2021/12/11 12:00
2021年のBillboard JAPAN年間チャートが先ごろ発表された。総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で栄えある年間1位を獲得したのは、優里の「ドライフラワー」だ(【表1】)。この結果はおそらく誰もが納得だろう。テレビやラジオ、街中でこの曲を耳にしない日はないというくらいの状況が1年間続いたのだから、まさにモンスター・ヒットといえる。
「ドライフラワー」は優里のメジャー2作目のシングルとして、2020年の10月25日に配信リリースされている。ただそのタイミングでの11月4日公開の“JAPAN HOT 100”は93位と、それほどの結果は出せていない。11月1日にはYouTubeでミュージック・ビデオの配信がスタート。これを受けて11月11日公開の“JAPAN HOT 100”では39位にまで急浮上する。そしてストリーミングや動画再生数の上昇に伴い、11月18日公開の“JAPAN HOT 100”で16位にまで上り、さらに翌11月25日公開の“JAPAN HOT 100”では8位と、トップ10にランクインするのである。
しかしこの曲のすごさはここからだ。トップ10に入った2020年11月から、最新の12月8日公開分まで、“JAPAN HOT 100”では常にトップ10内をキープ。1年中ランクダウンすることなくヒットし続けたのだ。そこには圧倒的なストリーミングの強さがあるのはご覧のとおりだ。また、引きの強いメロディラインや、誰もが共感できる心情を描いた歌詞など楽曲の良さはもちろんだが、その世界観を映像化したミュージック・ビデオも無視できない。昨年度のYOASOBIもそうだが、いかに見てもらえるMVを作り、何度も再生させるかというのは、ロングヒットにおける一般的なセオリーとなりつつある。このストリーミングと動画再生数の相乗効果は大きい。
加えて、チャート上のデータではわからないが、TikTokでバズってストリーミングやMV再生に流れるというパターンも「ドライフラワー」には当てはまる。ヒットを仕掛ける手法のひとつとして、TikTokでいかにバズるかは大きなポイントだ。ただそこは狙って狙えるものでもなく、最新曲だけでなく数年前の楽曲がTikTokで大きくフィーチャーされることもしばしばある。ワンフレーズのインパクト勝負ということを考えると、一昔前のCMタイアップからヒットした楽曲にも通じるかもしれない。いずれにせよ、いかにキャッチーで共感できる歌詞を作るかは、TikTokからストリーミングや動画再生につなげてロングヒットを狙う際の鉄則なのだ。
ストリーミングと動画再生数が伸びれば、自然とカラオケの歌唱回数も増えてそのポイントも大きく加算される。そうなるとさらにロングヒットとなるのがこのタイプの楽曲の特性だ。「ドライフラワー」はフィジカルのCDリリースはないが、そのことを補うだけの強みがたくさんあるのだ。今後も「ドライフラワー」のようなロングヒットは、当然のように生まれてくることだろう。2022年はどのようなヒットが生まれるのか楽しみである。
Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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