2026/07/20 12:00
5月14日からスタートしたSuchmosの全国ツアー【Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026】が、7月2日に東京・Zepp Hanedaにて閉幕した。
国内9都市18公演を、IO(神奈川)やGLIM SPANKY(愛知)、くるり(大阪)、長岡亮介(福岡)、cero(北海道)、ハナレグミ(宮城)、GRAPEVINE(広島)、The Birthday(新潟)、Fujii Kaze(東京)と錚々たるゲストアーティストを迎えて実施したこのツアー。当初は2020年に開催する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により中止となり、昨年バンドが活動再開したことを受け、6年の歳月を経てついに実現することとなった。本稿ではFujii Kazeをゲストアクトに迎えた、ツアーセミファイナルの7月1日公演について記す。
強烈な個性を放つ2組の競演とあって、激しいチケット争奪戦が展開されたツアー締めくくりの2公演。フロアは両アーティストを愛する音楽ファンで埋め尽くされ、開演前から強い熱気が漂っていた。そして、定刻と同時に会場が暗転すると、バンドメンバーの演奏に導かれてKazeがステージに登場。彼がステージ中央のピアノに寄り添って「何なんw」を歌い始めると会場から割れんばかりの歓声が沸き起こる。サビの〈それは 何なん〉では早くも大合唱が発生し、オープニングから会場の一体感は最高潮に到達。そんなフロアの熱気を受けて、Kazeは立ったまま派手にピアノを演奏する一幕も。
以降も間髪入れずに、「もうええわ」「死ぬのがいいわ」と代表曲の数々を連発。「まつり」ではマイクスタンドを用いて歌唱し、バンドが奏でる極上のグルーヴに乗せて、時に伸びやか、時にはセクシーな歌声を客席に届けていく。4曲をほぼノンストップで歌い終えると、KazeはZeppでのステージが初めてであることを明かす。そして「Suchmosと私は何かと共通点がありまして。共通の知り合いがおったり、お世話になっている人がおったり。なによりの共通点はあれじゃろうか、お互いにおんなじCMソングをしていること」と、ともにHonda『VEZEL』のCMソングを担当したことに触れると、客席から温かな拍手が送られる。
そんなピースフルなオーディエンスを前に、「Fujii Kazeさんの『VEZEL』のCMソングを聴いていただこうかなと。『STAY TUNE』!」とタイトルコールし、そのまま「きらり」へと突入するという洒落の効いたサプライズも用意。この演出に客席はさらに大きな盛り上がりを見せ、曲中のシンガロングで大きなノリを作り上げていく。以降も豪快なギターリフをフィーチャーした「damn」、ストレートなロックサウンドが心地よい「旅路」、ソウルフルで熱のこもった歌声で会場を包み込む「You」と、緩急に富んだ選曲で場の空気を掌握。さらに、ピアノの前に座り美しい音色を奏でながら「もうすぐお別れです」と語ると、「Okay, Goodbye」を通じて自身の出番がエンディングに近づいていることを伝え、最後は「皆さん今日、よう歌ってくれるね。もう1曲歌ってもらいたいかも」と告げて、激しいピアノ演奏を交えながら「Prema」を披露して約50分のステージを終えた。演奏が終わったあとも、Kazeはオーディエンスとコミュニケーションを図るなど、ステージから去るのが名残惜しそうな姿を見せていた。
約20分のインターバルを挟んで、続いてはSuchmosのライブの時間だ。神秘的なSEに導かれながら、メンバーが1人、また1人とステージに姿を現すと、フロアはKazeのステージから引き継がれた熱気で彼らを歓迎する。最後にTシャツ&デニム姿のYONCE(Vo)が両手を上げながらステージに登場し、客席に向けて深々とお辞儀すると、オーディエンスはさらに大きな歓声でバンドを祝福。「Suchmosです、こんばんは。ご自由にどうぞ」を合図に「Pacific」にてライブが開始すると、OK(Dr)&Ren Yamamoto(Ba)が生み出す緩やかなリズムに、TAIHEI(Key)が奏でるメロウなエレピが重なり、YONCEのアクションに合わせて観客がフィンガークラップを響かせる。チルな幕開けに意外性を感じさせるも、音数の少なさで没入感を生み出す演出はさすがの一言。フロアのオーディエンスが食い入るようにバンドのアンサンブルに耳を傾ける中、クライマックスではTAIKING(Gt)がエモーショナルなギターソロを響かせ、会場の熱量は徐々に高まっていった。
YONCEの「カモン、DJ!」を合図にKaiki Ohara(DJ)がスクラッチを繰り出すと、「YMM」にてビート感が上昇。曲中、Renがグルーヴィーなベースプレイを披露したかと思えば、TAIKINGは豪快なギターソロ、さらにはTAIHEIが流麗なキーボードソロを繰り出すなど、この日のライブをステージ上の6人が一番楽しんでいることが伝わる。そのまま「Alright」へとシームレスに繋ぎ、YONCEの歌声はより一層熱を帯びていくことに。間奏ではアバンギャルドなインタープレイの応酬もあり、3曲目にして早くもクライマックスのような盛り上がりを見せた。
「羽田、ご機嫌ですか。じゃあ、引き続きご機嫌でよろしく」という短いメッセージを経て、Suchmosはパワフルなロックンロール「DUMBO」、複雑なリズムが絡み合う「Eye to Eye」、メロウなギターフレーズがスウィートな空気を作り出す「Marry」と、バラエティ豊かな選曲でオーディエンスを夢中にさせていく。そんな中、MCではFujii Kazeを含む本ツアーで競演した全9組のゲストアクトへ感謝の言葉を送る一幕もあった。
「ここから激しい表現が続きます」を合図に、疾走感の強いハードロックチューン「A.G.I.T.」でライブも終盤戦へ突入。オレンジの照明や激しく飛び交うレーザーを背に、バンドはエネルギッシュな演奏で熱量を高めていく。そして、YONCEの「では聴いてください、『きらり』」から「STAY TUNE」が始まるという、Kazeへ“お返し”する場面も。このツアーで得た経験に裏打ちされたタイトなグルーヴに、会場は極上のダンスフロアと化す。そして、「GAGA」ではYONCEの高速クラップに合わせて、観客もありったけの力を込めてクラップを連打。そのパワーを受け取ったバンドのプレイも、曲が進むにつれて徐々にダイナミックさが増していき、ロックバンドとしての矜持が伝わる豪快な歌と演奏を楽しめる「VOLT-AGE」にて、Suchmosは自身のステージを一旦終えた。
アンコールではステージにKazeを呼び込み、「MINT」のコラボも実現。YONCEとKazeが交互に歌うという、この夢のような共演にオーディエンスも大興奮の様子で、盛大な声でシンガロングを重ねる。この日が初めてとは思えないくらい、2人の声の相性も抜群で、エンディングでは思い思いにスキャットやフェイクを重ね、曲を最高潮へと導いていった。
「Kazemos(カゼモス)でお届けしました!」と2組の共演が終わると、YONCEは改めて今回のツアーを振り返り、「今日という日を選んでくれて、ありがとうございます。各会場で言ってますが、ライブハウスを埋めるのはなかなか簡単なことではないです」と思いを告げる。そして、「たった100人来てもらうのもなかなか大変なので、ぜひバンドをやってみてください」と呼びかけてから、「お別れにもう1曲やって帰りたいと思います」と「Life Easy」をプレゼント。このメロディアスなスローナンバーで会場中を最高の幸福感で包み込むと、クライマックスでは〈思い出してね、楽しい夜のことを〉などのアドリブも飛び出すなど、その場にいるすべての者の心が温かくなったところで、この日のライブはフィナーレを迎えた。
Text by 西廣智一
Photos by 川上智之、上山陽介
◎セットリスト
【The Blow Your Mind TOUR 2026】
※7月1日(水)公演
Fujii Kaze
1. 何なんw
2. もうええわ
3. 死ぬのがいいわ
4. まつり
5. きらり
6. damn
7. 旅路
8. You
9. Okay, Goodbye
10. Prema
Suchmos
1. Pacific
2. YMM
3. Alright
4. DUMBO
5. Eye to Eye
6. Marry
7. A.G.I.T.
8. STAY TUNE
9. GAGA
10. VOLT-AGE
<アンコール>
1. MINT feat Fujii Kaze
2. Life Easy
◎ツアー情報
【Suchmos BAY SIDE TOUR 2027】
3月13日(土)、14日(日)宮城・ゼビオアリーナ仙台
4月16日(金)、17日(土)福岡・マリンメッセ福岡B館
4月24日(土)、25日(日)神奈川・Kアリーナ横浜
5月1日(土)、2日(日)兵庫・GLION ARENA KOBE
※お一人様4枚まで購入可能。
※小学生以上有料/未就学児童無料(保護者同伴の場合に限る)、大人1名につき子供1名まで膝上可。但し座席が必要な場合はチケット必要。
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