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ロード Billboard.comインタビュー

ロード
インタビュー

 ニュージーランドはオークランドで育ったエラ・イェリッチ=オコナーことロード(Lorde)は、現在16歳。詩人の母親の影響で、幼いころからT.S.エリオット、アレン・ギンズバーグ、レイモンド・カーヴァー、シルヴィア・プラスの作品に親しみ、ニール・ヤング、フリートウッド・マック、オーティス・レディング、そしてジェイムス・ブレイクやブリアルなど幅広いジャンルの音楽を吸収。Soundcloudにてフリーで公開されたデビュー作『The Love Club』EPが、本国ニュージーランドで1位を記録、収録曲「Royals」が話題に。他のアーティストとは大きく異なる存在として、様々なレーベルによる争奪戦を経て、アメリカ、イギリスなど各国で契約を結ぶ。
 彼女をの名を世界に知らしめたシングル「Royals」が遂に今週付の米ビルボード・シングル・チャートで4週連続1位を記録、レディー・ガガ、ブリトニー・スピアーズ、ケイティ・ペリーなどの著名女性アーティストが新作をリリースする中、2013年で一番長く1位を獲得した女性アーティストとなった。ロードとは一体どんな人物なのだろうか。16歳ながらアーティスト、そしてソングライターとしての揺るぎない独自性を持つ彼女の魅力をBillboard.comに掲載されたインタビューで紐解く。

ティーンエイジャーであることに付随した
社交面での問題や葛藤…そのすべてを捉えたものよ

「Tennis Court」
▲ 「The Love Club」 (Live on KCRW)

??最近忙しいと思うけれど、時間がある時はどのように過ごしてる?

ロード:今日はスタジオにいるのよ、来週もずっといるつもり。私にとってリラックスする方法で、自分の周囲で何が起こっているか理解する手段でもある。スタジオで時間を過ごすのは大好き。でも他にフリータイムがあれば、友達と会ったり、ディナーを作ったり、だらりとしてる。

??「Royals」の成功や各国へ飛び回るライフスタイルは、今書いている曲にどうような影響を与えている?

ロード:プロセスへの影響は特にないけれど、自分の人生で起こっていることについて書くようになった。アルバムにも少しその影響が表れていると思うわ。そのことについて書かなければ、部屋にいる単なる象と一緒。クレイジーよね。大物ポップスターの一人でもいいから、クレイジーな自身の人生についてのアルバムを作ったら最高だと思うわ、“リアルになろうぜ”みたいな作品ばかりじゃなくて。

??シングル「Team」には、「I'm kind of over being told to throw my hands up in the air… so there.」という詞があるけれど、これは大体のモダン・ポップ・ミュージックに対するロードの見解?

ロード:その通りよ。あの曲には“リアル”なポップスターとしての自分についての詞がいくつかある。「We live in cities you'll never see onscreen(普段映像では見ないような都市に住んでる)」っていうのは、ニュージーランドになんて誰も来ないし、みんな何も知らない。そんな中で私は成長し、一人前になろうとしてる。でもその部分は映画やTVの世界で観るニューヨークに行くことだったりで、対立してしまっている。自分や友達のために曲を書くことに戻りたい、もっと自分達と繋がりがあることについて書きたいと、心の中では思ったこともある。

「Team (Audio)」
▲ 「Team」(Audio)

??16歳のあなたがこのような曲を書いているなんて信じられない人々もいるようですが。

ロード:私には年上の友人がたくさんいるけど、あまり普通の同世代と変わらないと思うわ…。自分の年齢より年上になったことはないから、振り返って「オーマイガッド、私って本来の歳より大人!」って思うことは難しいけど、私は私。でも本はたくさん読むわ…もしかしたらそれかもね。

??どんな本を読むんですか?

ロード:カート・ヴォネガット、レイモンド・カーヴァー、ウェルズ・タワーなんかの短編小説をよく読むわ。今はクレア・ヴァイ・ワトキンズの『バトルボーン』を読んでる。とてもビューティフルな作品よ。

??本格的に曲を書きはじめる前に、ロード自身も短編を書いていたそうですが、どのようなものを題材としていたのですか?

ロード:書いていたのは、11歳か12歳の時だから、多分サイアクだったと思う。自叙伝的なものを多く書いていたけど、カーヴァーを読み始めて、アメリカのどの都市にでもいそうなカップルについての物語の虜になってから、フィクション作品を書くようになった。彼らが本物ではなくて、実在しないような雰囲気がするの―誰にでもあてはまる設定というのがクールだと思った。その技法でしばらく書いたわ。

??デビュー・アルバムとなる『Pure Heroin』はどのような経験について書いたのですか?

ロード:ほとんどの曲は特定の体験についてではなくて、もっと一般的なことについて―私ぐらいの年齢で郊外に住む気持ち、何もやることがない“無”の感じ。ティーンエイジャーであることに付随した社交面での問題や葛藤。そのすべてを捉えたものよ。

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写真も1枚ぐらいしか出回ってないと思う

「Tennis Court」
▲ 「Tennis Court」

??ロード自身は、友人や他のティーンエイジャーとの関係性をどのように表現しますか?

ロード:別にのけ者にされてるわけではないわ。私にも友達がいる。社交面の様々な状況を観察している方が多いというのは感じる―聴き手になって、どのような言葉が使われているか、とか状況判断をするのが好き。パーティーに行って考えないでいるのは、私にとっては無理。「私は、今パーティーにいる。そしてこれをしてる。これにはどんな意味があるんだろう。」って、いつも分析してるの。それが友人たちをイラッとさせることもある―「リラックスして楽しみなよ!」って言われて、「あぁ、ゴメン。分かったわ…。」って感じで。

??12歳の時にアーティストとして育成契約をしたそうですが、ロードの両親は音楽を作り続け、ミュージシャンとしてキャリアを切り開くことを推進しましたか?

ロード:ノー。もし両親の思い通りになっていたら、音楽ではなく学問の道を進んでたと思う。でも変な意味じゃなくて、2人ともとても協力的だけど、やっぱり親として音楽の道に進むのはあまり好まないわよね。特に現状だと、学校に行くことも難しくなっているから。私がやっていることを素晴らしいと思ってくれているけど、ステージ・ママ、パパって感じではないわね。父は土木技師で、母は主婦なの。彼らがあまり音楽に携わっていないというのは良かったと思う。それは音楽が、私だけのパーソナルなものになるということだから。私が音楽にハマり出した頃…幼いと両親が聴いているものとかラジオをあまり偏見を持たず聴くでしょ。音楽に本気でのめり込みだした時には、どんなジャンルでも、手に入るものだったら何でも聴いたわ。少しでも理解を深めたいと思ってね。だから自分で音楽を作ることは必然的だったの。

「Royals」
▲ 「Royals」

??では最近の音楽で好きなものはありますか?

ロード:私はジェイムス・ブレイクの大ファンなの。ずっと昔から。それにブリアルもすごく好き―彼らのすべての音楽を聴きなおしたわ。ニッキー・ミナージュの『ローマン・リローデッド』も買って、最近はまってる。彼女は理解不能なぐらいサイコーよ。この前彼女がセックスについて話してるビデオを観たんだ。化粧をしながら話してるものなんだけど、彼女はフェミニストで、「ニッキー、あなたってヤバイぐらいにサイコー」って思ったぐらい。彼女のことは大好きよ。

??音楽以外の趣味はありますか?

ロード:海岸に囲まれている所に住んでるから、釣りをしたり、ダイビングや泳いだりするのは大好き。歩いたりもするし、自転車にも乗るわ。ビーチでハングアウトして、ダラダラしたり。

??アメリカでの「Royals」に対する凄まじい反響についてはどのように感じていますか?

ロード:変な感じよね。書いた時はこんなに大事になるとは、まったく思っていなかったから。好きなことを書いて、自分がクールだと思った。それだけよ。特に詞については、いつも風変わりなのよね―かなり独特でパーソナルなんだけど、曲をベッドルームでカヴァーした映像なんかがYouTubeにアップロードされてる。でもとってもクールなことよ。

??いつ、どこで「Royals」を書いたか憶えている?

ロード:うん。スタジオに入る前に、家で書いたわ。詞は30分ぐらいで書いたもの。それをスタジオに持っていって、プロデューサーのジョエル・リトルに見せたら「これはクールだね。」って言ってくれて、その曲とEPに収録されている曲を1週間ぐらいかけて、毎日少しづつ仕上げていった。

「The Love Club EP」
▲ 「The Love Club EP」

??昨年11月には、ほぼプロモーションもせずに、そのEP『The Love Club』を無料配信しましたね。EPが話題になり始めたにも関わらず、インタビューやプロモ活動を出来なかったのは厳しかったですか?

ロード:全然。もしこれが理想の世界だとしたら、インタビューなんてしないし、写真も1枚ぐらいしか出回ってないと思う。存在がミステリアスな方が断然面白いし、人は全てを与えられるより興味深いと惹かれるものに反応する―ポップ・ミュージックの関しては特にそう、みんながすべてについてすべてを熟知しているジャンルだから。

??ライブはについてはいかがですか?8月に初のアメリカ公演を行って、その後ツアーの日程が決まってますよね。

ロード:パフォーマーとしての自分を見つけるには少し時間がかかると思うの。子供の頃から演劇に出たり、人前で話すのも得意だけど、海外でパフォーマンスはしたことがない。それってまったく新しいことだと思うの。だからゆっくり学ばなきゃいけない。

??実名のエラよりロードという名前で呼ばれるのは変な感じ?

ロード:そうね。ちょっとだけ。でもみんなにはエラって呼んでって言ってる。私、全然ディーヴァなんかではないから。

2013年9月10日 Billboard.com掲載

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