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カミラ・カベロ 待望の2ndアルバム『ロマンス』特集~“ロマンス時代”を表現する13曲



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 2019年12月6日にリリースされたカミラ・カベロの2ndアルバム『ロマンス』が、米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で初登場3位を獲得した。米ビルボードの2018年年間チャートで第4位を記録した大ヒット曲「ハバナ feat. ヤング・サグ」を筆頭に、音楽シーンのトップを走り続けているカミラに世界が虜になっていることは目に見えて分かるが、彼女の魅力は、その癖になる歌声とチャーミングなキャラクターだけでなく、芯の強いアーティストであることだろう。世界中に若いファンを持つカミラは、自身が発信するメッセージにどれだけの影響力があるかを理解しており、移民問題について積極的に発言したり、SNSとの付き合い方に言及したりと、そのポジティブな姿勢は高く評価されている。
 そんなカミラの待望作には、彼女の“ロマンス時代”を表現する13曲が収録。前作と比べて、かなりパーソナルな作品に仕上がっているが、それぞれの背景を推測しながら、収録曲を1曲ずつ紹介しよう。

ロマンス時代、開幕――

 フィフス・ハーモニーを脱退した彼女に、これほど大きな舞台が用意されているとは正直想像がつかなかった。2017年8月にリリースした「ハバナ feat. ヤング・サグ」がロングランを経て2018年1月に米ビルボード・ソング・チャート“HOT 100”で自身初のNo.1を獲得したカミラは、同時に「ハバナ」が収録されたデビュー・アルバム『カミラ』も米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で初登場1位をマークし、本作からは「ネバー・ビー・ザ・セイム」も最高6位と2曲連続のTOP 10入りを果たした。

 グループを脱退し、ソロとして活動するアーティストには、当然、成功例と失敗例がある。過去の事例をみると圧倒的に後者が多く、華々しいキャリアを継続できるアーティストは一握りといったところだが、カミラはまさしくその“選ばれし一人”といえるだろう。また、元グループや他の人気歌手を悪しざまに言わない、ヒット曲を連発しても天狗気取りしないなど、その人間性も秀でており、熱愛中のショーン・メンデスという誰しもが憧れるイケメン・スターに見初められるのも納得だ。

 そのショーン・メンデスとは、カミラがソロデビューする前に「アイ・ノウ・ホワット・ユー・ディド・ラスト・サマー」(2015年)で既に共演しているが、今年2019年6月にリリースした「セニョリータ」で2回目のデュエットを果たし、カミラは「ハバナ」に続く2曲目の全米1位を獲得。【MTVビデオ・ミュージック・アワード2019】や【アメリカン・ミュージック・アワード2019】での濃厚パフォーマンスも大きな話題となり、「ハバナ」同等のモンスターヒットに至っている。なお、同曲はストリーミング・サービスSpotifyの<男女デュエット曲>における史上最大の初日再生回数を記録し、同サービスの2019年「世界で最も再生された楽曲」にも認定された。



 「セニョリータ」の大成功を経て完成した、約2年ぶり、2作目のスタジオ・アルバム『ロマンス』のコンセプトについて、カミラは「真実を共有して、私がどんな人間であるかを伝えるのが目的」と話す。現在に至るまでの経験や感情を全て曝け出し、パーソナルな気持ちを送り伝える、そんな内容に仕上がっている。ひとまず「セニョリータ」ではショーンとの堂々交際宣言と、アツアツっぷりを世間に知らしめたといえるだろう(これもまた、アルバムが完成するまでのリアリティ)。

 「セニョリータ」が全米1位を記録した翌週に、アルバムのリード・シングルの「シェイムレス」と「ライアー」の2曲を同時にリリースしたカミラ。アルバムのオープニング曲として選ばれた「シェイムレス」は、ラッパーからロックバンドまで、幅広いジャンルのヒットを輩出するアンドリュー・ワイアットと、オースティン・マホーンの「ダーティー・ワーク」等を手掛けたザ・モンスターズ&ザ・ストレンジャーズによるプロデュース曲だ。ロック色の強いサウンドに乗せて、恥を捨てても溺れたい誰かについて歌うこの曲もまた、ショーンのことを歌っていると取れなくもない。2人の交際が発覚した後は、ポジティブな祝福コメントがある一方で、ゴシップ誌やSNS等にはネガティブな投稿も寄せられていたが、この曲には、そういった中傷や負の要素を払拭する、という意味合いが込められているように思える。ミュージック・ビデオで魅せる、真っ赤なロングドレスで舞うコンテンポラリー・ダンスの“吹っ切れた感”も見事だ。


 もう一曲の「ライアー」も、一部のファンから“まさに彼のことだね”と突っ込まれていた、情熱的なラブソング。カミラ自身が「恋に落ちることについての物語だから、アルバム名を『ロマンス』にしたの」と公言しているように、本作の全てがショーンに纏わる曲といっても過言ではないのかもしれない。彼を求めないと自分にウソをつく(身を引く)ことで、さらに恋心が燃えたぎるという意味合いの「ライアー」。デイヴ・マイヤーズが監督を務めたMVでは、自分を偽ることで自分の首を絞める心境を、カミラらしくコミカルに表現している。サウンドはレゲトンに程近いラテン・ポップで、いずれも全米1位を記録したライオネル・リッチーの「オール・ナイト・ロング」(1983年)と、エイス・オブ・ベイスの「オール・ザット・シー・ウォンツ」(1992年)の2曲がサンプリングソースとして使われている。


 3曲目に公開された「クライ・フォー・ミー」は、タイトルが示す通り“失恋後”の心境について綴った曲だ。別れた相手が何の未練もなく次のステップに進む様を、どこか未練がましく、恨み節に綴った歌詞はなかなか強烈で、前3曲とは違うカミラの一面が垣間見られる。本人曰く、16歳の頃に作った自作曲を基にしているそうで、若かりし頃“ならでは”の嫉妬心を、現在の心境と照らし合わせて焼き直したという制作過程が実に面白い。制作陣には、売れっ子プロデューサーのフランク・デュークスとルイス・ベルに加え、ワンリパブリックのライアン・テダーもクレジットされている。「シェイムレス」同様、ロックっぽい仕上がりになったのはライアンならではの業。こういったサウンドにはしゃがれた低音を、美しいバラード曲には透き通ったハイトーンを、それぞれ使い分けることができるボーカル・ワークには感服する。



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大胆に表現したパーソナルが楽曲の数々

 「クライ・フォー・ミー」の翌週に発表した「イージー」は、前述のフランク・デュークスとルイス・ベルに加え、ジョン・ヒル(シャキーラ、クリスティーナ・アギレラ等)も制作に加わった浮遊感漂うミディアム・メロウ。優しくもどこか感傷的に聴こえるボーカルは、おそらく自身の欠点や弱さについて歌っているからだろう。こじらせぶりやコンプレックスを曝け出してはいるが、全てを受け入れて愛してくれる“誰か”について綴った歌詞は、むしろポジティブで、陽も陰も打ち明けた、まさに「パーソナルな部分」がテーマである本作の核ともいえる曲だろう。


 アルバムのリリース直前に発表した「リヴィング・プルーフ」も、「イージー」を下敷きにしたようなファルセットの美しいメロウ・チューンだが、「クライ・フォー・ミー」や「イージー」とは対照的に、官能的なニュアンスで“幸せの絶頂”である瞬間を描いている。シングルとしてリリースされたのは最後だが、アルバムの中では初期に作ったものだそうで、もしかすると“恋がはじまった時期”にペンをとった曲なのかもしれない(本人も「お気に入りの一曲」と公言している)。天国に昇る様子を再現したMVも、歌詞の世界観を映し出したイノセント・ワールドそのもの。制作陣には、フロリダ出身の女性シンガー・ソングライター=アリ・タンポジとジャスティン・トランター、スウェーデンのソングライター・チーム=マットマン&ロビンがクレジットされている。


 「シュドゥヴ・セッド・イット」は、自分をないがしろにした元彼に向けたリベンジ・ソング。立場が逆転し、あなたの居場所はここにないと振り切る、そんな芯の強さもカミラの一部だ。サウンドは「ハバナ」や「セニョリータ」に通ずる、お得意のラテン・ポップで、どのジャンルも自分流に、そして完璧に熟すカミラは、やはり母国の音楽が彼女の色に最もハマる。フランク・デュークスとリッキー・リード(ジェイソン・デルーロ、トゥエンティ・ワン・パイロッツ等)が共同プロデュースしたこの曲に関していえば、シングルカットできるレベルのクオリティだ。

 6曲目の「バッド・カインド・オブ・バタフライズ」では、一緒にいても頭の中で別の誰かを想っている、と意味深な心情を歌っている。自身の“心移り”に対する戒めなのか、相手の気持ちが浮ついていることへの警告か、真相は不明だが、幸せの絶頂である今、この曲をあえてアルバムに取り入れた取り組みは興味深い。制作陣には、ビヨンセやマライア・キャリー、ジャネット・ジャクソン等、カミラもリスペクトするレジェンドを多数手がけてきた女性シンガー・ソングライターのクリスタル・ニコールも参加している。本作の中でも1、2位を争うサウンドだ。

 カナダ・トロントを拠点とする音楽プロデューサー=リバー・タイバーが手掛けた「フィール・イット・トゥワイス」も、お互いの気持ちが離れていく様を歌ったマイナー調の哀愁メロウで、過去の過ちを懺悔しているようにも感じ取れるし、相手を傷つけないようにする優しさにも感じられる。同曲を含め、本作は失意や悲傷、もどかしさを歌った曲が割と多い。旋律こそ優しいレトロでブルージーなバラード曲だが、コンプレックスや過去の痛手について、時に怒りを込めて歌っている「ディス・ラヴ」もまた、ポジティブなラブソングとは言えない。同曲には、エラ・メイやカリード、メアリー・J・ブライジ等のR&Bシンガーの作品を主に手掛けるRØMANSがソングライターとして参加している。

 一方、一日中彼のことを想い続けているという、一途な胸の内を明るみにしたラブソングの「ドリーム・オブ・ユー」では、<いつもはシャイなシンガー>というフレーズが飛び出したり、ビリー・アイリッシュの兄でプロデューサーのフィニアス・オコンネルがプロデュースしたスムース&メロウの「ユーズド・トゥ・ディス」では、冒頭から<サンフランシスコは好きじゃなかったけど、あなたといればどこでも最高>とノロけてみたりと、乙女心を刺激する瞬間も盛り込まれている(ちなみに、カミラとショーンが今夏、初デート&初キスをパパラッチされたのがサンフランシスコ)。約1年間という制作期間を経て完成したこのアルバムに様々な感情や経験が詰まっているのは当然なことだろう。



 ラストを飾る「ファースト・マン」も、フィニアス・オコンネルによるプロデュース曲で、締めに相応しいピアノのシンプルなバラード曲だ。大好きな父親から親離れする心境と、本当に愛してくれた初めての男性(ファースト・マン)は“パパ”であることを、感謝の意を込めてやさしく、丁寧に歌っている。配信アルバム限定トラックのダベイビーとのコラボ曲「マイ・オー・マイ」のような、ヒップホップとラテンを掛け合わせた売れ線も捨て難いが、今後はこういったメッセージ・ソングにも意欲的に挑戦してほしい。

 デビュー作『カミラ』とは違ったコンセプトで作られた自身2作目のアルバム『ロマンス』。パーソナルな部分にフォーカスした歌詞や多様なジャンルへの挑戦、表現力が豊かになったボーカルなど全てにおいて、カミラの前作からの大きな成長が伺える。本作が今後もトップ・シンガーとして走り続けていく彼女の音楽キャリアの中でも重要な作品になることは間違いないだろう。


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