日~17日にかけて実施されたウィークエンド1のBillboard JAPAN特派員によるレポートをお届けする。

 2週間前に開催された【第64回グラミー賞】で、3rdアルバム『プラネット・ハー』からシザと共演した「キス・ミー・モア」が名だたるライバルを抑え<最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞>を受賞し、今勢いに乗っているドージャ・キャット。今年7月からスタートするザ・ウィークエンドの【アフター・アワーズ・ティル・ドーン・ツアー】後に音楽を辞めると先月に発言していたこともあり、観られる時に観るべくメイン・ステージに向かった。ステージ右手には数メートルもありそうな巨大な人形のようなものが見え、どんな仕掛けがあるのか楽しみにしながらスタートを待った。

 開始予定時刻になってもステージのセッティングが完了せず、10分押しでやっと照明が暗転。ダンサー達がステージ中央に集まり、その中からドージャ・キャットが登場した。アフロ・ビートに合わせて体が自然とリズムを取ってしまう「ウーマン」でライブはスタート。歌い出しのサビはトラックにボーカルを乗せているのがわかったが、ラップの部分にさしかかると、その流れるようなフロウとボーカル・スキルに驚かされた。

 2曲目も最新アルバム『プラネット・ハー』からの楽曲で、男女のダンサーと踊りながらも音を外すことなく「ゲット・イントゥ・イット(ヤー)」を披露した。続く「トーク・ダーティ」のサビでは、彼女がいる部分のステージが高くなったが、高所でも度胸ある激しいダンスを観客に見せつけた。「ジューシー」でサプライズ・ゲストとして登場したラッパーのタイガは、オーディエンスを大いに盛り上げるという素晴らしい役割を果たした。

 間奏後、白黒のシマウマ柄の衣装に着替えたドージャとダンサーは「アップ・アンド・ダウン」をパフォーマンスしたが、その後も毎回早着替えが行われ、最終的には5パターンの衣装で観客を楽しませた。ステージ右手には女性を形取った模型があったが、その右側は螺旋状の階段になっており、階段の吹き抜け部分を上がったドージャは「シャイン」をしっとりと歌い上げ、「コーチェラ!諦めないで、辞めないで、自分を信じて!愛している!」とメッセージを送った。

 そしてスパンコールが施された黒い衣装で登場した彼女は、「ストリーツ」でセクシーなダンスを披露した。ヘッドライナーとして待機しているであろうザ・ウィークエンドが、コラボ曲「ユー・ライト」で顔を出すかと思ったが、残念ながら二人の共演は今回は実現しなかった。

 黄色いミニ・スカートに履き替え、ピンクのブーツ姿で登場したドージャは、早くもセット中盤で「セイ・ソー」を演奏した。大胆なロック・アレンジが施されており、ギタリストのソロがアクセントになっていた。先月まで行っていた南米でのフェスティバルで同曲は最後に演奏していたので、今回のためにセットリストも刷新し、ステージ・プロダクションも新たに用意したことがうかがえる。「ティア・タメラ」では、リコ・ナスティーが会場を盛り上げ、その後も【グラミー賞】受賞曲の「キス・ミー・モア」、「ライク・ザット」とヒット曲を立て続けに投下した。

 ドージャは、「本当に今私がここにいるのが信じられないです。最後にここ(【コーチェラ】)に来たのは、リコの時(2019年)で、あれはファッキン素晴らしかった。みなさんにフル・セットのステージを届けられて、私はただ幸せです。そして、私たちはやりましたね。ここまでたどり着きました。辛いこともありました。リリース前の新曲を演奏しようかな。冗談です、気にしないで」と話すと、「ニード・トゥ・ノウ」をパフォーマンスした。「本当に長い期間大変でした。3週間もリハーサルしたんですよ」と今回のステージにかける想いを説明すると、「これがさっき話していた曲です」と新曲の一部を披露し、60分間に及ぶパフォーマンスは幕を閉じた。

 大規模なプロダクション、ギタリスト、ドラマー、2名のキーボード・プレイヤーで構成されたバンドと大人数のダンサーを引き連れた今回のステージ。ドージャは曲によって衣装を頻繁に変えつつも、パフォーマンスの根幹となるキャッチーなボーカルと滑らかなラップの融合を余すことなく披露し、超一級のエンターテインメント・ショーをオーディエンスに届けた。

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