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さめざめ 『ズボンのチャック/スカートめくり』インタビュー

さめざめ  シングル『ズボンのチャック/スカートめくり』 インタビュー

 「女の子はティッシュでもトイレでもない あたしはあたしなんです イっちゃった後もキスして欲しいだけ どれよりも それがいちばん」――。by さめざめ『コンドームをつけないこの勇気を愛してよ』

 愛やSEXなど女の子の普段言えない本音を包み隠さず綴った楽曲で、10~20代の女性を中心に支持を獲得しているさめざめが初登場!

 何故、さめざめは“性”に関することを歌にするのか、そんな曲を書く笛田さおりは今までどんな恋愛をしてきたのか、さめざめとして何を伝えていきたいのか、更に読者から書き込まれた批判コメントについて。1stシングル『ズボンのチャック/スカートめくり』のリリース(7月4日)に先駆け、様々なことを訊いてきた。

逃げる男性はキライ。私だったら何としてでも仕留めます

--そもそも、さめざめは何故“性”に関することを歌うんでしょう?

さめざめ『コンドームをつけないこの勇気を愛してよ』 ▲PV『コンドームをつけないこの勇気を愛してよ』

笛田さおり:私としては、そこまで意識されるものかな? っていう感覚なんですよね。隠さないといけないものかな? って。そういうことを抽象的に歌う方もいますけど、私は敢えて隠さないで表現したい気持ちがあります。

--それは何故ですか?

笛田さおり:隠して歌う人が多すぎて、ちょっと嫌になったというか(笑)。わざわざそこを隠さなくてもいいんじゃないかなって。隠す音楽があるなら隠さない音楽があってもいいと思いますし。ただ、歌詞にエッジを効かせている分、メロディは親しみ易いものにしようと心掛けています。

--じゃあ「SEX」や「コンドーム」と歌う事に対して恥ずかしさはない?

笛田さおり:ないですね。少しでも日の目を浴びれば、コンドームとかSEXとか歌っている事に対して何かしら言われることも覚悟できていますし。さめざめの曲が賛否別れることは、自分でも覚悟したうえで作っているので。

--このような歌詞を書く笛田さんは、今までどんな恋愛をしてきたんですか?

笛田さおり:「学生の頃から凄かったんですか?」ってよく訊かれますけど、そういうわけでもないんです。どちらかというと、純粋無垢な恋愛をしてきたというか、恋愛の嫌な部分を知らない時期が長かった気がします。そこから、何かをきっかけに恋愛の観点が変わったというか。人に裏切られたり遊ばれたりして、さめざめの曲は生まれたんだと思います。

--話せる範囲で、そのきっかけを教えて頂けますか?

笛田さおり:高校を卒業してから色々な人との出逢いがあって、人って思っていたものとは違うことに気付いたんです。それまでは人を信じやすかったというか。あの人がこう言ったんだから信じていいよね? とか。こう言ってくれたんだから、もう両想いだよね? みたいな。相手はその場の雰囲気だけで言ったことなのに、私は信じてしまうんです。それで自分が思い描いていたものとは違う反応が返ってきたときに、何かが崩れ始めました(笑)。

--因みに、忘れられない恋愛エピソードなどあります?

笛田さおり:美しい話になってしまいますけど、いいですか?

--もちろんです。

笛田さおり:私が20歳くらいのときに出逢った人がいて………って、ちょっと恥ずかしいですね(笑)。……音楽を続けることを諦めようとしていた時期に、10歳年上の男性と出逢って、好きになったんです。その方も自分のやりたいことを追いかけていたから、私に「夢は諦めないことが大事だと思う、頑張りなよ」って言葉をかけてくれて。その後、その方は自分の夢を叶えて、色々と活躍されているみたいで。それを風の噂で聞いたとき、私も自分の作品を通じて、いつかこの人と何かしらの形でまた会えたらいいなと思ったんです。その人と同じ土俵じゃないですけど、私もここまでやってきました! みたいな事を言いたくて今まで頑張ってきた。それが美しい素敵な恋の想い出です。

--では、笛田さんにとって恋愛とは?

笛田さおり:恋愛をしていない時期もあるので、全てではないですけど、なんでしょうねぇ………。曲を作るときも恋愛に重きを置いているので、音楽と恋愛はセットかなぁ。題材じゃないですけど、これからも恋愛はしていきたいし、そのぶん何か作品で残せるものは残していきたいし、共に生きている感じですかね?

--恋愛は題材って、少し残酷でもありますよね?

笛田さおり:残酷というか、可哀想かもしれないですね。普通だったらもっと幸せな生き方が出来るかもしれないけど、敢えて自分で茨の道へ行くタイプというか。

--あと、さめざめの楽曲で描かれている男性は“ダメ男”が多いですよね。

笛田さおり:皆がダメ男なわけではなくて、自分がダメ女であったためにダメ男になってしまったりとか。さめざめの楽曲に登場する女の子たちは、私が一番で私が可哀想だと思っているタイプが多いので、被害者みたいになっていますけど、もしかしたら本当の被害者は男性側かもしれないですね。

--因みに、私は5時間待ちぼうけをくらって、彼氏とそのまま音信不通になったことがあります。

笛田さおり:それは酷いですね。最後の最後で逃げるところがダメ。逃げる男性が一番キライです。私だったら何としてでも仕留めますね。

一同:(笑)

笛田さおり:仕留めるというか、家まで行ったり、友達に電話してもらったりして逃がさないです。面倒くさいと思われたり、嫌われたりしてもいいから逃がさない。別れるにしても、電話でもいいから、ちゃんと最後の儀式はしないとダメですよね。付き合った以上は、最後にちゃんとお尻は拭きなさい的な感じです。

「中出しして」と言っているわけではないんです

--7月4日にリリースする1stシングル『ズボンのチャック/スカートめくり』の『ズボンのチャック』で描かれている男性も、ダメ男の部類に入る?

笛田さおり:私たち世代はズボンのことを“パンツ”って呼ぶけど、小学生くらいは“ズボン”って呼ぶことが多いじゃないですか。私の中では“ズボンのチャック”っていうと、そういう懐かしいイメージがあるんですね。この曲で描かれている男の子は小中学生じゃないですけど、好きな女の子をからかってしまうようなタイプの男性なんです。だから、好きな女の子に「ブス」とか「デブ」とか言ってしまう。ただ、女の子側もそういう男性だと分かっているから「はいはい分かったわ」「後で覚えていなさいよ」って感じなんです。私の中では、この曲の2人は両想い。さめざめの中でも結構ハッピーな曲だと思います。

--『スカートめくり』の「火曜日の夕方に後悔を置いてきた」というフレーズなど、笛田さんの歌詞は言い回しが独特ですよね。

笛田さおり:歌詞は、短編小説のような意識で書いています。『スカートめくり』は簡単に言うと“あなたのことを忘れられない”という曲ですけど、それをいかに別の言い方で表現できるか。直接的な部分を描かなくても、読み手の想像が膨らむような曲を書きたいんです。

--今回のシングルと1月にリリースした1stアルバム『スカートの中は宇宙』の連動特典として、“夏期講習”(注1)と題したキャンペーンを実施しますけど、何か夏の思い出などがあったら教えてください。

笛田さおり:気になっている人とバイクで川に行って、暗闇の中で花火をしたという、ロマンチックな想い出があります。

--ロマンチストですか?

笛田さおり:ロマンチストですけど、その男性もロマンチックを提供することが好きだったのかもしれないですね(笑)。花火は近場でも出来るじゃないですか。それをわざわざ自分のバイクに乗せて、わざわざドライブをしながら川まで行って花火をする。そういうロマンチックを提供したい彼と、ロマンチストな私とがうまく融合したんだと思います。甘酸っぱい記憶ですね。触れそうで触れない関係の中で線香花火をする、みたいな。

--また、2月に掲載した「愛やSEXなど赤裸々歌詞で話題バンド 人気バラード配信」というニュースに対して、Yahooでは多くのコメントが書き込まれましたが、殆どが批判的な内容でした。それに対してどう思いましたか?

笛田さおり:大勢の人が見るYahooさんでのああいう叩かれ方は、まぁ普通かなと(笑)。ただ、YouTubeを少し見ただけとか、タイトルだけで誤解を招いてしまうことはとても残念なので、そういう方の誤解は解きたいです。よく曲を聴いたり歌詞を読んで頂くと、その奥にあるものに気付いてもらえると思うので。

--ただ、あのとき笛田さんはTwitterで「この時を待っていた」と呟いていましたよね?

笛田さおり:今までは、こんなことを書いているのに批判もされなくて、良いのか悪いのかも分からなかった。叩かれること自体が無かったんです。それが、やっと反応が出てきた! と思って。叩かれるという事は、それだけ知ってもらえたということですし、まだまだですけど、ようやくその位置までレベルが上がったというか。やっとスタートラインに立つ準備が出来た気がしたんです。

--中には「さめざめの曲を聴いてコンドームを付けない子どもが増えたらどうするんだ」というようなコメントもありましたけど、そういった意見に対してはどう思います?

笛田さおり:受け取り方はその人次第ですけど、私自身はそういう意味では曲を作っていなくて。言葉が悪いかもしれないですけど、別に「中出しして」と言っているわけではないんですよね。『コンドームをつけないこの勇気を愛してよ』(1stアルバム収録曲)で描かれている女の子は、その男性と結婚したいくらい、その人との子どもがほしいくらい、その人の事が本当に好きなんです。だけど、男性自身が無責任というか、その場しのぎみたいな状態なんですよね。私自身そういう悩みを抱えている人たちの話を聞いたときに「なんて男性がいるんだ」と思って。男性も多種多様で「普通ゴム付けないでしょ? 女の子から何も言われないよ」って言う人もいるんですよ。

皆さんが思うほど一筋縄では消えないです

笛田さおり:もちろん人によって違いますけど、ビックリしちゃって。「女の子から何も言われたことない」とか言うけど、それは女の子が好きな人に対して何も言えなくて、自分で何かしらの対処を取っているだけなんですよ。その苦しみを女性側から聞いた時に、ゴムを付けないくらい好きっていう気持ちをどうして男性は分からないんだろう? と思って。男性側の安易な考えを目の当たりにして、少しくらい女の子の気持ちを分かってほしいと思ったんです。だから、『コンドームをつけないこの勇気を愛してよ』は子どもを作ろうとか、ゴムを付けるのは止めましょうとか、付けないことを許していますよっていう歌ではない。この曲を「ゴムを付けないことがOK」という意味では聴いてほしくないですね。ただ、勘違いされやすいことは自分でも把握しています。

--よく「ビッチ」とも言われていますけど、私はさめざめで描かれている女の子は、どちらかというと真面目で純粋だと思うんですよね。

笛田さおり:その通りです。真面目で純粋な子に限って、本当に好きな人ができて上手くいかない恋愛になった時、こうなってしまうんじゃないかと思います。だから、難しいですよね。なんでもかんでもSEXって言葉が出てくればビッチなのかと言われると、そうではないですし。すごく簡単そうに書いていますけど、その言葉には裏があるということに気付いて頂けたら嬉しいです。

--さめざめとして歌で伝えていきたい事は何ですか?

笛田さおり:女性的なものを伝えていきたいです。今回のシングルは“恋愛”がテーマになっていますけど、生き方に悩む女性を歌った『愛とか夢とか恋とかSEXとか』(1stアルバム収録曲)という曲などもあるので。これからどうしよう? とか、このままでいいのかな? とか思いながら悩んでいる人たちに聴いてほしいです。

--『愛とか夢とか恋とかSEXとか』は、さめざめの歌いたい事や伝えたい事が分かり易く詰め込まれた楽曲ですよね。

笛田さおり:この曲を作った時にさめざめを始めようと決意したんです。満員電車で帰っている時、夢も上手くいかないし、彼氏もいないし、周りも結婚し始めているし、普通の幸せを手に入れたいだけなのに、なんで私はこんなにも上手くいかないんだろう、なんて事を考えていて。それを曲にしたんですけど、自分自身この曲に支えられましたね。さめざめのテーマ曲と言っても過言ではないくらい大切な歌です。

--また、7月10日には渋谷WWWで3度目の単独公演を開催しますけど、どんなステージにしたいですか?

笛田さおり:さめざめのライブって、全ての曲で手拍子できるわけでもなく、ノリノリになれるわけでもないと思うんですね。だけど違う意味で一体感がある。ここだけ何か負のオーラが溢れていて、ここヤバイんじゃないか?みたいな(笑)。そういう世界観の中で、食い入ってもらえるような、あっという間の時間にしたいです。

--今年は大型フェス【ROCKS TOKYO 2012】【RUSH BALL★R 2012】へ出演し、自身初の大阪単独公演も決定するなど、徐々に露出を増やしていますけど、さめざめは今後どうなっていくんでしょう?

笛田さおり:どうなっていくんですかね? 皆さんが想像しているようなものにはなりたくないと思っています。

--と言うと?

笛田さおり:このまま消えるとか(笑)。こんな曲を作っておいて、おかしいかもしれないですけど、イロモノだと思われる事は本当に嫌で。曲のタイトルがイロモノ的でも、その奥には色々な想いがあったり、純粋な事を歌っているので、さめざめが勘違いされたまま消えていくことはありませんと言いたいですね。皆さんが予想している以上のものには、なるんじゃないかなと思っています。どんな形であっても、さめざめを知らしめたいというか、皆さんが思うほど一筋縄では消えないです。

さめざめ「ズボンのチャック/スカートめくり」

ズボンのチャック/スカートめくり

2012/07/04 RELEASE
SMZM-5 ¥ 1,047(税込)

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