Billboard JAPAN


Special

冨田 勲 特集(2016年5月9日 追悼再掲)

冨田勲特集

 世界的なシンセサイザー奏者で作曲家の冨田勲が5月5日に84歳でこの世を去った。学生時代から作曲をはじめ、「ジャングル大帝」等の劇伴音楽で成功。さらにその後、シンセサイザーを使った音楽で世界的な先駆者となった冨田。シンセサイザー音楽作品としてのデビュー・アルバム『月の光』は日本人として初めてグラミー賞にノミネートされた作品となった。その後も意欲的な作品を生み出し続け、近年では初音ミクとのコラボレーションも大きな話題となった。Billboard JAPANでは2012年の冨田の特集記事を再掲。その活動を振り返り、日本、そして世界の電子音楽の世界に多大な影響と功績をもたらした彼の冥福を改めて祈りたい。

*******

 世界のTOMITAとして新しい音づくりにチャレンジし続ける冨田勲。
 先日オペラシティコンサートホールにて発表された新作「イーハトーブ交響曲」では、 オーケストラの指揮にあわせて初音ミクが歌い、踊るという世界初の試みに挑戦した。
 クラシック音楽を電子楽器でリメイクし続けてきた冨田の集大成とも言うべき、アナログとデジタルの垣根が外れた瞬間に観客は魅了された。本特集では、冨田の過去の作品とともに音楽活動を振り返る。

NHK音楽をはじめとした数多くの作品を世に送り出す

冨田勲『交響詩ジャングル大帝~白いライオンの物語~≪2009年改訂版≫』
詳細・購入はこちらから

交響詩ジャングル大帝~白いライオンの物語~≪2009年改訂版≫

冨田勲『TOMITA on NHK ~冨田 勲 NHKテーマ音楽集』
詳細・購入はこちらから

TOMITA on NHK ~冨田 勲 NHKテーマ音楽集

 慶応義塾大学文学部という作曲家としては異例のプロフィールをもつ冨田は、在学中よりNHKの音楽番組の仕事をはじめる。1963年に手がけた「花の生涯」をはじめとしNHK大河シリーズでは「天と地と」「新平家物語」「勝海舟」「徳川家康」の5作品を担当。オーケストラを用いて、日本の風景や歴史、浪漫を表現した楽曲を世に送りだす。また、「ニュース解説」や「新日本紀行」、そして日本人なら誰しも耳にしたことのある「きょうの料理」など、短いながらも記憶に残るメロディによって、日本人の生活に馴染みのある曲を数多く生み出した。また、アニメ音楽においては手塚治虫「ジャングル大帝」「リボンの騎士」を作曲。今までのアニメ音楽とは一線を画した完成度の高い音楽づくりで、1966年には交響詩版「ジャングル大帝」が文部省芸術祭奨励賞を受賞した。

シンセサイザー音楽

冨田勲『月の光 ULTIMATE EDITION』
詳細・購入はこちらから

月の光 ULTIMATE EDITION

冨田勲『惑星 ULTIMATE EDITION』
詳細・購入はこちらから

惑星 ULTIMATE EDITION

冨田勲『ムソルグスキー:展覧会の絵』
詳細・購入はこちらから

ムソルグスキー:展覧会の絵

 音そのものに興味を持ったことがきっかけで作曲を始めた冨田は、既存の楽器を使って表現しないといけない従来の作曲活動に葛藤を覚え、自分のイメージ通りの音づくりを探し始める。そこで出会ったのが、世界初シンセサイザー演奏のみのアルバム「スイッチト・オン・バッハ」。これであれば自由自在に音を作れるのではと考え、日本人で初めてモーグⅢを個人輸入する。その結果「月の光」が生み出され、アメリカのRCAレコードから発売される。今までの電子音楽のイメージを覆し、シンセサイザー音楽のもつ無限の可能性を世界に知らしめた本作は、ビルボードクラシックチャートで日本人初の1位、グラミー賞4部門にノミネートという快挙を成し遂げる。その後リリースされた「展覧会の絵」「惑星」も、軒並みビルボードクラシックチャート1位を獲得し、「世界のTOMITA」の名を確立させる。

NEXT PAGE
  1. < Prev
  2. 冨田勲×初音ミク
  3. Next >
映像音楽

冨田勲『たそがれ清兵衛 サウンドトラック』
▲詳細・購入はこちらから

 90年代には、映像音楽の活動を再開し、映画「学校」、東映50周年記念作品「千年の恋 ひかる源氏物語」、山田洋次監督シリーズ「隠し剣 鬼の爪」「武士の一分」「母べえ」「おとうと」などを手がける。実験的な音づくりや、シンセサイザー作曲家というイメージが強い冨田だが、日本人の琴線に触れる美しいハーモニーと、壮大なスケールを彷彿とさせるオーケストレーションで、日本アカデミー賞音楽賞を総なめにした。

冨田勲×初音ミク

 そして今年80歳を迎えた冨田が新たなパートナーとして選んだのは「初音ミク」。初音ミクとオーケストラという、音楽界において真逆の立ち位置にいる両者が大友直人の指揮によって命を吹き込まれ、あたかも初音ミクはソリストではないかと聴きちがえるごとく生き生きと交響詩イーハトーブを歌いあげた。本公演の情報は、下記番組でも放送を予定されている。
『イーハトーヴ交響曲』詳細・購入はこちらから

・2012年12月8日(土) NHK総合 0:55~1:39(金曜深夜)
 「MAGネット」
・2012年12月15日(土) テレビ東京系列6局ネット 16:00~
 「Billboard JAPAN Music Awards 2012」
・2012年12月24日(月・祝) 東京MX 時間未定
 「初音ミクのかたち」
・2013年1月10日(木) スペースシャワーTV 19:00~20:00(再放送あり)
 「音楽ヒミツ情報機関MI6」
・2013年2月3日(日) NHK Eテレ 22:00~予定
 「ETV特集 冨田勲80歳の挑戦(仮)」

(クラシック) 大友直人 日本フィルハーモニー交響楽団 初音ミク 篠田元一 慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団 慶應義塾ワグネル・ソサィエティーOB合唱団 ことぶき光「冨田勲:イーハトーヴ交響曲」

冨田勲:イーハトーヴ交響曲

2013/01/23 RELEASE
COGQ-62 ¥ 3,080(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.岩手山の大鷲<種山ヶ原の牧歌>
  2. 02.剣舞/星めぐりの歌
  3. 03.注文の多い料理店
  4. 04.風の又三郎
  5. 05.銀河鉄道の夜
  6. 06.雨にもまけず
  7. 07.岩手山の大鷲<種山ヶ原の牧歌>
  8. 08.リボンの騎士 (Encore)
  9. 09.青い地球は誰のもの (Encore)

関連商品

オーケストラ抒情歌
(童謡/唱歌) 日本フィルハーモニー交響楽団 レディス・オーケストラ・ジャパン「オーケストラ抒情歌」

2019/12/25

[CD]

¥3,300(税込)

映画音楽
日本フィルハーモニー交響楽団「映画音楽」

2019/12/25

[CD]

¥3,300(税込)

映画音楽
日本フィルハーモニー交響楽団「映画音楽」

2016/12/07

[CD]

¥3,300(税込)

ホルスト:組曲「惑星」
冨田勲「ホルスト:組曲「惑星」」

2016/12/07

[CD]

¥1,760(税込)

宇宙幻想
冨田勲「宇宙幻想」

2016/09/21

[CD]

¥1,100(税込)

展覧会の絵
冨田勲「展覧会の絵」

2016/09/07

[CD]

¥1,100(税込)